考察回。普段の投稿よりは短いです。
次の更新は来年かな。
嘘になるよう頑張ります。
なんだか1年ぶりに言葉を話す気がする。
——気のせいだろう。つい先ほどまでカプ・テテフと有意義な話し合いをしていたのだ。エスパータイプのポケモンだからと手っ取り早くテレパシーで会話していたため、そんな錯覚が生まれたのかもしれない。
「なんだか久しぶりに喋る気がします……」
どうやらリーリエもこの感覚に悩まされているらしいが、先ほどの推測を並べて納得させる、ことは出来なかったので追加の理論武装として屁理屈を垂れ流す。
「何回も言った気がするが、人間も元々ポケモンの一種だ。テレパシーの力を持っていても不思議はない。進化の過程で失われた能力のひとつだろう。今でも超能力者がいるくらいには近い世代で喪失したのかもな。
いずれにせよ、そんな力に触れて、遺伝子が懐かしんでいるのだろう。久しぶりに肉声を使う、という気持ちになるのに無理はないさ」
「……うーん、微妙に納得できないですけど、特に重要でもないですし誤魔化されてあげましょう。それより、ほしぐもちゃんのことです」
「ああ。……何回も言われて察していたが、やはり
「ええ……」
リーリエは寝ているコスモッグを胸にそっと抱きかかえ、目を閉じる。
僕には戦えない彼女がいったい何を思っているのかはわからない。所詮
仮に同じ立場に立ったとき、それが出来る人間が如何に少ないかを僕は知っている。かつて彼女をどうでもいいと見做していた自分の目は節穴だった。前言を撤回する。彼女は戦う力を持たずとも、己の意思で抗うことが出来る人間だ。
「目的は決まった。僕たちはネクロズマの侵略を阻止する。ついでにルザミーネの野望も妨害する。未知の世界で未知のポケモン独り占めして捕まえ放題など、そんな羨ましい真似を許すわけにはいかない。」
「明らかに"ついで"のほうに力が入っていますが……気持ちは同じです。娘として、お母様が間違っていたら止めなきゃいけないのです!
だから、やるべきことはひとつ!」
声がそろった。
「一刻も早く異世界転移技術を完成させて準伝説級ポケモン取り放題」
「一刻も早く島巡りを終わらせて日輪の祭壇でほしぐもちゃんをちょっとまってくださいユウキさん!?」
わっつ?
ここは世界のアローラの平和を守る決意を新たにするために2人で息を揃える場面だろう。どうして僕の宣誓を止めているんだ?
「なんですかその『どうして途中で止めるんだ?』みたいな顔は。わたし普通ですよ?隣にいる人が敵よりも危ないこと考えているなら止めるに決まってるじゃないですか!」
「わたしふつうですよ……?」
「なんでよりによってそこに疑問を持つんですか!?」
いや、だって、数十行前。
「一匹のポケモンが可哀想だからって単身家族に喧嘩売る覚悟ガンギマリお嬢様が、普通……?」
「わたしを見直した感満載の独白はこのためにあった…!?」
やめてくださいその覚悟ガンギマリお嬢様って言うの。
ハイライトの消えた瞳で、かえって静かに呟く彼女に少し気圧される。
……僕が気圧される?
さりげなく起きた異常事態に僅かながら動揺する。珍しい状況ではあるが、決して起こらない事ではない。何が異常事態なのかというと、それを引き起こしたのがトレーナーでもない、ただの少女だという事だ。
やはり彼女は普通ではない。どうしてポケモントレーナーではないのかと心底残念に思ってしまう。ぶっちゃけトレーナーとしての才能はないが、彼女ならきっと何かしら奇想天外でこちらの想定を斜めにぶっちぎる事をやってくれそうな予感がする。それが斜め下なのか斜め上なのかはわからないが、いずれにせよ面白そうだ。
というかこのままだと最初に手に入れたポケモンが伝説のポケモンとかいう意味不明な事態になるんじゃないかコイツ。
「……防衛戦は苦手だから先に潰すという考えだったが、無限に等しい数の世界を相手にするのは無謀か。この世界くらいなら7日もあれば滅ぼせるが、物理法則が同じである保証もない。諦めるか」
「ほんとに反省してるんですかこのひと」
「だから素直に諦めている。
だが……ただの直感でしかないが、
「ピース、ですか?」
「ああ。基本的に伝説のポケモンは特殊な条件を解放しない限り、そもそも出会うことさえ出来ない。
ただの直感だ。聞き流してくれて構わない」
このままでは足りない、という漠然とした認識。僕は自分の直感というものをあまり信用していないが、今この地方にはヒカリがいる。
ヒカリがいるということは、
だけど、何度も言うように、これはただの直感でしかないから。それでも、と言われたら掌を返すつもりでいて。
「では、これまで通り、島巡りを通してアローラを旅して、最後に日輪の祭壇へ行きましょう」
「……随分信じられたものだな」
だからだろう。リーリエの言葉に対し、こんなひねくれた返答をしたのは。
「いえ、ユウキさんの言葉を全面的に信じた訳じゃありませんよ?ちゃんと自分で考えました」
そう言って、彼女はぴんと指を立てた。
「知ってるでしょうけど、島巡りって、ちゃんと決められた順路があるんです。メレメレ島から始まって、アーカラ島、ウラウラ島、そして最後にポニ島。でも、
単純に難易度の問題かも知れません。ですが、最後の試練が行われるのは日輪の祭壇がある『ポニの大渓谷』なんです。他の試練の場所はキャプテンの都合で変わりますが、奇妙なことにポニの大渓谷での大試練だけはずっと昔から変わらずそこで行われます*1。
そして大試練を経て、ラナキラマウンテンの頂上で大々試練が行われます」
彼女は僕と違い、アローラの人間だ。それでいて、エーテルパラダイスというアローラから離れた離島の出身である。
つまり、伝説とされた存在の事を、伝説に影響されて作られた伝統のことを、幼い頃から知り、それでいて客観的に見ることができる。
こうして彼女が語っていくのは、アローラにおける伝統行事、島巡り。確かに特殊だけれど、そんなこともあるだろう——僕が見捨てた可能性を、彼女は正しく分析できる。
それに。彼女の来歴を知って驚いた。彼女は
「ここで大事なのは、ポニの大渓谷が最後の試練の場として決められている事です。大試練もあるのですが、これらは『人』を相手にするので考えないこととします。
ここからわたしが立てた仮説、わかりますか?ユウキさん」
「ぶっちゃけまったくわからない。
僕に科学者や考古学者の適性はないんだ」
「わたしは自分にこんな才能があるとは思わなかったです。大人達の真似事をするのは嫌なので、早く言っちゃいますね。
島巡りとは、いつかウルトラホールが拓かれた時に、伝説のポケモンと共闘できる最強のトレーナーを育てるためにあります。
すべての試練を踏破し、
日輪の祭壇で伝説と出会い、
アローラの頂上で
これが島巡りの真実。穴だらけの仮説ですが、わたしにはそう思えてならないのです」
「…………なるほど。興味深い仮説だ。だから君は、島巡りをするべきだと言うわけか」
「はい。島巡りを終えていない今のわたしたちには、
考えてすらいなかった。島巡りという伝統そのものが、伝説に相応しいトレーナーを育てるための存在だったなど。
閉鎖的な土地柄、異世界からの侵略者という共通した敵、
この条件のすべてを満たしていなければならなかった。
この条件のすべてを満たし続けなければならなかった。
アローラという地方全体の団結がなければならなかった。
ここに来てようやく、僕は自分の体が細かく震えていることを自覚する。
初めてだ。個人や組織ではなく、地方そのものに恐怖を覚えるなど。
アローラ。この地は僕がこれまで踏破した地方よりも小さくて。
はるかに大きな意思が存在する。
この時リーリエの持つ情報にマツリカの試練は存在ぜず、というかそもそも肝心のマツリカがまだ試練の内容を決めていない
気付いたらリーリエが覚醒してた。まだ頑張リーリエしてないのに。
……そういえば数話前の独白で頑張リーリエしてた。ならいっか(自己完結)。
島巡りについては完全に独自解釈です。
モーン博士についても、異世界の研究ができるほどぶっ飛んだ頭脳を持ってたんだろうなと。原作ではアレですけど、昔はきっと超絶輝いてた、はず…!
どうでも良いことですが、
『異世界の存在を証明した男の娘』って
『異世界の存在を証明した男』の娘なのか
異世界の存在を証明した『男の娘』なのか
わかりにくいと思いませんか?私はそう思います。