問題児たちと不適合者が異世界から来るそうですよ? 作:アホ蛇
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「あ、みなさん!水路と貯水池の準備は整っています!」
あれから廃墟を抜け、居住区と思しき箇所を素通りし、ヘッドホンが取って来た水樹とやらを設置する貯水池に向かったところ。リーダーとその他大勢の子供達が水路を掃除していた。
「ご苦労様ですジン坊ちゃん♪皆も掃除をちゃんと手伝ってましたか?」
「黒ウサのねーちゃんお帰り!」
「眠たいけどお掃除手伝ったよ!」
「ねえねえ、新しい人達って誰!?」
「強いの!?カッコイイ!?」
子供達が黒ウサギのもとへ群がっていく。ってか多っ!20人は居そうだ。ん?
「皆に紹介するから一列に並んでくださいね」
パチン
黒ウサギが指を鳴らと、子供達は全員一糸乱れぬ動きで横一列に並んでいく。
というか、普通の人間だけじゃなくて獣人(?)もいる様だな。良かった、基本人間嫌いのオレが如何にまだマシな子供だろうと、この人数と接するのはキツイ物がある。獣人(?)なら子供じゃ無かろうとまだセーフだ。
(マジでガキばっかだな。半分は人間意外のガキか?)
(じ、実際に目の当たりにすると想像以上に多いわ。これで六分の一ですって?)
(………。私、子供嫌いなのに大丈夫かなあ)
(てか人間じゃないヤツの呼び名って「獣人」で良いのか?っていうか早くあの頭の上の
四人は四者四様の感想を心で呟く。特に威鷹は異世界に来た事でテンションが通常時よりもかなりヤバ目だった。
(お?あの茶髪の娘は猫科かな?ピコピコ動いてる耳をコリコリと撫で廻したいぜ。あの金髪の狐っぽい娘も良いな。耳もだが、フサフサ感溢れる尻尾モフりてぇ)
訂正。非常に残念な感じでテンションがオーバーヒートしていた。そのくせ顔には全く影響が出ておらず、誰もこんな事を思っているなど予想できるはずもない。表と裏のギャップに奇的なものを感じざるをえなかった。
「此処に居るのは子供達の年長組です。ゲームには出られないものの、見ての通り獣のギフトを持っている子もおりますから、何か用事を言いつける時はこの子たちを使ってくださいな。みんなも、それでいいですね?」
「「「「「よろしくお願いします!!」」」」」
キーン
「ハハ、元気が良いじゃねえか」
「そ、そうね」
(………。ホントにやっていけるかな、私)
「ふあぁ」(ふ~ん、『獣人』じゃなくて『ギフト』扱いなのか。覚えておこう)
ヤハハと笑う十六夜に、なんとも言えない微妙な女性陣。威鷹は相変わらず我関せずと欠伸……をしていると見せかけて中ではしっかり新たな情報をインプットしていた。
「さて、自己紹介も終わりましたし!それでは水樹を植えましょう!黒ウサギが台座に根を張らせるので、十六夜さんはギフトカードから出してくださいますか?」
「あいよ」
春日部は石垣に立ちながら物珍しそうに辺りを見回す。
「大きい貯水池だね。ちょっとした湖くらいあるよ」
「ニャニャーニャ、ニャー。ニャーニャ」(そやな。門を通ってあっちこっちに水路があったけど、もしあれ全部に水が通ったら壮観やろなあ。けど使ってたのは随分前の事ちゃうんか?どうなんやウサ耳の姉ちゃん)
「はいな、最後に使ったのは三年前ですよ三毛猫さん。元々は龍の瞳を水珠に加工したギフトが台座に設置してあったのですが、それも魔王に取り上げられてしまいました」
キラリ×2
「龍の瞳?何それカッコいい超欲しい。何処に行けば手に入る?」
「さて、何処でしょう?知っていても十六夜さんには教えません」
「瞳の件は良いから。龍って何居んの?何処に行けば会える?」
「威鷹さんまで!?何十六夜さんみたく目を輝かせてますかっ!教えません!」
チッ、やっぱダメか。まぁいい、確実にいる事は分かったしな。
「それでは苗の紐を解いて根を張ります!十六夜さんと威鷹さんは屋敷への水門を開けてください!」
「あいよ」
「だが断rてぇっ!引っ張んなっ!」
即答で拒否しようしたらなぜかヘッドホンに服の襟を掴まれ引っ張られる。ちょっ、首絞まる!
仕方なく二人で水門を開けると、黒ウサギが水樹の苗の紐を解いた。と同時に…
ザッパ――ン!!
「ちょ、少しはマテやゴラァ!!流石に今日はこれ以上濡れたくねえぞオイ!」
慌てて石垣まで跳躍する十六夜に対し、
「Oh!ナイアガラでの滝修行を思い出すなあ」
周りの空気流れである『風』と水の『水流』そのものを操り、一切濡れる事無くゆっくりと石垣まで飛翔する。
「うわお!この子は想像以上に元気です♪」
皆、水樹の出す大量の水を見ながらそれぞれの思いに馳せている時、威鷹は水樹に視線を釘付けにしていた。
(これは………)
水樹の周りの空気中のH₂Oが減っている?いや、あの水樹に吸い取られているのか。よく感じてみりゃ、水樹の周りだけでなくてこの辺りの大気中からもH₂Oの変化が感じられるし……。
(……おもしれえ。マジでおもしれぇ)
ニヤリとした笑みを抑えきれない。なんかヘッドホンとリーダーが言い合いっぽいモノをしていた感じがするが、どうでもいい。兎に角この世界はとてつもなく楽しめそうだって事だ。