問題児たちと不適合者が異世界から来るそうですよ?   作:アホ蛇

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第3話

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 「さてと………どうするか」

 

 箱庭内部に入った瞬間にバックれたのは良いものの、如何せん情報が少ない。これからどうしようか。え?ならどうして逃げたのかって?そんなのオレの中の自由とかを求める衝動の(ほとばし)りというか、人生においてのノリと勢いというか、今まで生きてきて培ってきた自立的な思考がというか………兎に角そう言う事である。

 

 「しかし凄いな箱庭とやらは」

 

 周りを見れば猫耳猫尻尾や犬耳犬尻尾は勿論、爬虫類的な鱗や眼が………いわゆる獣人とかだろうか。この調子ならそのうちゴブリンやら妖精やら吸血鬼やら出てきてもおかしくないかもしれない。

 

 「ん?」

 

 ちょうど横を通りかかった出店の看板に目をやる。

 

 「なになに?『肉棒焼き体験』?」

 

 肉棒とか……なにそれ卑猥。

 

 ~ギフトゲーム名:『肉棒焼き体験』

 プレイヤー条件:肉棒五本お買い上げ客

 クリア条件:店側の者よりも上手く肉棒を焼く

 クリア商品:肉棒五本と、プレイヤー条件の肉棒代金の返金~

 

 「………おっさん」

 「ヘイらっしゃい!なんだい?」

 「このギフトゲームについてなんだが………」

 「おっ、やってくかい?」

 「その前に、このゲームのプレイヤーへの不利益みたいなものはないのか?」

 「うん?強いて言うなら肉棒五本分の代金って事ところだな」

 

 つまり、五本買った客が挑戦でき、勝てたら合計十本の肉棒がタダで手に入ると。

 

 「これって、先に買わないと駄目なのか?」

 「いんや?うちもそう有名なコミュニティじゃねえからな。ゲームの後でも代金支払ってくれたらOKさ」

 「?ふむ………このゲーム受けよう」

 「毎度ぉ!」

 

 おっさんがそう言うと、目の前にいきなり紙が現れた。

 

 

 契約書類《ギアスロール》

 『ギフトゲーム名:”肉棒焼き体験”

 プレイヤー一覧:”威鷹”

 ルール:・店側、挑戦側から各一人、三本ずつ肉棒を焼く

     ・挑戦側は焼きに失敗してもその分新たな肉棒を焼く事ができる

     ・制限時間は一人五分まで

     ・お互い焼いた三本の肉棒を順番に出し、焼き具合の優劣を決める

     ・『肉棒』は当店販売の物を指す

 クリア条件:・店側の者よりも多く上手く肉棒を焼く

 

 宣誓 ”威鷹”はギフトゲームに挑戦します。

 ”ニクニティ”印

 

 

 ニクニティて………。

 おっさんは通常使われているであろう肉焼き機とは別の焼き機に火を入れる。

 

 「あ、先に5本貰っていいか?」

 「ん?ああいいぜ」

 「サンキュ」

 

 袋に入れられた肉棒5本を受け取る。

 そのまま1本を取り出し早速食べる。

 

 「ふむ………こんなもんか」

 

 味わうのはもちろんだが、肝心の焼き加減を確かめる。

 3本程食し、他にも表面、内部の熱の通りによる肉質や焦げの加減などを調べた。

 

 「オーケー大体分かった。でどうするんだ?」

 「お互い3本の肉棒を焼くんだ。で上手く焼けた本数が多い方が勝ちだ」

 「ジャッジは?」

 「こいつを使う」

 

 そう言って出したのは………トカゲ(?)型の置物か何か。

 

 「なんだコレ?」

 「まぁ、優劣を調べるギフトみたいなもんさ。こいつで焼き加減の優劣を決める」

 「ソレの信頼性は?」

 「ないな。うちのコミュニティ、このギフトゲーム同様信じてもらうしかない」

 「………わかった」

 

 なるほど、こちらの不利益無しは、そういう事か。まぁ、ゲームの内容からしてこんなもんだろう。………いざとなればそれ相応の行動を起こすまでだし。

 

 「おっさんからやってくれるか?」

 「おうともさ!」

 

 そう言って、3本の肉棒を機会に乗せた。

 

 「別に一度に一遍に焼く必要はないぜ?一本ずつ順番に焼いて行ってくれて構わねぇ」

 「……そうか」

 

 言っている内に肉棒を回転させながら、薄っすら焦げ目が付き始めたと思ったら直ぐ横に置いてあるタレらしきものをかけ始めた。

 

 「………」

 

 肉の焼ける上手そうな匂いと食欲そそるタレの匂いが湯気とともに立ち昇る。

 

 「あーら、よっと!」

 

 一分半ほどでソースを塗った上手そうな肉棒が完成した。

 

 「………」

 「とまぁ、こんなもんだな。どうした?やめとくかい?」

 「いや、やるさ」

 

 大体わかった。

 まず、焼き方。ただ焼いている様に見えたが、肉棒の回転など一定の法則制が見えた。

 次に、時間。おそらくこれは一本ずつ焼いていては制限時間をオーバーする。純粋に一遍に焼いて一分半、つまり三本を一回ずつ焼くと四分半。ミスをしなければ間に合う計算だが………。

 このおっさん、おそらく能力持ち。しかもおそらく火力増加関連のものだ。でなければあんな不自然な火見たこと無い。

 

 「肉棒を貸してくれ」

 「はいよ。失敗しても時間内ならやり直し自由だからな?それじゃあ………始め!」

 

 おっさんのやっていた通り、肉棒を機会に乗せる。

 本番はここからだ。

 集中する。焼く、つまり酸素との結合による燃焼に。火ではなく火による熱、熱の分子振動に。肉の内部に伝わる分子の振動。それらをうまく伝えてやれば十分に焼ける(・・・)はず。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「はぁ、最初に気が付くべきだったな」

 

 六本の肉棒と三本の串が入った袋を片手で支え、肉棒に食らいつきながら歩く。

 あのギフトゲーム。主催者側から考えてみればそんなに利益がある様には思えない。

 では何故こんなゲームを?簡単だ。最低五本買わせる事に利益があるのだ。

 

 「………入らねぇ」

 

 この肉棒、味は良いのだが量がかなりあって正直二本で満腹。箱庭《ここ》に来てから何も食べてない俺ですら三本で腹八分。

 つまり、通常の客は買って一、二本と言う事。それを十本無料と言う破格のエサで釣っているのだろう。

 

 「しかしまぁ……一つ目の情報としてはなかなかだな」

 

 ギフトゲームに勝利した後、おっさんにいくつか質問したのだ。

 

 

 

 

 

 

 「なぁ、ジン=ラッセルのコミュニティって知ってるか?」

 「ん?ジン=ラッセル?知らねぇな」

 「んじゃ黒ウサギは?」

 「黒ウサギ?てぇーと、あの”箱庭の貴族”の月のウサギの事かい?」

 「ああ恐らくそれだ」

 「ああ、そういやどっかのノーネームに居るんだってな」

 「ノ―ネーム?」

 「ん?なんだあんちゃん箱庭は初めてか?」

 「あぁ、来たばかりだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから分かった事。

 ・コミュニティには”名前”と”旗印”がある。

 ・それらは普通無くてはならないもので、ないものは『その他』として扱われ「ノ―ネーム」と蔑称で呼ばれる。

 ・ジンや黒ウサギ達のコミュニティは今、名乗るべき”名”もテリトリーを表す”旗印”もない『ノ―ネーム』だと言う事。

 まぁ、一人から聞き出せた情報としては、かなりの量だろう。真実性は定かではないが……そこは他の奴らからの情報とも照らし合わせる事で補っていく。

 

 「いらっしゃいいらっしゃい~、美味いよ安いよおいしいよ~!」

 「ん?」

 

 考えをまとめていたら、横から聞こえた声の方を見るとまた出店の看板に文字が…

 

 ~ギフトゲーム名:野菜の千切り(サウザウンドブレイドオブベジタブル)

 クリア条件:規定量の野菜を制限時間内に切りきること

 クリア商品:切りきった分の野菜炒め、焼きそば(麺代は別請求)

 敗北:切りきれなかった場合、その切った分の野菜の購入~

 

 「………」

 

 とりあえずルビ何とかしろ………。

 

 

 

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