問題児たちと不適合者が異世界から来るそうですよ? 作:アホ蛇
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「………」
「………」
道中、十六夜たち四人は興味深そうに辺りを眺めながら歩いていた。
「………」
「………」
石造りの街並みとは、これはまたなんとも言えぬ風情がある。
「………」
「………」
………。
「………」
「………」
………なんなんだ。
「………」
「………オレに何か言いたい事でも?」
合流時から今までずっと感じていた視線の送り主である斜め後ろを歩いている風上女に振り向きながら問う。
「………それ、食べないの?」
「あ?」
風上女の指す先はオレの持っている袋。………から突き出ている肉棒。
「欲しいのか?」
「………さっき彼は食べてた」
と今度は横に居るヘッドホンを指を指す。つかあいつが勝手に食べたんだけどな、許容はしたが。
「だから欲しいのかと聞いている」
「欲しい」
袋から肉棒を一本渡した。
「………」
「………今度はなんだ?」
肉棒を右手に持ちながら、先ほどと変わらぬ視線を放つ風上女。マジでなんなんだ?
「もう一本ある」
「………二本欲する、と?」
コクン、と頷く耀に何といも言えぬ顔の威鷹。
こいつ………意外と図太いな。まぁ別に特にいらないのでそれも渡してやった。
「………ありがとう」
「………」
「?………どうかした?」
「………いや」
久しぶりに聞いた言葉に少しポカンとしてしまった。
とそこに、通りの脇を埋める桃色の花を散らす街路樹が俺の目に入った。
「おっ?」
「桜の木………ではないわよね?花弁の形がちがうし、真夏になっても咲き続けているはずがないもの」
「いや、まだ初夏になったばかりだぞ。気合の入った桜が残っててもおかしくないだろ」
「………?今は秋だったと思うけど」
「何言ってんだお前ら?桜なんてとっくの昔からどこも3Dグラフィックだから季節は関係ねぇだろ」
「「「え?」」」
「……え?」
何このアウェー感………。いや、端から近くもないけどさ。
「皆さんはそれぞれ違う世界から召喚されているのデス。元いた時間軸や歴史、文化の他にも生態系など所々違う箇所があるはずですよ」
黒ウサギが笑って説明した。
「へぇ?パラレルワールドってやつか?」
「近しいですね。正しくは立体交差並行世界論というものなのですけど………今からコレの説明を始めますと一日二日では説明できないので、またの機会ということに」
そうして5人が着いたのは、蒼い生地にお互い向かい合う二人の女神が記された旗の店。その店の前で看板を下ろしていた割烹着の女性店員に黒ウサギが滑り込む。
「まっ」
「待った無しです御客様。内は時間外営業はやっていません」
「なんて商売っ気の無い店なのかしら」
「ま、全くです!閉店時間の五分前に客を締め出すなんて!」
「文句があるならどうぞ他所へ。あなた方は今後一切の出入りを禁じます。出禁です」
「出禁!?これだけで出禁とか御客様舐めすぎでございますよ!?」
いや、これは………。
「なるほど、”箱庭の貴族”であるウサギの御客様をむげにするのは失礼ですね。中で入店許可を伺いますので、コミュニティの名前をよろしいでしょうか?」
「………う」
「俺達は”ノ―ネーム”ってコミュニティなんだが」
先ほどまでの勢いが衰え出した黒ウサギだったが、ヘッドホンが何でも無いかの様に名乗った。
「ほほう。ではどこの”ノ―ネーム”様でしょう?よかったら旗印を確認させていただいてもよろしいでしょうか?」
やっぱりな。この対応、「サウザウンドアイズはノ―ネーム御断り」ってことだ。情報収集の時に何かそれっぽい事を聞いた気がしたが、やはりそうだったか。
それにしても、この割烹着女には懐かしさを感じる。相手に対し妥協する点を出しながら相手の弱点を突くなどの会話術や、仕事の業務に対しての堅苦しいまでの態度。………そういや、オレもこういう奴らばっか相手していた時期があったなあ。あの頃はまだ若かった……。
「いぃぃぃやほおぉぉぉぉぉぉ!久しぶりだ黒ウサギイィィィィ!」
「きゃあーーーーーーーーー……………!」
などとアホみたく物思いに耽っていると、店の中から白髪の幼女………いや少女が叫びながら、黒ウサギにフライングボディーアタックをかました。
黒ウサギはその白髪少女と共に空中四回転半ひねりしながら街道の向こう側の浅い水路まで吹き飛んでいった。
遠くなる悲鳴。
ボチャン
流石の出来事に十六夜達四人は眼を丸くし、割烹着の店員は痛そうに頭を抱えていた。
「おい店員。この店にはドッキリサービスがあるのか?なら俺も別バージョンで是非」
「ありません」
「なんなら有料でも」
「やりません」
………お互い真剣な顔して何やってるんだこいつらは。
十六夜と店員に変な目線を向ける威鷹。
「し、白夜叉様!?どうして貴方がこんな下層に!?」
「そろそろ黒ウサギが来る予感がしておったからに決まっておるだろうに!フフ、フホホフホホ!やっぱり黒ウサギは触り心地が違うのう!ほれ、ここが良いかここが良いか!」
「し、白夜叉様!ちょ、ちょっと離れて下さい!」
黒ウサギの体をこれでもかと、体全体で触りまくっていた白夜叉と呼ばれた少女の頭を掴み、引きはがしながら思いっきり店の方に投げる黒ウサギ。
その少女の進路の先である十六夜は………
ヒョイッ
真横に一歩避けた。
「ふん」
「グハッ!」
十六夜の後にいた、つまり今少女の進路先にいる威鷹は右手を左から右へと一閃。
その刹那に起こった風が少女を横から殴りつけ、進路を90度変えた。
「てい」
「ゴバァ!」
軌道を真横に変更した
ブオンッと風が鳴り、ドスッと十六夜の足蹴りが決まったわけである。
「お、おんしらぁ!飛んできた初対面の美少女に対してこの対応は何様だ!」
「十六夜様だぜ。以後よろしく和装ロリ」
「威鷹様だ。別に宜しくしなくて良い」
ヤハハと笑う十六夜に、特に興味も示す様子もない威鷹。
一連の流れの中で呆気に取られていた飛鳥が白夜叉に話しかけていた。
「にしても、便利そうだな。お前の力」
「あ?」
「さっき手でぶん殴ってた様に見えて、全然当たってなかっただろ」
「あぁさっきの奴か………お前こそあの一瞬で、後のオレを確認してから避けてくれてありがとよ」
「さて、何の事だが」
軽く睨む威鷹に、愉快そうにヤハハと笑う十六夜。
「ふふん。お前達が黒ウサギの新しい同士か。異世界の人間が私の元に来たと言う事は………遂に黒ウサギが私のペットに」
「なりません!どういう起承転結があってそんな事になるんですか!」
十六夜達を見まわしニヤリと笑う白夜叉に、ウサ耳を逆立て起こる黒ウサギ。
それから白髪ロリの計らいで無事、サウザウンドアイズのコミュニティに入る事になった。
主人公が黒ウサギをどう呼ぶか考えてました。
十六夜達みたく変なあだ名を付けるか、ただ”ウサギ”と呼ぶか。
いろいろ考えた結果…
・あだ名を付ける→そこそこの友好的な感情が有りっぽい。
・「黒ウサギ」→名前というより、「人間」「魚」などの分類名っぽい。
・名前呼ばない→意識しすぎると、アピールしすぎ?
以上の3つより、主人公に最初から黒ウサギと呼ばせる事にしました。