タコツボ小隊員・篠ノ之箒!!   作:沙希

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ちょっと息抜き兼浮気がてら思いつきで書きました。
森のホモォ。や町内会報はニコニコ静画のマンガにあります。
アドレスは面倒なので貼りません。
追記:ステマではない。いいね?


プロローグ
出会い(上)


 

 

 

『箒ちゃん。今日から向こうに引っ越すことになったの』

 

 どうして、こんなことになったのか私には分からなかった。

 なぜ家を引っ越さなければならないのかも、どうして家に大人たちが押し寄せてくるのかも、どうして父がいなくなったのかも、何もかもが分からなかった。

 全部が全部、分からないことだらけで頭の中がこんがらがった。

 でも、これだけは分かった。

 私の人生は、姉によって壊されたのだと。

 

 

 私の姉、篠ノ之束は頭がいい。

 こんな陳腐な言い方でしか表現できないが、とびぬけて頭がよかった。

 同い年や一つ二つ年上の人、はたまた大人顔負けの頭脳を持っていた。

 私はそんな姉が、ちょっと苦手だった。

 私には分からないような言葉で話したり、私が迷惑しているのを知ってか知らないでか常に興奮している動物みたいに懐いてくるから、嫌うにも嫌いになれない。だから苦手だ。

 

 

 そんな姉が作ったのが、インフィニット・ストラトス。通称ISというものだった。

 それがどんなものなのか私には理解できないし、しようとは思わない。

 だって、そのせいで知らない大人たちが何度も家に押しかけてきたり、街の人たちから変な目で見られたり、何となくだけど陰口を言われたりもした。段々、私や家族の居場所が街からなくなったんだ。

 

「……どうしても、引っ越さなければならないの?」

 

「……えぇ。辛いでしょうけれど、そうするしかないの」

 

 伯母さんは悲しい表情になる。

 

「……お父さんのことは、どうなるの?もう会えないの?」

 

「……そうね。でも、いま会えないだけで、箒ちゃんが大きくなったらきっと帰ってくるわ」

 

 子供の私でも分かる、分かりやすい慰め方だった。

 

「……………」

 

「……………引っ越す前に、織斑さんの所に挨拶していきなさい」

 

「…………うん」

 

 伯母の言葉に従うしか、私にはなかった。

 伯母が語る雰囲気は感情的になっても変えられないことが分かっていたから。

 

 

 少し気になっていた幼馴染の一夏と、色々とお世話になった一夏の姉の千冬さんに別れを告げた私はいろんな場所を転々とすることになった。 

 行く先々、たくさんの人たちから姉さんのことばかり聞かれたり、白い目で見られたり、『せいふ』というところの言いつけだからと、ずっと家にいたりして、正直嫌だった。

 どこに行っても、私の居場所なんてない。

 みんな、姉さんやISのことばかり聞いてきて、こっちの話も聞いてくれない。

 新しく転校した学校で、みんな陰でコソコソ悪く口を言っている。

 お父さんに会いたい。もとの暮らしがしたい。そんな思いを汲取ってくれない。

 

 

 私は、姉さんが嫌いだ。

 お父さんがいなくなったのも、幼馴染と別れることになったのも、言われもない悪口を言われるのも、こんな辛い思いをするのも……………ぜんぶぜんぶ、姉さんのせいだ。

 自分の責任から逃げて、私たちに迷惑ばかりかけている姉さんなんか大っ嫌いだ。

 

 

 

 

 

 

 いろんな場所を転々としてから、私はもうすぐ四年生を迎える。

 一夏はどうしているのだろう、父はどこにいるのだろうと考えるのをやめた。

 いろんな人たちから毎日姉さんやISの事を聞かれても、どんなに大人たちが白い目で見てきても、どれほど暴言を言われても、私はもう気にしないことにした。何も考えたくなかった。

 

 

 私一人が動いても、泣き喚いても状況が良くなるわけじゃない。

 行方不明の父が戻ってくる訳でも、元の生活を送れるわけでもない。

 姉さんが生み出したISというものがある限り、私は死ぬまでこんな生活を強いられる。

 もう、元の生活に戻ることはない、そう諦める私だった。

 

「あのね箒ちゃん。今度転勤する場所なんだけどね、私の学生時代の友人の住んでいるところになったのよ」

 

 そんな時、伯母が何故か上機嫌にそんな話題を振ってきた。

 転勤の話をするたびに、あまり良い表情はしなかったはずなのに。

 私にとっては、結局、どこへ行っても同じにしかならない。

 だから、伯母が上機嫌な理由なんて聞かずに引っ越しの準備をすることにした。

 

 

 

 

 

 引っ越す先は、『梅の木川町』という町だ。

 少々変な気配がするのだが、見た限りでは転勤してきた他の町となんら変わりなかった。

 電車の中で伯母が楽しげに、その住ませてもらうことになっている友人の話をするの だが、どうせ何か裏があるに決まっている。前の転勤も、その前も、その前の前の、その前の前の前の転勤も、そうだった。

 だから期待なんてしない。どこに行っても、私に居場所なんてないのだから。

 

「雪子~~っ、久しぶりぃ!元気にしてた?」

 

「う~ん、元気とは言えないわね。あちこち転々とする羽目になったんだから」

 

「それもそうよね。で、その子が箒ちゃんなのかな? はじめまして。雪子の学生時代からの友達の、佐咲広恵よ。これから家族みたいに一緒に過ごすんだから、困ったことがあったら言ってね」

 

 ついた場所は普通の一軒家で入口に待ち構えていた人当たりの良さそうな女性・佐咲広恵さんという人が挨拶して来る。

 

「………はじめまして。篠ノ之箒です。『短い間』でしょうが、よろしくお願いします」

 

「こら箒ちゃん!」

 

「いいのよぉ雪子、気にしてないから。それにしても、………そうとうすれちゃっているみたいね。でも大丈夫よ、箒ちゃん。私はちゃんと箒ちゃんを一人の娘ように見るからね」

 

 どうだか。そのニコニコ顔の下に、どんな黒いものを潜めているのやら。

 もう私は、諦めると決めたんだ。

 だから何も期待しないし、誰かを信じることはない。

 そんな事を思いながら、伯母と佐咲さんの後に続きながら、家の中に入った。

 

「そういえば、雄大くんは?」

 

「友達と出かけてるわよ。本当なら家にいるように言いつけたんだけど、なんか急な用事が出来たとかで、大慌てで出て行ったわ」

 

 そんな会話を耳にしながら、部屋に案内される。

 案内された部屋は最初に転勤する前の部屋とあまり大差ない広さだった。

 部屋には荷物が置かれており、荷解きを始めたが私の荷物はそれほど多くなかったためやることがなかった。

 取柄である剣道をやろうという気にはなれない。

 伯母や佐咲さんとの会話に混じろうとも思わない。

 そういうわけで、私は気分転換を兼ねて外に出ることにした。

 

 

 

 

 

 迷った。家を出てすぐ、迷った。

 それもそうだ、私はこの町の事は全然知らない。

 伯母の同伴で案内してもらうか、地図を借りればよかった。

 考えるのを諦めたからと言って、こんな単純な考えを思いつくのまで諦めるつもりはなかったのだが。

 なんたるウカツッ!

 

「…………どうしよう」

 

 右往左往しているうちに、時間は刻一刻と過ぎていく。

 人のいないタコやUFO、恐竜やら変わった遊具がある公園を見つけ、公園のベンチで私はこれからどうするか考えた。

 

 

 単純に、道行く人たちに聞けばいいのだろうが、聞けない。聞きたくない。

 私が誰なのか、誰の妹なのか分かってしまえば格好の的だ。

 いわれのない暴言はもう聞きたくない。

 大人たちから執拗に姉さんの話を聞かれたくない。

 

「………………ぐすぅ………なんでわたし、こんなに不幸なのかな……」

 

 元の生活に戻りたい。お父さんに逢いたい。一夏や千冬さんと一緒に剣道がしたい。

 でも、それはもう叶う事はない。

 居場所も、家庭も、父も、何もかも………私の思いとは裏腹に掛け離れていく。

 これから先、ほんとうに、もうあの頃の様に過ごせないのかな。

 そんな事を考えながら泣いていたら、

 

 

 

「ねぇ、キミ。どうかしたの? 大丈夫?」

 

 

 

 知らない男の子の声がした。

 顔をあげると、ちょっと女の子?と間違うような顔立ちの男の子が心配そうに見ていた。

 

「~~~っ………何でもない! ほっといてくれ!」

 

 涙を流していたことを恥じるように私は拭い、キツメの言葉をぶつける。

 大抵、これだけで私に近づこうともしなくなるのだが、そいつは何とも思ってなかったらしく、言葉を続ける。

 

「泣いている子を目の前にして、そういうわけにはいかないよ。どこか怪我したの? 親と逸れちゃった? 誰かと喧嘩した?」

 

「余計なお節介だと言っている!」

 

「ん~、どこか怪我した様には見えないし、喧嘩したわけじゃないのかな。いやでも、もしかしたら無傷でって………まてまてまて、なんでヒガっちゃん基準で考えてるんだ俺。初対面の子を蛮族認定するのは失礼すぎる。とりあえず、迷子ってことでいいのかな」

 

 なんだ、コイツは。やたらお節介を焼いてくると思えば今度はブツブツと何か言い始めて、私の現状をズバリと当ててくる。

 

「とりあえず、一緒に探そう。お母さん、もしくはお父さんの特徴は分かる? 一緒に探してあげるからさ」

 

「私は迷子じゃない!」

 

「え、迷子じゃないの?」

 

「あ、いや迷子なのだが………えぇい、そんなことはどうでもいい! 私は、お前の手を借りるつもりなんてないと言っているのだ!」

 

「でも、きっとキミの親御さんが心配してると思う。だから、変に意地を張らないでさ、一緒に探そうよ」

 

「~~っ、お前は私の言ったことが分からないのか! 余計なお節介だと言っただろ! それに私とお前は赤の他人なのに、なんだってそんな風に関わろうとする!」

 

 汚い大人たちや、打算的に寄ってくる者達を見てきた私は目の前にいるコイツを疑った。

 どうせコイツも同じだ。私の存在を口実に使うに決まっている。

 もしかすると私の事を知っていて、近づいたに違いない。

 でも、これだけ言っても男は引き下がらなかった。

 

「誰かを助けるのに、理由がいるかい?」

 

「あっ………うっぅぅ」

 

 真っ直ぐ、私の瞳を見つめてそう言った。

 純粋に私の事を、篠ノ之箒というたった一人に向けての言葉だった。

 だけど、それは此奴が私を知らないという過程での話だ。

 私の事を知ればもしくは知っていれば、人が変わった様に白い目で見てくる。

 でも、どうしてだろうか…………コイツの姿が一夏と重なって見えたのは、何故だ。

 

「ユーダイ、どうした。トラブルか?」

 

「なになに、どうかしたの?」

 

「トラブルのことなら、物事速攻鉄拳制裁の私に任せろ!」

 

「対処するトラブルはバイオレンスオンリーの時にだけにしてろ暴力担当」

 

「あとなんかすごい気配がその子からするんだけど」

 

 何やらゾロゾロと、ユーダイと呼ばれる男の後からやってくる。

 見るからに、この男や私と同い年の男女5人。

 

 

 

 これが、私とタコツボ小隊の初めての出会いだった。

 

 

 




追記:原作箒ちゃんが4年生の時に保護プログラムを適用されてますが、今回は原作よりも早く保護プログラムを適用された設定です。
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