You Die!「デカいホモォに森の奥へ連れてかれた」
一同「お前の心臓に毛でも生えてんのか」
You Die!「俺にだってやばい状況くらい分かるもん!」
作家「そういえばホモォの珍妙な発言は?」
作家姉「なんか言われたのか?」
You Die!「うん。パキケファロサウルスの化石×夕暮れの教室って」
作家姉「日本語でおk」
一同「やっぱりそうなるよね」
五月某日、昼休み。
「なぁ。四月以来、全然見てねぇなアレ」
「え?」
「饅頭もどき。こうやって野郎3人で集まってるのに今とか出てきてもおかしくねぇのに」
「………あぁ、そういえば」
「饅頭もどきってあれか。すっかり忘れた」
3人は校庭の隅で、シキが他小隊と遊んでいる光景を眺めながらそんな会話をする。
四月のあの日以降、学校でホモォを見かけることはなかったことに不思議だった。
「……なにシューヘイ。出てきてほしいの?」
「んなわけあるかバーカ。お前ら、新聞読んだか?」
「新聞?」
「ナッちゃん言ってたろ。大人が必死に隠してるって。字ばっかのページの隅っこに記事が載っているんだ。探すの苦労した。名前が出てるわけじゃないから流し読みしたくらいじゃアレの記事だって分からねぇしな」
そういってシューヘイは新聞の切れ端を取り出し、ユーダイに差し出す。
切れ端にはホモォという単語は見当たらないが、確かにホモォの特徴らしきことが書かれており流し読みでは見つからないのは当然とも言える。
「被害拡大してるってよ。俺たちの与り知らぬところで」
「………この記事、場所と被害者の人数と………『秘匿義務』的な事しか書いてない」
「あぁこりゃそういう記事だって知らなきゃわかんねーな」
「にしても秘匿義務ねぇ………俺たち子供にバレるなよってとこか」
「………あれ? これ、結構近いね」
「近いっつーか………ザウルス小隊のムカイギいるだろ」
「うん」
「ムカイギ、シキの自己紹介以降から会ってねぇな」
「その記事の被害者の男子中学生、ムカイギの兄貴だ」
『マジで!?』
近場であることもそうだが、流石にザウルスリーダーの兄が被害者なのが予想外だった。
「ムカイギの兄貴ってあの人だろ。ミニバスでめっちゃ活躍してた。女子に凄い大人気の」
「私とゴール下で競り合えたほどの実力者だったぜ!」
「いたのかヒガサキ」
「ヒガっちゃん、それ下級生に気をつかって手加減してくれただけじゃあ………」
「手加減なんかなかったね!あれは立派な男と男の真剣勝負だ!」
「お前女な」
「やかましい。コートの上に立てば一切の甘えは通用しない。つまりは男の世界!勝負に『女』なんて概念はいらねぇ!」
―― マンダム!! ――
「漆黒の殺意覚えてから出直して来い」
「わかった」
この歳で女を捨てようとする発言をするヒガサキにツッコミを入れる。
しかし、暴力の二大巨頭の一角のヒガサキにカードキャプター〇くらの様なあざとさや少女らしさを求めるのはある意味、無理な要求だろう。
「あ、それでムカイギの兄貴の件なんだけどな」
「お前毎回、話を脱線させた分きっちり戻してくるよな」
「ザウルス小隊の連中から私が預かった。ムカイギは共学校休んでる。私たちに………というか、ヨッコに正式依頼!」
「ヨッコがどうかしたのか?」
「あ、シキ」
ポケットからは、『タコツボ小隊御中』と書かれた手紙を取り出し、ユーダイに渡すと同時にユーダイ達が何やら話し込んでいるのが気になったのか、途中から抜けてきたシキがこちらへとやってきた。
「ちょっとザウルスの奴らから依頼を頼まれてな」
「ムカイギの所から?……そういえば、ムカイギが休みだとさっき遊んでいるときに聞いたが、ムカイギに何かあったのか?」
「ムカイギだけというか、その兄貴にもな。シキもどうだ。前のみっちゃんとてっちゃん二人の救出のとき、かなり活躍したから戦力としては申し分ねぇし」
「何やらまた厄介事みたいだが…………うむ、行かせてもらおう。ザウルスの皆も、最近ムカイギの体調が悪いことを心配していたようだからな。もしもの時に備えて戦力は多いことに越したことはない」
「決まりだな。内容的にはユーダイさえよければ女子四人でいくつもり」
「ヨッコ宛ってことは内容は予想つくけど、ヒガサキ達だけで?なんでだよ?」
「まぁ、なんだ。私やシキはオマケでメインはヨッコとナッちゃん…………察しろ!」
「察せねぇよ。エスパーじゃねぇんだから。というかシキ、お前そう安請け合いして大丈夫かよ。確かにあん時はすげぇ活躍したけどさ、少しは遠慮してもいいと思うぜ?」
「いや、そういうわけにもいくまい。友達が困っているのを見過ごすほど、私は薄情になれきれないからな。あと、間違ってもらっては困るがあの時は理解が追いつかなくて我武者羅だったからな。はっはっは」
(『あぁ、そういえば確かに』)
遠い目をして乾いた笑みを浮かべるシキに同情してしまう。
ユーフォ―小隊との自己紹介のつもりだったのだが、半場巻き込まれる形で未確認生物とやり合うことになった。ビームが飛び交い、鋼をも貫通させるサーベルが乱舞する戦場を渡り歩かせ、いや、駆け巡らせられた。『篠ノ之流』が
シキ達の会話を余所に、ユーダイは渡された手紙をじっくり読んだ後、手紙から視線を外す。
「いいよ、大丈夫っ」
「マジか、サンキューリーダー!」
「感謝するぞ、ユーダイ」
「おい、いいのか?」
「うん。でも、『女の子』三人いるんだから、くれぐれも危ない事は避けること。いい?」
「任せろ!きっちり返り討ちにするからな!」
「わかってないよね」
(女の子三人とは言ったがヨッコとナツミ以外で……となると私とハツミのどっちだ?)
…………
………
……
…
―――すぐによびましょおんみょーじ てつこ!
―――黒柳徹子は陰陽師だったのか
―――いや、空耳だから
「……だーから、あいつも女だろっての」
「まぁまぁ」
二人が去っていくのを見て、明らかに心配してか、主にヒガサキに対して舌打ちするタカシにユーダイは宥める。
「詳しくは何だったんだ、依頼内容」
「えっとね――――――――――」
▽
『心霊現象?』
ハツミと共に来た場所は女子トイレの個室だった。
他の者達に話を聞かれたらと警戒しているのだろうが、なんでよりにもよってトイレの個室なのかと疑問に思う。しかし、半場内容も確認せずに安請け合いをしたのはいいのだが、今度は心霊現象と来たか。
「そうそう。どうにも数日前からなんか『いる』らしいのな、ムガイギん家。んで今日、ムカイギが休みじゃん?」
「………ムカイギが憑かれているというわけか」
「憑かれてるか分からねぇけど、ザウルスの奴らが調べてくれって」
「わぁ、切実な文章……それで私か。それはいいけんだけど、ハツミちゃん、シキちゃん。どうして私たちだけなの?」
「すまないヨッコ、私はただ応じて来たものだから内容は聞かされてない。実際のところ、どうなのだハツミ」
「ふふーん、脳筋ヒガサキも機転はきくもんだぜ」
『?』
「ハツミー?ヨッコ見つかったー?」
「ハイハイここよー!」
「ナッちゃん?」
「ナツメ?」
「え、なんでシキがいるわけ?」
「それは、かくかくしかじか」
「まるまるうまうま、ってわけ。…………本人がそう言うなら別にいいけど。それに、万が一の時、戦力は多いに越したことはないしね。万が一の時、頼むわねシキ」
「任された」
ナツミからも了承を得たことで、さっそく本題に入るためにナツメを個室に入れる。
本来、トイレの個室に4人も入るようなものじゃないな。せまい。
「本題だけど、ムカイギの兄貴がホモォ被害に遭ったらしーんだって」
「ウッソ!」
「ユーダイに依頼書を渡しに行ったときにシューヘイが言っての聞いちゃってさぁ、私は事前に依頼内容聞いてたからこれはなんか関係あると踏んだわけだ」
「えぇっ、心霊現象とホモォが?」
「ヨッコは知らないと思うが、かずらさん曰く妖の類らしいのだ」
「そうなの?」
「それにこの一か月でさらに更新されたみたいだから、間違いなく」
「…………」
「だからタイミング的に今回の依頼もホモォ絡みの可能性が濃ゆいだろ?男子共を連れていくわけにゃいかんのよ」
なるほど、だから私たちだけで行く許可が欲しかった訳か。
しかし、宇宙人は兎も角、篠ノ之流が効くのかどうか、そもそも物理自体効くのか?
「………わかった、行ってみよう。友達が危ないんだもんね」
「さすがヨッコ、ありがとー!」
「でも、ホモォに通用するかわかんないよ?」
「まぁ万一ヨッコの専門外なら私が奥の手出すから大丈夫」
「じゃあ早速ムカイギの家に電話するとしよう」
「そうだね。放課後からじゃ遅くなっちゃうもんね」
「アポは大事」
「よっしゃー!番号聞いてくらぁ!」
そういうわけでハツミは職員室へと向かってムカイギの電話番号を聞きに急いで向かい、私たち3人は公衆電話が置かれてある職員玄関へと向かった。
「…………あ、こんにちは。ええと、梅の木川小学校4年1組の入江といいます。ムカイギ君は御在宅でしょうか?あ、はいそうです。去年同じクラスだった……ええ……ちょっと明日の合同授業のことで連絡があって電話しました」
「ヨッコよくあんなすらする口回るな」
「合同授業なんてないし」
「まぁ、女子だけで在宅するのだから、仕方がない。変な風に思われないためにも状況を作らなくてわな」
「…………え、風邪とか熱じゃあ………寝込んだ? 体がだるくて………そうですか。あの今、ムカイギ君に電話代わっていただくことできますか?ええと、入江じゃ分からないかもしれないのでこう伝えていただけますか。「依頼を受けたタコツボ小隊からの電話だ」って」
― 何か憑いてる ―
『!!』
「?」
ヨッコが私たちを見て、小さくハンドサインを送ってきた。
それが何を意味するのか、まだ私には分からなかったが二人の反応からするに二人は知っているみたいだ。
(さっきのは何だ?)
(小隊用の暗号だ。知ってて損はないだろうから、シキにもそのうち教えとく)
(………にしても、拙いわね。どうやら、マジで憑かれてるみたいよ)
万一が起こっても問題ない様に着いてくるつもりだったが、どうやら今日も穏便では済まなさそうな雰囲気の様だと、私は感じ取り、警戒心を高めるのだった。
○○小隊、というのはクラス内の『班』みたいなものだそうだ。
ユーダイ達が1年生の時の班分けなのだが、なんだかんだ皆ずっと付き合いが続いていて、たまに困ったことがあれば小隊同士で協力したりする。ユーフォ―小隊のテツヤとミツコの二人が攫われた時が良い例だろう。
そしてなぜ1年からの付き合いでもない私が、小隊に入れてもらえたのかについてだが、また今度にしよう。
話を戻すが、私たちは『タコツボ小隊』、ムカイギは『ザウルス小隊』。
そしてヨッコの伯父が私の父と同じ古い神社の神主で霊感があるのだそうだ。
孫であるヨッコも霊感が伯父以上に強いとのことで、各々異様に専門性に富んだ私たちの学年で心霊系のオカルトの事件は大抵ヨッコのいるタコツボ小隊に来るとの事。
向日木という表札がある家に到着した私たちはインターホンを押してから少し時間を置くと、ムカイギが引き戸を開けて現れ――――――――
(――――――ッ!)
(シキちゃん、意識しちゃダメ。そのまま気づかれない様に無視して)
(んっ………………)
隣にいたヨッコが小さく耳打ちされた私は、昂った感情を押さえつける。
私は、ムカイギの背中にいる
本当なら、こういうとき事情を聞くべきなのだろうが専門家の言う事がまず最優先だとUFOの時に学んだため、黙って従うことにした。
ハツミとナツメは見えていないようだが………………なんだ、
「やー……タコツボ、それにシキもこの間ぶり。あれ…女の子達だけ?ユーダイ達はどうした?」
「…………ず、随分とやつれているな、ムカイギ」
「安心しろ、今回は少数精鋭だ」
「よっ、ムカイギ」
「電話に出てくれてありがとうムカイギ君。伝えた通りだよ。ちょっとお家を見せてもらうね」
「おっけー。悪いな、上がってくれよ」
「おじゃましまーすっ!」
ムカイギとハツミ、ナツメの三人が家に上がっていくのを余所に、私はゆっくり重いため息を漏らし、ユッコへと向き直る。
「ヨッコ、あれはいったい」
「出会った時から何かしらの力は感じていたけど、シキちゃんにも見えたんだね。それも、私以上に…………」
「あれは本当にホモォが関係していると思うか?」
「まだ分からないけど、まず家内を見ないと分からないかな」
「……………そうか」
「シキちゃん、辛いなら無理しなくていいよ。シキちゃんの
「言うな、ヨッコ。それ以上、言わないでくれ」
「………………」
「嬉しかったんだ、ユーダイに手を差しのべられたとき。お前達と友達になれた時、本当に嬉しくて仕方がなかった。篠ノ之束の妹というオマケとしてではなく、私という一個人を見てくれた、接してくれたユーダイやお前達が、大切なんだ。守りたいと、何かの役に立ちたいと思うようになった。だから、そんなお前から、皆から…………『無関係だから』と突き放されるのは、とても辛いのだ」
もしも皆から……ユーダイの口から『お前は無関係だ』などという言葉を言われたその時、今度こそ私は立ち直れないような傷を負ってしまうかもしれない。
そう考えるのが、どれだけ胸が苦しくなって辛かったことか。
危険であることは分かっている。だが、ユーダイ達に守られてばかりで自分が何もしないなんて、そんな怠慢を私は許容するつもりはない。それが守らなくちゃならない者達なら、なおのことだ。
私はいつ来るかもわからない白馬の王子様に救いを求めるお姫様などになる気は無い。
私はユーダイを、皆を守れる『刃』になりたいだけだ。
「……………そうだよね。ごめんね、シキちゃん。軽率だった。でも、本当に無理しちゃダメだからね?いくらシキちゃんが言う様に「大切だから」って言って、自分を犠牲にしたら本末転倒だから。もしシキちゃんに何かあったら、悲しむのは伯母さんや私たちなんだからね」
「あぁ、重々承知している。それに……まずお前達と一緒にいて命を棄てようと思ってまで自己犠牲をしなきゃいけない様な状況にはならないだろうと思うのだがな」
「あははは、それもそうだね」
それにな、ヨッコ。例え自己犠牲をしなきゃならない状況に陥っても、私はそう簡単に死ぬつもりなどない。私まだ、生きたいのだ。
ただ無意味に時間が流れるのを待っているんじゃない。
お前達とこれからも一緒にいたいから。明日も明後日も、来年も再来年も、一緒に。
追記:誤字脱字、おかしい文面があったら報告よろしくお願いします!