勇者エリちゃん(憑依)勇者の旅へ出ます。 作:小指の爪手入れ師
キャラ崩壊はfateに於いてデフォルトだ、いいね?
ㅤあの後、私は黒聖女を殴る事は出来なかった。正直熱が冷めたのでどうでも良かったりする。道程が波乱万丈過ぎて目の辺りが湿りそうだ。
ㅤいや泣いてませんよ!?ただ目が潤いすぎているってだけだもん!!女の子は常に瞳がウルウルしてるって聞いたことあるもの、嘘じゃないわ!!
ㅤふぅ…
「あの黒聖女帰っちゃったし…私も帰ろっかな」
「図太いエリザも決して嫌いではありませんし、出来るならばこのまま私たちの愛の巣に手でも繋ぎながら帰りたいのですが…その様な空気では無さそうですよ?」
ㅤ周りを見れば視線が痛いのなんの。奇異的な目が突き刺さってもう…帰りたいなぁ!それはそうでしょうね。この防御0、精神
「私帰るのぉ!視線が怖いよぉ!私好きでこんな恰好してる訳じゃないのに」
ㅤ私はマントを抱き寄せプルプルと震える。なんて情けない、なんて見っともないのエリザベート・バートリー!
ㅤ羞恥で顔が熱い。こんな鎧よく今まで着れたわね私!?もう座に返して!ドレッサーあったもの、きっとクローゼットもあるに違いない!今の恰好が解消されるならばゴスロリ、あまロリ、何でもござれ!布面積をおくれ!!
「えっと〜、あのぉ、そのぉ」
ㅤ視線を上へとスライドすれば橙の髪を揺らす主人公の姿があった。藤丸立香(女)、つまりはぐだ子。逸般人ではない本当の一般人だ。そもそも献血して何の因果か世界を救うとか運がいいのか悪いのかよく分からない。
ㅤそれはともかくその主人公様は私に何の用だろうか…出来れば考えたくない。
「何よ子ジカ!私に何か用?見ての通り傷心中だから放っといて欲しんですけど!?アイドルにも休憩は必要よ!勇者にも有給があってもいいじゃない!?」
「うぇ!?えっと、そうです、ね?」
「ちょっ、先輩。そこで挫けないでください!ファイトです!!」
「でも気まずいよ!?」
ㅤ一体なんだというのだろうか?私に用があるならさっさと言って欲しいものだ。これ以上の辱めをこの身に受けよとそういう事だろうか……くっ殺!!
「何?同情なの!こんな恰好を余儀なくされている私に対して同情しているって言うの!?同情するなら服をくれ!ど・う・じょ・うするなら布をくれ!!」
「え、いやそんなつもりは無いんだけど…」
「じゃあ笑いに来たの?尚タチが悪いわねこの鬼め!」
「えぇ……」
ㅤ
ㅤ速く青髭の旦那をコロコロして来てよ。私は帰りたいのよ、元々カーミラに引っ張られて召喚されたんだろうし…もう一人(清姫が)倒したんだから良いじゃない!
「マスター、此処は私が。大丈夫ですよ。兵を奮起させるのは専門分野です」
ㅤ足音が聞こえてくる。次は誰かと思えばオリジナルジャンヌだった。何故心の傷に塩を塗ろうとするのだろうか。
「私はジャンヌ・ダルク。貴女の名前は何と言うのですか?」
「…エリザベート・バートリー。職業勇者やってます」
「勇者ですか?なるほど、貴女もまた誰かを救う為に戦ったのですね」
ㅤさっきから要領を得ない。この聖女やぐだ子は私に何を求めているんだ?私のような役立たずでは兵力にはならないと思うし、何だったら置いて逃げた黒聖女を追った方が生産的だと言うのに。
「私は竜の魔女を打倒し、問わなければならない。その為には貴女の力も必要なのです。まだ魔女の戦力を完全に削いだ訳では有りません。ですが味方のサーヴァントが一人増えることで大きく戦況が好転すると私は考えています。勇者エリザベート・バートリー、貴女だからこそ必要なのです。どうか私の御旗のもとで戦っては貰えませんか?」
「…見返りは?」
ㅤジャンヌは胸を張って言いました。たゆんと揺れる胸を見てイマイチ集中出来なかったが、キチンと聞き取れた。
「─服を」と
ㅤ私は不敵に笑った。何としてでもまともな服を得なければならないと。私は立ち上がった。速く帰るために青髭の旦那をコロコロしなければと。私は剣を取り掲げた。返事を返すために。
「我が名はエリザベート・バートリー・[ブレイブ]ッ!!私が居ないとなんにも出来ない子ジカが哀れでならないから協力する者なり!!」
「ちょろインエリザが可愛くて辛い!…送信と」
『え?今までの交渉とか前口上とか関係無くないかい!?見返りに服だけあげたら落ちる軽いイベントだったよね?』
「ドクター、余計な事を言わないで下さい!エリザベートさんの機嫌を損ねたら面倒くさ……大変です」
「マシュもアウトだから!?」
私は深夜テンションにも似た狂化状態のおかげで思考を放棄した。もう服が手に入れられるならば聖杯回収も吝かではない!この恥辱を耐えたら私ちゃんと服着るんだ!!
「急がば回れ!?そんなものは知らん、善は急げ!!全速前進だ!!」
ㅤ
道中のワイバーンを消し飛ばしつつ逃げた黒聖女を追う。私たちが通った後には爪はおろか、骨さえ残らない。邪竜百年戦争だかジルジルCOOOOL!!パーリーだか知らないけれど、こんな茶番はカップラーメン数十個分で終わらせてあげるわ!!
「此処があの女のハウスね…」
「いやぁすごいダイボウケンだったネ!お土産もたくさんだよ」
「先輩そんな素材を抱えては動けないかと…」
「でもウチにはお腹を空かせてる
「びっくりするほどふりーだむ!緊張感はおろかシリアス展開も無いですね…バーサーカーの私が一番マトモなのでは!?」
『カオス過ぎて介入出来ない!?こういう時どうすれば…助けてマギ☆マリッ!!』
目の前には重厚な扉があり、何者も通さんと言ってるようだった。だが我が勇者一行にはそんなもの無いにも等しい。私は剣を眼前に存在する扉に押し当てる。
そして魔力放出で吹き飛ばし、声を張った。
「ダイナミックお邪魔しまーす!」
声は超振動の如く内部空間を震わせ、所々で何かが倒れ落ちる音がした。それはワイバーンだったが、穴という穴から赤黒いドロりとしたものが滴り落ちていた。
清姫を除く勇者一行は唇を突き出し「嘘やん…」と薄く呟いていたそうな。
奥に行けば行くほど群がる筈だったワイバーンの遺骸があり、素材だけが増える。歩いて行けば奥が見え始める。そこは玉座の間、まさしくラスボスと相見えるのに最適なシチュエーションとなっただろう。
だが、そこは既にクライマックスを迎えていた。
「ジャンヌゥーーーッ!?一体どうしたというのです!何故貴女は今倒れ伏しているのですか!?あぁ、ジャンヌ、ジャンヌ・ダルク!我が麗しの聖女よ。一体誰がこんな事を…あの心臓が止まり、そのまま逆流してしまいそうな程の美声が聞こえてから…………もう一度あの美声を聞かせることが出来たならばもしや!」
「ジル、ダメ……も…う…………それ以上は─」
「アンコールです。アンコールを求めます!ジャンヌはまだ倒れるべきでは無いのですから!」
どうやら私の声をご所望らしかった。ファンからのアンコールには答えなければアイドル勇者としては恥ずべきものだろう。
──ならば聞かせよう、地獄に届くまでな!!
「えぇ、心臓の悪い方、気分の悪い方、妊婦、何らかの過敏症…もう面倒臭いわ。精神的健常者の方は耳栓を付け、耳を手で覆い、私から五十メートル以上離れる事を推奨いたします」
さぁ準備はOK?
「作詞作曲私!即興だけど聴いていきなさい。曲名『触手でたこ焼きパーティー』!!ミュージックスタート!!!」
私はライブ会場を召喚し、スピーカーを全開にしマイクのチェックも終了させ、そして全力全開で声を吐き出した。
「──────ッ!!!!!」
言葉は不定形に歪み、大気は震え、叫ばれる悲鳴も覆い隠した。建物は倒壊し塵に変わる。声に魔力を載せれば眼前の風景は一変して殺風景となる。一度耳に声を入れたならば呪詛の様に永遠の時間身体を駆け巡る感覚を与え、体内を食い破らんと振動する。徐々に大気は色付き、鮮血と闇を生んでいく。産み落とされる声一つ一つに意思があるように駆け巡る。精神は侵され、自身の在り方さえ見失いそうになる。そして─
──爆ぜた
何がどうなって爆発が起きたかは私も分からないが、既に曲は終わり、歌いきった余韻に浸っている。残りは締めの言葉だけだった。
「聴いてくれた皆ァ!ありがとーーーーーッ!!」
その一声で舞っていた砂埃は晴れ、ビクンビクンと痙攣する
『やったぁ!やっと回線が復帰したぞ!立香ちゃん、マシュ、状況を教えてくれるかな?映像はまだ砂嵐状態なんだ。竜の魔女は?聖杯は?』
「え、えぇ…ドクター落ち着いて聞いてください。竜の魔女ジャンヌ・ダルク、青髭男爵ジル・ド・レェ両名はエリザベートさんの攻撃、否声撃により行動不能となりました…」
その後もマシュはロマニに掻い摘んで事のあらましを伝えていた。
私はそれをボーッとしながら見ていたが、ふと足元にコツンと軽い衝撃を感じた。それは煌びやかな杯だった。丁度いい、喉が乾いていた所だったんだ。
私は水差しを召喚し注ごうと傾けた。だが、すかさず清姫が水差しを取り上げ、何が何でも注ぐと言わんばかりに微笑む。私はタジタジになりながらも杯を傾けた。
コポコポと注がれる水。注がれる度に薄く光る杯。何とも面白い杯だなとは思いつつ満たされるのを待った。
「おっとっと。もういいわこれ以上は零れそう」
「それではグイッと一気に」
お酒じゃないんだからと苦笑しつつ口に杯の淵を導く。
◇◆◇
『そうかぁ、そんな凄いことが……』
「流石に令呪を三画を使う事になるなんて思わなかったよ」
「私も宝具をあんな長時間フル稼働させることがあるだなんて思いもしませんでした。いえ、あくまでも体感時間でしたので長時間だったのかも分かりませんが…」
『それで聖杯は?それらしい反応はあるんだけど』
「聖杯は─エリザベートさん!!!?」
◇◆◇
喉を鳴らしながら水を飲む。こういう風に飲むと身体に染み渡る感覚が味わえる、気がする。それにしても水が美味しい。こんなにこの水が味わい深い物だとは知らなかった。
「─エリザベートさん!!!?」
私は思わず吹いた。吹きかかる先には勿論注いでくれた清姫がいる訳で、もう避ける事は叶わない訳です。
清姫は顔を濡らした。前髪からピチャピチャと水滴は零れ顔を洗った後のようだ。だが勿論その水は私が吹き出してしまったもので…
「あら、あらあら…フフフ。エリザはそういうのがお好きなのですね?」
勿論清姫は暴走するわけだ。
「えぇえぇ、勿論引きませんとも!私はどのような行動であれ嘘偽りの無い
「やめ、ちょっと引っ張らないでよ。誤解、誤解だから!」
杯は私の手から離れ、マシュの方へと転がる。私はマシュに助けを求めた。マシュは杯を手に取り、微妙な顔を向けた後、私を見て頭を下げた。違う!そうじゃない!私はそう言おうとしたが
「────ッ!!!!」
声にならない悲鳴が出た。
◇◆◇
塵の向こう側に連行されてからは散々だった。腕を異常な力で固定されてから、やれまた「水を吹きかけろ」やら、やれ「口移ししろ」やら…挙句の果てに「指の先に伝う水滴を飲め」とまで言い放ってくるのだ。
清姫は私の心が分からない…と言うよりも聞きやしない。やっぱり完璧美少女なんて幻やったんよ。
「ヒッ!?もう止めて!聞きたくない、もう聞きたくない!あんなおぞましい声、焼かれた方が何倍も楽よ!!」
「それ以上近寄らないで!来るな…来るなぁ!!」
「えぇ…」
どうしようかと悩んでいれば邪ンヌが透け始め光に還元されていく。いや、サーヴァントは皆そうなっているようで、私も光が零れていく。
「やっとこ帰れる…」
「エリちゃん!」
子ジカが話しかけてくる。退去中の為急いで声を掛けたのだろう事が声色から察せられる。
「今回はありがとう。色々手伝って貰って本当にありがとう!」
腰を90°に曲げる彼女は主人公らしく素直で底抜けのお人好しなのだろう。思わず笑顔で返事を返してしまう。
「良いのよ別に、そういう気分だっただけだし」
「それでもだよ」
光がより一層輝くと引っ張られる感覚を覚える。座で感じたものに似通っている所からきっと時間が迫っているんだろう。
「じゃあもう会わないことを願ってるわ。じゃあね…あと服を─」
「─またね!」
◇◆◇
視界が晴れた。見覚えのある部屋が懐かしく感じる。と言ってもここの来たのは二度目なのだが…
「あぁ…あああぁぁ……服貰ってないじゃない!タダ働き?ボランティア?割に合わないわよぉ〜」
壁に凭れ、顔を覆う。息を吸い、大きく吐いた。
取り敢えず寝たかった。狙い通りクローゼットがあったので開いて中を見る。これまた予想通り少女趣味というか乙女っぽい服が大量に掛かってる。取り敢えずパジャマを取り出しておく。
下着一式、上下を選びとり椅子に一緒くたに置いておく。
え?ブラを着ける程大きくないだろ?補正ブラとか着けとくと大きくなったり、形が保たれるから良いんだよ!まぁサーヴァントに意味があるか知らんし、そもそも他に脂肪もないから大きくなる気はしないけれどね。まぁ
ビキニアーマーに手をかけ外していく。元々サイズが大きいのでアッサリ外されていく。次にシャワーだが…別に問題無いだろう。どうせ汚れもリセットされてるんだろうし。下着は取り敢えずピンクの縞を選んでおいた。パジャマは血で染まった様に赤いものを着た。
「寝よ…もう何もかも忘れ泥のように寝ようそうしよう」
「ではご一緒に…」
思わず肩が跳ね、尻尾もピーンと天を突いた。聞き覚えのある声だ。つい最近聞いた声だ。私は振り向いた─
──いつもの微笑みを湛えた清姫がベッドに腰掛けていた。
「ストーキング…まさかここまで……」
「言いませんでしたか?」
「──逃がさない、と」
ふぅ、うちのエリちゃんは感情の起伏が激しくてキツい……
感想とかそういうの待ってます。
……何かあれば適当に続きを書くかもね、知らんけど