IS - ヴァルキリーの弟 -   作:sata-165

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ナンバリングが10話目に突入です。
今回はクラス代表決定戦の1話目です。
一体何話ぐらい続くのかは分かりません。

活動報告にてアンケートをしてますので良ければご覧ください。


第10話 クラス代表決定戦 開幕

あれから一週間経ち今日は決戦の月曜日。試合順は一夏VSオルコットを最初に行い、その後は様子を見て決めるらしい。どっちみち俺は二連戦になるわけだな。

 

「――なあ、箒。」

 

「なんだ、一夏。」

 

壁に背を預け微妙な距離で会話する一夏と箒。俺は反対側の壁に同様の姿勢でいる。

 

「気のせいかもしれないが。」

 

「そうか。気のせいだろう。」

 

何があったんだこの二人は? 俺の所に訊きに来なかった所を見ると、問題なかったと思うんだが。

 

「ISのこと教えてくれる話はどうなったんだ?」

 

は? 何を言ってるんだコイツは?

 

「………………」

 

箒の方を見てみると顔を逸らして一夏と反対の方を向いてる。え? マジで教えてないの?

 

「目 を そ ら す な」

 

ISのことを教えてないってことは六日間、剣道の稽古だけ付けていたのか。

 

「し、仕方ないだろう。お前のISもなかったのだから。」

 

そう、一夏のISはまだ出来ていない、いや、届いてないらしい。

 

「ま、まあ、そうだけど――じゃない! 知識とか基本的な事とか、あっただろ!」

 

「………………」

 

再び目をそらす箒

 

「目 を そ ら す な っ」

 

「一夏。知識とかだったら参考書とか見ればある程度分かるだろ。」

 

「うっ、箒の稽古3時間の後にそんなことしてる余裕がねえ。」

 

「もう時間がないんだ。文句いうんだったらもっと前にいうんだな。っと時間みたいだな。」

 

俺は遠くから聞こえてくる足音に気付いた。

 

「お、織斑くん織斑くん織斑くんっ!」

 

一夏の名前を連呼しながら第三アリーナ・Aピットに駆け足でやってきたのは副担任の山田先生。

 

「山田先生、落ち着いてください。はい、深呼吸」

 

「は、はいっ。す~~は~~、す~~は~~。」

 

「はい、そこで止めて。」

 

「うっ。」

 

一夏に言われて本当に息を止める山田先生。ほんとにこの人大丈夫か? すぐ詐欺に騙されそうだが。

 

「……ぶはあっ! ま、まだですかあ?」

 

パアンッ!

 

「目上の人間には敬意を払え、馬鹿者。」

 

山田先生で遊んでいた一夏の頭から軽快な打撃音。楽器にでもなりそうだな。

 

「千冬姉……」

 

パアンッ!

 

「織斑先生と呼べ。学習しろ。さもなくば死ね。」

 

なんとも辛辣な言葉だな。

 

「ふん。馬鹿な弟にかける手間暇がなくなれば、見合いでも結婚でもすぐできるさ。」

 

千冬さんに釣り合う男って想像できないな。ターミ●ーターか何かか?

 

パアンッ!

 

俺が余計なこと考えていると激痛が走った。

 

「貴様、失礼な事を考えてたろ。」

 

「失礼しました。織斑先生。」

 

面倒なので素直に謝る。一夏は何度もこの痛みを感じていたのか。

 

「そ、そ、それでですねっ! 来ました! 織斑くんの専用IS!」

 

「織斑、すぐに準備しろ。アリーナを使用できる時間は限られているからな。ぶっつけ本番でものにしろ。」

 

授業の合間を利用して借りているらしいからな。

 

「この程度の障害、男子たるもの軽く乗り越えてみせろ。一夏。」

 

「いろいろドンマイ一夏。」

 

「え? え? なん……」

 

「「「早く!」」」

 

山田先生、千冬さん、箒の声が重なった。

 

ゴゴッ

 

鈍い音を響かせながらピット搬入口が開く。重い駆動音を響かせながらゆっくりと向こう側の景色を晒していく。

 

そこには『白』がいた。

 

白。真っ白。飾り気のない、無の色。眩しいほどの純白を纏ったISが騎士のように操縦者を待っていた。

 

「これが……」

 

「はい! 織斑くんの専用IS『白式』です!」

 

コア識別番号(シリアルナンバー)……001

 

「……白式か。……上手いこと隠したな。」

 

月光によって視覚内に表示されたデータの一部分を見て呟く。

識別番号(シリアルナンバー)001と言う事は束さんが最初に作ったIS、白騎士の事だ。

 

「体を動かせ。すぐに装着しろ。時間がないからフォーマットとフィッティングは実戦でやれ。できなければ負けるだけだ。わかっているな。」

 

「あれ……?」

 

千冬さんに急かされた一夏は白式に触れると何か違和感を感じたのか動きを止める。

 

「背中を預けるように、ああそうだ。座る感じでいい。後はシステムが最適化する。」

 

千冬さんの言葉に従うように一夏が白式を装着する。

 

「あ。」

 

「ISのハイパーセンサーは問題なく動いているな。一夏、気分は悪くないか?」

 

千冬さんは無意識だろうが『一夏』と呼んでいる。心配なんだな。

 

「大丈夫、千冬姉。いける。」

 

「そうか。」

 

一夏は千冬さんに声をかけた後にこっちを見た。

 

「一夏、逃げるなよ。」

 

「誰が逃げるか!」

 

「それでいい。肩に力入れ過ぎるなよ。」

 

「っ。サンキュ月茂。」

 

「気にするなよ。」

 

軽く手を振って答える。

 

「箒。」

 

「な、なんだ?」

 

「行ってくる。」

 

「あ……ああ。勝ってこい。」

 

一夏は箒の言葉で首肯で答えてピット・ゲートへ進む。

 

『あら、逃げずに来ましたのね。』

 

ピットのモニターにリアルタイムの映像が流れる。オルコットは腰に手を当てた状態で鼻を鳴らす。もう一方の手には大口径レーサーライフルを構えている。

 

『最後のチャンスをあげますわ。』

 

オルコットは腰に当てた手の人差し指で一夏を指さして告げる。

 

『チャンスって?』

 

『わたくしが一方的な勝利を得るのは自明の理。ですから、ボロボロの惨めな姿を晒したくなければ、今ここで謝ると言うならば、許してあげないこともなくってよ。』

 

『そういうのはチャンスとは言わないな。』

 

『そう? 残念ですわ。それなら――お別れですわね!』

 

キュインッ!

 

『うおっ!?』

 

耳をつんざくような音と共にオルコットの放ったレーザーが白式の左肩の装甲を撃ち抜く。痛みからか一夏は顔をゆがめている。

 

「あ~あ、こりゃつらそうだな。」

 

「ふん。初期設定ならあの程度だろう。」

 

「オルコットさんはさすが代表候補生といったところでしょうか……」

 

「一夏……」

 

モニターを見ながら俺達はそれぞれの意見を述べる。一夏は初期設定の状態のISで操縦者は素人。普通に考えれば結果は見るまでもない。

 

『さあ、踊りなさい。わたくし、セシリア・オルコットとブルー・ティアーズの奏でる円舞曲で!』

 

オルコットが宣言すると連続で一夏に向かって射撃する。その狙いは正確に一夏を狙っている。射撃の腕は一級モノだな。

 

『ええいっ、ままよっ!』

 

一夏は刃渡り1.6mほどの『刀』が現れた。

 

「織斑先生、白式の装備って……」

 

「ああ、アレだけだ。」

 

なるほど、だから近接武器なんかを

 

『中距離射撃型のわたくしに、近距離格闘装備で挑もうなんて……笑止ですわ!』

 

すぐさまオルコットの射撃が再開されると、一夏は体を捻って躱す。

 

『やってやるさ。』

 

         ◇

 

『――二十七分。持った方ですわね。褒めて差し上げますわ。』

 

『そりゃどうも。』

 

しばらくオルコットの射撃を耐え続けているが、反撃の糸口はつかめてないようだ。一夏のISの装甲はところどころ欠けていて、シールドエネルギーも残量が少ないだろう。

 

『このブルー・ティアーズを前にして、初見でこうまで耐えたのはあなたが初めてですわね。』

 

そう言ってオルコットは自分の周りを浮遊する4つの自立機動兵器を犬のように撫でる。そのビット兵器は特殊(BT)レーザーの銃口が付いていて機体名と同じく『ブルー・ティアーズ』というらしい。オルコットが戦闘の間に悠々と説明していた。

 

『では、終幕と参りましょう。』

 

オルコットが宣言するとビット兵器を飛ばして一夏を狙う。

 

『ぜああああっ!!!』

 

一夏は無理やりオルコットのライフルに体当たりして軌道を逸らす。ったく無茶しやがる。

 

『なっ……!? 無茶苦茶しますわね。けれど、無駄な足掻き!』

 

オルコットは距離を左手を振るってビットを一夏に向かわせる。だが、次々放たれるレーザーを躱しながら一閃すると一つのビットが真っ二つになって爆散する。

 

『なんですって!?』

 

驚愕するオルコットに一夏は上段に構えて突進する。

 

『くっ……』

 

オルコットは距離を取ってビットを向かわせる。

 

『この兵器は毎回お前が命令を送らないと動かない! しかも――』

 

一夏は喋りながら一つのビットの後部スラスターを破壊する。

 

『その時、お前はそれ以外の攻撃をできない。制御に集中させているからだ。そうだろう?』

 

『…………!』

 

一夏の言葉に表情をこわばらせるオルコット。図星か。

 

「はぁぁ……。すごいですねえ、織斑くん。あれだけで特徴を理解してしまうなんて。」

 

山田先生が一夏の観察力に驚いている。

 

「でも、浮かれてますね。」

 

「まったくあの馬鹿者は……」

 

俺と千冬さんは一夏のある行動を見て俺は苦笑し、千冬さんは頭を抱えている。

 

「えっ? どうして分かるんですか?」

 

「さっきから右手を閉じたり開いたりしているだろう。あれは、あいつの昔からのクセだ。」

 

「たぶんテンションが上がってきてるんですね。あぁなると単純なミスをしますよ。しかも、今の状態だと負けるでしょうね。」

 

「へぇぇぇ……。流石は御姉弟に幼馴染ですね。そんな細かいところまで分かるなんて。」

 

「まぁ、あいつとは小さい時からの付き合いですし。」

 

「あれでも、一応私の弟だからな。」

 

「あー、照れてるんですか~? 照れてるんですね~?」

 

「………………」

 

ぎりりりっ

 

「いたたたたたたっ!!」

 

千冬さんが山田先生にヘッドロックをかける。

 

「私はからかわれるのが嫌いだっ。」

 

山田先生が騒いでいるがこんな喧噪の中でも箒は画面から目を離さないでいる。その表情には不安や焦燥、緊張など様々なものが見える。俺がピットの様子からモニターに視線を戻した時に試合が大きく動いた。

 




本当は一夏VSセシリアを1話で終わらせるつもりが……

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