IS - ヴァルキリーの弟 -   作:sata-165

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クラス代表決定戦 1戦目が終わります。

活動報告でアンケート実施中です。


第11話 クラス代表決定戦 中編

一夏はオルコットの間合いに入ると残る2つのビット兵器のうち一つを刀で撃墜し、最後の一つを回し蹴りで吹き飛ばす。あの状態ならば長大なライフルでは間に合わない。確実に一撃が入ると思われた。

 

『――かかりましたわ。』

 

ピンチな状況にもかかわらずオルコットが笑みを浮かべる。一夏もそれに気付いたのか咄嗟に距離を置こうとするが、攻撃態勢に入っているため間に合わない。

 

ヴンッ――。

 

オルコットの腰部から広がるスカート状のアーマーから突起が外れ動いた。まだビット兵器があったのかよ。

 

『おあいにく様、ブルー・ティアーズは六機あってよ!』

 

アーマーから外れたビット兵器からミサイルが射出され一夏を襲う。

 

ドカァァァンッ!!

 

赤を超え白い、爆発と光に一夏は包まれた。

 

「一夏っ……!!」

 

箒は一夏が爆炎に包まれると思わず声をあげた。さっきまでヘッドロックやコブラツイストなどをかけていた千冬さんやかけられていた山田先生も爆音に気付いて視線をモニターに向ける。

 

「――ふん。」

 

黒煙がはれると千冬さんは鼻を鳴らした。だがその表情には安堵の色が見て取れる。

 

「機体に救われたな、馬鹿者め。」

 

「やっと一時移行か。結構時間かかったな。」

 

かすかに漂っていた煙が、弾けるように吹き飛ばされた中心には、純白の機体が真の姿でいた。

 

『これは……』

 

モニターの中では一夏が白式の変化に驚いていた。一夏が驚いてる間も白式の装甲はうすぼんやりと光を放ちながら形状を変えていく。さっきまでの実体ダメージは消え、より洗練された形へと。

 

『ま、まさか……一時移行!? あ、あなた、今まで初期設定だけの機体で戦っていたって言うの!?』

 

驚いているオルコットをよそに白式の変化は終わりをつげ、そこには滑らかな曲線とシャープなラインが特徴的な中性の鎧を思わせるデザインの機体があった。その手に握られているのは……

 

「織斑先生、あれって『雪片』ですか?」

 

「いや、違う。正確には『雪片弐型』だ。」

 

俺はその姿に見覚えがあったので千冬さんに尋ねたが、同じものではないらしい。雪片――かつてブリュンヒルデ、織斑千冬が振るっていたIS専用近接ブレード。その一本だけで世界の頂点へと導いた最強の武器。

 

『俺は世界で最高の姉さんを持ったよ。』

 

一夏は雪片を眺めながら呟く。千冬さんの方を見るとわずかに顔がほころんでいる。

 

『俺も、俺の家族を守る。』

 

『……は? あなた、何を言って――』

 

『とりあえずは、千冬姉の名前を守るさ!』

 

「ふん。さんざん持ち上げおって」

 

言葉とは裏腹に、どこか満足げな誇らしそうな顔の千冬さん。仕事中だからか素直じゃないな。

 

『というか、逆に笑われるだろ。』

 

『だからさっきから何の話を……ああもう、面倒ですわ!』

 

焦れたオルコットがビット兵器に指示して一夏の方へ向かわせる。そのスピードはさっきのビット兵器よりも速い。

 

ギンッ――!

 

それに一夏は突っ込んでいき横一閃。ビット兵器は一夏の後方で爆ぜる。一時移行した機体はさっきとは比べ物にならないスピードでオルコットに近づいて行く。

 

『おおおおおっ!』

 

一夏の持つ雪片弐型がその雄叫びに応えるように刀身を光らせる。一夏はそのまま下段から上段の逆袈裟を放つ。――が、当たる直前にアリーナのブザーが鳴り

 

『試合終了。勝者――セシリア・オルコット。』

 

『あれ……?』

 

「まったく、あの馬鹿は……」

 

「武器の特性見る暇は無かったか……」

 

俺と千冬さんを除く会場の全員が何が起こったのか分からないといった表情をしている。無論、それは試合を行っていた一夏とオルコットも一緒だ。

 

         ◇

 

「よくもまあ、持ち上げてくれたものだ。それでこの結果か、大馬鹿者。」

 

ピットに戻ってきた一夏を迎えたのは千冬さんの一言。一夏の評価は馬鹿者から大馬鹿者にランクアップしたようだ。

 

「武器の特性を考えずに使うからああなるのだ。身をもってわかっただろう。明日からは訓練に励め。暇があればISを機動しろ。いいな。」

 

「……はい。」

 

「俺も暇なときは付き合うから頑張れ。」

 

「えっと、ISは今待機状態になってますけど、織斑くんが呼び出せばすぐに展開できます。ただし、規則があるのでちゃんと読んでおいてくださいね。はい、これ。」

 

山田先生が一夏に渡したのは百科事典のようなルールブック。まあ、あの中の規則って説明が長いからな。

 

「次の試合はお前と甲斐谷だ。オルコットは兵装の修理が必要だからな。時間は2時間後。それまでに特性を理解しておけ。」

 

「いい勝負をしようぜ一夏。」

 

「おう。またな月茂。」

 

俺は一夏と別れてBピットの方へと向かった。

 

         ◇

 

「ふぅ。これが初のIS戦か……」

 

俺はBピットで一人つぶやく。試合まではあと数分、ここまでくれば何かするということも無い。俺は月光のデータを眺めながら時間をつぶすことにした。

 

『甲斐谷、時間だ。準備しろ。』

 

月光のデータを見ていると千冬さんからの通信が入ったので月光を展開してピット・ゲートに向かう。

 

「わかりました。」

 

千冬さんに返事をしてからカタパルトに乗る。直後、カタパルトが作動してアリーナへと飛び出す。ほぼ同時に反対側から一夏が白式と共に出てきた。

 

「月茂、その機体って……」

 

一夏は俺の機体――月光を見て驚いている。もう気付いたみたいだな。

 

「ああ、一夏が思っている通りだ。この機体は星姉の専用機――明星をモデルに作られた機体だ。特徴も明星と同様、といっても全てのスペックが現行の物に合わせてあるけどな。」

 

明星と同じく、背部に大型スラスター1対、腰部に中型スラスター1対、両腕・両膝・両足に姿勢制御用の小型スラスターが付いている。

 

「おいおい、これから戦うっていうのにいいのか? そんなに情報をバラして。」

 

一夏が肩をすくめて言ってきたが、問題ない。

 

「問題ないさ。それに、さっきの試合で白式の情報はある程度分かったからな。」

 

「そうかよ……随分と余裕だな。」

 

「フェアな勝負をしたいからな。この機体は機動特化機体。武装は今のところ――」

 

俺は言いながらこの機体の唯一の武装――赫槍を展開する。

 

「――この赫槍一本だ。」

 

「その機体に槍一つって、俺達は姉に恵まれているな。」

 

「全くだ。だが、さっきの試合は無様だったな。」

 

「いうなよ!! 俺だって恥ずかしかったんだぞ!」

 

一夏は顔を真っ赤にして叫んできた。

 

「確かに、お前は初代ブリュンヒルデ、織斑千冬の弟だが、それ以前に織斑一夏って一人の男だろ? お前がどう思っているのか知らないが、今はまだ俺達は人の名を傷つけないような生き方なんてできるほど力をもっちゃいねえよ。」

 

「月茂の言う通りかもしれないな。いくら俺が努力したところで千冬姉と比べられたらどうにもならねえ。」

 

「俺達は何かを背負えるほど力は無いんだ。だったら変に力入れないで済むだろ?」

 

「そうはいうけどな――」

 

「一夏。この勝負は初代ブリュンヒルデ、織斑千冬の弟と、初代ヴァルキリー、甲斐谷星華の弟の勝負じゃない。これは――」

 

俺はここで一度、言葉を区切って宣言する。

 

「織斑一夏と甲斐谷月茂、俺とお前との勝負だ。千冬さんがどうとか、そんなのは抜きで男同士の闘いをしようぜ。」

 

俺は赫槍の穂先を一夏に向けて勝負を挑む。

 

「っ! そうだな。難しいこと考えていたって仕方ねえ。俺はISに関しては初心者なんだ。何も失うものはねえ。」

 

一夏も刀――雪片を構えて俺に答える。

 

ピーーーッ!

 

俺達が武器を構えあったところで試合開始のブザーが鳴る。さぁ、勝負だ、一夏!

 




二回戦は月茂VS一夏です。
この戦いは純粋に戦ってほしかったので今話終盤の月茂の説得を入れました。
何かを背負うっていうのは難しいと思います。それだけでプレッシャーが……


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