プロットを書いていたらなかなか考えがまとまらなかったりして遅くなりました。
何より一夏のヒロインズが諦めるようなシナリオを考えるのが大変でした。
クラス代表決定戦の翌日、山田先生の口から一夏にとっては聞きたくないであろう事実が告げられる
「では、一年一組代表は織斑一夏君に決定です。あ、一繋がりでいい感じですね。」
「おめでとう一夏。就任祝いにケーキ焼いてやるよ。何味が良い?」
「先生、質問です。」
一夏が手を挙げて質問する。良い心がけだな。
「はい、織斑くん。」
「なんで昨日の戦績が一番のコイツじゃないんですか?」
俺の方を指さして質問する一夏。人のこと指差すもんじゃないぞ。
「それは、一夏に良い経験を積んでもらうためだ。」
「嘘つけ! 面倒だからだろう!」
「大当たり~。面倒だから辞退した。」
俺は一夏にサムズアップして答える。
「……なら、なんでセシリアじゃないんですか?」
「それは――」
「それはわたくしが辞退したからですわ!」
山田先生が説明しようとしたがセシリアが言葉を遮る。かなり上機嫌に見えるのは心境の変化があったからか?
「まあ、勝負はあなたの負けでしたが、しかしそれは考えてみれば当然のこと。なにせわたくし、セシリア・オルコットが相手だったのですから。それは仕方のないことですわ。それで、まあ、わたくしも大人げなく怒ったことを反省しまして」
オルコットはそこで言葉を一旦区切って
「“一夏さん”にクラス代表を譲ることにしましたわ。やはりIS操縦には実践が何よりの糧。クラス代表ともなれば戦いには事欠きませんもの。」
「ちなみに織斑。貴様に拒否権は無いぞ。なにせ昨日の模擬戦では最下位だからな。」
どことなく迷惑そうな顔をした一夏に釘が刺される。
「いやあ、セシリアわかってるね!」
「そうだよね~。せっかく男性操縦者がいるんだから、同じクラスになった以上持ち上げないとね~。」
「私たちは貴重な経験を積める。他のクラスの子に情報が売れる。一粒で二度おいしいね、織斑くんと甲斐谷くんは。」
なぜ俺まで入っているんだ。プライバシーは……保護されそうにないな。
「そ、それでですわね……わたくしのように優秀かつエレガント、華麗にしてパーフェクトな人間がIS操縦を教えて差し上げれば、それはもうみるみるうちに成長を遂げ――」
バン!
机を叩き、箒が立ち上がった。
「あいにくだが、一夏の教官は足りている。“私が”、直接頼まれたからな。」
私が、を嫌に強調しているな。対抗意識みたいなものか?
「あら、あなたはISランクCの篠ノ之さん。Aのわたくしに何か御用かしら?」
「ら、ランクは関係ない! 頼まれたのは私だ。い、一夏がどうしても懇願するからだ。」
俺の記憶には無いな。箒が一度断ってから引き受けてはいたが……
「え、箒ってランクCなのか……?」
「だ、だからランクは関係ないと言っている!」
「月茂はどうなんだ?」
「俺はA-だな。」
といっても最初に調べた時はB-でここまで上げてきたんだがな……
バシン バシン
「座れ、馬鹿ども。」
箒とセシリアを叩いた後に千冬さんが低い声で告げる。
バシン
「その得意げな顔はなんだ。やめろ。」
また一夏は馬鹿な事を考えていたのか。
「お前たちのランクなどゴミだ。私からしたらどれも平等にひよっこだ。まだ殻も割れていない段階で優劣を付けようとするな。」
さすが世界覇者、言うことが違うな。『適正』×『経験』が実質的な能力だから、経験を積んでいない俺達じゃ太刀打ちできるはずがない。
「クラス代表は織斑一夏。異存はないな。」
隣の一夏をよそにクラスの皆から同意の声が上がる。
◇
「ではこれよりISの基本的な飛行操縦を実践してもらう。織斑、オルコット、甲斐谷。試しに飛んでみせろ。」
千冬さんに言われてすぐにISを展開する俺とセシリア。俺の方が少し早かったか。
「0.5と0.7か……まあまあだな。織斑、早くしろ。熟練したIS操縦者は展開まで1秒とかからないぞ。」
一方、一夏はまだ展開できてないようだ。
「集中しろ。」
一夏は白式の待機状態である右手のガントレットを左手で包み込むと、白式を展開する。
「よし、飛べ。」
千冬さんに指示されすぐに急上昇するセシリア。セシリアが遥か上空で静止したのを見て一夏も上昇を開始するが、その上昇速度はセシリアよりもずっと遅い。正直急上昇とはいえないな。
「何をやっている。スペックでは白式の方が上だぞ。」
千冬さんがインカムを通して一夏に叱責のお言葉を送る。
『一夏さん、イメージは所詮イメージ。自分がやりやすい方法を模索する方が建設的でしてよ。』
『そう言われてもなぁ。大体、空を飛ぶ感覚自体がまだあやふやなんだよ。なんで浮いてるんだ、これ。』
『説明しても構いませんが、長いですわよ? 反重力力翼と流動波干渉の話になりますもの。』
『わかった。説明はしてくれなくていい。』
『そう。残念ですわ。』
「習うより慣れろっても言うし、一夏の場合は体で覚えるのが一番だろ。」
「甲斐谷。お前も早く飛べ。オルコットより遅かったらどうなるか分かっているな?」
「行ってきます。」
一夏とセシリアとの会話に割って入ったところで千冬さんに怒られたので、俺は背部、腰部スラスターを出力全開にして一瞬でセシリア達のいる高度まで行く。
「相変わらずの機動力ですわね。わたくしと戦った時よりも速いのでは?」
「加速は最大にしたからな。ただ、燃費が悪いから実戦向きじゃないんだよ。」
「月茂はすげえな。俺も早く二人見たく強くなりてえよ。」
「で、でしたら一夏さん。よろしければまた放課後に指導してさしあげますわ。そのときはふたりきりで――」
『一夏っ! いつまでそんな所にいる! 早く降りてこい!』
セシリアが一夏を誘おうとしたら通信を通して怒声が聞こえてきた。下を見ると箒が山田先生のインカムを奪って怒鳴っていた。近くでは山田先生がおたおたしてる、あの人は教師に向いているのか?
「すげえな。箒のまつ毛まで見える。」
「ちなみに、これでも機能制限がかかっているんでしてよ。元々ISは宇宙空間での稼働を想定したもの。何万キロと離れた星の光で自分の位置を把握するためのものですから、この程度の距離は見えて当たり前ですわ。」
さすが優等生。教科書通りのような知識量だ。
『織斑、オルコット、甲斐谷。急下降と完全停止をやって見せろ。目標は地表から十センチだ。ただし甲斐谷は三センチでやれ。』
「織斑先生なんで俺だけ――」
『やれ。』
「わかりました。」
なんで俺だけ設定が厳しいのか訊こうと思ったが従うしかないようだな。逆らう気なんて起きないし、無理ではないからな。
「では一夏さん、月茂さん。お先に。」
言って、セシリアは一気に急降下し、完全停止までやって見せる。さすが候補生、操縦が慣れているな。
「うまいもんだなぁ。」
「一夏も慣れればあのくらいできるさ。まあ、慣れてないようだから最後に来い。」
キィーーン ぼふっ
俺は一夏に言うとすぐに急降下して、地表直前で全スラスターの出力を反転して完全停止する。
「きっかり三センチか、さすがだな。織斑も早くしろ。」
『は、はいっ。』
ギュゥン
千冬さんに叱咤されて急下降を始める一夏。あれだと、減速できないよな?
ガシッ
「墜落するつもりか? 馬鹿一夏。」
「そんなわけあるかっ! とりあえず助かった。月茂サンキュ。」
俺は白式の背部スラスターを掴んで月光のスラスターを吹かして減速させた。月光のスラスターの推進力は全IS中でもトップクラスなので難なく減速させることには成功した。
「誰が地上に激突しろと言った。甲斐谷が居なかったらグラウンドにクレーターを作っていたところだぞ。」
千冬さんの言葉にクラスの女子の一部がくすくす笑っている。その笑い声や千冬さんの言葉で一夏は何とも居心地が悪そうだった。
今回でクラス代表は決定しました。
それと、月茂が自己紹介でしてた趣味は料理、をやっと活かせそうです。
それとお気に入り100件突破、ありがとうございます。