IS - ヴァルキリーの弟 -   作:sata-165

16 / 32
タイトル通りクラス代表就任パーティーです。
この辺は原作通りに進行しています。

月茂のあだ名を変更しました


第14話 代表就任パーティー(改)

「織斑。武装を展開しろ。それくらいは自在にできるようになっただろう。」

 

「は、はあ。」

 

「返事は『はい』だ。」

 

「は、はいっ。」

 

「よし。でははじめろ。」

 

言われて一夏は誰もいない方向を向き、突きだした右腕を左手で握る。少しすると一夏の手のひらから光が放出され、それが像を結ぶとその手には鈍色の刀≪雪片弐型≫が握られていた。

 

「遅い。〇・五秒で出せるようになれ。」

 

訓練始めてから1週間ならあの程度だと思うんだが……

 

「オルコット、武装を展開しろ。」

 

「はい。」

 

セシリアは左手を肩の高さまで上げ、真横につきだす。一夏の時とは異なり一瞬だけ爆発的に光を放つとその手には狙撃銃≪スターライトmkⅢ≫が握られていた。銃器にはすでにマガジンが装填されていて、視線でセーフティを外す。1秒以内に射撃までの準備が整う。

 

「さすがだな、代表候補生。――ただし、そのポーズはやめろ。横に向かって銃身を展開させて誰を撃つ気だ。正面に展開できるようにしろ。」

 

その射線の先には俺が居るんだが……

 

「で、ですがこれはわたくしのイメージをまとめる為に必要な――」

 

あれか? ヒーローの変身ポーズみたいなものか? あれって敵役が黙っていなかったら絶好の隙になるぞ。

 

「直せ。いいな。」

 

「――、……はい。」

 

さすが元世界一、言葉の重みが違う。

 

「オルコット、近接用の武装を展開しろ。」

 

「えっ。あ、はっ、はいっ。」

 

何か考えていたのか? セシリアは千冬さんの言葉に一瞬遅れて反応するとライフルを収納して、近接武装を展開……しない。手の中で光はくるくると回り像を結ぶ気配がない。やっぱり近接は苦手だったのか。

 

「くっ……」

 

「まだか?」

 

「す、すぐです。――ああ、もうっ! ≪インターセプター≫!」

 

半ばやけくそな感じで武器の名前を叫ぶ。これは教科書の最初の方に載ってるいわゆる初心者用の展開方法だ。まあ装備の名前が短かったり、イメージか掴みづらい場合にはこの方が効率的な場合もあるんだが。ただ、代表候補生でもありプライドの高いセシリアにはこの方法は屈辱的なんだろう。

 

「……何秒かかっている。お前は、実戦でも相手に待ってもらうのか?」

 

「じ、実戦では近接の間合いには入らせません! ですから、問題ありませんわ!」

 

「ほう。先日の模擬戦では何度も懐を許していたようだが? しかも織斑に関しては初心者だぞ。」

 

「あ、あれは、その……。」

 

ごにょごにょと歯切れの悪い返事をするセシリア。矛先が変わると面倒だし視線をそらしておくか。

 

「次は甲斐谷だ。武装を展開しろ。」

 

「はい。」

 

正面に人が居ないことを確認して赫槍を展開する。

 

ヒュン ヒュン

 

赫槍を展開させると同時に軽く正面の空間に対して槍を振るう。

 

「流石になれているな。確か、お前の武装はそれだけだったな。」

 

「いえ、この前新しい武装を追加しました。」

 

「そうか。ならそれを展開しろ。」

 

「はい。」

 

赫槍を収納すると、今度は両手足が光に包まる。光が収まると俺の両手足には籠手と脚甲のような純白の装甲が現れる。

 

「防具……か?」

 

ジャキンッ

 

いぶかしむ様な視線を向ける千冬さんをよそに手に力を加えると装甲にはタイガーストライプのような黒い横線と白く輝く爪のような刃が現れる。

 

「近接戦闘特化装甲≪白虎≫です。」

 

俺は言いながら爪を元に戻して、今度は拳を作る。すると今度は装甲から棘が出て、黒い縦線が入る。先日の模擬戦の時、手数の多い近接型には赫槍のままでは相性が悪いと思ったから作ってもらったものだ。

 

キーンコーンカーンコーン

 

「時間だな。今日の授業はここまでだ。」

 

俺が白虎をクローからヘッジホッグに変えたところでチャイムが鳴った。白虎には他のモードもあるんだが……別にいいか。

 

「ね~、かいたん。夕ご飯の後に~、食堂で~おりむ~の就任パーティーがあるから~、かいたんも来て~。」

 

パーティーか……なら、調理室でケーキでも焼いておくか

 

「ん。了解。夕飯の後ってことは7時半ぐらいか?」

 

「だいたいは~そのぐらい~。」

 

布仏は用が済んだからか、とてとてと寮の方向へと去って行く……遅いな。俺もケーキ焼くからそろそろ行くか。

 

         ◇

 

「チョコクリームの味はこのぐらいでいいか……」

 

ケーキを焼いている間に夕飯を食って、今は仕上げ用にクリームやフルーツ類の準備をしている。せっかくのパーティーなんだし、チョコやチーズ、ショートケーキなどいろいろと作ってみた。

 

「う~ん。お姉さん的にはもう少し甘いクリームの方が好きよ。」

 

後ろから声がかかったので振り返ると、外向きにはねた青色のショートヘアの女性が居た。リボンの色は黄色だから2年生か……

 

「どちら様ですか?」

 

パンッ

 

「この匂いなら覚えがあるかしら?」

 

先輩は持っていた扇子を勢い良く広げるとこちらを扇ぎ始めた。ん? この甘い匂いは

 

「覗き趣味の先輩ですか。」

 

「その言い方はあんまりじゃないかしら。」

 

「すいません。自己紹介されてないので……」

 

「私の名前は更識楯無。君たち生徒の長よ。以後よろしく。」

 

生徒会長が扇子を再び広げるとそこには『会長』と書いてあった。どうなってんだ?

 

「知ってると思いますけど、俺は甲斐谷月茂。ISを扱える男で初代ヴァルキリー、甲斐谷星華の弟です。よろしくお願いします、更識生徒会長。」

 

「私のことは楯無でいいわよ、甲斐谷月茂くん。もしくは、たっちゃんでもいいわ。」

 

「俺も月茂でいいですよ。楯無さん。ところで、俺に何か用ですか?」

 

調理室に用があるのかとも考えたが、何かを作るそぶりは無い。

 

「月茂くんはどこかの部活に入るの?」

 

部活か……考えてなかったな。忙しいし今は入らないけど……

 

「特に考えてなかったですけど、入るなら料理部あたりですかね。」

 

「生徒会に入る気は無い?」

 

「入りたくって入れるものなんですか?」

 

「私は生徒会長よ。この学園では定員数になるまで自由に入れられるわ。仕事が多いから手伝ってほしいのよ。」

 

「別に俺じゃなくってもいいんじゃないですか?」

 

「ん~。キミなら信用できそうだし、仕事も出来そうだからね。」

 

信用って……入学してから2週間くらいなんだが……

 

「ちょっと料理部にも興味があるんで、兼任する形でいいなら手伝いくらいしますよ。と言っても料理部の方にも聞かないといけませんけど。」

 

「本当!? ありがとうね。」

 

チン

 

お、最初に焼き上がるのはミニチーズケーキだったか?

 

「楯無さん。良かったらチーズケーキ食べますか?」

 

「え? いいの?」

 

「多めに作ってあるので、それに味見もして欲しいですからね。」

 

俺は喋りながらチーズケーキを一つ皿に取り楯無さんの前に差し出す。

 

「そういうなら味見させてもらうわ。いただきます。」

 

俺は他の器をオーブンから取り出しながら楯無さんの様子を確認する。

 

「タルト生地はサクサクで、チーズも程よくさっぱりしてて美味しいわ。今度から生徒会に差し入れしてくれる?」

 

「お口にあったようで良かったです。差し入れに関しては暇があればしますが、あまり期待しないでください。」

 

「じゃ、期待しないで待っておくわ。」

 

楯無さんは扇子をひらひらとさせながら去って行った。なんか自由奔放を体現してるような人だな。

 

         ◇

 

「というわけでっ! 織斑くんクラス代表決定おめでとう!」

 

「おめでと~!」

 

パン、パンパーン

 

クラッカーが鳴り響いて俯いている一夏の頭にも紙テープや紙吹雪が乗る。

 

「一夏、湿気たツラしてないでケーキでも食え。今回も自信作だ。」

 

俺は一夏に皿に乗せたチョコレートケーキを渡す。ちなみに自信作でない物を他人に食わせたことは無い。自分で納得のいかない物を食わせるのは失礼だからな。

 

「お前が原因だろうが月茂。」

 

「元はと言えば実力も無いのにセシリアに喧嘩売ったお前のせいだ。」

 

「うぐ。……やっぱ月茂の作るものは上手いな。」

 

一夏は反論材料が無くなったせいかケーキを口に含む。

 

「そりゃどうも。」

 

「甲斐谷く~ん、アップルパイも美味しいよ。」

 

「このチーズケーキもさっぱりしてて美味しいです。」

 

「ほんと美味しいね~。」

 

「満足してもらえたならこっちも嬉しいよ。遠慮しないでどんどん食ってくれ。」

 

クラスの女子が俺の作ったケーキ類を評価してきた。ん? 一部クラスの人間じゃない奴がいる気もするが……別にいいか。種類も量も多めに作っといたからな。

 

「いや~、これでクラス対抗戦も盛り上がるねえ。」

 

「ほんとほんと。」

 

「ラッキーだったよね~。同じクラスになれて。」

 

「ほんとほんと。」

 

さっきから相槌を打っている女子はうちのクラスじゃないよな……

 

「はいは~い、新聞部で~す。話題の新入生、織斑一夏君と甲斐谷月茂君に特別インタビューをしに来ました~!」

 

オーと盛り上がる一同。

 

「あ、私は二年の黛薫子。よろしくね。新聞部の副部長やってま~す。はいこれ名刺ね。」

 

しかし、楯無さんの時も思ったけど二年生ってこんなノリの人が多いのか? 画数が多いな。黛と薫なんて似てるから間違えそうだし……

 

「ではまず織斑君! ずばり、クラス代表になった感想をどうぞ!」

 

ボイスレコーダーを一夏に突きつけて無邪気な子供のように瞳を輝かせる黛先輩。

 

「え~と……まあ、なんというか、がんばります。」

 

「え~。もっといいコメントちょうだいよ~。俺に触るとヤケドするぜ、とか!」

 

黛先輩はそういうのが趣味なのか?

 

「自分、不器用ですから。」

 

「うわ、前時代的!」

 

先輩の言ってたのも充分前時代的な気もするが……

 

「じゃあまあ、適当に捏造しておくからいいとして。」

 

いやよくないだろ。新聞部ってそんなテキトーなのか?

 

「次は甲斐谷君! ずばり、織斑君にクラス代表を譲った理由は!?」

 

「一夏に良い経験を積んでもらうため、ってのが建前で、本音は面倒だからです。あ、よかったら先輩もケーキどうぞ。」

 

近くにあったフルーツタルトを勧める。

 

「大胆にぶっちゃけたね~。って何これ、お店のみたいに美味しい。」

 

「気に入ってもらってよかったです。」

 

「ああ、セシリアちゃんもコメントちょうだい。」

 

タルトを食べるのに夢中になってたかと思ったら、思い出したかのようにセシリアに話を振る。

 

「わたくし、こういったコメントはあまり好きではありませんが、仕方ないですね。」

 

とか言いながら近くにスタンバってたのは気のせいじゃないだろうが。

 

「コホン。ではまず、どうしてわたくしがクラス代表を辞退したかというと――」

 

「ああ、長くなりそうだからいいや。写真だけちょうだい。」

 

「さ、最後まで聞きなさい!」

 

「いいよ、適当に捏造しておくから。よし、織斑君に惚れたからってことにしよう。」

 

「なっ、な、ななっ……!?」

 

セシリアが真っ赤になる。図星を指されて動揺してんだな。

 

「何を馬鹿なことを。」

 

「え、そうかな~?」

 

「そ、そうですわ! 何を持って馬鹿としているのかしら!?」

 

セシリア、それ一夏相手じゃなかったらばれてるぞ。

 

「まあふたり並んで。あ、甲斐谷君も。写真撮るから。」

 

「それじゃ撮るよ~。円周率の小数10桁目は?」

 

「え? えっと……2?」

 

「5だ。馬鹿。」

 

「正解。」パシャ

 

黛先輩がデジカメのシャッターを切る。

 

「なんで全員入ってるんだ?」

 

一夏の言うとおりクラス全員、箒までちゃっかり入っていた。他のクラスの奴らは遠慮したみたいだな。

 

「あ、あなたたちねえっ!」

 

「ま~ま~ま~。」

 

「セシリアだけ抜け駆けはないでしょ~。」

 

「クラスの思い出になっていいじゃん。」

 

「ね~。」

 

結局この『織斑一夏クラス代表就任パーティー』は2時間以上続いて10時過ぎにお開きになった。

 




月茂の新装備を出しました。
詳細は後日、設定に追加予定です。
白虎を設定に追加しました。

それと、生徒会には一応入れようかと思います。

感想・コメント・指摘・誤字報告などあったらお気軽にどうぞ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。