IS - ヴァルキリーの弟 -   作:sata-165

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今回は中国の代表候補生、リンリンの襲来です。

来週は試験三昧なので今週の更新はこれで終わります。
次回は来週の金曜か土曜(26か27)になると思います。


第15話 転校生は中国代表候補生

「織斑くん、甲斐谷くん、おはよ~。ねえ、転校生の噂聞いた?」

 

朝。一夏と食堂であったのでそのまま教室に来たら、入るなりクラスメートに話しかけられた。

 

「転校生? 今の時期に?」

 

「珍しいな。」

 

このIS学園は入試が相当厳しいらしい。イレギュラーで勝手に入れられた俺や一夏には関係ないが。さらに転入となるとその厳しさに加え国家レベルでの推薦が要るとか……、協定参加国の国籍を持つ者には無条件で門戸を開き、とかIS運用規定にあった気もするが他国への転入が厳しいのは当然なのか?

 

「そう、なんでも中国の代表候補生なんだってさ。」

 

「ふ~ん。」

 

「中国……か。」

 

なんかあった気もするが思い出せないな。しかし中国となると人口も多いから候補生になるのは大変そうだな。

 

「あら、わたくしの存在を今更ながら危ぶんでの転入かしら?」

 

このクラスの代表候補生、セシリア・オルコットが以下略なポーズで現れる。

 

「このクラスに転入してくるわけではないのだろう? 騒ぐほどのことでもあるまい。」

 

窓側の席にいた箒まで会話に参加してきた。

 

「どんなやつなんだろうな。」

 

「む……気になるのか?」

 

「ん? ああ少しは。」

 

「ふん……」

 

「確か中国は第3世代型の試験運用に入っていたからデータ取りじゃないか?」

 

一夏の態度に不機嫌になった箒をよそに自分の意見を述べる。

 

「そうなると専用機持ちか?」

 

「たぶんそうなるだろうな。知らないけど。ただ、クラス代表は決まっているし戦うことになるのは後になるだろ。」

 

好戦的な人間が転入してきたら実力でクラス代表と変わる可能性もあるが……無いよな?

 

「今のお前に女子を気にしている余裕はあるのか? 来月にはクラス対抗戦があるというのに。」

 

「そう! そうですわ、一夏さん。クラス対抗戦に向けて、より実践的な訓練をしましょう。ああ、相手ならこのセシリア・オルコットが務めさせていただきますわ。なにせ、専用機を持っているのはまだこのクラスでわたくしと一夏さん、月茂さん“だけ”なのですから。月茂さんは忙しい様子ですし。」

 

「近接戦の相手が欲しくなったら相手ぐらいならしてやるけど。他にもしたいことあるからな。」

 

セシリアが一夏に近づくチャンスだし下手に邪魔はしない。俺の恋愛に関するスタンスは邪魔もせず、応援もせずだ。特に一夏の場合は誰かに贔屓すると他の奴に何をされるか分かったもんじゃない。

 

「まあ、やれるだけやってみるか。」

 

「やれるだけでは困りますわ! 一夏さんには勝っていただきませんと!」

 

「そうだぞ。男たるものそのような弱気でどうする。」

 

「織斑くんが勝つとクラスみんなが幸せだよ~。」

 

セシリア、箒に続いてクラスメイトまで好きな事を言い始めた。なんでも優勝したクラスには全員に半年間のデザートフリーパスが支給されるらしい。俺は甘党だが好きなものは作るタイプだからその商品に興味は無い。

 

「織斑くん、がんばってね~。」

 

「フリーパスのためにもね!」

 

待て、かなり個人的な欲求があった気がするんだが……

 

「今のところ専用機を持ったクラス代表って一組と四組だけだから、余裕だよ。」

 

四組にも専用気持ちがいるのか、ちょっと気になるな。

 

「お、おう。」

 

一夏は雰囲気に押されて返事をする。

 

「――その情報、古いよ。」

 

そんな話をしていると教室の入り口から声が聞こえた。ん? なんか懐かしいような気がするんだが……

 

「二組も専用機持ちがクラス代表になったの。そう簡単には優勝できないから。」

 

腕を組み、片膝を立てドアにもたれていたのは

 

「鈴……? お前、鈴か?」

 

一夏の言葉で思い出した。小5の初めに転校してきたんだったな。ん? でも転入ってことは中国に帰ってたのか? 後で聞けばいいか。

 

「そうよ。中国代表候補生、凰鈴音。今日は宣戦布告に来たってわけ。」

 

「何格好付けてるんだ? すげえ似合わないぞ。」

 

「全くだな。それと用が済んだら早くクラスに戻った方がいいぞ。」

 

もうすぐHRの時間だ。そうなるとあの人の一撃をくらうことになるだろう。

 

「んなっ……!? なんてこと言うのよ、アンタらは。それと月茂、さっさと帰れって何よ!? 久しぶりの再会なのに!」

 

「いや、水を差すわけじゃないが……後ろを見ろ。」

 

「おい。」

 

織斑先生が来たことを知らせようと思ったが遅かったらしい。俺も席に着くか。

 

「なによ!?」

 

バシン

 

千冬さんにその口のきき方はまずいだろ、と思った時にはすでに鈴の頭に出席簿が。

 

「もう、SHRの時間だ。教室に戻れ。」

 

「ち、千冬さん……」

 

バシン

 

「織斑先生と呼べ。さっさと戻れ、そして入り口を塞ぐな。邪魔だ。」

 

「す、すみません……」

 

千冬さんの辛辣な言葉を受けてすごすごとドアからどく鈴。

 

「また後で来るからね! 逃げないでよ、一夏!」

 

俺が無視されることはいつものことなので慣れた。用があるのは一夏だけだろうけど、話も聞きたいし俺もいるか。

 

「さっさと戻れ」

 

「は、はいっ!」

 

二組に向かってもうダッシュで走り去る鈴。

 

「っていうかアイツ、IS操縦者だったのか。初めて知った。」

 

「……一夏、今のは誰だ? 知り合いか? えらく親しそうだったな?」

 

「い、一夏さん!? あの子とはどういう関係で――」

 

一夏の呟きを聞いた箒やセシリアが一夏に詰め寄っている。

 

「甲斐谷くんも転入生の子、知っているの?」

 

「ねえねえ、織斑くんと転入生の子の――」

 

俺の方にも来ているが、ただ、そんなことしていると……

 

バシンバシンバシンバシンバシン!

 

「席に付け、馬鹿ども。」

 

織斑先生の出席簿が今日もいい音を立てた。しかし、鈴が代表候補生か……面白いことになりそうだな。

 

         ◇

 

「お前のせいだ!」

 

「あなたのせいですわ!」

 

「な、なんでだよ……」

 

昼休み、開口一番に箒とセシリアが一夏に文句を言っていた。この二人は午前中の授業で話を聞いていなかったので何度も山田先生に注意されたり、千冬さんに叩かれたりしていた。確かに原因を作ったのは一夏だが授業を聞いてない方が悪いだろう……それに何度も注意されたら授業中ぐらい集中しろよ。

 

「まあ、話ならメシ食いながら聞くから。とりあえず学食行こうぜ。月茂も行くだろ?」

 

「ああ、そうさせてもらう。」

 

鈴のことだから食堂で待ち構えていそうだしな。

 

「む……。ま、まあお前がそう言うなら、いいだろう。」

 

「そ、そうですわね。行って差し上げないこともなくってよ。」

 

もう少し素直になろうぜ? この鈍感に気付かせるには相当のアタックが必要だろうからな。別に誰かに肩入れするつもりはないから言わないけど……

他にクラスメート数名がついてくる形で食堂へと向かった。

 




月茂は鈴が転校したことは知りません。
疎遠ってわけではありませんが一夏と連絡する頻度もあまりなかったからですね。


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