IS - ヴァルキリーの弟 -   作:sata-165

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更新が遅れてしまってすみません。
今回はタイトル通り鈴と月茂の模擬戦です。




第17話 月光VS甲龍

「しっかし、観客席が満員なんて……他にすることが無いのか?」

 

放課後のアリーナ・ピット内で月光を通して脳に送られてくる情報を整理しながら呟く。昨日、鈴に模擬戦をすると言った後に同室でもある千冬さんに話を通した後、今日の朝一で申請書類を出した。噂が流れたとしても1日も無かっただろうにアリーナの観客席は満員御礼。噂の男性操縦者と転校生の代表候補生との試合だから注目度が高いのも頷けるが……深く考えても仕方ないか。

 

「……射出。」

 

俺は試合へと頭を切り替えてカタパルトに乗ると射出する。鈴はまだピットから出てきていないので白虎を展開して感覚を確かめる。

 

「待った?」

 

白虎の形態を変化させているとIS≪甲龍≫を纏った鈴が目の前にいた。

 

登録操縦者:凰 鈴音

ISネーム:甲龍―シェンロン―

世代:第3世代型

戦闘タイプ:近距離格闘型

中距離用特殊兵装あり

 

「いや、試合時間前だから問題ねえよ。」

 

月光を通して送られてくる情報を確認しながら答える。試合時間までは1分ほど、模擬戦は正式に申請すればアリーナの勝敗判定システムや監督の教師を付けてもらえる。

 

『甲斐谷、凰、準備はできたか? この試合の監督をする織斑だ。お互い悔いのないよう全力を尽くせ。』

 

千冬さんが見てるなら手を抜くことはできないな。試合開始が近いので鈴も両手に異形の青龍刀、双天牙月を二つ展開する。

 

ブーーーーー

 

ヒュン  ガギン

 

開始のブザーと同時に瞬時加速(イグニッションブースト)でヘッジホッグモードにした白虎で正拳突きをするが交差させた双天牙月によって防がれる。

 

「瞬時加速に反応するか……反応速度はいいな。ならっ!」

 

伸ばしている右手に力を込めると籠手の周りに付いている棘がはじけ飛んだ。

 

「!? くっ……」

 

鈴は少し遅れて反応して後退する。咄嗟の判断も良いな、単純に戦闘センスがいいみたいだ。

 

「こっちからも行かせてもらうわよっ!」

 

警告、空間圧作用を確認

 

「っ痛!」

 

俺は咄嗟に両腕をクロスしてガードするが衝撃が全身に響く。空間圧兵器、衝撃砲か……原理でいえば似たようなのを知っているがそれだけに特化した兵器ならエネルギー効率や威力の調節ぐらい楽なもんだろうな。さっきのもガードを通すぐらいだから高威力な物を撃ったんだろう。

 

「こっからはアンタに攻撃させないわよ!」

 

鈴は俺から少し距離を置いて空間圧兵器≪龍砲≫を連射してきた。威力は低そうだがこっちの動きを制するには十分だ。俺は鈴を中心に円を描くように加減速しながら攻撃をかわしていく。

 

「射撃武器が無いアンタならこの間合いは詰められないでしょ?」

 

鈴の言うとおりこのままなら間合いを詰められない。実弾兵装なら弾切れやリロードなど隙もあるんだが、エネルギー兵器なのでエネルギーが切れるまで弾切れがない。月光の機動性なら弾幕を抜けることもできるが俺の操縦技術だと抜けたところで双天牙月に迎撃されることもある。鈴の実力は見た限りでは相当なものだしセンス自体もよさそうだ、相手を過小評価してたら負ける。

 

「面倒だがこれも訓練になるか……」

 

俺は円軌道で弾幕を躱しながら瞬時加速用にエネルギーの充填をする。理論的にいえば可能なはずだが実際に行ったことは無い、つまり失敗する可能性がある。

 

「ちょこまか逃げんじゃないわよっ!」

 

焦れた鈴が今までよりも高威力の龍砲を放ったと同時に鈴の方向に向けて瞬時加速の加速をする。さっきまでの円軌道の分だけ方向が修正されるので他のスラスターで鈴と俺がいた地点の中線を中心とする円の弧を描くように方向修正する。名付けるとすれば瞬時弧加速(イグニッションアークブースト)って言ったところか?

 

「背中がガラ空きだぞ。」

 

弧の軌道で鈴の背後を取った俺は白虎をクローモードに切り替えて両手の3本爪で斜十字に切り付けた後に踵落としの要領で脚甲の爪でも切る。

 

「どうした? こんなもんか、中国代表候補生?」

 

「なめんじゃないわよっ!」

 

俺の挑発に乗って鈴が双天牙月を振りかぶって突進してきた。

 

ガギン ギン ギン ギン

 

俺はエネルギー集中仕様に切り替えた両手の白虎で受け流しながら蹴りを入れてシールドエネルギーを削っていく。

 

ピーーーーッ

 

『試合終了。勝者――甲斐谷 月茂。』

 

暫く切り結んでいるとアリーナのブザーが鳴り俺の勝利を告げるアナウンスがアリーナ中に響き渡る。

 

「安い挑発に乗って攻撃が単調になってたぞ。それに雑な攻撃は当たりもしねえし反撃を受けるだけだ。」

 

「う……」

 

アナウンスを聞いてから目の前に入る鈴に話しかける。鈴も自覚してるのか言葉を詰まらせる。

 

「まあ、反応速度も速いし戦闘センスは高いから感情に流されてミスをしないようにすれば代表戦ぐらいなら何とかなるんじゃねえか?」

 

「わかったわ。今日はありがとね。」

 

鈴は軽く礼を言うとピットへと帰って行った。俺も帰るか。

 

         ◇

 

パシュッ

 

「どういうつもりだ?」

 

ピットから出て更衣室へ行こうと思ったらドアが開いた途端に文句がありそうな様子の箒とセシリアがいた。

 

「何がだ?」

 

「敵に塩を送るような真似をなさるとは何を考えているんですの?」

 

箒の発言の真意が分からなかったので聞き返したら代わりにセシリアが答えた。

 

「別に? 単にダチの特訓に付き合っただけだ。文句を言われる筋合いはない。」

 

「だったら一夏とも模擬戦をするんだな?」

 

「一夏がやりたいと言えばな。ただ、一夏に関しては対戦相手もコーチも充分なんじゃないか?」

 

俺は箒達に背を向けて更衣室へと向かった。頼まれたらやるが一夏の場合箒とセシリアがいるんだから対戦相手に困ることは無いだろう。

 




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