IS - ヴァルキリーの弟 -   作:sata-165

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今回は転校生が来る前の日の話です。

だい19話お楽しみください。


第19話 月茂の休日?

キャン    ポン

 

矢から手を離すと引き切られた弦が弓を打ち甲高い澄みきった弦音を発する。矢が28m先の的に当たると静かな室内に軽い音が響く。

今俺は村牧技術研究所、通称 村牧技研のIS実験場にいる。

村牧技研は主にIS関連の武装・技術の実験場的な業務が多く、新技術の試験をする為に大きな実験場がいくつかある。

両親がここで働いていたため、所長の村牧信志(むらまきしんじ)さんには世話になっていたので、IS学園に入る前は兵装の試験稼働データを取る代わりに実験場で月光を稼働させてもらった。

現在では俺がISを使える男として公表されたので、正式に村牧技研のテストパイロット兼エンジニア、兼プログラマになった。

 

『四射四中とは見事だな。その様子だと青龍に問題はなさそうだな。』

 

4射目を放ったところで実験場のスピーカーから信志さんの声が響く。

俺が使っていた弓は月光の中距離射撃武装≪青龍≫で、この弓には物理矢とエネルギー矢の2タイプの矢が付いている。

その両方を試験稼働しているため的には2本の矢が刺さり、それと別に2つの穴が開いている。

 

「褒められるほどのことじゃないですよ。ISの補助を借りれば不動ターゲットに当てるぐらい簡単ですから。」

 

ISには射撃用の補助機能で重力補正や風力補正などを計算して表示してくれる。静止物体を打つ場合はターゲットの動きを予測する必要もない分楽に狙える。

 

『そうか、なら次は遠的場を用意したから第3実験場へ向かってくれ。』

 

「わかりました。すぐに行きます。」

 

         ◇

 

「お疲れさん。赫槍の調整も終わったから軽く試してくれ。」

 

暫く青龍の試験稼働を済ませると信志さんが実験場に入ってきた。

今日は先日、無人機との戦闘で大破した赫槍の修理が済んだということで来たんだが、微調整をするとかで先に新兵装の青龍をテストすることになった。

最初は整備室で自力でどうにかしようとも考えたが、ゼロから作り直した方が早いほど損傷していたのでプロに任せることにした。

 

「ん? どこかイジりましたか? なんか前と違う気がするんですけど。」

 

信志さんの後ろにいた研究員の持っていた赫槍を手に取ってみたが、言葉では表せないが前の時と何かが違う気がした。

設計図は束さんから貰っていたのを渡しているのでここの技術なら再現できるはずだが、考えられるとすれば

 

「少し細工をしておいた。使いづらくなったわけじゃないだろ? どんな細工かは後のお楽しみだがな。」

 

やはり信志さんの仕業か。この人は所長という立場にもかかわらず好奇心が旺盛で実験が大好きだ。

 

「まあ……むしろ前より手になじむ感じだからいいですけど。」

 

軽くふるってみたが重さや形状に変化が無いのに前よりも手になじんだ。

 

「これで用事は済んだな。どうだ、久しぶりに一緒に昼飯でも食わないか?」

 

「行きたい気持ちは山々なんですが今日はちょっと学校の方で用事があるんでお断りします。」

 

俺も久しぶりに信志さんとプライベートな付き合いをしたいが、今日は日曜で学園は休日だが楯無さんから『連絡があるから』と言われて午後から生徒会室に行くことになっている。

 

「そうか、残念だが仕方ないな。じゃあ今日はこれでお別れだな、体は大切にしろよ 月茂。」

 

「はい。今日はありがとうございました。」

 

俺は信志さんや職員の方々に礼を言ってから電車と新幹線、モノレールと乗り継いでIS学園へと戻った。

 

         ◇

 

村牧技研から乗り継ぎで1時間強、俺はIS学園に到着した、やっぱり遠いな。その後軽く腹ごしらえをして生徒会室へと向かっている。

 

「失礼しま~す。」

 

ノックをしてから生徒会室に入ると書類の山を片付けている楯無先輩と虚先輩と机に突っ伏して寝ている布仏がいた。

 

「あ~、俺が最後でしたか。お待たせしてすみません。」

 

「気にしないでいいわよ、用事があったんでしょ? それに私と虚ちゃんは朝から仕事があったし、本音ちゃんは……ほら、ね?」

 

「ほら本音、起きなさい。甲斐谷君が来たわよ。」

 

「……無理……眠い……」

 

「会長の話を聞いたら寝てもいいから今は起きなさい。」

 

「了解……」

 

楯無さんが指した先にはいまだ突っ伏している布仏と、それを起こそうとしている虚先輩がいた。なるほど早めに来てずっとあんな感じだったのか……仕事しないのか?

 

「それで……話って何ですか?」

 

虚先輩に淹れてもらった紅茶を口にしながら楯無さんに聞く。一応、紅茶を飲みながら書類整理も手伝っているが勝手がよく分からん。

 

「あら? 仕事が一段落ついてからじゃダメ?」

 

「いや、俺は別にいいんですけど……ほら。」

 

紅茶を置いて布仏の方を差す。

 

「……眠……限界。」

 

「我慢しなさい。」

 

今にも夢の世界に旅立ちそうな布仏がいる。これは本人の言うとおり限界だろう。

 

「仕方ないわね。これは月茂君と本音ちゃんに関わりのあることなんだけど」

 

楯無さんはそこで言葉を区切ると俺と布仏の方を向く。布仏もなんとか顔を上げて楯無さんの方を向いている。

 

「一年生、しかも貴方たちがいる一組に二人の転校生が来るのよ。」

 

「わ~い、ともだちが増える~。」

 

「それで、今度はどこの代表候補生なんですか?」

 

「あら? 月茂君は反応が薄いのね。それに私は代表候補生なんて言ってないんだけど。」

 

「驚いてないわけじゃないんですけどあんま表に出ないらしいですね。

それとIS学園(ここ)に転校するなんていったら国家レベルのコネと、IS操縦者としての実力が必要だから代表候補生ぐらいしかいないでしょ? それに……話が終わる前に落ちそうですよ。」

 

さっきリアクションをしたと思ったらもうすでに夢の手前に居る布仏がいた。

 

「ほら本音。まだ話は終わってないんだから我慢しなさい。」

 

「もう……限界……睡眠……許可……」

 

「ダメよ。話が終わるまで待ちなさい。」

 

「……うぅ……了解。」

 

虚先輩のお陰でなんとか顔を上げる布仏。心なしかいつも以上に目が細い気がする。

 

「あらら……確かにこれ以上話を伸ばすのはよくなさそうね。転校生は二人いるんだけどドイツとフランスの代表候補生よ。」

 

フランスとドイツか。フランスは料理とか芸術とかの文化部門で有名だったな、確か世界史で覚えた思想家もフランス人の名前がいくつかあったし……ルーブル美術館もフランスだったな。ドイツは……ダメだ、友人の軍事オタクのせいか逆鉤十字(ハーケンクロイツ)しか思い浮かばないな。

 

「でも、まあ月茂君も転校生を見たら驚くと思うわよ。話はこれでおしまいよ。本音ちゃんも月茂君も自由にしていいわ。」

 

何か含みのある言い方だな。IS関連で大きなニュースってあったか? 一応調べておくかな。

 

「まあ楽しみにしておきますよ。」

 

その後は書類の山の片づけを手伝ってから帰ったがあまり力になれてない気がする。

 




せっかく生徒会に入ったので久しぶりに仕事させました。青龍のスペックについては後日記載するつもりです。

しかし、いつの間にかお気に入り数が増えていて驚きです。

こんな作品ですが感想・コメント・指摘・誤字報告などあったらお気軽にどうぞ。
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