第22話です、どうぞ。
「ふぅ、なんとか間に合ったな。」
急いだお陰でチャイムが鳴る前に第2アリーナへと到着した。
「全員揃っているようだな。早速だが実習の説明に入る!」
俺らが入ってすぐに千冬さんが号令をかけてきたので俺らは1組の列の最後尾に並ぶ。
「随分とゆっくりでしたわね。スーツを着るだけならばあまり時間はかからないのでは?」
一夏の隣にいたセシリアが棘のある口調で指摘してきた。転校生が来たせいで自分と接する時間が減るのが嫌といったところか?
「道が混んでいたんだよ。」
「ウソおっしゃい。いつも間に合うくせに。」
いや嘘は言ってないぞ。実際、一部の通路は通れないレベルだったしな。
「ええ、ええ。一夏さんはさぞかし女性の方との縁が多いようですから? そうでないと二月続けて女性からはたかれたりしませんよね。」
あ~、ボーデヴィッヒの方が原因か。そういえば先月も鈴にはたかれたらしいな。
「なに? アンタまたなんかやったの?」
鈴の事を考えてたからか、後ろから声をかけてきた。噂をすれば影、ってよく言ったもんだな。
「後ろにいるわよ、バカ!」
一夏が周りをキョロキョロしてると鈴が不機嫌そうな様子になった。しかし千冬さんの授業中に私語とは……
「こちらの一夏さん、今日来た転校生の女子にはたかれましたの。」
「はぁ!? 一夏、アンタなんでそうバカなの!?」
「――安心しろ。バカは私の目の前にも二名いる。」
やっぱり、この人の前でそんなこと許されないよな。
パシーンッ
中国とイギリスの代表候補生の頭から乾いた音が響いた。今日も織斑先生の出席簿の切れ味は抜群だな。
◇
「では、本日から格闘及び射撃を含む実戦訓練を開始する!」
「はいっ!」
元気のいい返事だな。初めての実戦訓練だし気合入ってるのか?
「くうっ……。何かというとすぐにポンポンと人の頭を……」
「……一夏のせい一夏のせい一夏のせい……」
若干二名は叩かれた頭を抑えているが……あの人への不満は言わない方がいいと思うぞ。
「今日は戦闘を実演してもらおう。ちょうど活力が溢れんばかりの十代女子もいることだしな。――凰! オルコット!」
そんな不満を言っていた二人が指名される。理由としては専用機持ちですぐ始められるからか?
キイィィィン
そんな中、空気を切り裂くような音が微かに聞こえたので、そちらに視線を向けると……山田先生 with ラファール・リヴァイブが見えた。
生徒の前で実演するからとかでテンパっているのか、その軌道はまっすぐこちらに向かって
「一夏、仰角47度、距離800m 何が見える?」
その軌道を見て、落下地点に居た一夏に声をかける。あのスピードだと4秒くらいか?
「ん? 仰角47度で距離800m……あれって、山田先生?」
「そうだな。じゃ、頑張れよ!」
一夏の肩を叩いて、俺は近くの女子を避難させる。
「お、おい、月茂! どういう意味だよ!」
「とりあえず、白式は展開しとけ。」
意味が分からないといった様子の一夏が声をかけてきたが、面白そうだし、どうなるか気になるから、ひとまず安全のためにISの展開だけ指示して、様子を見守る。
「ああああーっ! ど、どいてくださーい!」
白式を展開した一夏に対して山田先生が叫ぶが、衝突まではコンマ数秒、避ける時間なんてない。
ドコーン!
衝突した一夏と山田先生は土ぼこりをあげながら転がる。
「痛ててて……白式は展開できたけど……どうなったんだ?」
状況が把握できてないのか、土ぼこりの中から一夏の声が聞こえる。どうなったんだ? 土ぼこりが晴れるまでは分からんな。そう思っている間に土ぼこりが晴れて現れたのは……
一夏を押し倒したかのように馬乗りになっている山田先生と、体勢的に山田先生を見上げるようになっている一夏。
おおう、こんな風になるとは……山田先生の天然さ、と一夏のフラグ体質の力か?
「あ、あの、織斑君……やっぱり教師と生徒でこういうことはダメですよね。あっ、でもそうなったら織斑先生が義姉さんになるわけで……」
「や、山田先生! 落ち着いてください! ひとまず俺の上からどいてもらわないと俺が動けないんで!」
何かトリップ状態の山田先生に一夏が大声で現実に引き戻そうとする。ISの力は相当なものだがあんなホールド状態だと動きにくいか。
「はっ! す、すみません、織斑君。立てますか?」
「あ、はい。大丈夫で――ハッ!」
「ひゃんっ!」
トリップ状態から戻った山田先生が一夏の上からどき、差し伸べた手を一夏が掴もうとした時、横から一夏の頭を狙うようなレーザーが飛んできたので一夏は前に倒れこむ様に躱す。……山田先生の胸に。
どうやったらそうなるんだ?
「アンタは結局、胸かーーっ!」
ドンッドンッ!
キンッ キンッ
セシリアのレーザーを躱して身動きが取れなかった一夏の代わりに、双天牙月を迎撃したのは意外や意外、山田先生だった。
山田先生はライフルを水平に構え、横向きに視線も向けずに、正確に双天牙月の両端を撃ち抜いて軌道を変えた。
それだけでも射撃技術の高さがうかがえる。
「………………」
その技術を間近で見た一夏だけでなく、セシリア、鈴を含め、女子全員が唖然としている。
普段の山田先生からは想像もできないから当然か。……さっきの墜落が無ければ完璧なんだがな。
「山田先生はああ見えても、元代表候補生だからな。あのぐらいの射撃造作も無い。」
「む、昔の事ですよ。それに候補生どまりでしたし……」
千冬さんに褒められていつもの様子に戻って、わたわたとしだす山田先生。さっきと同一人物なんて信じられないな。
それにしても、『ああ見えて』って千冬さんの言い方もひどいな。
「さて小娘ども いつまで惚けている。さっさと始めるぞ。」
「え? あの、二対一で……?」
「いや、さすがにそれは……」
「安心しろ。今のお前たちならすぐに負ける。」
数的ハンデがある事に気が引けている二人に対して『負ける』と言い切る千冬さん。
代表候補生という事からか、プライドの高さからか、その言葉に闘志を燃やすセシリアと鈴。あんな様子じゃまともな連携は取れそうにないな。ブランクがあるとはいえISと関わってる時間が長い、格上の相手にそんなんじゃ負けるのは確実だろうな。
う~ん……急いで書いたので誤字脱字が多そうで怖い。
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最近コメントが少ないのでこの小説の需要がよく分かりません。