学部3年生なので、今月から就活が始まり時間があまりとれません。
あらすじの場所にも書きましたが、暫くは更新がさらに不定期になると思いますが、
生きている限りは打ち切りにするつもりはありませんので、気長にお待ちください。
それと、時間があったので、いくらか頭の中でプロットが変わったりして、矛盾点を無くすためにいくつかの話を修正するかもしれません。なにとぞご了承ください。
「一夏なんださっきの様は!」
「そうですわ! 近接の間合いならば一夏さんにも分があるんですから、もう少し善戦して頂かなければ。」
「アタシが武器のこと教えたんだからもう少し粘りなさいよ!」
降りてくると同時に一夏を非難する専属コーチたち。なんだか一夏が哀れだな。
「でも仕方ないんじゃないかな? 形が変わる武器なんて聞いたことも無いし、驚く事も仕方ないよ。」
「そ、そうだ。月茂、結局あれは何なんだ?」
シャルルの助け船に乗る形で話題を変える一夏。
「あぁ、アレは
オレは説明しながら、緑青色で蛇の鱗のような模様で覆われている弓、青龍を展開する。
「変形って、意味があるのか? ISなら他の武器を呼び出せるじゃねえか。」
「確かにそうだが、一度収納して、再展開するのに慣れてても1~2秒かかるだろ。戦闘下でそんな時間かけられねえし、コイツなら――1アクションで切り替えられるからな。」
一夏の言い分ももっともだが、武装の変換は思考を切り替えなくてはいけないから、少し時間がかかる。
オレは説明を続けながら、持ち手のあたりに付いているボタンを押して、双剣になった青龍を逆手で持つ。
『パッケージ換装を必要としない万能機』を目標にした第四世代機向けに、試験的に作られたシステムの一つがこの即時対応型多機能兵装。
万能機に合わせて兵装も万能にしようって考えで出来たものだ。
「要は、全距離対応の万能型兵装の試作品って考えてもらえばいい。」
「全距離対応型、ってさっきの籠手の方はどうなのよ? アレだって変形するけど間合いはほとんど変わらないじゃない。」
鈴が納得がいかないといった様子で白虎について聞いてきたので、青龍を収納して白虎を展開する。
「こっちは別の着想から生まれた技術で、ウチの研究所では
オレは展開した白虎からクローを出して説明する。
「付加武装ってのは、銃にサイレンサーとかをつけるみたいに、
通常の武装でも量子変換するのに数分から十数分、パッケージごととなると数十分はかかる。さらに量子変換しても情報量が多く、拡張領域を圧迫するから多くの武装は搭載できない。その欠点を解消するために作られたのがこの技術だ。
「月茂さん、独自技術でしょうにそのように話してもよろしいのですか?」
「別に何の問題もねえよ。付加武装に関しては既に特許取ってるし、変形武装に関しても申請中だ。」
うちのような中小企業じゃ特許料や技術提供が主な食いぶちだからな。
「今あるのは3つだが、全部試験的に導入したのだから強度もエネルギー効率も改良しねえといけねえモノだな。」
(今度の臨海学校までには送ったデータを元にした付加武装を作る、って言ってたがどうなってんだろうな。)
説明しながら先日、所長から言われた事を思い出す。
「オレの武装の説明はこんくらいだ。……で? 一夏、さっきの結果はなんだ? 視線で狙いもバレバレだし、ちょっとしたことで隙ができる。時間制限が無かったら勝つ自信があるぞ?」
「そうだ、一夏! なんなのださっきの動きは!」
オレの発言が切っ掛けで一夏のコーチたちが一夏に詰め寄ってきたので、話すのを止めその場を離れる。
この様子じゃ特訓どころじゃねえし、第六アリーナで高速機動訓練でもするか。
「あれ? 月茂、どこか行くの?」
「ああ。あの様子じゃ訓練どころじゃねえし、人が少なそうな第六アリーナへ行くんだ。」
シャルルに呼び止められたので、視線を一夏達の方へ向け説明する。
「第六アリーナって高速機動実習用だったよね?」
「月光は機動特化型のISだからな。入学当初は慣れる為に毎日行ってたし、最近でもよく行くんだよ。」
「それって僕も付いて行っていいかな?」
「別に構わねえがあそこは機動演習用ぐらいにしか使えねえぞ?」
アリーナと遮断シールドの関係上、筒状の形状をしていて、ターゲットとかが無いので戦闘や武装の試用には向いていない。
「うん、わかってるよ。それに、僕のリヴァイブだって速さには自信があるよ。」
「そういや、第二世代最速機だったな。」
ラファール・リヴァイブ――和訳すると疾風の再誕。第二世代最高速度を記録していて、操縦の簡易性とパッケージによる万能性をもっていて、実用性で見るなら現行機の中では一番だと思う。
「へ~、よく知っているね。」
シャルルが意外そうな表情をして言ってきた。心外だな。
「ここに来る事が無かったら村牧技研でエンジニアかプログラマーになる予定だったからな。IS関連の基本性能や最高性能ぐらいは覚えてるよ。」
(中学の内からバイトに近い形で簡単なプログラミングと、武装開発の手伝いをしていて、中卒で働くつもりだったのが、こんな事になるとは……まぁ、悪い事ばっかではないか。)
旧友との再会や新たな出会いなどは、関わる事が無かったかもしれないからな。
「ま、そんなことはどうでもいいか。さっさと行こうぜ。」
考えても仕方がないので第六アリーナへ向かう事にした。
途中で後ろから一夏の声が聞こえたのは気のせいだろう。
◇
「まずは普通にスラスター出力だけでタワーまで行くか。」
「うん。……それにしても、月茂のISって甲斐谷星華さんのISにそっくりだね。」
「違いっていえばカラーリングと出力くらいだからな。モデルにしてるっていうより模倣だな。」
正確に言うと背部スラスターに展開装甲が使われているって違いもあるが……これは公表するのはまずいからな。
「悪いが、機体に関しては話せねえ事が多いんだ。……時間もねえし始めようぜ。」
流石に第四世代の技術に関して話すのはまずいし、時間も無いので話を切り上げてISを展開し飛行し始めた。
「あ、待ってよ、月茂!」
「ひゅ~、割と速いな。なら、ギアを上げるか。」
思ったより早くシャルルが追い付きそうだったので、スラスターの出力を上げて引き離そうとするが、
「リヴァイブのスピードを甘く見ないでよ!」
第二世代最速、疾風の名は伊達じゃないといった様子で、食い付いてきた。
「そっちこそ、高機動特化の月光を甘く見るなよっ!」
オレは展開装甲を閉じた状態での最高速度を出し、シャルルを引き離して一気に中央タワーまで上った。
「よっ、遅かったな。」
中央タワーで少し待っているとシャルルがやって来たので声を掛ける。
「月茂が速すぎるんだよ。あっという間にタワー登っちゃうんだもん。」
「悪りい、悪りい。ついフルスピード出しちまった。」
生来の負けず嫌いな性格のせいで意地になっちまった。
「はぁ……それで? この後は何をするの?」
シャルルは呆れたようにため息を吐いた。
「この後は瞬時加速で下まで降りて、次はホログラムの障害物ありでタワーまで登って、帰ってくる。その次は、障害物の位置をランダムで変えて瞬時判断能力を鍛える。」
「最初の二つは分かるけど、障害物の位置をランダムに切り替える、ってどういうこと?」
「それは後で説明するから……まずは下まで行くぞ。」
説明を後回しにして、瞬時加速で一気にタワーを降りる。重力の力も合わさり、地面が近くなったところで、背部スラスターにエネルギーを溜め水平方向に瞬時加速。展開装甲を使わない高速機動なら慣れたものだ。
「さてと……まぁ、説明するより見た方が早いだろ。」
障害コースでの飛行も終わり最後の説明をしようと思ったが、言葉で説明するより見せた方が良いと思い、アリーナの端末を操作してプログラムを打ち込む。幸いなことに今日は他の使用者がいないので迷惑にはならない。
「よし、正常に動作してるな。」
何度も使ってるプログラムでも走らせる時は少し不安になる。
だが、オレの不安とは裏腹にプログラムはうまく走り、アリーナのコース上では、次々に障害物の位置が変化する。
「この中を抜けるってこと?」
「ああ、乱数を使ったプログラムだから、ほぼ不規則にルートが変わる。普段はインターバルは0.5秒にしてるが、今回は3秒だからなんとかなるだろ。それに、ホログラムだからぶつかっても問題ねえしな。
まずは見本を見せるから、チャンネルを308に合わせてくれ。」
「308だね。ちょっと待って……うん。繋がったよ。」
(展開装甲を使わないとタワーまでは30秒ぐらいか。)
「んじゃ、始めるか。」
ピットから出てすぐに瞬時加速を使って、障害物の隙間へと加速する。
(次はどう進むか……右の方が広いな。)
障害物の迷路に入ると同時に、進行方向の上下左右に視線を巡らせて進路を選択し、瞬時加速の状態を維持したまま進路を変える。
(おっ、位置が変わるか。)
「っ!? あっぶね~。」
ホログラムが一瞬消えて、再配置されると目の前が壁になったので、両腕のスラスターを全力で吹かして左へと回避する。
「ふぅ~、到着っと。シャルル、どうだった?」
中央タワーまで上ったので一息ついて、シャルルに感想を聞く。今までは一人でやってたから他人の意見を聞くのは初めてだな。
『なんていうか……凄いとしか言いようがないね。あのスピードで障害物に一度も当たらないなんて……』
どうやら代表候補生の目から見ても評価してもらえるようだな。安心した。
「そりゃどうも。それで……何か気付いた事とかは無いか?」
第三者からのアドバイスを貰うためにシャルルの意見を聞く。
ほとんどが独学だから間違いとかもあるかもしれねえな。
『そうだね。……入ってすぐに瞬時加速のまま軌道を変えていたけど、あんなことは止めた方がいいと思うよ。』
「ん? 空気抵抗や慣性力で機体に負荷がかかるからか?」
『うん。あのスピードで曲がるなら加速度も大きいから、って分かってやっていたの?』
「そりゃ物理法則の基本だから知ってるさ。だが、……それは普通のISの話だな。
月光は高速機動特化型のISで空気抵抗や慣性力、圧力に強いから瞬時加速中の直角軌道ぐらいなら耐えられるんだ。」
普通のISと比べて装甲が薄い分、その空気抵抗は小さい。それ以外にも束さん謹製の高機動特化の機体にはいろいろ組み込まれている。
『瞬時加速中の直角軌道って……既存のISでは考えられない事だよ。』
シャルルは呆れたように呟く。確かに高速機動パッケージでも加減速を調整して曲がるのが基本だからな。
「まぁ、いろいろ積んでるせいで拡張領域が圧迫されてるけどな。」
月光の武装は初期装備の赫槍、それと視覚補助の為に付けられた各種センサー類が容量を圧迫している。
拡張領域も少なく、後付武装の白虎・青龍で9割以上が占められている。
今から入れられるとしても付加武装ぐらいだろう。
「他に気になるとことかは無かったか?」
機体の話になるとマズイので話を切り上げる。
『うん。特に気になる所は無いよ。視界移動の速さも、進路の取り方も文句の付けどころがないよ。』
「そこまで言われると少し照れるな。じゃあ、シャルルもやってみるか? 最初だから、まずはスピードを抑えめで、慣れてきたら徐々にスピードを上げればいいから。
万一ぶつかってもホログラムだから何も問題ないしな。」
オレは真正面から称賛の言葉を掛けられて思わず頬を掻き、それを隠すためにシャルルにこの訓練を勧める。
『フランスでもこんな訓練はした事ないけど、やってみるよ。』
前書きにも書きましたが、次の投稿はいつになるか分かりません。
多分、今月中には投稿できないと思いますが、打ち切りや失踪する気は無いので気長にお待ちください。