これからは更新頻度このぐらいになるかもしれませんがご容赦ください。
「会長、虚先輩 おはようございます。」
「おはよう、月茂君。」
「おはようございます、甲斐谷君」
いつのまにか日課になった朝のランニングを早めに切り上げて、約束の6時に生徒会室に入り楯無さんと虚先輩に挨拶をする。どうやら布仏はこの時間には生徒会室にはいないようだな。
「虚ちゃん 今日はもういいわ。ありがとうね。」
「わかりました、会長。失礼いたします。」
俺が来るから仕事を早めに済ませたのか、それとも、いつもこの時間帯に仕事をしてないのかわからないが楯無さんは紅茶のカップを置いてからそう告げる。
「それじゃ、いろいろと説明してもらえるかしら?」
退室する虚先輩に軽く会釈をしてドアが閉まった途端に楯無さんが口を開く。
「ええ、もちろんそのつもりですよ。」
こちらとしても交渉をすることを考えると早めに話題に入ってもらえるのは助かる。
「まずは……あの放送について話してちょうだい。」
「いきなり俺のことですか? てっきり
「そっちは後で聞くわ。せっかくの機会だからあなたのことを知りたいのよ。」
まさかそんなこと聞かれるとは思ってなかったが、ここで下手に相手の機嫌を崩すのは悪手だな。
「ふぅ……こたえられる範囲でなら答えますよ。あの放送ってのは篠之乃束博士の電波ジャックのことですか?」
「そうよ。あの放送からわかることは甲斐谷月茂と織斑一夏は篠之乃博士と面識があるということ、少なくとも愛称で呼ぶ程度にはね。」
バンッっと広げた扇子には『正解』の文字。そこから自分の推論を言い始める。
「その通りですよ。星姉たちがどの程度の付き合いなのかは知らないですけど、俺と一夏、箒は小学校に上がった程度から星姉と千冬さん、束さんと付き合いがありますよ。……ってこんなこと聞きたいわけじゃないですよね?」
そんなことあの放送を見れば誰だって簡単に予想ができる。本題はその先か?
「そうね。そのくらいのことは、ほとんどの人間が予測できたはずよね。当然、行方不明中の篠之乃博士の行方や、その関係について聞きにくる人間が来たはずよね? あの放送では詳しい住所まで言っていたし」
「もちろんです。しばらくは家から出られなかったですからね。」
あの時はアパートの他の住人にも迷惑かけることになったからな。いやでも覚えてる。
「
「なら何が聞きたいんですか?」
「あれだけ集まっていたマスコミをたった数日でいなくなった理由を教えてちょうだい。」
「いや~、集合住宅だから他の住人の方に気遣ったんじゃないですか? っと、冗談ですよ。俺は特に何もしてないんですけど、ある人が質問をまとめてくれたのでそれに答えただけですよ。」
詳しく答えるのが難しかったので誤魔化そうとしたが、この後のことを考えて答えられる範囲だけ答える。
「その人の名前は?」
「言えません。ただ、俺の師匠ってことだけ言っておきます。」
「そう……でも、それだけならしつこい人間が残ってもおかしくなさそうね。」
「納得いかないのは分かりますけど、俺の知ってるのはそれだけですよ。……ただ、あの人はいろんな方面に顔が利くので何かしたのかもしれませんけど。」
納得した様子はないようだが、これ以上は答えられない。
「じゃあ次の質問よ。君の実力を教えて」
今まで以上に真剣な表情になり真っ直ぐ俺の目を見て聞いてきた。
「実力って、そんなのアリーナの映像記録とか試合記録を見ればわかるでしょ? 試合はあんましてないですけど……」
「それくらいは調べてるわ。私が言ってるのは君の本当の実力よ。確かに試合は本気で挑んでるようだけど、私の見た感じでは100%全力でやってるようには見えないわ。」
そこまで見抜かれてるのか、やっぱ国家代表になるだけあって観察眼は相当なものだな。
「確かにスペック全開で戦ったことはないですね。って言っても全開だと俺が戦闘してる余裕ないんですけど。」
「つまり、生身なら全力で戦えるってことね。」
「まぁ……そういう言い方もできますけど……」
「なら近いうちに私と戦いましょう。」
「とても女性の発言とは思えませんね。」
「君の実力を把握しておきたいのよ、生徒会長としてね。ただでさえ代表候補性を超える実力を持っているのに、それが全力でないならなおさらね。」
「現役の国家代表で、対暗部用暗部更識家の当主で、学園最強の生徒会長相手に勝ち目なんてないと思いますけど。ちなみに拒否権は……」
「へぇ~、私のことよく知ってるのね。」
「自分のボスですからね。ある程度のことは調べたらすぐ出てきましたよ。」
名前を検索したらロシアの国家代表ってのはすぐに分かったし、生徒会長がどう選ばれるかとかは生徒手帳に書いてある。
「ふぅ~ん、調べてすぐに更識家のことまでわかるとは思えないけど、ま、いいわ。」
「で、拒否権の方はどうなてるんですか?」
「別に断ってもいいけど、君は私に頼みたいことがあるんじゃない? 尤もこれは私の推測だし役員の君の頼みならある程度までなら聞いてあげるけど。それと実力を見たいだけだから勝ち負けは関係ないわ。でも、」
シャルルの保護ってなると『ある程度の頼み』に収まるかは微妙だな。ここは素直に従うしかないか。
「手を抜くようなことをするのは困るわ。ある程度のハンデをあげるから勝つ気できなさい。」
閉じた扇子をこちらに向け不敵な笑みを見せる楯無さん。これは手を抜いたらシャルルの身柄がどうなるかわからないな。
「わかりました。今週は忙しいんで土曜日以降でお願いします。」
「土曜日なら午後は自由時間だから13時にここにきてくれる? 都合が悪いなら別の日でもいいわよ。」
「それでいいですよ。特に予定もないですし。」
こういうのは早めに片づけておきたいからな。
「そう。ならもう聞きたいことは済んだわ。」
「ん? シャルルのことはいいんですか?」
「ええ、彼女のことはもう調べてあるわ。身辺調査や過去の出来事も含めてね。」
「なら俺がここに来た意味って――」
「君が素直に質問に答えてくれる機会なんて滅多にないでしょ? ちょうどいい機会だからいろいろと疑問に思ってたことを聞きたかっただけよ。」
「普通に聞いてもらえれば可能な限り隠し事はしませんよ。個人情報にかかわることとかなら別ですけどね。」
師匠のこととかはグレーゾーンだから言えないことも多いが、基本的には話すことは話す。
「じゃあ、シャルルの保護はお任せしていいんですね?」
「モチロンよ。生徒を守るのも生徒会長の務めだからね。」
開いた扇子には『安全第一』の文字。相変わらずどうなってるかわからない扇子だ。
「ただし、ほかの生徒に危害を加えたり、国際問題に発展するようなことをした場合は他の生徒の方を優先するわ。まだ信用できるかどうかは疑わしいところだから。」
一度閉じた扇子を再び開くと『疑心暗鬼』の文字。入れ替えたりしたようには見えなかったが……
「そのことは織斑先生にも忠告されたんで、メモを置いてきましたよ。」
千冬さんの部屋の掃除を済ませて部屋に戻ったらシャルルは寝ていたので簡単に結果と注意事項を纏めて書き留めておいた。もし問題行動を起こして退学などの処分になったら庇いきれない、と釘を刺して。
「他に何かありますか? ないなら外に用事があるから行きたいんですけど」
「今は特にないわ。」
「それじゃ、俺はこの辺で失礼しますよ。また土曜に会いましょう。」
一気に楯無VS月茂の勝負まで書きたかったんですが、思った以上に話が進まずに交渉だけで終わってしまいました。
遅筆な駄作でよければこれからもよろしくお願いします。
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