今回はタイトル通りセシリアからの宣戦布告ですね。
「それではこの時間は実戦で使用する各種装備の特性について説明する。」
一、二時間目と違って、山田先生ではなく千冬さんが教壇に立っている。よっぽど大事な事なのか山田先生までノートを取っている。もちろん俺も視覚補助をオンにしてノートを取る。千冬さん相手だと視覚補助オフにしただけで怒られそうだ。
「ああ、その前に来月に行われるクラス対抗戦に出る代表者を決めないといけないな。」
ふと思い出したかのように千冬さんがいう。クラス対抗戦の代表者? 俺や一夏が推薦されそうだな。
「クラス代表者とはそのままの意味だ。対抗戦だけでなく、生徒会の開く会議や委員会への出席……まぁ、クラス長だな。ちなみにクラス対抗戦は、入学時点での各クラスの実力推移を測るものだ。今の時点でたいした差は無いが、競争は向上心を生む。一度決まると一年間変更はないからそのつもりで。」
クラス長か……めんどくさそうだな。出来ればなりたくはないが……
「はいっ! 織斑君を推薦します!」
「私もそれがいいと思います。」
「私は甲斐谷くんを推薦します!」
「私も甲斐谷くんがいいと思います。」
思った通り、俺と一夏が推薦される。千冬さんの事だし拒否権は無いだろうな……理不尽だ。隣の一夏は自分の事だと思ってないのか、しきりに頷いている。
「では、候補者は織斑一夏と甲斐谷月茂……他にはいないか? 自薦他薦は問わないぞ。」
「お、俺!?」
一夏は自分の名前が呼ばれ反射的に立ち上がる。そんな一夏にクラス中の視線が集まる。今まで誰だと思っていたんだ?
「織斑。席に着け、邪魔だ。さて、他にはいないのか? いないならこの二人で決選投票を始めるが。」
「ちょっ、ちょっと待った! 俺はそんなのやらな――」
「自薦他薦は問わないと言った。他薦された者に拒否権などない。選ばれた以上は覚悟をしろ。」
一夏は視線で助けを求めてきたが、俺は『諦めろ』とだけ伝える。普通ならお互いによく知らないこの時期に他薦はおかしいだろうが千冬さんに突っ込む勇気は持ち合わせていない。生身とISでも負けそうだからな。
「待ってください! 納得がいきませんわ!」
そんな一夏を救ったのはさっき聞いた甲高い声。オルコットだ。オルコットは机を叩いて立ち上がった。
「そのような選出は認められません! 大体、男がクラス代表だなんていい恥さらしですわ! わたくしに、このセシリア・オルコットにそのような屈辱を一年間味わえとおっしゃるのですか!?」
オルコットは怒り頂点に達せりといった様子で声を荒げていく。しかしISの登場から男の立場が弱くなったとはいえここまで言われるもんか……少し腹立たしいな。まぁ面倒事引き受けてくれるならいいけど。
「実力から行けばわたくしがクラス代表になるのは必然。それを、物珍しいからという理由で極東の猿にされては困ります! わたくしはこのような島国までIS技術の修練に来ているのであって、サーカスをする気は毛頭ございませんわ!」
極東の猿……か。言ってくれるな……
「いいですか!? クラス代表は実力トップがなるべき、そしてそれはわたくしですわ!」
どんどんヒートアップしていくオルコット。別にクラス代表は譲ってもいいがここまで言われると黙ってられねぇな。
「大体、文化としても後進的な国で暮らさなくてはいけないこと自体、わたくしにとっては耐え難い苦痛で――」
「イギリスが技術的に優位だったのって何百年前だよ。そこまで言うんならイギリスに帰れ。」
俺は反射的に反論してしまった。ついつい血が騒いじまう、最近落ち着いていたが我慢にも限界がある。
「イギリスだって大したお国自慢ないだろ。世界一まずい料理で何年覇者だよ。」
一夏も我慢の限界だったらしく声に出してしまったようだ。
「なっ……!?」
おそるおそる後ろを振り返ると、オルコットが怒りで顔を真っ赤にしてこちらを見ていた。はぁ、ついやっちまった。
「あっ、あっ、あなたたちねえ! わたくしの祖国を侮辱しますの!?」
あ~あ、これはもうどうにもならねぇな。
「侮辱はしてねぇよ。事実を言ったまでだ。」
「決闘ですわ!」
机をバンッと叩いて宣言するオルコット。
「おう。いいぜ。四の五の言うよりわかりやすい。」
「国家代表候補生の実力見せてみろよ。」
俺はわざとらしく挑発する。
「言っておきますけど、わざと負けたりしたらわたくしの小間使い――いえ、奴隷にしますわよ。」
「侮るなよ。真剣勝負で手を抜くほど腐っちゃいない。」
「そう? なんにせよちょうどいいですわ。イギリス代表候補生のこのわたくし、セシリア・オルコットの実力を示すまたとない機会ですわね!」
「そっちこそ代表候補生のくせに簡単に負けるなよ?」
「ふん! 負けるのはそちらですわ。」
ここまで言われて黙ってるほど俺は人間出来てねぇ。星姉から託されたISで倒してやるよ。
「ハンデはどのくらいつける?」
「あら、さっそくお願いかしら?」
「いや、俺がどれくらいハンデをつけたらいいのかな――と。」
と、一夏がいった瞬間クラス中から爆笑が起こる。
「お、織斑くん、それ本気で言ってるの?」
「男が女より強かったのって、大昔の話だよ。」
「織斑くんは、それは確かにISを使えるかもしれないけど、それは言い過ぎだよ。」
「おい一夏。経験がないお前がハンデを付ける必要なんてないぞ。」
俺は頭を抱えながら親友に伝える。
「……じゃあ、ハンデはいい。」
「ええ、そうでしょうそうでしょう。むしろ、わたくしがハンデを付けなくていいのか迷うくらいですわ。ふふっ、男が女より強いだなんて、日本の男子はジョークセンスがあるのね。」
オルコットはさっきまでの激昂はどこへやら嘲笑を浮かべている。
「そちらはハンデはいらないんですの?」
俺の方を向いて馬鹿にしたような態度で訊いてくる。ちょうどいい、ハンデを付けようと思ってたところだ。
「いや、『3分間』そっちのエネルギーが残っていたら、そっちの勝ちでいい。」
ここまで馬鹿にされたならハンデありで勝ってやるよ。
「『3分』か。ふっ、懐かしい時間だな」
千冬さんは昔を懐かしむように呟く。
「『3分』って確か星華様の最長試合時間じゃなかったっけ……」
「そうよ! 『瞬光の星華様』の試合時間よ!」
星姉は『3分』以内にすべての試合を終わらせていた。唯一、千冬さんとの試合はその間に終わらず星姉の『エネルギー切れ』で負け。
『3分』という時間は明星が最大出力で稼働できる最長の時間だ。そんな大出力を制御できるのは星姉か千冬さんぐらいしかいないだろうが。
「あ、あなたねえ! わたくしを馬鹿にしてますの!? そんな短時間で終わらせるなんて。」
「その台詞は試合の時にまた言ってもらおうか。3分間生き残れたら……な。」
俺は食ってかかってきたオルコットを軽く流す。
「さて話はまとまったな。それでは勝負は一週間後の月曜。一日を使って行い、その分の授業は後日補習を行う。他の者も実際の戦闘は参考になる。心して観戦するように。場所は第3アリーナだ。試合に出る者は各自準備をしておくように。それでは授業を開始する。」
千冬さんが手を叩いて話をまとめる。さて、操縦自体は何百時間もしてきたが、戦闘は初めてだ。月光の力を活かせるようにアリーナの使用許可でも貰っておくか。
最初オリ主は巻き込まれる形にするつもりでしたが、なぜかノリノリになってしまいました。
感想・コメント・指摘などお待ちしてます。
作者はメンタルが単純ですので一喜一憂しやすいです。