ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース   作:宇宙刑事ブルーノア

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第112話『アヒルの飛翔、サンショウウオの俊足です!』

『ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース』

 

第112話『アヒルの飛翔、サンショウウオの俊足です!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

漸く大洗機甲部隊との合流に成功した弘樹とみほだったが………

 

合流までの戦闘で、大洗機甲部隊の戦力は半減していた。

 

更に、頼みの綱であった航空支援も、敵の戦闘機部隊に阻まれ………

 

如何にか浴びせた爆撃は、限定的な損害しか与えられなかった。

 

再度の航空支援要請には時間が掛かる中、みほは大洗機甲部隊にとある場所まで移動する様に指示を出す。

 

その大洗機甲部隊を、ネフェティが戻ったクレオパトラ&スフィンクス機甲部隊は追撃する。

 

猛攻に曝されながらも移動を続ける大洗機甲部隊だったが………

 

このままでは全滅すると思ったアヒルさんチームとペンギンさん分隊………

 

そして、サンショウウオさんチームとタコさん分隊が………

 

クレオパトラ&スフィンクス機甲部隊の前に立ちはだかるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦車道・歩兵道全国大会の第6回戦の試合会場………

 

海に面した広大な海岸砂丘………

 

「食い止めるって!?………」

 

「駄目です! 皆さんも一緒に西へ移動して………」

 

「このままでは全滅してしまうぞ!!」

 

「!!」

 

沙織が驚きの声を挙げ、みほが再度の指示を出そうとしたところ、エースの叫びがそれを遮った。

 

『行って下さい、西住総隊長。私達の事は気にしないで』

 

続いて、サンショウウオさんチームのクロムウェルから、聖子がそう通信を入れて来る。

 

「でも!!………」

 

「総隊長はん。何や策が有るんやろ? それで移動を続けとったんとちゃうんかい?」

 

今度は大河が、みほの台詞を遮ってそう言う。

 

『西住総隊長とフラッグ車さえ生き残って居てくれれば、私達は勝てます! 総隊長の策が整うまでの時間は、私達が稼ぎます!!』

 

更に、アヒルさんチームの八九式から、典子がそう言って来る。

 

「「「「私達(ワイ等、我々)は、西住総隊長の事を信じています(とる、る)!!」」」」

 

そして最後には、4人揃ってそう言い放つ。

 

「皆さん………」

 

その言葉を聞いたみほは、一瞬躊躇する様な様子を見せたが………

 

「………お願いします。出来るだけ時間を稼いで下さい」

 

やがて、断腸の思いと言った表情で、アヒルさんチームとペンギンさん分隊、サンショウウオさんチームとタコさん分隊に指示を出したのだった。

 

「「「「了解っ!!」」」」

 

典子、聖子、大河、エースから勇ましい返事が返って来る。

 

「………残りの部隊は、引き続き西へ移動して下さい」

 

「「「「「………了解」」」」」

 

みほの命令に、少し間を開けて返事を返す大洗機甲部隊の一同。

 

「西住総隊長!」

 

とその時、聖子がみほに呼び掛けた。

 

「! ハイ!」

 

「御武運をっ!!」

 

「!!」

 

聖子の言葉にみほは驚き、言葉を失う。

 

それは、みほの方が聖子達に掛けなければいけない言葉であったにも関わらず、聖子の方がみほに言って来たのだ。

 

「………御武運を」

 

やがてみほは苦しそうにそう言い返し、大洗機甲部隊は離脱して行くのだった。

 

「さって………皆ぁっ! 行くよぉっ!!」

 

「俺の血潮が沸騰するぜっ!!」

 

「根性ーっ!!」

 

「大洗万歳やぁっ!!」

 

それを確認すると、聖子の号令で、サンショウウオさんチームとタコさん分隊、アヒルさんチームとペンギンさん分隊は、迫り来る3両のクルセーダーMk.Ⅲに向かって行った!!

 

 

 

 

 

「ん? コッチに向かって来る奴等が居るわよ?」

 

そこで、3両のクルセーダーMk.Ⅲ部隊の内、1両の車長が、サンショウウオさんチームとタコさん分隊、アヒルさんチームとペンギンさん分隊が向かって来るのを確認する。

 

「戦車が2両。クロムウェルと………八九式?」

 

別の車長が、向かって来る連中の戦車がクロムウェルと八九式である事を確認すると、首を傾げる様な仕草をする。

 

「クロムウェルは兎も角、八九式で戦う積りなの? 足止めの囮かしら?」

 

更に別の車長がそう推察する。

 

「全車、クロムウェルに注意。八九式は問題無いわ」

 

「「了解!」」

 

と、最初に報告を挙げた車長がそう指示を出すと、3両のクルセーダーMk.Ⅲは分かれ、サンショウウオさんチームとタコさん分隊、アヒルさんチームとペンギンさん分隊を包囲しようとする。

 

………が!!

 

「うおりゃああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」

 

唯の叫びが響き、クロムウェルが一気に加速したかと思うと、分かれようとしていたクルセーダーMk.Ⅲの1両に、体当たりせんばかりの勢いで迫る。

 

「なっ!? か、回避っ!!」

 

「クウッ!!」

 

車長の指示で、操縦手が慌てて左へとクルセーダーMk.Ⅲを転進させる。

 

直後に、僅か10cm横を、クロムウェルが砂塵を撒き上げて通過する。

 

「クッ! 小癪な真似を! 撃てっ!!」

 

「ハイッ!!」

 

既に砲塔を旋回していたクルセーダーMk.Ⅲが、通り過ぎたクロムウェルの背後を狙って発砲する。

 

「何のぉっ!!」

 

しかし、唯が叫びと共に車体を傾け、傾斜装甲の原理を利用して砲弾を弾く。

 

「撃てっ!!」

 

「ハイッ!!」

 

そして聖子が叫ぶと、優が主砲を発射する。

 

「! チイッ!」

 

狙われたクルセーダーMk.Ⅲは素早くバックして回避する。

 

とそこで、側面に砲弾が当たって弾かれる。

 

「なっ!?」

 

車内に走る振動に驚きながらもクルセーダーMk.Ⅲが何事かと確認すると、コチラに向かって主砲を次々に発砲しながら突っ込んで来る八九式の姿を確認する。

 

「撃て撃てぇーっ! 撃ち続けてればどんな分厚い装甲だって何時かは壊れる筈だぁっ!!」

 

「ハイ、キャプテンッ!!」

 

典子が装填する砲弾を、次々にクルセーダーMk.Ⅲ目掛けて発砲するあけび。

 

クルセーダーMk.Ⅲの車内では、まるでまるでドラム缶に入れられて殴られている様な音が鳴り響く。

 

「ぐああっ!? 耳がぁっ!?」

 

「このぉっ!! 時代遅れの化石戦車め!!」

 

罵声と共に、クルセーダーMk.Ⅲは八九式に向かって発砲する。

 

「サイドステップッ!」

 

「ハイッ!!」

 

しかし、典子の指示が飛ぶと、忍が見事な動きで、砲弾をかわす。

 

「!? 何っ!?」

 

「馬鹿な!? 何で八九式であんな動きが出来るんだ!?」

 

その様子を見ていたクルセーダーMk.Ⅲの乗員は、有り得ない動きをした八九式に驚愕する。

 

「ええいっ! 所詮は第二次世界大戦以前の日本戦車! 当てれば一撃だ!! 良く狙えっ!!」

 

「ハ、ハイッ!!」

 

しかし、すぐの気を取り直すと、集中して八九式を狙い始める。

 

「3号車! 横にクロムウェルッ!!」

 

「!?」

 

だが、別のクルセーダーMk.Ⅲからそう通信が入り、車長が慌ててキューポラの覗き窓から横を見やると、主砲を真っ直ぐに向けて突っ込んで来るクロムウェルの姿が飛び込んで来る。

 

「しまっ………」

 

「撃てぇっ!!」

 

た、と言い切る前に、至近距離にまで接近したクロムウェルが主砲を発射!!

 

砲弾は砲塔基部に命中し、一瞬の間の後、クルセーダーMk.Ⅲから白旗が上がった!!

 

「3号車がやられた!」

 

「ええい! 八九式には構うな! 先にクロムウェルを仕留めるぞっ!!」

 

そこで、残っていた2両のクルセーダーMk.Ⅲは、狙いをクロムウェルに定め、襲い掛かる。

 

「クルセーダー隊を援護しろっ!!」

 

更に、スフィンクス歩兵部隊からも、小隊規模の歩兵達が本隊より先行し、2両のクルセーダーMk.Ⅲを援護しようとする。

 

「やらせるかいっ!!」

 

「ココを通すワケにはいかん!」

 

しかし、大河率いるペンギンさん分隊と、エース率いるタコさん分隊の歩兵達が機関銃を中心に弾幕を張り、スフィンクス歩兵達の進軍を阻む。

 

その間、クロムウェルは2両のクルセーダーMk.Ⅲに追い掛け回される。

 

「クッ! 追い付かれる!」

 

「カタログスペックじゃコッチの方が速い筈なのに!」

 

「練度の差ですかね………」

 

カタログスペックの速度では勝っている筈なのに追い付かれそうになっているのを見て、唯、聖子、優がそう呟く。

 

「如何するんですの!? このままではジリ貧ですわ!!」

 

「でも、2対1じゃ反撃のしようがないですよ」

 

次弾を抱えている早苗がそう叫ぶが、明菜がそう返す。

 

「よし、良いぞ! このまま連携攻撃で追い詰めるぞっ!」

 

その様子を見て、1両のクルセーダーMk.Ⅲの車長はそう言い放つ。

 

「コラーッ! 私達を無視するなぁーっ!!」

 

とそこで、クロムウェルを追い掛け回す2両のクルセーダーMk.Ⅲの後ろから、典子の叫びと共に、八九式が迫る。

 

「後方より八九式が来ます!」

 

「放って於け! 行進間射撃じゃ当たらんだろうし、奴の主砲弾なら角度を着ければ軽く跳ね返せる筈だ!!」

 

1両のクルセーダーMk.Ⅲの車長がそう報告するが、もう1両のクルセーダーMk.Ⅲの車長はそう返す。

 

「撃てぇーっ!」

 

「ハイッ!!」

 

とそこで、典子の号令が響いて、あけびが主砲を発砲する。

 

だが、放たれた砲弾は、狙ったクルセーダーMk.Ⅲから僅かに逸れて外れる。

 

「駄目です、キャプテン! 当たりません!!」

 

「当たってもまた弾かれるかも………」

 

あけびがそう叫び、妙子が思わずボソリとそう呟く。

 

「クウッ! 如何すれば………」

 

典子は珍しく、悩む様な顔をしてそう呟く。

 

(いや! 悩む必要なんて無い! 私達はバレー部だ! バレー部だったら、こんな時は………)

 

しかしすぐにそんな事を思いやり、ふと行く手を見やると、とある物を発見する。

 

「! アレだっ! 妙子! サンショウウオさんチームに通信!」

 

「! ハイッ!」

 

それを見て、何かを思いついた典子は、すぐに妙子に命じてサンショウウオさんチームに通信を飛ばす。

 

『サンショウウオさんチーム! 右へ移動して下さい!』

 

「右に移動!? 何でですか!?」

 

『説明してる暇は無いよ! 兎に角すぐに右にっ!!』

 

「そ、そんな事を言われましても………」

 

「下手に方向転回をしたら、それこそ狙い撃ちにされる可能性があります」

 

「オイ、如何すんだ、車長!?」

 

右へ行けと言う指示のアヒルさんチームからの通信に困惑し、操縦手の唯は、聖子の判断を仰ぐ。

 

「………アヒルさんチームを信じよう! 右へ転回!」

 

そして聖子は、アヒルさんチームを信じ、右への転回を指示した!

 

「了解っ! こうなりゃ一か八かだっ!!」

 

それを受けて、唯はクロムウェルは右方向へと転回させる。

 

「右へ転回? 何を考えてるんだ?」

 

「チャンスだ! スピードが落ちたところを狙い撃つぞ!」

 

クロムウェルを追っていた2両のクルセーダーMk.Ⅲは、すぐに反応し、転回でスピードが落ちたところを狙い撃とうとする。

 

「忍! しっかり喰らい付け!」

 

「ハイ、キャプテンッ!!」

 

そんな2両のクルセーダーMk.Ⅲに喰らい付く八九式。

 

「砲を支えれば、戦車が揺れても照準は安定する! 気合入れてけぇっ!!」

 

「ハイッ!!」

 

典子の指示通り、あけびは片手式の主砲を全身を使ってしっかりと固定する!

 

「狙いは『アレ』だ!………今だ! 撃てっ!!」

 

「くうっ!」

 

タイミングを見計らったかの様に指示を出した典子に従い、あけびがトリガーを引く。

 

八九式の主砲から再び砲弾が放たれるが、それはクルセーダーMk.Ⅲが居る方向とはまるで別の方向に飛んで行く。

 

「馬鹿めっ! 何処を狙って………」

 

と、1両のクルセーダーMk.Ⅲの車長がそう言い掛けた瞬間………

 

『外れた筈の八九式の砲弾』が、彼女のクルセーダーMk.Ⅲの右履帯部分に命中した!

 

「なっ!?」

 

「り、履帯破損! 走行不能っ!!」

 

驚く車長に、操縦手がそう報告する。

 

「やったっ!」

 

「Bクイック成功っ!!」

 

それを見て歓声を挙げるあけびと典子。

 

2人の視線は、『何かが当たって一部が弾け飛んだ岩』に向けられている。

 

そう………

 

実は先程撃った砲弾は、この岩に命中し、跳弾となってクルセーダーMk.Ⅲに命中したのである。

 

かなりの練度が無ければ出来ない芸当であり、バレー部の技量の高さが改めて浮き彫りとなった。

 

「! 敵1両走行不能! チャンスだよ!!」

 

「よっしゃあっ! うおおおっ!!」

 

それを確認した聖子が声を挙げると、唯はクロムウェルをスピンさせる様に反転させる!

 

「! こ、このぉっ!!」

 

残っていた1両のクルセーダーMk.Ⅲが発砲するが、砲弾は僅かに逸れる。

 

その間に、クロムウェルは動けなくなった方のクルセーダーMk.Ⅲへ接近する。

 

「ク、クロムウェル接近!」

 

「! 主砲照準っ!!」

 

「りょ、了解っ!!」

 

クロムウェル接近の報告を受けて、動けなくなったクルセーダーMk.Ⅲの車長は慌てて攻撃を指示する。

 

突っ込んで来るクロムウェルに対して照準を合わせる動けなくなったクルセーダーMk.Ⅲの砲手だったが………

 

「させませんっ!!」

 

優がそう叫んだかと思うと、クロムウェルの主砲が動けなくなったクルセーダーMk.Ⅲを跳ね上げる様にして、その下へと潜り込む!

 

「!? なっ!?」

 

「目標砲塔基部! 撃てぇっ!!」

 

「ハイッ!!」

 

動けなくなったクルセーダーMk.Ⅲの砲手が仰天の声を挙げた瞬間に、クロムウェルが発砲!

 

砲弾は動けなくなったクルセーダーMk.Ⅲの砲塔基部に命中。

 

2両が一瞬爆煙に包まれたかと思うと、それが晴れた瞬間に、動けなくなったクルセーダーMk.Ⅲから白旗が上がった!

 

「やったっ!………!? キャアッ!?」

 

思わず歓声を挙げる聖子だったが、その瞬間に振動がクロムウェルを襲う!

 

「オノレェッ! よくもぉっ!!」

 

それは、残った最後のクルセーダーMk.Ⅲの体当たり攻撃だった!

 

「しまった! 組みつかれた! 動けねぇぞっ!!」

 

「主砲旋回、間に合いませんっ!!」

 

「!?」

 

唯と優からそう声が挙がり、聖子は思わずキューポラの覗き窓越しに組みついて来たクルセーダーMk.Ⅲを見据える。

 

「終わりだっ!!」

 

そしてクルセーダーMk.Ⅲは、クロムウェルの砲塔基部に主砲の狙いを付ける。

 

だが、その瞬間っ!!

 

「そーれっ!!」

 

「「「そーれっ!!」」」

 

そう言う叫びと共に、クロムウェルに組み付いて居たクルセーダーMk.Ⅲに、八九式が体当たりを噛ましたっ!

 

「!? うわっ!? ええい! またか! 八九式めっ! だが、重量はコチラの方が上だ! ダメージは無いぞっ!!」

 

車内に走った振動に一瞬よろめくクルセーダーMk.Ⅲの車長だったが、ダメージが無いのを確信してそう言い放つ。

 

しかし………

 

「「「「根性ぉーっ!!」」」」

 

アヒルさんチームの面々はそう叫んで、八九式のエンジンを全開にしてクルセーダーMk.Ⅲを押し続ける!!

 

すると、何と!

 

クルセーダーMk.Ⅲが、斜めに傾き始めた!

 

「なっ!? ば、馬鹿な!? 八九式の何処にこんな力がっ!?」

 

クルセーダーMk.Ⅲの車長が驚愕している間にも、クルセーダーMk.Ⅲはドンドン傾いて行き、とうとう最も装甲が薄い底面部を、押している八九式に曝す!

 

「今だ!!」

 

「「「アターックッ!!」」」

 

その底面部目掛け、零距離からタ弾を放つ八九式。

 

クルセーダーMk.Ⅲの底面部で爆発が起こり………

 

一瞬の間の後に、上部から白旗が飛び出す。

 

「やったーっ!」

 

「やりましたっ!」

 

「凄いっ!」

 

「コレがバレー部の底力だぁっ!!」

 

八九式の中では、あけび、忍、妙子、典子がお祭り騒ぎ状態となる。

 

「やったーっ! アヒルさんチーム、凄いっ!!」

 

と、やっとの事で擱座から抜け出したクロムウェルの中でも、聖子がキューポラ越しに八九式を見やりながらそう言う。

 

その次の瞬間!!

 

八九式の側面に砲弾が命中っ!!

 

余りの威力と衝撃に、右側の履帯と転輪は全て弾け飛び、八九式自体も宙に舞い、横に一回転半して、上部から砂上に叩き付けられた。

 

そして、底面部より白旗が上がる。

 

「!?」

 

聖子はすぐさま、八九式を撃破した砲弾が飛んで来た方向を見やる。

 

そこで砲口から硝煙を上げていたのは、やはりティーガーⅠだった。

 

「! ティーガー! 優ちゃん! 撃ってっ!!」

 

「! ハ、ハイッ!!」

 

すぐさまクロムウェルの主砲をティーガーⅠに向かって放つ。

 

だが、砲弾はガキィンッ!と言う甲高い音と共に明後日の方向に跳ね返る。

 

その間に、ティーガーⅠの主砲がクロムウェルに向けられた。

 

「! 避け………」

 

て、と言おうとした瞬間には、ティーガーⅠの主砲は火を噴き、クロムウェルに直撃!

 

衝撃でクロムウェルが僅かに後退したかと思うと、撃破の白旗が上がる。

 

「!? アヒルさんチームとサンショウウオさんチームがっ!?」

 

「しまったっ!?」

 

その光景を目撃した大河とエースからそう声が挙がる。

 

「ネフェティ総隊長。残った歩兵は我々が片づける。総隊長殿は大洗の本隊を」

 

「頼んだぞ」

 

そこで、クレオパトラ&スフィンクス機甲部隊は、残ったペンギンさん分隊とタコさん分隊の相手となる歩兵達を残し、大洗機甲部隊本隊の追撃を続ける。

 

「チイッ! 待てぃっ!!」

 

「貴様等の相手は俺達がしてやる!」

 

大河達は追い縋ろうとしたが、その前にアナコンダが率いるスフィンクス歩兵部隊が立ちはだかる。

 

『八九式、クロムウェル撃破! 大洗機甲部隊の戦力は益々低下しています!!』

 

『う~ん、流石に今回ばかりは如何にもならないですかねぇ………』

 

ヒートマン佐々木とDJ田中の実況も、何処か大洗に諦めを感じ始めていた………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させていただきました。

足止め部隊の内、アヒルさんチームとサンショウウオさんチームの戦闘の様子をお送りしました。
特に奮戦を見せたのがアヒルさんチーム。
戦車の性能が低いのを、技術とチームワーク、そして根性でカバーしての大活躍です。
しかし、ティーガーⅠの前に2両とも撃破されてしまう………
次回はペンギンさん分隊とタコさん分隊の戦闘の様子をお送りします。

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

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