ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース   作:宇宙刑事ブルーノア

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第122話『サバイバル・ウォーです!(パート6)』

『ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース』

 

第122話『サバイバル・ウォーです!(パート6)』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東富士演習場での合宿を始めようとした大洗機甲部隊は………

 

トラブルから食材を喪失し、サバイバルよろしく現地調達を迫られた。

 

その最中に………

 

牧場から逃げ出した牛を追って来たアメリカ人の少年・『オリバー』が現れる。

 

何と、オリバーはジェームズの親友であり、走りの師匠であった。

 

そして………

 

彼は今、西部学園で歩兵道をしていると言い残して去って行った。

 

親友であり師匠であるオリバーとの戦いに、ジェームズが闘志を燃やす中………

 

合宿1日目の夜が過ぎようとしていた………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東富士演習場の一角………

 

大洗機甲部隊の宿営地にて………

 

「「「「「「「「「「御馳走様でしたーっ!!」」」」」」」」」」

 

夕食が終わり、皆が一斉にそう声を挙げる。

 

「あ~、食った食った~」

 

「キャンプで、しかも現地調達した食材でこんなに美味しい料理が食べられるとは思わなかったなぁ」

 

「コレも角谷会長とゾルダートさんのお蔭ですね」

 

爪楊枝を口に咥えている大河がそう言うと、武志と逞巳もそう声を挙げる。

 

「いや~、ハッハッハッ!」

 

「喜んで頂けた様で何よりだ」

 

それを聞いて呵呵大笑する杏と、笑みを浮かべるゾルダート。

 

「よおし、全員で後片付けだ!」

 

「それが終わったら、お楽しみのキャンプファイヤーだよぉっ!!」

 

と、弘樹がそう号令を掛けると、聖子が補足する様にそう言って来る。

 

「お~! 良いね、キャンプファイヤー!」

 

「やっぱり定番はオクラホマミキサーだよな!」

 

「マイム・マイムもだろう」

 

キャンプファイヤーと聞いた磐渡、重音、鷺澪がテンションが上がった様子を見せる。

 

「女の子の手を堂々と握れる………グヘへへへへ」

 

「了平、その顔を止めないと親友止めますよ」

 

そしてまたも良からぬ想像に走って法律違反な顔になる了平に、楓が厳しくそう言い放つ。

 

「急いで片付けよう!」

 

「キャンプファイヤー、楽しみ!」

 

「コレそっちやってえ」

 

「洗ったやつ、此処ね~」

 

と、キャンプファイヤーが楽しみな男子・女子の1年生組が、率先して片付けを始める。

 

「おっと、1年生ばかりにやらせておけねえな」

 

「私達も早く片付けましょう」

 

それに触発された様に、他のメンバーも手早く食事の後片付けを済ませて行くのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数10分後………

 

キャンプファイヤー会場………

 

集まった大洗機甲部隊の面々の中心では、井の時に組み上げられた丸太が、大きな炎を上げて燃えている。

 

そして、誰かが持って来たラジカセから、『オクラホマミキサー』が再生され、炎を囲んでフォークダンスを楽しんでいる。

 

「良いな~………」

 

「早く出番来ないかなぁ~………」

 

しかし、女子の人数が40人ぐらいなのに対し、男子側が1000人近く居る為、殆どの男子は周りで待機し、一踊り終わった者との交代を待ちわびている。

 

「フォークダンスなんて小学校以来だな」

 

「久しぶりにやると楽しいねえ」

 

昔にやった事を思い出しながら、卒なく踊っている地市と沙織。

 

「ったく、何でこんなガキ臭い事………」

 

「まあまあ、神狩殿。コレも思い出であります」

 

不満そうな白狼を宥めながら、ややリードして踊っている優花里。

 

「身体を動かすのは得意じゃないんだが………」

 

「さっさと寝たい………」

 

共にダウナーな状態で踊りながら、ブツブツと不満を露わにしている煌人と麻子。

 

「うふふ、お上手ですね、飛彗さん」

 

「華さんこそ」

 

若干イチャついてる様子を見せながら、軽やかなに踊って見せている華と飛彗。

 

美女と美男子の組み合わせの為、絵的にも映えている。

 

「っと、すまない。間違えた」

 

「う、ううん! 私もちょっと間違えちゃったから! 大丈夫だから! 気にしないで!」

 

そして、生来の不器用さに加え、慣れない事をしているので、何度も手順を間違える弘樹と、緊張の余りに動揺しまくり、同じ様に何度も手順を間違えるみほ。

 

見ていてかなり初々しい様子である。

 

事実、弘樹とみほの様子を見ている周りの人間は、全員が優しい笑みを浮かべていた。

 

「………リア充、爆発しろ」

 

………只1人、了平だけが血涙を流しながら呪詛の様にそう呟いている。

 

盛り上がりを見せる中、サンショウウオさんチームの臨時キャンプライブも行われ、大洗機甲部隊の一同は、楽しいレクリエーションの時間を過ごして行ったのだっだ………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、キャンプファイヤーが終わり、後片付けが済むと………

 

「後は寝るだけかぁ~………やっぱりシャワーくらい浴びたいなぁ」

 

沙織がふと、そんな言葉を漏らした。

 

「キャンプですから、流石にそれは無理かと」

 

「大丈夫ですよ、少しくらい」

 

「もう! ゆかりんも女の子なんだからそう言うのは気にしないと駄目だよ!」

 

華と優花里がそう返して来ると、沙織は反論する。

 

(こういう小さな事を気にするのから、女子力は上がってくんだから)

 

(! そうなのでありますか! 勉強になりました!!)

 

更に優花里の方には、小声でそうアドバイスする。

 

「この後も暫くお風呂無しの生活なんでしょ? 匂い付いちゃうよ~」

 

「確かに、お風呂は入りたいかも………」

 

「よし! 温泉を掘ろうよ!!」

 

「いや、無理だって………」

 

と、沙織の言葉を皮切りに、他の戦車チームからも風呂に関する話が出始める。

 

するとそこで………

 

「すまない。少し良いかね?」

 

そんな戦車チームの面々に、敏郎が声を掛けて来た。

 

「あ、真田さん」

 

「どしたの? 整備部長」

 

それに気づいたみほと杏が返事を返す。

 

「戦車チームの皆に見せたいモノがあってね。ちょっと一緒に来てもらいたいんだが………」

 

「見せたいモノ?」

 

「「「「「「「「「「??」」」」」」」」」」

 

敏郎にそう言われ、戦車チームの面々は首を傾げながらもその後に付いて行った。

 

 

 

 

 

宿営地から少し離れた場所………

 

「真田さん、見せたいモノってなんですか?」

 

「………アレだ」

 

みほがそう尋ねると、敏郎はそう言って前方を指差した。

 

そこに在ったのは………

 

「! アレは!?」

 

「陸上自衛隊の『野外入浴セット2型』ですっ!!」

 

それを見た優花里が、興奮した様子でそう声を挙げる。

 

そう、それは自衛隊の装備で、主に災害派遣時に野外で軽易に入浴を実施する装備品………

 

『野外入浴セット2型』だった。

 

御丁寧に、入り口には『富士演習場の湯』と書かれた暖簾が掛けられている。

 

「藤林教官が特別に貸し出してくれていたんだ。年頃の女の子が何日も風呂無しはキツいだろうと言ってな」

 

「皆様方~! 準備は万全! 良い湯加減ですよ~!」

 

敏郎がそう説明していると、暖簾を潜って現れた藤兵衛がそう言う。

 

「やった~っ! ありがとう、藤林教官っ!!」

 

「素敵っ!!」

 

「神様、仏様、藤林様~っ!!」

 

「御姉様と呼ばせて~っ!!」

 

途端に、大洗戦車チームの面々からは空に対する感謝感激の声が挙がる。

 

「わあい! お風呂だ~!」

 

「私が1番~」

 

「あ、ズルイ~! 私が1番だよ~!」

 

そして、一斉に野外入浴セット2型の方へ向かって行く。

 

「喜んでもらえたみたいっすね」

 

「ああ、藤林教官には改めて感謝を伝えておかないとな………さ、我々は例の物の整備の続きだ。明日の演習で早速使うからな」

 

それを見送った後、藤兵衛と敏郎は自分達の整備テントへと向かって行った。

 

「………フフフフフフ」

 

と、その一連の様子を、茂みの中から覗いていた謎の影………

 

「野外入浴セット………藤林教官、ホントに良い物をくれたぜ」

 

了平だ。

 

その顔は、露骨に不埒な事を考えている顔だった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大洗歩兵部隊の宿営地の1つのテントの中にて………

 

「ええっ!? ノゾキィッ!?」

 

「シイッ! 声がデカイッ!!」

 

了平によって集められた歩兵部隊の一部の面子が、了平の言葉を聞いて驚きを露わにする。

 

「いや、幾らなんでもそれは………」

 

「犯罪ですよ」

 

「何言ってんだお前等! こんな近くで女子達が風呂に入ってるんだぞ! 寧ろ覗かない方が失礼ってもんだろっ!!」

 

尻込みする面々に、了平は演説する様にそう言い放つ。

 

「如何考えても覗く方が失礼だと思いますよ………」

 

「チイッ! 分かってねえなぁ、お前等」

 

煮え切らない様子の隊員達に、頭をガシガシと掻く了平。

 

「想像して見ろ、お前等! 戦車チームの艶姿………入浴シーンをよぉっ!!」

 

「艶姿………」

 

「入浴………」

 

そう言われて、思わず想像を掻きたててしまう隊員達。

 

途端に、悶々とした思いが込み上げて来る。

 

「………良いかも」

 

「だろう! だったらやってやろうじゃねえか! なあに、今の俺達の技術なら、バレないで覗くぐらい朝飯前よ! だからよぉ、ちょっとだけ………な」

 

そんな隊員達に、了平は更に誘惑の言葉を掛ける。

 

「そ、そうですね………」

 

「ちょ、ちょっとだけなら………」

 

「バレなきゃ良いんですしねぇ」

 

(勝ったっ!!)

 

そして遂に乗り気になり始めた隊員達の様子を見て、了平は内心で満面の笑みを浮かべてガッツポーズを決めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

野外入浴セット2型が設置されている場所へと続く茂み………

 

「此方コットンリーダー………各員、状況報告せよ」

 

「α隊、準備良し」

 

「β隊もOKです」

 

ギリースーツ姿で、御丁寧にフェイスペイントまで施した了平が、茂みの中を音を立てない様に匍匐しながら、同様の恰好で随伴している隊員達にそう尋ね、そう言う返事を聞く。

 

「よおし、先ずγ隊が先行する。そしたら今度は俺達の番だぞ………グヘヘヘヘヘ」

 

最早完全にアウトな笑い顔でそう呟く了平。

 

と、そこで、γ隊の面々が戻って来た。

 

「アレ? もう戻ったの? 早くない?」

 

早々と戻って来たγ隊の面々に、了平が首を傾げていると………

 

「だ、駄目です! ノゾキは不可能です!」

 

γ隊の隊員が、青褪めた顔でそう告げて来た。

 

「はあっ!? 何でだよっ!? パラダイスを目の前にオメオメと帰れってのか!?」

 

それを聞いた了平は、憤慨した様子を見せる。

 

「そ、そう言われても………御自分の目で確認して下さい」

 

「ああ? 何だってんだよ、ったく………」

 

続けてそう言われると、了平は隊員達を伴い、野外入浴セット2型が設置されている場所の近くまで前進すると、茂みの中から様子を覗き見た。

 

するとそこには………

 

「「「「「…………」」」」」

 

四式自動小銃を携えて歩哨を行っている弘樹。

 

同じく、煉獄を携えて辺りを警戒している熾龍。

 

腕組みをして仁王立ちしている小太郎。

 

愛馬シュトゥルムに跨り、辺りを見回っているゾルダート。

 

無言でモシン・ナガンM28に装弾を行っているシメオン。

 

ブローニングM1919重機関銃を腰だめに構えているシャッコー。

 

野戦砲を野外入浴セット2型の周囲に並べ、風紀委員の隊員達と共にメガネを光らせている紫朗。

 

ラハティL-39対戦車銃を両手に持って構えている陣と言った………

 

野外入浴セット2型を護衛している面々の姿が在った。

 

「…………」

 

了平は無言で隊員達と共に茂みの中へと引っ込む。

 

(んだよ、アレッ!? 何だよ、あの鉄壁布陣っ!?)

 

(如何やら、会長閣下が真面目な人達に依頼したみたいで………)

 

小声ながらも相当焦った様子でそう呟く了平に、隊員の1人がそう答える。

 

(クッソ~ッ! 俺達の行動を読まれてたのか!!)

 

(やっぱりココは諦めて帰りましょうよ。相手があの面子じゃ絶対勝てませんって)

 

諦めようと了平に進言する隊員の1人。

 

(いや! こうなれば玉砕覚悟の突撃だっ!!)

 

了平は一同に向かってそう言い放った。

 

(!? ええ~~っ!?)

 

(本気ですか!?)

 

(当たり前だ! 覗かずに逃げ帰るか、覗いて死ぬかと問われれば、俺は後者を選ぶっ!!)

 

(その熱意を少しでも歩兵道に向けて下さいよ………)

 

覗きに対し命を懸けると言う了平の態度に、隊員達は呆れ果てる。

 

(イザ行かんッ! パラダイスへと!!)

 

「ほお~~? パラダイス? 素晴らしい響きの言葉じゃないですかぁ~」

 

(当たり前よ! デカイ山有り、際どい谷有りの桃源郷………えっ?)

 

とそこで、不意に非常にねちっこく、低音でうねる様な声がして、了平が振り返ると、そこには………

 

「良い夜だな、不埒者共………」

 

目を光らせ、口から吐息を煙の様に漏らして、両手に銃剣(バイヨネット)を握っている………太田 竜作の姿が在った。

 

「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」

 

了平達の顔が、真っ青を通り越して真っ白くなる。

 

「我等歩兵は神の代理人………神罰を執行する地上代行者………我等が使命は………我が神に逆らう愚者を………その肉の最後の一片までも絶滅する事………エェェェェェイメェェェェェンン!!」

 

竜作がそう叫びを挙げて、了平達に襲い掛かった!!

 

「「「「「「「「「「ギャアアアアアアアアァァァァァァァァァーーーーーーーーーーッ!?」」」」」」」」」」

 

………余りに残酷なシーンの為、描写をカットさせていただきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

野外入浴セット2型の内部………

 

「………うん?」

 

湯船に浸かっていたみほが、何かに気付いた様に声を挙げる。

 

「みぽりん? 如何かしたの?」

 

「今何か………悲鳴みたいな声が聞こえた様な気が………」

 

「気のせいですよ、きっと」

 

沙織が尋ねると、みほはそう答えるが、華が気のせいだと言う。

 

「………そうだね。良く聞こえなかったし」

 

そう言われてみほは、気のせいだと納得するのだった。

 

 

 

 

 

「ねこにゃーさんってメガネ取るとホント美人ですよね」

 

洗い場で身体を洗っていた聖子が、同じ様に隣で身体を洗っていたねこにゃーにそう言う。

 

「えっ!? そ、そうかな?………」

 

「そうですよ~。今度からコンタクトにして見たら如何です?」

 

「い、いや、コンタクトって何か怖いし、メガネ無いと上手く人と話せないから………」

 

「え~、勿体無いですよ~。スタイルも結構良いのに………」

 

「ス、スタイルって………」

 

と、聖子がねこにゃーが泡に包まれているねこにゃーの身体を見ながらそう言っていると………

 

「う~ん………またおっきくなったかなぁ………ブラ新調しないと………」

 

近くに居た柚子が、胸を寄せて上げながらそんな事を呟く。

 

「「…………」」

 

それを聞いた2人は一瞬顔を見合わせた後、自分達の胸を見て………

 

「「………ハアア~~」」

 

深く溜息を吐いたのだった。

 

「………それだけあって悩むなんて贅沢よ」

 

しかし、そんな2人の様子を見た忍が、恨みがましそうな目で睨み付けていたのだった。

 

 

 

 

 

「皆で風呂に入ると楽しいね~」

 

大人数で入浴している様子を、風呂の縁に座って眺めながら楽しんでいるホシノ。

 

………タオルを巻いていないので、色々と丸見えである。

 

「ホシノ~。少しぐらい隠そうとしなよぉ」

 

「え~、別に良いじゃん。女同士なんだからさぁ」

 

やんわりと注意するナカジマだが、ホシノは何処吹く風である。

 

「そうそう! 裸の付き合いにタオルなんざ無粋ってもんだぜ!」

 

とそこで、風呂から上がった唯が、手拭いの水気を股下で叩いて払いながらそう言って来る。

 

「「それはやっちゃいけないっ!!」」

 

「うわぁっ!? な、何だよ!?」

 

途端に、ナカジマ、ホシノからのツッコミが飛ぶのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

外の喧騒も知らず、和気藹々とした雰囲気で入浴を楽しんでいる大洗戦車チームの面々だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、入浴タイムは無事終了。

 

みほ達と弘樹達は其々の宿営地へと帰還し、各々のテントへと入って、就寝となった。

 

 

 

 

 

小1時間後………

 

「………眠れないなぁ」

 

環境が変わったからか、中々眠れないみほがテントの中で身を起こす。

 

「う~ん………遂に私にもモテ期が………」

 

「朝が来ない………何て素晴らしいんだ………」

 

「今度は………どんな花を活けましょうか………」

 

「おお~………アレが噂の………海軍十二糎自走砲………キングチーハーでありますかぁ~………」

 

周りでは、沙織、麻子、華、優花里が楽しそうな笑顔を浮かべて寝言を呟いている。

 

「………ちょっと外の空気を吸おうかな」

 

と、みほはそんな沙織達を起こさない様にしながら、テントの外へと出る。

 

「うわぁ………星が落ちて来そう」

 

空には満天の星空が広がっており、みほは思わずそう呟く。

 

「明日も良い天気になりそうだな………うん?」

 

するとそこで、懐中電灯を片手にコチラに向かって歩いて来る人影が有る事に気付くみほ。

 

「………みほくん? 起きてたのか?」

 

それは、戦闘服姿で武装した弘樹だった。

 

「弘樹くん。如何したの? そんな恰好で?」

 

「見回りだ。昼間にイノシシを見たからな。野生動物が此処まで現れないとは限らない。一応の用心にな」

 

みほが尋ねると、弘樹はそう返す。

 

「そうだったんだ」

 

納得が行った様な表情となるみほ。

 

女子側の宿営地の方をウロついていたと言われれば、普通は有らぬ疑いを掛けられてしまいそうなものだが、みほは弘樹に限ってそれは無いと断言出来る為、そう思う事はなかった。

 

「それにしても………綺麗な星空だな」

 

とそこで、弘樹の方も星空を見上げてそう言う。

 

「ホント、学園艦の上で見る星空とは違った良さが有るよね」

 

「うむ、この星空は故郷を思い出す」

 

「そんなに経ってない筈なんだけど、何だか凄い昔の事みたい思えるなぁ」

 

以前、弘樹の故郷で天竺ジョロキア機甲部隊と試合した事を思い出しながら、そう言うみほ。

 

「アレから色々有ったからな。小官も大分昔の事の様に感じているよ」

 

「………弘樹くん」

 

「うん?………」

 

「私最近、こう思える様になってきたんだ………今の私が有るのは、西住流が………ううん、戦車道があったからだって」

 

「うむ………」

 

「戦車道があったから、沙織さんや華さん、優花里さんや麻子さん、戦車チームや歩兵部隊の皆さん………それに」

 

そこでみほは弘樹の方を見たが、すぐの恥かしそうに視線を反らす。

 

「ひ、弘樹くんにも出会えたから………」

 

消え入りそうな声でそう呟くみほ。

 

「………そうか」

 

しかし、弘樹には聞こえていた様で、そう言う返事が返って来る。

 

「実はな………小官も最近、少し思い始めていた事があってな」

 

「えっ?………」

 

「小官は只管に歩兵道をやってきた。それが当然だと思っていた。或いは血の影響だとな………だが、本当は………」

 

とそこで、弘樹はみほの事を見据える。

 

「………君に逢う為に、やっていたのではないかとな」

 

そして星明りに照らされた状態で笑みを浮かべ、そう言い放った。

 

「!?!?」

 

「いや、すまない………小官らしからぬ事を言ってしまったな。忘れてくれ」

 

みほは一瞬で茹蛸の様に真っ赤になって頭から煙を噴き出すが、弘樹は柄にもない事をしたと言う。

 

「じゃあ、見回りの続きがあるのでな、失礼するよ。お休み」

 

「お、お休み………」

 

そこでみほは真っ赤な顔のままテントの中へと戻り、弘樹は見回りの続きへと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あんこうチームのテントの中………

 

(うう~~~っ! 益々眠れなくなっちゃったよ~っ!!)

 

真っ赤な顔のままのみほが、頭まで布団を被って必死に寝ようとしているが、その度に先程の弘樹の言葉と姿が反芻され、眠る事が出来ない。

 

結局………

 

そのままみほは、一睡も出来ずに夜を明かしたのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オマケ

 

ボトムズの幻影篇1話のPV(桑島法子バージョン)を見ていて、ちょっと思いついたボイゾル版

 

 

 

 

 

語り:地市と沙織の娘(CV:桑島法子)

 

石上 地市、石上 沙織………(BGM:Enter Enter MISSION!オルゴール版)

 

私の父と母だ。

 

2人が同窓会に出かける。

 

グロリアーナ&ブリティッシュ、サンダース&カーネル、アンツィオ&ピッツァ、プラウダ&ツァーリ、黒森峰………

 

甘酸っぱい青春の思い出が蘇るOur School class Reunion

 

でも、2人の心の中には、『あの2人』の面影が在るらしい………

 

『あの2人』って誰?(ココから『炎のさだめ』がサビ部分からフェードイン)

 

華小母さんも、飛彗小父さんも、『あの2人』を特別視する。

 

何で皆『あの2人』を求めるの?

 

『あの2人』って何?

 

でも私も、戦場の光と炎を映し出す様な瞳が気になる………

 

あんこうの描かれた後ろ姿が気になる………

 

私も、あの2人の後を追いたい………

 

少しでも、あの2人の事が分かるなら………

 

『ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース 幻影篇』

 

あの2人の名………

 

『西住 みほ』

 

そして………

 

『舩坂 弘樹』




新話、投稿させていただきました。

夕食の後は皆でキャンプファイヤー。
そして女子は癒しの入浴………
しかし、それを覗こうとする不埒者が………
だが、呆気無く成敗されたのだった(笑)

お約束通り、サービスシーンをお届けしました。
ホントちょっとですが、私の貧相な脳味噌ではコレが限界で………
戦闘シーンとかのアイデアならスラスラ出て来るんですが(爆)

最後にイチャラブもありつつ、次回より西部戦へストーリーが向かいます。

そして今回のオマケ。
幻影篇のPV見てたら書いてみたくなりまして………
飽く迄オマケですので、軽く流して下さい。

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

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