ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース   作:宇宙刑事ブルーノア

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第138話『歩兵部隊、奮戦せよです!』

『ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース』

 

第138話『歩兵部隊、奮戦せよです!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カモさんチームの犠牲がありながらも、ジャンボを相討ちに持っていたカバさんチーム。

 

ウサギさんチームも、レオポンさんチーム脱落と主砲破損の状況にも関わらず………

 

梓の冷静な判断でのショットトラップ戦法により、ノーラのM4A3を撃破。

 

ジェームズとオリバーの師弟対決も、ジェームズの勝利で幕を閉じた………

 

だが………

 

まだ勝負はどう転ぶか、分からなかった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第7回戦の試合会場………

 

和製西部劇の撮影所・西部の街並みのセットが在るエリア………

 

教会が在る、通路が複数伸びている広場………

 

「喰らえっ!!」

 

隆太がそう叫び、バズーカの引き金を引く。

 

白煙の尾を引いたロケット弾が、M4A3の側面に命中!

 

派手な爆発が起きたかと思うと、M4A3から白旗が上がる。

 

「味方戦車、沈黙!」

 

「シロミさん! 戦車部隊の残りは私達だけです!!」

 

「分かってる! 10時方向! 撃てぇっ!!」

 

通信手と装填手からの報告にそう怒鳴り返しながら、砲手に10時方向への砲撃を命じるシロミ。

 

「発射っ!」

 

その命令にしたがって、10時方向へ砲撃を行う砲手。

 

「ハッズレ~!」

 

しかし、標的であった走っている38tには当たらず、手前に着弾する。

 

「クッ! チョロチョロと!!………」

 

「よおし! 護衛車輌も居なくなったし、そろそろ決めようかぁ!」

 

と、シロミが愚痴る様に呟いた瞬間、杏が勝負に出ると宣言する。

 

「小山! 次の砲撃をかわしたら一気に後ろに回り込め! 零距離で決めるぞっ!!」

 

「ハイッ!!」

 

杏からの指示を受けて、柚子は38tをイージーエイトに接近させる。

 

だが、その時!!

 

突然38tの車体がガクリと揺れたかと思うと、速力が一気に落ち始める!!

 

「!?」

 

「オイ、柚子っ! 停まるなっ!! 狙われてるんだぞっ!?」

 

「わ、私じゃないよ!? アクセルは目一杯踏んでるんだよ!?」

 

杏が驚きを露わにし、桃がそう怒鳴るが、柚子は自分は何もしてないと返す。

 

「ひょっとして………あの時のが!?」

 

そこで蛍が、T28撃破に赴いた時、坑道内で大ジャンプをした事を思い出してそう言う。

 

如何やら、応急修理だけでは補いきれない損傷が有り、最悪な事にその傷が今のタイミングで開いてしまった様である。

 

「車体のトラブルみたいね………けど、容赦はしないよ」

 

そう言うシロミのイージーエイトは、既に38tに狙いを定めていた。

 

「! クウッ!!」

 

杏は攻撃を反らせようと、38tの主砲を発砲する。

 

しかし、その砲弾は無慈悲にもイージーエイトの防盾に当たって弾かれる。

 

直後にイージーエイトが発砲!

 

速力が下がった38tはかわせず、側面に直撃を貰う!!

 

一瞬車体が浮かび上がると、そのまま横倒しとなり、側面部から白旗が上がる。

 

「や~ら~れ~た~!」

 

「うわあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!! 御終いだあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!!」

 

杏の間延びした声と、桃の絶望に満ちた悲鳴が響き渡る。

 

「!? カメさんチームが!?」

 

「クッ! 拙いぞっ!!」

 

俊と十河が慌てた様子を見せる。

 

「アリクイさんチーム! 上田くん! 君達でイージーエイトを狙ってくれ!!」

 

しかし、迫信はすぐに、通路の1つを封鎖していたアリクイさんチームと、8.8 cm PaK 43に付いて居る紫朗達に指示を飛ばす。

 

「了解! 目標、イージーエイトだっ!!」

 

先に動いたのは紫朗。

 

風紀委員の砲兵達に指示し、8.8 cm PaK 43をイージーエイトへと向けさせる。

 

「!? 上田さん! 後ろっ!!」

 

「!? 何っ!?」

 

だがそこで、三式のねこにゃーからそう声が挙がり、紫朗が後ろを振り返ると、そこには………

 

「今更気づいても遅いぜ!」

 

何時の間にか背後に現れていたレオパルド、サーバル、カルカラの姿が在り、3人が一斉にマークⅡ手榴弾を投擲した!

 

「「「「「うわああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!!」」」」」

 

3発の手榴弾が一斉に炸裂し、8.8 cm PaK 43は破壊され、付いて居た砲兵達も吹き飛ばされる。

 

「う、上田さんっ!」

 

「クッ! すまない………ココまでの様だ」

 

ねこにゃーが叫ぶと、爆煙が晴れて、戦死判定を受けている紫朗の姿が明らかになり、そう言って来た。

 

「も、ももがーさん! 急速旋回! ぴよたんさんも砲塔旋回!!」

 

「りょ、了解モモ!」

 

「了解ぴよ!」

 

すぐにねこにゃーは、三式の車体と砲塔をレオパルド達の方へと向ける様にももがーとぴよたんに指示する。

 

「!? 待て、アリクイさんチーム! 狙われているぞっ!!」

 

「えっ!?」

 

だがそこで秀人のそう言う声が飛び、ねこにゃーがキューポラ越しに見やると、何時の間にか三式に主砲を向けているイージーエイトの姿が目に飛び込んで来る。

 

「!? しまっ………」

 

た、と言い切る前に、イージーエイトが発砲。

 

76.2mm砲弾が、薄い車体後部へと吸い込まれる様に命中する!

 

「「「わああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!?」」」

 

まるで波に揺られる小舟の様に三式の車体は揺さぶられ、激しく前後にバウンドしたかと思うと、白旗を上げて止まった。

 

「!? アリクイさんチームもやられた!?」

 

「ママママ、マズイですよ、コレは!?」

 

隆太がそう声を挙げると、思いっきり動揺している逞巳がそう言う。

 

まだイージーエイトが残って居るにも関わらず、コチラは戦車を欠いてしまった。

 

加えて、西部歩兵のエース達まで参戦して来ている。

 

旗色はかなり悪い………

 

「レオパルドさん、ありがとう! よ~し、反撃開始よっ!!」

 

と、シロミがそう言うと、イージエイトの砲塔が旋回し、大洗歩兵達が多数居る建物のセットへと向けられる。

 

「! ヤバいっ!!」

 

「逃げろっ!!」

 

「退避! 退避―っ!!」

 

建物の中に籠って西部歩兵達に銃撃を浴びせていた大洗歩兵達が慌てて逃げ出すが、直後に無慈悲な砲撃が叩き込まれる。

 

「「「「「うわあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!!」」」」」

 

木端微塵になった建物の残骸と共に、大洗歩兵隊員達が人形の様にブッ飛ばされる!

 

次々に地面に転がると、戦死判定を受ける。

 

「俺達も行くぞ! サーバル! カルカラ! 好きに暴れろ! 俺が許す!!」

 

とそこで、レオパルドはサーバルとカルカラにそう言い放ち、背負っていたボーイズ対戦車ライフルMKⅡを構えると、イージーエイトの居る戦場へと雪崩れ込んで行った!

 

「待っていましたよ」

 

「お任せあれ」

 

それを聞いたサーバルは両手にサーベルを握り、カルカラはポンチョを翻す様にして、続け様に戦場へと突入するのだった。

 

 

 

 

 

「ソラソラソラッ!!」

 

「「「「「うわああああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!?」」」」」

 

ボーイズ対戦車ライフルMKⅡを腰溜め撃ちで乱射すると言う、俄かには信じがたい事をしながら、大洗歩兵隊員達を次々に至近距離から撃ち抜いて行くレオパルド。

 

「このぉっ!!」

 

とそこで、1人の大洗歩兵隊員が、着剣した三八式歩兵銃で果敢にも接近戦を挑む。

 

「フッ………」

 

だが、レオパルドはボーイズ対戦車ライフルMKⅡの側面を使って銃剣を防いだかと思うと、そのまま受け流して、崩しを掛けた!

 

「と、ととっ!?………!? ガハッ!?」

 

そして、バランスの崩れてよろけた大洗歩兵隊員の後頭部に、容赦無く銃床での打撃を見舞う!

 

「ハハハハッ! 如何した!? 大洗歩兵! こんなもんなのかぁっ!?」

 

レオパルドは挑発する様にそう言い放つ。

 

すると………

 

「何処を見ているっ!!」

 

「!?」

 

そう言う声が聞こえて来て、レオパルドは反射的にその場にしゃがんだ。

 

直後に、その頭上を横薙ぎの斬撃が通り抜ける。

 

「!!」

 

すぐさましゃがんだ状態から連続で後転して距離を取ると、ボーイズ対戦車ライフルMKⅡを構えるレオパルド。

 

「良い動きだ………」

 

そこには、マチェットを片手に握っているハンターの姿が在った。

 

「お前は俺を感じさせてくれるのか?」

 

「気持ち悪い事聞いてくんな。さっさと終わらせてやるよ」

 

ハンターの言葉にそう返しながらも、油断無くボーイズ対戦車ライフルMKⅡを構え続けるレオパルドだった。

 

 

 

 

 

「シャアッ!」

 

「うわあぁっ!?」

 

サーバルの両手のサーベルで×の字に斬り裂かれた大洗歩兵隊員が倒れ、そのまま戦死判定を受ける。

 

「このぉっ!」

 

「うおおっ!!」

 

そこで背後から、別の大洗歩兵隊員2人が、着剣した小銃と軍刀で斬り掛かったが………

 

「フッ!………」

 

サーバルはバック宙の様に跳び上がってかわしたかと思うと、空中で逆さまになった状態で、背後の大洗歩兵隊員2人に斬り付けた!!

 

「「グハッ!?」」

 

大洗歩兵隊員2人はバタリと倒れ、アッサリ戦死判定を喰らう。

 

「よっと………!」

 

と、サーバルは着地を決めると、何かに気付いた様に右の方向を見やる。

 

「…………」

 

そこには、煉獄を片手に佇む、熾龍の姿が在った。

 

「ほう………名将・栗林中将の子孫殿か………楽しませてくれそうだな」

 

それを見たサーバルは、熾龍の方に向き直ると、両手のサーベルをクロスさせる様に構える。

 

「………口はデカい様だな」

 

そんなサーバルに向かって、熾龍は吐き捨てる様に言うと、居合いの構えを取り、睨みを利かせる。

 

「果たして口だけかな?」

 

だが、サーバルは微塵も動揺した様子を見せず、寧ろ楽しそうな笑みを浮かべるのだった。

 

 

 

 

 

「…………」

 

レオパルドとサーバルが攻勢に出ている中、1人ポツンと佇んでいるカルカラ。

 

「1人佇んでる奴が居るぞ!」

 

「討ち取れっ!!」

 

すぐさま大洗歩兵隊員達が周りを取り囲み、武器を向ける。

 

「!!」

 

だがその瞬間!

 

カルカラがポンチョを翻したかと思うと………

 

その下から、多数のコルト・ディテクティブスペシャルが収まった、ベルト状のホルスター複数が露わになる。

 

「!? なっ!?」

 

大洗歩兵隊員の1人が驚きの声を挙げた瞬間!

 

カルカラは両手に1丁づつコルト・ディテクティブスペシャルを握り、ガン=カタの様な動きで、周りを取り囲んでいた大洗歩兵隊員達を撃ち抜く!

 

「「「「「うわあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!!」」」」」

 

一瞬で全員が戦死判定を喰らい、倒れ伏す。

 

「このっ!!」

 

と、弾切れのタイミングを狙って、新たに現れた大洗歩兵隊員達が、再度カルカラを取り囲んだが………

 

「!………」

 

カルカラは弾切れになったコルト・ディテクティブスペシャルを捨てると、ホルスターから新たなコルト・ディテクティブスペシャルを抜き、再びガン=ガタの動きで再度取り囲んで来た大洗歩兵隊員達を撃ち抜いた!

 

「「「「「ぐあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!!」」」」」

 

「…………」

 

倒れ伏した大洗歩兵隊員達を見下ろしながら、カルカラは再び新しいコルト・ディテクティブスペシャルを抜く。

 

「ぶるぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

その瞬間!!

 

竜作が独特の掛け声と共に、多数の銃剣(バイヨネット)をカルカラ目掛けて投擲して来た!!

 

「!!」

 

飛んで来た銃剣(バイヨネット)の内、当たりそうだった物だけを撃ち落とすカルカラ。

 

「かあああああぁぁぁぁぁぁ~~~~~~~………」

 

またもや口から煙の様に息を吐いている竜作が、カルカラを見据える。

 

「…………」

 

そんな竜作に対して、カルカラは両手のコルト・ディテクティブスペシャルを油断無く向ける。

 

しかし………

 

その顔には、冷や汗が流れていた………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハンターVSレオパルド………

 

「そらっ!!」

 

ハンターに向かってボーイズ対戦車ライフルMKⅡを連射するレオパルド。

 

「如何した? それで狙っている積りか?」

 

しかし、ハンターはレオパルドが狙った瞬間に移動をし、照準を付けさせない。

 

その為、弾は全て外れる。

 

「チイッ! 何て動きしやがる!! ホントに人間かっ!?」

 

「失礼な! レオナルド・デカ〇リオだっ!!」

 

「嘘こけぇっ!!」

 

途中で漫才な様な遣り取りが挟まれつつも、高度な戦闘を繰り広げる2人。

 

「! チッ! 弾切れかっ!!」

 

と、残弾が無くなり、空になったマガジンを捨てると、新たなマガジンを装填しようとするレオパルド。

 

「戦いの基本は格闘だ。武器や装備に頼ってはいけない」

 

するとそこで、ハンターは挑発するかの様にマチェットを放ると、拳法の型の様な動きをして見せる。

 

「………言ってくれるじゃねえかよ。よおし、その勝負、乗ったっ!!」

 

その挑発に乗ったレオパルドが、ボーイズ対戦車ライフルMKⅡを地面に置くと、ボクシングの様な構えを取る。

 

「ハッ!!」

 

そこでハンターが仕掛ける!

 

前転から側転、そしてバック宙からの錐揉みというアクロバットな動きを決めて、レオパルドの頭上から全体重を乗せた拳を振り下ろそうとする。

 

「………馬鹿めっ!!」

 

だが、その瞬間、何と!!

 

レオパルドは足元に有ったボーイズ対戦車ライフルMKⅡを蹴り上げて手に握ったかと思うと、頭上のハンターに向けた!

 

「卑怯何て言うなよ! コレも戦術だっ!!」

 

そう言い放ち、引き金を引こうとするレオパルド。

 

しかし………

 

「フッ………当然だ」

 

ハンターがそう言って笑ったかと思うと、振り下ろそうとしていた右手を引く。

 

その右手に巻かれていた透明な糸が、ハンターの投げ捨てたマチェットに繋がっており、糸が引かれた事で、マチェットが再びハンターの手に戻る!

 

「!? なっ!!」

 

「トオアァッ!!」

 

驚愕するレオパルドに向かって、ハンターは奇声に近い叫びを挙げ、マチェットを投擲した!!

 

投擲されたマチェットは、レオパルドの戦闘服の胸部に突き刺さる!!

 

「がっ!?………」

 

その瞬間には引き金を引いたレオパルドだったが、ガク引き状態だった為、弾はハンターの傍を掠める様にして外れる。

 

「ふんっ!!」

 

「ごぼっ!?」

 

更にハンターは、トドメだと言わんばかりに、両足でレオパルドの顔面に着地!

 

そのまま地面との間に挟み込んで押し潰した!

 

「正義は勝つ………」

 

レオパルドの顔面を踏み潰したまま、ハンターはそう言い放つ。

 

「納得………いかねえ………」

 

レオパルドはそう呟いて気絶し、戦死と判定されたのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

熾龍VSサーバル………

 

「そらそらそらっ!!」

 

「…………」

 

サーバルのサーベルでの二刀流の連撃を、表情を変えずに煉獄で捌く熾龍。

 

「やるな! だったらコイツは如何だっ!!」

 

そこでサーバルは跳びあがったかと思うと、空中で前転し、全体重を乗せた二刀での振り下ろしを見舞って来る!

 

「…………」

 

だが、その刃が熾龍に当たるかと思われた瞬間………

 

熾龍の姿が煙の様にバッと消える。

 

「!? うおっととっ!?」

 

突然消えた熾龍に驚きながらも、サーバルは少しよろけて着地を決める。

 

「野郎!? 何処へ行ったっ!?」

 

キョロキョロと周りを見回して熾龍の姿を探すサーバル。

 

「…………」

 

すると、その背後に居合いの構えを取った熾龍が音も無く出現!

 

ガラ空きの背中目掛けて鋭い斬撃が走る!

 

しかし、何と!!

 

サーバルは左手のサーベルを背中の方に回したかと思うと、振り向かずに熾龍の居合い切りを受け止める。

 

背面受けである!!

 

「!!………」

 

「受け止められた事がそんなに意外かい?」

 

そこで僅かに驚きを示した熾龍に、サーバルはそう言い放つ。

 

「ハアッ!!」

 

そして次の瞬間には、身体ごと回転して、右手のサーベルでの斬り上げを繰り出した!

 

煉獄が弾かれ、上空へと舞う。

 

「!!………」

 

「貰ったぁっ!!」

 

その瞬間に、空かさず腕を交差させてサーベルを構えたサーバルは、熾龍に斬り込む!

 

サーバルの斬撃が熾龍を襲う………

 

………かに見えた瞬間!!

 

「!? ゲハッ!?」

 

熾龍のストレートパンチが、サーバルの顔面に叩き込まれた!

 

「う、ご………」

 

まさか反撃が来るとは思わず、自分から斬り込んでいたサーバルのダメージは深刻である。

 

「!!」

 

しかし、熾龍は畳み掛ける様に、今度はボディブローを見舞う。

 

「!? ゴハッ!?」

 

戦闘服を突き抜けて衝撃が走った様な感覚に襲われ、胃液を口から吐き出すサーバル。

 

「…………」

 

すると熾龍は今度は、小さくジャンプして、サーバルの顔面に右足での回し蹴り、更には続け様に左足での後ろ回し蹴りをコンボで喰らわせた!!

 

「ゴハッ!?………」

 

その衝撃で、サーバルの身体が僅かに浮き上がる。

 

「!!」

 

先に着地していた熾龍は、その浮かび上がったサーバルに向かって跳んだかと思うと………

 

サマーソルトキックを2連続で繰り出し、1撃目は右足で、続け様に左足での2撃目を、顎に叩き込んだ!!

 

「ゴハアアッ!?」

 

2連撃のサマーソルトを喰らい、浮き上がっていたサーバルの身体が、更に高くへと舞い上がる。

 

「!………」

 

それを追う様に再び跳躍する熾龍。

 

するとそこへ………

 

サーバルに弾かれ、上空に待っていた煉獄が落ちて来る。

 

それを難なくキャッチしたかと思うと、空中で居合いの構えを取る熾龍。

 

「!!」

 

サーバルの顔が驚愕に染まった瞬間………

 

「勝てるとでも思っていたか?………」

 

熾龍のそう言う台詞と共に、一瞬で数10もの居合い斬りが叩き込まれた!!

 

「ゲハッ!?………」

 

戦闘服がズタボロとなり、地上へと落下するサーバル。

 

そのまま、戦死と判定されると、そのサーバルを背後にする様に、熾龍が着地する。

 

「つまらん………」

 

倒れているサーバルに背を向けたまま、熾龍はそう呟くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

竜作VSカルカラ………

 

「ぶるぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

独特の掛け声と共に、またもや無数の銃剣(バイヨネット)を投擲する竜作。

 

「!!」

 

カルカラは、当たりそうな物だけを撃ち落とす。

 

「ハイヤァアアアアアアアアアアァアアアアッ!!」

 

直後に、両手に銃剣(バイヨネット)を握った竜作が突撃。

 

「!!………」

 

カルカラは新たなコルト・ディテクティブスペシャルを抜くと、竜作に向かって発砲する!

 

「エェェェェェイメェェェェェンン!!」

 

だが、竜作は弾丸が至近距離を掠める様に飛んで来るにも関わらず、速度を落とすどころか、更に上げて突撃を続行する!

 

「!??!」

 

カルカラが驚きを露わにした瞬間には、竜作は眼前にまで迫っていた!

 

「ぶるぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

独特の掛け声と共に、両手の銃剣(バイヨネット)を×の字を描く様に振るう竜作!

 

カルカラのポンチョが斬り裂かれる!

 

しかし………

 

斬り裂かれたのはポンチョだけで、カルカラの姿は無かった………

 

「!? ぬうっ!?………!!」

 

竜作は驚きながらも、後ろから殺気を感じ、すぐに振り返る。

 

が、その瞬間に、持っていた銃剣(バイヨネット)に銃弾が当たり、手の中から弾かれる!

 

「!!」

 

「…………」

 

丸腰になった竜作に、カルカラは両手のコルト・ディテクティブスペシャルを向けている。

 

「チイッ!」

 

竜作は舌打ちをして、悔しそうな顔をする。

 

「…………」

 

それを見た瞬間に、カルカラは両手のコルト・ディテクティブスペシャルの引き金を引いた!

 

「! ぬああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーっ!!」

 

すると!!

 

竜作はまるで某映画の主人公の様に、後ろに仰け反りながら、銃弾をかわす。

 

しかし、映画とは違い、その姿勢の状態から、再び立ち上がる!

 

「!?」

 

コレにはカルカラもビックリしたのか、思わず動きが止まってしまう。

 

「ぬううんっ!!」

 

するとそこで、竜作は戦闘服の上から着ていた神父服の内側から、ある物を取り出した!

 

中折れ式のショットガンだ!

 

「!?」

 

「何時から私の武器が銃剣(バイヨネット)だけだと勘違いしていた?」

 

驚くカルカラに向かって、竜作はショットガンを発砲。

 

銃口から飛び出したのは散弾………ではなく、スラッグ弾だった。

 

「!!………」

 

スラッグ弾を真面に喰らったカルカラは、人形の様にブッ飛ばされて、地面を転がる。

 

やがて勢いが止まったかと思うと、戦死判定が下った。

 

「ヌワ~ハッハッハッハッ! ベリーメロンッ!!」

 

勝利の祝いの様に、竜作は何処からか取り出したメロンを齧りながら、そんな叫びを挙げるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃………

 

「撃てっ!!」

 

シロミの掛け声で、イージーエイトが榴弾を発砲!

 

「「「「「うわあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!?」」」」」

 

直撃を喰らった大洗歩兵隊員達が、木の葉の様に宙に舞い、地面に叩き付けられると戦死判定を受ける。

 

「クソォッ!!」

 

と、無事だった大洗歩兵隊員の1人が、イージーエイトに向かって短機関銃を発砲するが、当然戦車の装甲を破れる筈も無く、表面で火花を散らすだけである。

 

お返しだとばかりに、イージエイトの車体機銃が火を噴く!

 

「ぐあああっ!?」

 

蜂の巣にされた大洗歩兵隊員が倒れ、戦死と判定される。

 

「もう相手に戦車は居ないわ。対戦車兵に注意して蹂躙してやりなさい」

 

「その対戦車兵が来ます!」

 

シロミがそう指示を飛ばすと、操縦手からそう報告が挙がった。

 

「!!」

 

すぐにシロミが確認すると、速人が駆るジープの荷台部分に立ち乗りし、バズーカを構えている隆太の姿を確認する。

 

「隆太! 振り落されるなよぉっ!!」

 

「大丈夫です! 気にしないでトップスピードで突っ込んで下さい!!」

 

「言ったなぁ! 後悔するなよぉっ!!」

 

隆太がそう言ったのを聞いて、速人はアクセルを目一杯踏んだ!

 

「あ! やっぱりちょっとスピード落して欲しいかも………!? うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーっ!?」

 

思わず後悔してそう言い放つ隆太だったが、時既に遅く、速人はトップスピードを出した!

 

「正面を向けつつ後退!」

 

「ハイッ!」

 

シロミはすぐに、突っ込んで来るジープに対し、正面を向けつつ後退しろと指示する。

 

イージーエイトがその指示通りに動くと、主砲が速人と隆太の乗るジープへと向けられる。

 

「狙われてるぞ! 早く撃てっ!!」

 

「そ、そんな事言われても、こう揺れてちゃ………」

 

早く撃てと言い放つ速人だが、速度を上げたせいで更に振動が激しくなった荷台部分での照準は、困難を極めた。

 

と、そこで、イージーエイトが発砲!

 

「!? ヤベェッ!!」

 

咄嗟に速人が急ハンドルを切り、直撃を回避するものの、至近距離に着弾して、車体が一瞬浮かび上がる!

 

「!? うわぁっ!?」

 

その際の衝撃で、隆太はバズーカを発射してしまう。

 

「!? しまった! ガク引いたっ!?」

 

「外れるぞっ!!」

 

隆太と速人がそう声を挙げた通り、バズーカから放たれたロケット弾は、イージーエイトの頭上を飛び越えて行きそうになる。

 

「貰ったわっ!!」

 

シロミはそう声を挙げ、次弾装填の終わった主砲が、速人と隆太に向けられる。

 

………と、その時!!

 

銃声がしたかと思うと、イージーエイトの頭上を飛び越えて行きそうだったロケット弾の推進部が撃ち抜かれた!

 

それにより噴射が止まり、ロケット弾がイージーエイトに向かって落下する!

 

「!? えっ!?」

 

シロミがそれに気づいた瞬間には、時既に遅し!

 

落下したロケット弾は、装甲の弱い天板部に命中!

 

大きな爆発が、イージーエイトの天板部で起こり、まるで花が咲いた様に爆炎が広がる。

 

そして一瞬の間の後………

 

イージーエイトから白旗が上がった。

 

「!? やった………のか?」

 

「一体誰だ? 飛翔してるロケット弾の推進部だけを撃ち抜くなんて芸当をしてみせたのは?」

 

隆太が呆然とそう呟き、速人は先程の銃撃の主を探す様に辺りを見回す。

 

「………偶には指揮以外で活躍しないとね」

 

そしてそう呟いたのは、イージーエイトと速人、隆太から結構離れた位置にあるバーのセットの建物内で、入り口から半身だけを曝し、銃口から硝煙の立ち上っているワルサーGew43半自動小銃を構えていた迫信だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させていただきました。

シロミのイージーエイトを追い詰めてかに見えたカメさんチームとツルさん分隊、アリクイさんチームとキツネさん分隊だったが………
レオパルド達、西部エース歩兵達の登場で形勢は逆転。
戦車チームが2チームとも脱落と言う手痛い損害を負う。
しかし、残された歩兵部隊の奮戦により………
イージーエイトとレオパルド達は倒されるのだった。

いよいよ次回はみほ達とクロエ達の戦いです。
また、戦車チームで唯一生き残っているウサギさんチーム達のもうひと踏ん張り。
更に未だに姿を見せないアイツの登場もあり、意外な展開を見せます。
お楽しみに

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

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