ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース   作:宇宙刑事ブルーノア

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第153話『ハロウィン学園です!』

『ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース』

 

第153話『ハロウィン学園です!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大洗から離れ、美嵩と共にオーストラリアでスカウトされたバイクチームの参加していた白狼は………

 

偶然にも海外へ遠征合宿へ来ていた黒森峰と遭遇。

 

揚羽達生徒会メンバーと久美に連れ回され………

 

西住 しほや346プロのアイドル達との出会いもあったが、白狼の心は何処か晴れなかった………

 

そして、都草に塩を送られ、翌日に黒森峰が去った空港で、白狼は謎の老人と遭遇………

 

具合が悪そうだったのを呼吸法1つで回復した老人に興味を持ったのか、白狼はその老人に付き添い、中国へと向かった………

 

そしてその老人が、拳法を教えている仙人の様な存在である事を知った白狼は………

 

一念発起する様に、老人に稽古を願った。

 

しかし、老人は覇気の無い白狼を受け入れず、白狼は老人の住む修行寺の前で座り込みを始めたのだった………

 

一方、その頃………

 

日本の大洗学園艦では………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本・大洗学園艦………

 

大洗女子学園・戦車格納庫前………

 

「全員集合したな!」

 

揃った大洗機甲部隊のメンバーを見て、桃がそう言う。

 

「今日は通達事項が在って召集を掛けた」

 

「通達事項?………」

 

「何でしょう?」

 

続いて十河がそう言うと、地市と楓が小声でそう言い合う。

 

「私達の次の対戦相手なんだけど………」

 

「『ナイトウィッチ女子学園』と『ハロウィン高校』からなる『ナイトウィッチ&ハロウィン機甲部隊』だ」

 

「『ナイトウィッチ&ハロウィン機甲部隊』………」

 

柚子と俊がそう言うと、みほが対戦相手となる『ナイトウィッチ&ハロウィン機甲部隊』の名を反芻する。

 

「ゆかりん、知ってる?」

 

「ハイ。どちらもマジシャンの養成をしていると言う珍しい学校で、戦車道・歩兵道の歴史は他校と比べて浅いですが、過去にはグロリアーナ&ブリティッシュと同じく、準優勝した事もある学校です」

 

「と言う事は、少なく見積もってもグロリアーナ&ブリティッシュと同等と言う事か………」

 

沙織が対戦校の事を優花里に尋ね、優花里がそう答えると、麻子が口を挟んで来る。

 

「思えば私達が唯一完全に黒星なのがグロリアーナ&ブリティッシュですね」

 

「そう考えると大変な相手になりそうですね………」

 

それを聞いた華と飛彗もそう言い合う。

 

「そこ! 煩いぞっ!!」

 

「「「「すみません!」」」」

 

とそこで、その声を目敏く聞き付けたかの様に桃が注意して来て、面倒になる前に謝って済ます沙織、優花里、華、飛彗だった。

 

「でさー、そのナイトウィッチ&ハロウィン機甲部隊なんだけどねぇ………」

 

「明日、エキシビジョンマッチをするそうだ」

 

「エキシビジョンマッチ?………大会中にも関わらずですか?」

 

杏と迫信がそう言うと、弘樹が疑問の声を挙げた。

 

練習試合なら兎も角、エキシビジョンマッチは一般公開が原則とされる。

 

つまり、ナイトウィッチ&ハロウィン機甲部隊は自らの手の内を晒す行為をしていると言える。

 

「それがナイトウィッチもハロウィンもこの大会中に何度もエキシビジョンマッチを行ってるの」

 

「自分達は戦車道・歩兵道の選手であると共にエンターテイナーであり、常に考えるべき事はお客様に楽しんでいただく事である………と言うのが、両校の信条なんだそうです」

 

その疑問に、蛍と清十郎がそう答える。

 

「随分と変わった学校だな………」

 

「ですが、コレだけ手の内を明かしているにも関わらず、コレまでの試合を全て勝ち抜いて居ます」

 

海音が呆れる様に呟くと、逞巳がそう言って来る。

 

「それだけ油断ならない相手だと言う事さ………そこでだ。明日のエキシビジョンマッチを見学に行こうと考えている」

 

そこで迫信がそう言い、口元を隠していた扇子を閉じたかと思うと、大洗機甲部隊の面々がざわめく。

 

「確かに………コレだけ堂々と敵情視察が出来る機会も無いな」

 

「手の内が知れるなら、知っておいた方が良いと思うし………」

 

弘樹がそう言うと、みほも同意する。

 

「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」

 

他の者達も、2人と同意見の様である。

 

「決まりだね。では、明日はナイトウィッチ&ハロウィン機甲部隊のエキシビジョンマッチを見物しに行くとしよう」

 

迫信がそう纏め、その場は解散となったのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、翌日………

 

ナイトウィッチ&ハロウィン機甲部隊のエキシビジョンマッチが行われている試合会場………

 

「ナイトウィッチ&ハロウィン機甲部隊の勝利!」

 

主審のレミの声が響き、客席様に設置された超大型モニターに、『ナイトウィッチ&ハロウィン機甲部隊・WIN』の表示が映し出される。

 

「一方的な試合だったな………」

 

「うん………」

 

試合内容が、終始ナイトウィッチ&ハロウィン機甲部隊のペースだった事に、弘樹とみほはそう漏らす。

 

「マジシャンの養成学校だとは聞いていたが………まさか試合にまでマジックの様な手を使って来るとはな」

 

「忽然と消えたかと思えば、不意に現れて奇襲………正にマジックでござるな」

 

大詔と小太郎が、ナイトウィッチ&ハロウィン機甲部隊の試合での様子を思い出し、そう呟く。

 

するとそこで………

 

ナイトウィッチ戦車部隊が、観客席の前に集合した。

 

「? 何だろう?」

 

と、聖子がそう呟いた瞬間!

 

戦車からマジシャンコスを着ていた女子生徒達が現れた!

 

服の裾から、旗やら花やらが勢い良く飛び出し、シルクハットを取って、ステッキで叩くと、鳩が無数に飛び出して来る!

 

更には、トランプのジョーカーを取り出すと、それをシルクハットの中に入れる。

 

そして、1、2、3!の合図でシルクハットをステッキで叩くと………

 

シルクハットから蒸気が溢れ出し、やがて蒸気が収まると、腕が現れ、遂にはピエロの様なメイクをしたタキシードの男が現れて、シルクハットから飛び出す。

 

「「「「「「「「「「おおぉぉ~~~~~~っ!!」」」」」」」」」」

 

観客達からは歓声と共に拍手が沸き上がり、女子生徒達は礼をする。

 

と、そこで、シルクハットからは今度は色違いのタキシードを着たピエロが3人現れる。

 

全員が出て来ると、その内の1人は、シルクハットを持ち上げ、中には何もない事をアピールする。

 

そしてシルクハットに手を突っ込むと、出したのはギター。

 

そのギターを赤色のピエロに渡すと、続いて取り出したのはベース。

 

そのベースは青色のピエロに渡すと、更に続いて取り出したのはキーボード。

 

緑色のピエロにキーボードを渡すと、シルクハットを地面に置き、両手をシルクハットの中に手を突っ込み、ドラムの太鼓を取り出した!

 

更に再び両手をシルクハットの中に突っ込み、またまた太鼓を取り出すと、またもや両手をシルクハットの中に突っ込み、シンバルと組み立てキットを取り出す!

 

其々を地面に置いたかと思うと、何処からか大きなシーツを取りだし被せる。

 

そして1秒も満たない瞬間に、それをサッと引くとドラムセットが完成!

 

そのままピエロ達が演奏を開始すると、女子生徒達はマジシャン服に手を掛け、それを思いっ切り引っ剥がしたかと思うと………

 

アッという間にスクールアイドルの衣装に早変わりした。

 

「! あの子達、スクールアイドルだったんだ!?」

 

聖子がそう言う中、沸き立つ歓声と共にナイトウィッチ学園のスクールアイドル達は歌いながらマジックを披露し始めるのだった。

 

「凄い………」

 

「流石にエンターテイナーを自称するだけはあるね」

 

その圧倒的とも言えるパフォーマンスの前に、みほは嘆声を漏らし、迫信も口元を扇子で隠してそう呟く。

 

(………ん?)

 

するとそこで、弘樹がふと近くの観客席に目を向けると、そこに何やら感じの違う男が居る事に気づく。

 

(アイツは?………)

 

その男の姿に、言い様の無い違和感を感じる弘樹。

 

とそこで、その男の隣に、恰幅の良い体格で、人柄の良さそうな白髪にメガネの老人が現れ、席に座る。

 

老人はそのまま、男と何かを話し始める。

 

「うおおおおっ! もうちょいでパンツが見えそうなのに見えないぃっ!!」

 

そんな時、その2人の近くに居た了平がそんな声を挙げる。

 

如何やら、ナイトウィッチ学園のスクールアイドル達のパンチラを狙っている様だ。

 

最低である………

 

「オイオイ、お主。彼女達はパンツを見せる為にパフォーマンスをしとるワケじゃないぞ」

 

すると、老人が了平にそうやんわりと釘を刺して来た。

 

「ああん? んだよ、爺さん。此処は若い奴が来るとこだぜ。場違いなんじゃないの?」

 

しかし了平はパンチラを追うのに夢中になっていて、老人の言葉が耳に入らない。

 

「って言うか、何その身体。まるで狸みたいじゃん」

 

更には老人の体格を見て、そんな無礼を働く。

 

(あの馬鹿………)

 

流石に無礼が過ぎると思った弘樹は、了平を戒めようと立ち上がる。

 

「あ~、もう試合終わっちゃったみたいねぇ………」

 

とそこで、空がそう言う台詞と共に観客席に姿を見せた。

 

「藤林教官」

 

「ああ、舩坂くんに大洗の皆。来てたんだ………うん?………!?」

 

空に気付いた弘樹が声を掛けると、空も弘樹達に気づき、更に了平の方を見て顔を青くした。

 

「あ、藤林教官~。ひょっとして俺に会いに来て………!? グアハァッ!?」

 

何時もの調子で挨拶しようとした了平の顔面に、空は全力のドロップキックをブチ噛ました!!

 

「ギベッ!? アボッ!? ウバッ!?………」

 

了平はそのまま観客席の階段を転がり落ちて行き、最下段まで落下したかと思うと、ピクピクと痙攣したまま動かなくなった…………

 

「大変申し訳ありません! 私の不肖の教え子がトンだ失礼を!!」

 

しかし、空はそれを気にする様子も見せず、老人に向かって平謝りし始めた。

 

「友人が大変な失礼を働きました。代わってお詫び致します」

 

弘樹も、ノビている了平に代わる様に謝罪をする。

 

「ふぉっふぉっふぉっ、構わんよ。彼はまだ若いからのう」

 

老人は気にしていない様で、2人にそう返す。

 

「ほっ………」

 

その言葉を聞いて、安堵した様に胸を撫で下ろす空。

 

と、その時………

 

「何だと、コラァッ!!」

 

「やんのかテメェ、この野郎っ!!」

 

何やら怒声が聞こえて来て、弘樹達がその方向を見やると………

 

スクールアイドル達の親衛隊と思しき観客達が揉めていた。

 

如何やら応援に熱が入った余り、喧嘩に発展した様だ。

 

「うおおおっ! もう許せんっ!!」

 

そこで、2メートル以上は有りそうな大柄の親衛隊員が、興奮の余り喧嘩相手の親衛隊員に体当たりを喰らわそうとする。

 

すると!!

 

「…………」

 

何時の間にか、老人の隣に居た感じの違う男が、大男の前に立ち………

 

「………!」

 

「!? うおおおっ!?」

 

何と倍以上の体格差が有ろうかと言う大男を片手で弾き飛ばした!

 

(!? あの大男を片手で………)

 

その様子に、弘樹はポーカーフェイスを保ちながらも内心で驚愕。

 

他の大洗機甲部隊の一同も、多かれ少なかれ驚きを露わにしていた。

 

「オイ! 何の騒ぎだっ!!」

 

「君達! ちょっと来なさいっ!!」

 

そこで警備員が駆け付け、大男を含めた揉め事を起こした親衛隊員は、連行されて行った。

 

「………先生、そろそろ帰りましょう」

 

「うむ、そうするかのう………」

 

感じの違う男は老人にそう言い、老人は席から腰を上げる。

 

「…………」

 

するとその瞬間、感じの違う男は弘樹に視線をやった。

 

「…………」

 

感じの違う男の視線を正面から見返す弘樹。

 

「………成程」

 

「?………」

 

「君も『英霊』を継ぐものなんだね、舩坂 弘樹くん………」

 

不意に、感じの違う男は弘樹にそう言い放った。

 

「小官を知っているのか?」

 

「フッ………」

 

弘樹はそう尋ねたが、男は答えず、只意味有り気に笑うと、老人と共に去って行った。

 

「…………」

 

「何だったんだろう………あの人?」

 

憮然とした表情で佇む弘樹と、そう言うみほだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その翌日………

 

具体的な対策は見出せなかったものの、奇襲を得意とするナイトウィッチ&ハロウィン機甲部隊を相手に………

 

常に警戒を厳にして戦うべく、大洗機甲部隊は今まで以上に戦車と歩兵との連携を重点的に訓練するのだった。

 

そして訓練終了後………

 

 

 

 

 

大洗女子学園・戦車格納庫内にて………

 

「インパクトが必要だよ!」

 

訓練が終わり、集まっていたサンショウウオさんチームの面々を前にして、聖子がそう言い放つ。

 

「………はあ?」

 

「聖子ちゃん。インパクトって?」

 

突拍子の無い聖子の言葉に、優はキョトンとし、伊代も首を傾げる。

 

「この前のナイトウィッチのスクールアイドルのライブ、思い出して。皆歌いながらマジックまで披露してたよ」

 

「ああ、そうですね」

 

「預言書の記述によればに、【検閲削除】は炎と氷を同時に操るイン・パクトゥがありましたね。(訳:確かに、アレはインパクトがありましたね)」

 

聖子の言葉に、明菜と今日子が同意する。

 

「けど、インパクトって言っても、具体的には何をすれば良いんだ?」

 

そこで、唯がそう疑問を呈する。

 

「それを今から考えるんだよ!!」

 

それにそう返す聖子。

 

いつもの事だが考える前に行動に移した様だ。

 

「大丈夫かにゃ………」

 

「ふ、不安です~………」

 

そんな聖子の姿を見て、満里奈とさゆりが不安そうにそう言い合う。

 

「やはり、アイドルたる者、歌で勝負するべきではありませんか」

 

「お、良い意見だね」

 

そこで、早苗がそう提案し、郁恵が同意する。

 

「歌………新曲を用意するって事ですか………でも、そんな急にインパクトのある曲って言われても………」

 

静香がそう言って首を捻る。

 

「皆で考えようよ! きっと何とかなるって!!」

 

「また根拠の無い事を………」

 

「兎に角、考えてみようよ」

 

相変わらず根拠の無い自信を示す聖子に、優が呆れるが、伊代が宥めながら、サンショウウウオさんチームは次のライブで使う………

 

『インパクトのある曲』を考え始めるのだった。

 

そして………

 

「…………」

 

そんなサンショウウオさんチームの姿を、格納庫の入り口から扉の陰に隠れて見ている者が居た。

 

「…………」

 

里歌である。

 

聖子から貰ったクロムウェル巡航戦車のマニュアルを、胸に抱き締める様に抱え、複雑そうな表情でサンショウウオさんチームの姿を見やっている。

 

そんな里歌の事には全く気付かず、サンショウウオさんチームは、次のライブで使う『インパクトのある曲』を必死に考えていた。

 

「………何で………そこまで………」

 

その様子を見て、里歌はそう呟き、マニュアルを更にキツく抱き締める。

 

「アレ? 貴方は………」

 

とそこで、入り口近くを通り掛かったみほが、里歌の姿に気づく。

 

「!!………」

 

途端に、里歌は逃げる様に走り去る!

 

「あ!………行っちゃった」

 

声を掛ける間も無く走り去った里歌の後ろ姿に、みほはそう呟く。

 

「…………」

 

そしてそこで、サンショウウオさんチームの方に目をやる。

 

サンショウウオさんチームは相変わらず新曲への相談を続けており、その傍にはクロムウェルが控えている。

 

そして、そのクロムウェルの車体の上に………

 

1つの段ボール箱が置かれている。

 

「…………」

 

みほはそれを見て、何かを確信した様に笑うと、Ⅳ号の方へと向かうのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、遂に………

 

戦車道・歩兵道の全国大会の決勝リーグ………

 

準々決勝………

 

大洗機甲部隊VSナイトウィッチ&ハロウィン機甲部隊の試合の日が、訪れた………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させていただきました。

遂に決まった大洗の準々決勝の相手………
マジシャンの養成学校のナイトウィッチ学園とハロウィン校。
公式戦の最中にエキシビジョンマッチを行う大胆さに加え、マジシャンならではの奇襲戦法を得意とする機甲部隊。
謎の人物との出会いや、苦悩する里歌の姿もありながら、いよいよ………
準々決勝の日が訪れた………

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

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