ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース   作:宇宙刑事ブルーノア

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第158話『帰還です!』

『ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース』

 

第158話『帰還です!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

準決勝試合会場・廃墟の工業地帯………

 

「撃てっ!!」

 

みどり子の号令で、ルノーB1bisの主砲と副砲が発射され、トータスに向かう。

 

しかし、どちらもトータスの正面装甲を貫けず、弾かれる。

 

「無駄無駄。コッチの装甲は228ミリよ。あのマウスより厚いのよ」

 

マヨネがそう言った瞬間、トータスの主砲である口径94ミリのオードナンス QF 32ポンド砲が火を噴く。

 

「「「キャアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!!」」」

 

車体正面に直撃を受けたルノーB1bisは衝撃で両履帯が千切れた上、逆さまに引っ繰り返った!

 

そして、底面部から撃破を示す白旗が上がる。

 

「! カモさんチームっ!!」

 

「すみません! 撃破されましたっ!!」

 

みほが叫ぶと、みどり子の申し訳無さそうな声が響く。

 

「オラアァッ!!」

 

「「「「「うわあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!!」」」」」

 

更に後方でも、カロが至近距離から球形砲弾を蹴って来て、次々に起こる爆発で大洗歩兵がやられて行く。

 

「! 全部隊、右へ転進っ!! 今は兎に角逃げますっ!!」

 

みほは何とかこの状況から脱出しようと、ナイトウィッチ戦車部隊とカロから逃れる方向への転進指示を出す。

 

だが………

 

「待ってましたーっ!」

 

「そう来ると思ってたよ!」

 

そう言う台詞と共に、またもやBT戦車部隊が現れる。

 

「! BT戦車!?」

 

「行くわよ! BT全車、『メリーゴーランドアタック』!!」

 

みほが驚きの声を挙げた瞬間、BT戦車部隊は大洗機甲部隊の周りを高速で移動しながら周回!

 

そのフォーメーションの名の通り、高速回転の輪の中に、大洗機甲部隊を封じ込めた!

 

「!? 囲まれましたっ!?」

 

「撃てーっ!!」

 

優花里がそう声を挙げた瞬間、BT戦車部隊は一斉に砲撃を開始!

 

四方八方から砲撃が飛んで来て、大洗機甲部隊の中へと着弾する。

 

「「「「「キャアアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーっ!!」」」」」

 

「「「「「うわあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!!」」」」」

 

次々と至近弾で着弾する砲弾の振動に、戦車チームが悲鳴を挙げ、歩兵部隊も次々にやられていく。

 

「クソッ! こうなったら強行突破だ! 行くぞ、忍っ!!」

 

「了解、キャプテンッ!!」

 

とそこで、典子と忍がそう言い合い、八九式がBT戦車部隊のフォーメーションを強引に突破に掛かる!

 

「根性おおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーっ!!」

 

お馴染みの叫びと共に、高速で周回しているBT戦車部隊の輪に突っ込んだかと思うと、上手く突破する事に成功した………

 

「やったっ!!………!?」

 

だが、典子が歓声を挙げた瞬間!!

 

八九式は輪の外に待ち構えていた戦車………『ヴァリアント歩兵戦車』に正面衝突!

 

衝突部から煙が立ち上ったかと思うと、続いて砲塔上部から白旗を上げた。

 

「! アヒルさんチーム!!」

 

「西住総隊長! 如何やらBT戦車の輪の外を、更にヴァリアント歩兵戦車が固めている様だ!!」

 

みほが声を挙げると、迫信がそう報告して来る。

 

その言葉通り、BT戦車が形成している周回のフォーメーションの外側に、ヴァリアント歩兵戦車がまるでトーチカの様に包囲網を形成。

 

『ヴァリアント歩兵戦車………欠陥戦車として名高いが、装甲だけは114ミリと無駄に厚い。BTの包囲を突破するにはその無駄に厚い装甲に正面から挑まなくてはな………』

 

とそこで、指揮車のアインシュタインがそう通信を送って来る。

 

そしてその瞬間に、ヴァリアント歩兵戦車達が、輪を形成しているBT戦車部隊の上を通過する様に砲撃を開始!

 

更なる砲弾の雨が、大洗機甲部隊に襲い掛かった!

 

「うわあっ!?」

 

「アカンッ!!」

 

運悪く直撃を貰ってしまった海音と豹詑が戦死。

 

「そら、駄目押しだぁっ!!」

 

カロもそう叫んで、大洗機甲部隊の中に球形砲弾を蹴り込んで来る。

 

「………!!」

 

だが、熾龍が居合いの構えを取ったかと思うと、神速の抜刀術で、球形砲弾を全て空中で斬り裂いた!!

 

斬り裂かれた砲弾は、まるで花火の様に空中で爆発する。

 

「へえ、やるじゃねえか。なら! コイツは如何だっ!!」

 

と、再び新たな球形砲弾を熾龍目掛けて蹴っ飛ばすカロ。

 

「!!」

 

熾龍はそれも、居合いで斬り裂いたが………

 

その際、爆発直前で発せられる発光が、今までのよりも強い事に気づく。

 

「! チイッ!!」

 

すると熾龍は、近くに居た迫信の事を突き飛ばした!

 

「! 熾龍っ!!」

 

迫信が声を挙げた瞬間、砲弾が爆発!

 

それまでよりも強い爆発が、熾龍を包み込んだ!!

 

そして、爆煙が晴れると………

 

「………屈辱」

 

煉獄を杖代わりに膝を着き、戦死判定を受けている熾龍の姿が露わになった。

 

「如何だ! 火薬量を2倍にした砲弾だ! スマートだぜっ!!」

 

そう言うと、ヘルメットを脱いで、折り畳み式の櫛で髪を整えるカロ。

 

「栗林殿がっ!?」

 

「オノレェッ! 栗林殿の仇ぃっ!!」

 

と、その様子を見ていたカバさんチームのⅢ突が、車体を旋回させ、榴弾を装填した主砲をカロに向けたが………

 

「!? マズイ! 逃げろっ!?」

 

「ぜよっ!?」

 

突然叫んだエルヴィンに、おりょうの反応が遅れた瞬間!

 

Ⅲ突の上面に、ロケット推進音と共に巨大な砲弾が直撃!

 

巨大な爆発が上がったかと思うと、Ⅲ突は白旗を上げる!

 

「! カバさんチーム、撃破されました! またシュトルムティーガーの砲撃です!!」

 

「駄目………このままじゃ………」

 

優花里の報告に、みほはに必死に考えを巡らせるが、何も良い手が思いつかない………

 

「「「「「うわあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!!」」」」」

 

その間にも、歩兵部隊に次々に戦死判定者が出て来る。

 

「! 此方大洗機甲部隊とらさん分隊長、舩坂 弘樹! 支援要請! 航空支援を要請する!!」

 

とそこで弘樹が、独断で航空支援を要請。

 

『待っていたぞ、弘樹ーっ!!』

 

その途端、そう言う声が通信回線に響いたかと思うと、ハンネスの乗るJu87 G-1を先頭に、Ju87編隊が上空から急降下して来た!

 

「! 敵機来襲ーっ!!」

 

「「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」

 

ハロウィン戦車部隊はすぐにそれに気づくと、フォーメーションを解いて散開に入る。

 

「遅いっ!!」

 

だが、すぐさまハンネスのJu87 G-1が、37ミリ機関砲でBT-5とBT-7を1輌ずつ撃破する。

 

後続のJu87も、次々と1トン爆弾を投下して行く。

 

降り注ぐ機関砲弾と爆弾の雨から逃げ回るナイトウィッチ戦車部隊。

 

「今だ! 全員撤退っ! 兎に角この場を離れるんだっ!!」

 

「「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」

 

そこで弘樹がそう叫び、生き残っていた大洗機甲部隊のメンバーは、爆撃とナイトウィッチ戦車部隊の間を縫う様に、方々へと離脱して行く。

 

「あ! コラ、待て………!? わあっ!?」

 

近くを通った大洗機甲部隊のメンバーを、1輌のヴァレンタインが追おうとしたが、直後に1トン爆弾の直撃を喰らって白旗を上げた。

 

「迂闊に追撃しようとするな! 爆撃の餌食になるわよ!!」

 

「高射部隊! 対空砲火よっ!!」

 

ペッパーとマヨネがそう叫んだかと思うと、予め配置していたのか、廃墟の各所から対空機関砲や高射砲による対空砲火が開始された!

 

「ぬうっ!?」

 

「隊長! 無理しないで下さいよ! 対空砲火には何度も撃墜されてるんですから!!」

 

「分かっている! 全機、無理はするな! 大洗機甲部隊は既に離脱した! 後は精々奴等の注意を惹き付けるんだっ!!」

 

相棒のエグモントからの忠告にそう返しながら、ハンネスは編隊機にそう指示を飛ばす。

 

「! 2時方向より敵機っ!」

 

「むっ!?」

 

更なるエグモントからの報告に、ハンネスがその方向を見やると、そこにはコチラに向かって飛んで来るホーカー タイフーンの編隊が目に入る。

 

「一航専め! 好き勝手にやらせるか!!」

 

「あのG-1型を狙え! アレが隊長機だっ!!」

 

タイフーンの編隊は、ハンネスの乗るJu87 G-1に殺到して来る。

 

「狙われています!」

 

「分かっているっ!!」

 

「ハンネス・ウルリッヒ・ルーデル! お前を落せば名が上がるってもんだっ!!」

 

パイロットがそう言って、1機のハリケーンが、ハンエスのJu87 G-1にヘッドオンして来る。

 

「たわけぇっ!!」

 

だがその瞬間に、ハンネスは機体を上昇させる!

 

「へっ!?………!? うわっ!?」

 

一瞬戸惑ったハリケーンのパイロットの眼前に、Ju87 G-1のタイヤブレーキが目一杯広がり、直後に射出座席が起動。

 

無人となったハリケーンのコックピットを、Ju87 G-1の固定脚が破壊!

 

コックピットを潰されたハリケーンは、錐揉み回転しながら墜落。

 

「「「「「ギャアアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーッ!?」」」」」

 

地上で対空砲火を撃ち上げていたハロウィン高射部隊を巻き込んで爆散する。

 

「このハンネス! 戦闘機に狙われたぐらいでビビる男とでも思ったか!!」

 

(爆撃機が戦闘機に狙われたら普通ビビると思いますけど………)

 

その様子を見ながらそう言うハンネスに、心の中でツッコミを入れるエグモントだった。

 

「! あの野郎っ!!」

 

「叩き落してやるっ!!」

 

思わぬ攻撃で仲間がやられた事に動揺したハリケーンの編隊だったが、すぐに気を取り直して、再びハンネスのJu87 G-1へ殺到する。

 

しかしその瞬間!!

 

「! 散開しろっ!!」

 

「「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」

 

航空隊長がそう叫び、ハリケーンの編隊は反射的に散開。

 

だが、数機が上空から振って来た弾丸を浴びて穴だらけになり、パイロットが脱出した直後に炎上・墜落する。

 

「人呼んで、六郎スペシャル! アンドリバースッ!!」

 

そう言う台詞と共に急降下してきた零戦二一型の編隊の中心に居た六郎が、すかさず急上昇。

 

1機のハリケーンをレティクルに捉えると、迷わず引き金を引いた!

 

主翼部から放たれた機銃弾が、ハリケーンの腹を引き裂く!

 

「脱出ーっ!!」

 

引き裂かれた腹から炎が上がると、パイロットが脱出し、直後にハリケーンは空中で爆発四散した。

 

「野郎! よくも俺の僚機を!!」

 

とそこで、撃墜したハリケーンの僚機が、六郎の零戦二一型の後部に付く!

 

「!!」

 

「貰ったぁっ!!………」

 

六郎が振り返ってハリケーンの姿を確認した瞬間に、ハリケーンのパイロットは引き金を引こうとする。

 

が、そこでそのハリケーンは、後方から機銃弾を浴びせられた!

 

「! イジェークトッ!!」

 

驚きながらもすぐさまパイロットは脱出。

 

直後に機銃弾を浴びせられたハリケーンは、そのまま空中で爆発四散した。

 

そして、その爆発の煙の中を突っ切って、尾翼にメビウスの輪のエンブレムを描いた紫電改が現れる。

 

「助かった。すまないな、後輩」

 

「…………」

 

六郎がそう言うと、紫電改のメビウス1はロックウィングをして返信する。

 

だが直後に、2機の間を機銃弾が擦り抜ける!

 

「「!!」」

 

「まだまだぁっ!!」

 

「相手が手練れだってんなら、数で押すまでよ!!」

 

何と、新たなハリケーンの編隊が出現したのである。

 

最初に現れたハリケーンの編隊を合わせると、かなりの数が展開している。

 

「チイッ! まだいたのか!?」

 

「…………」

 

新たに現れたハリケーンの編隊の姿を見て、六郎がそう声を挙げ、メビウス1も目を細める。

 

「行けーっ!!」

 

「押せ押せーっ!!」

 

ハリケーンの編隊は、数に任せて一航専の戦闘機部隊に襲い掛かるのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃………

 

爆撃での混乱を衝いて、離脱した大洗機甲部隊だったが………

 

兎に角逃げる事を優先した為に、全員がバラバラになってしまっており、必死に合流している最中だった………

 

「え~と、現在位置は………」

 

そしてそのバラバラになったメンバーの中には、フラッグ車であるウサギさんチームのM3リーの姿も在った。

 

現在位置を見失ってしまったのか、車長の梓がハッチから出て周りの様子を見ながら、地図とコンパスを並べて必死に睨めっこしている。

 

「優希ちゃん、通信機まだ繋がらないの?」

 

「駄目~、さっき脱出する時に他の戦車とぶつかったりしたから調子悪いの~」

 

あやが優希に尋ねると、間延びした口調で優希がそう返して来る。

 

そう、頼みの綱の通信機も、脱出の際にナイトウィッチ戦車チームの戦車と接触してしまった時の衝撃で、絶賛不調中なのである。

 

「マズイよ。他のチームの皆さんどころか、随伴歩兵1人居ないんだよ。今狙われたら絶体絶命だよ」

 

「あい~………」

 

「分かってるよ! ちょっと待ってってば!!」

 

あゆみがそう言い、桂利奈が不安そうな声を漏らすと、焦りからか怒鳴る様に返してしまう梓。

 

「………!」

 

するとそこで、紗希が突然砲塔横にあるハッチを開ける。

 

「? 紗希ちゃん、如何したの?」

 

「…………」

 

あやが尋ねると、紗希は静かにと言う様に、人差し指を立てた左手を顔の前に置く。

 

「…………」

 

ジッとハッチ越しに廃墟の中を見据える紗希。

 

「………!!」

 

そして不意に、梓の身体を掴んだかと思うと、思いっきり引っ張って、車内へと引っ込めた!!

 

「キャッ!? 紗希、如何し………」

 

たの、と問い質す前に、M3リーの傍に砲弾が着弾した!

 

「「「キャアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!?」」」

 

「あいいいいいぃぃぃぃぃぃ~~~~~~~っ!?」

 

「!?」

 

悲鳴を挙げるあや、優希、あゆみ、桂利奈だったが、梓はすぐに頭だけをハッチから出して状況を確認する。

 

見れば、近くの廃墟の壁の一部に、先程の砲撃では破壊されたと思われる穴が空いていた。

 

そして、その穴が空いた部分を崩す様にして、ヴァリアントが1輌姿を見せた。

 

「! ヴァリアントッ!?」

 

「イエース! フラッグ車を発見ネッ! ラッキーよ! この試合のMVPは、この『ヴィーネ』様に決まりね!」

 

梓が驚きの声を挙げると、そのヴァリアントの車長・ラテン系の黒人留学生の少女・『ヴィーネ』は、陽気そうな様子でそう言い放つ。

 

直後に、ヴァリアントの主砲が再び火を噴き、M3リーの傍に砲弾が着弾する!

 

「! 桂利奈ちゃん! 緊急発進っ!!」

 

「あ、あい~~~~~~っ!!」

 

梓の号令で我に返った桂利奈が、慌ててM3リーを発進させる。

 

「兎に角逃げて! ヴァリアントは速度が遅いから、逃げ切れるよ!!」

 

既に遥か後方になったヴァリアントの姿を見ながら、梓がそう言う。

 

しかし………

 

「レッツロックッ!!」

 

ヴィーネがそう言い放った瞬間………

 

ヴァリアントが『トンでもないスピード』でM3リーを追い始めた!

 

「!? ええっ!?」

 

「何、あの速度っ!?」

 

梓と砲塔横のハッチからその様子を見たあやが仰天する。

 

ヴァリアント歩兵戦車の最高速はカタログによれば僅か19キロ。

 

しかし、今M3リーを追い掛けて来ているヴィーネのヴァリアントはぐんぐん迫って来ており、少なくともM3リーの最高速である39キロ以上は出ている。

 

「ハハハハハハハッ! レギュレーションに違反しない範囲でカスタマイズしてありまーす! 私のヴァリアントを只のヴァリアントと思わない事でーす!」

 

ヴィーネがそう言っている間に、ヴァリアントはM3リーの僅か10数メートル後方にまで迫る。

 

「! マズイッ!」

 

「こんのぉっ!!」

 

梓が声を挙げると、あやが副砲塔を旋回させ、ヴァリアントに向かって発砲する。

 

しかし、砲弾はヴァリアントに命中したかと思うと、そのまま砕け散る。

 

「駄目だよ、あや! ヴァリアントの114ミリの装甲は75ミリ砲の方でも抜けないよっ!!」

 

「じゃあ如何するの!?」

 

ヴァリアントのスペックを思い出しながらそう言う梓に、あやは若干涙目でそう返す。

 

「コレでジエンドね!」

 

そこで、ヴィーネのヴァリアントの主砲が、M3リーに狙いを定める。

 

「「「「「!?」」」」」

 

最早コレまでか………

 

大洗女子学園の廃校は決まってしまった………

 

ウサギさんチームの誰もがそう思った………

 

「…………」

 

いや………

 

只1人、紗希だけが………

 

いつもの様に明後日の方向を向いてボーっとしていた………

 

「…………」

 

すると、紗希の顔に微笑が浮かぶ。

 

………その瞬間!!

 

突如、バイクの物と思われる爆音が響いて来た!

 

「!? ワッツッ!?」

 

「!? コレって、ひょっとしてっ!?」

 

ヴィーネと梓が驚きを露わにした瞬間………

 

廃墟をジャンプ台にして、1台のバイクが宙に舞いあがった。

 

「!?」

 

そのバイクの姿を見上げるヴィーネ。

 

宙に舞ったバイクは、そのままヴァリアントの頭上を飛び越えて行く………

 

………かに思われた瞬間に、『何か』が落ちて来て、ヴァリアントの上部に張り付く。

 

「!? オーノーッ! 吸着地雷っ!!」

 

ヴィーネが悲鳴を挙げる。

 

ヴァリアントの上部に張り付いたのは、吸着地雷だった!

 

取り外す間も無く、吸着地雷は爆発。

 

ヴァリアントは慣性で少し走った後に停まると、上部から白旗を上げた。

 

「停止っ!」

 

それを確認した梓が、M3リーを停めさせる。

 

停止したM3リーの傍に、あのバイクとそれの跨る人物が近づいて来る。

 

「大丈夫か、1年共」

 

「神狩先輩っ!!」

 

梓が歓喜の声を挙げる。

 

そう………

 

そこに現れたのは………

 

紛れも無く………

 

『神狩 白狼』だった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させていただきました。

カモさんチーム、アヒルさんチーム、カバさんチームまでやられ、最早全滅寸前の大洗。
弘樹の咄嗟の判断での航空支援で、一旦離脱に成功したものの、フラッグ車が孤立。
そのフラッグ車にナイトウィッチの魔の手が迫った時………
遂にアイツが帰って来ました!

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

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