ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース   作:宇宙刑事ブルーノア

164 / 287
第164話『優花里と白狼・パート2です!』

『ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース』

 

第164話『優花里と白狼・パート2です!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦車道・歩兵道全国大会の決勝リーグ………

 

準々決勝での、大洗機甲部隊VSナイトウィッチ&ハロウィン機甲部隊との戦いは………

 

序盤こそナイトウィッチ&ハロウィン機甲部隊に圧倒され、壊滅寸前まで追い込まれた大洗機甲部隊だったが………

 

白狼の復帰に加え、逆転を掛けたヤシオリ作戦の成功とあんこうチーム&弘樹の奮戦によって………

 

首の皮一枚で大洗機甲部隊の勝利となった………

 

尚、勝手に部隊を離れた白狼には、1週間の謹慎処分と反省文100枚の提出が言い渡されたのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

準々決勝の試合会場………

 

その特設ライブステージにて………

 

「「「「「「「「「イエイッ!!」」」」」」」」」

 

歌を歌い終えたサンショウウオさんチームが、ステージ上で最後の決めのポーズを取る。

 

「「「「「「「「「「うおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーっ!!」」」」」」」」」」

 

満席状態の客席からは、割れんばかりの歓声と拍手が鳴り響く。

 

「ありがとうーっ!!」

 

聖子が代表する様にそう返礼すると、サンショウウオさんチームの面々は、観客に手を振りながら舞台袖へと消えて行く。

 

 

 

 

 

舞台袖………

 

「凄いお客さんだったね!」

 

「ええ、流石に準々決勝ともなると凄い人です」

 

「それに、皆私達の事、応援してくれてたね」

 

聖子、優、伊代が、燥ぎながらそう言う。

 

「お~い! 皆~!」

 

とそこで、片足を庇う様に歩きながら、唯が現れる。

 

「! 唯ちゃん!」

 

「だ、大丈夫なんですかっ!?」

 

聖子が驚きの声を挙げ、明菜が心配する。

 

「心配すんな。戦車道用の安全ブーツを履いてたのが幸いしたぜ。骨に異常は無しだ。2、3日で真面に歩ける様になるそうだ」

 

そんな心配を吹き飛ばす様に、唯は笑いながらそう言い放つ。

 

「良かったにゃ~」

 

「ホント、一時は如何なる事かと思いましたよ」

 

満里奈と静香は、それを聞いて安堵の息を漏らす。

 

「それよりも、今日も最高のステージだったぜ! ぶっつけ本番の新曲披露も上手く行ってよぉ!」

 

「全くですわ。里歌さんが用意して来ていた新曲をいきなりやるとライブ前に言われた時は如何なる事かと思いましたが………」

 

「意外と何とかなるもんだね~」

 

唯が若干興奮している様子を見せながらそう言うと、早苗が呆れる様に、郁恵があっけらかんとそう言い放つ。

 

そう………

 

実はライブ直前で、里歌が自分が作った歌が有る事を漏らすと、聖子は何と、その歌をライブで披露する事を決定。

 

ぶっつけ本番でのライブにメンバーは一度は反対したものの、聖子の強い意志に押され、結局折れる形でそれを承諾。

 

僅かな練習と振り付けの図を見ただけで、その新曲に臨む事となった。

 

そして結果は、観客席の歓声からも分かる通り、大成功である。

 

「さ、里歌さんの指導がとても分かり易くて、指示も的確だったからだと思います」

 

「正典エトロニア第二十章に記されている位は根源モーグリの信仰する現人神不死鳥の騎士団長候補永遠であると信じられてきた(訳:流石は元アイドル候補生です)」

 

さゆりと今日子がそう口にする。

 

ぶっつけ本番の新曲披露が上手く行ったのには、サンショウウオさんチーム全員のポテンシャルが高まっていたのもあるが、何より曲の責任者である里歌の、元アイドル候補生として経験を活かした的確な指導・指示の恩恵が大きい。

 

「…………」

 

その里歌は、舞台袖の陰から、観客席の様子を覗き見ていた。

 

サイリウムや手製の団扇などを手に、未だに興奮冷めやらぬ様子の観客達。

 

その全員が、笑顔を浮かべている。

 

「…………」

 

そんな観客達の笑顔に釣られる様に、笑みを浮かべる里歌。

 

「あ! 里歌さんが笑った!」

 

「!?」

 

とそこで、その顔を聖子が覗き込んで来て、里歌はギョッとする。

 

「え~、ホントッ!?」

 

「初めて見るかも!」

 

満里奈と郁恵が、興味津々な様子で近づいて来る。

 

「わ、笑ってなんかいないわよ! 見間違いよっ!!」

 

里歌は顔を真っ赤にしながら、怒鳴る様な声で誤魔化そうとする。

 

「その決定的な瞬間、撮らせていただきましたけど」

 

しかしそこで、早苗がそう言いながら、何時の間にかスマホのカメラで撮影した里歌の笑顔を、画面に表示させて皆に見せる。

 

「!? 何撮ってるのよぉっ!!」

 

「わあ~、良い笑顔だね~」

 

「ですね………」

 

里歌が悲鳴の様に叫ぶが、既に全員がその写真を見ており、伊代と優がそんな言葉を漏らす。

 

「~~~~~~っ!!」

 

怒りや羞恥やらが色々と入り混じった表情でプルプルと震える里歌。

 

「里歌さん、そんなに照れなくても………」

 

「照れてなんかいないっ!!」

 

と、聖子にそう怒鳴り返したところ、観客席からのアンコールが始まった。

 

「ホ、ホラ! アンコール入ったわよっ!! 早く行くわよっ!!」

 

「誤魔化そうとしてる………」

 

「煩いっ!!」

 

郁恵のツッコミに、里歌は即座に言い返す。

 

「よ~し! 皆! アンコールだよっ!!」

 

「「「「「「「おお~~~~~~っ!!」」」」」」」

 

しかし、聖子がそう声を掛けると、サンショウウオさんチームはすぐに団結し、アンコールの為に、再びステージ上へと向かったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜………

 

冥桜学園・甲板都市………

 

その一角にある小さな店………

 

『食堂居酒屋鳳翔』にて………

 

「チキショーッ! やってらんねーぜっ!!」

 

カウンター席に座っていた白狼が、空にしたコップをカウンターに叩き付ける様に置きながら、愚痴る様に声を挙げる。(注:ウーロン茶です)

 

「ホ、ホロウ、飲み過ぎだって………」

 

右隣の席に同伴していたイチは、そんな白狼の様子に戸惑う。

 

「あらあら、荒れてますね。神狩くん」

 

「何か、学校であったのか?」

 

そんな白狼の姿を見た、この店の主である『今川 鳳翔』と『三河 蜻蛉切』が声を掛ける。

 

「あったかじゃねえよ、ったく!」

 

白狼はそう言うと、1週間の謹慎と反省文100枚の提出を言い渡された事を告白する。

 

「あらあら………」

 

「神狩よ。同情はするが、それはお前のケジメだぞ。しっかりとやらないと駄目だ」

 

話を聞いた鳳翔は苦笑いし、蜻蛉切はやんわりとながらも、やらないと駄目だと説教する。

 

「分かってるよ! ただ愚痴りたいだけだっての!!」

 

そう言うと白狼は、再びウーロン茶を注いだコップを煽る。

 

「って言うか、ホロウ。謹慎言い渡されたのに、こんなとこに居て良いのかよ?」

 

とそこで、イチがそうツッコミを入れる。

 

「処分は明日からだそうだ。その前に精々好きに過ごしておけとの事だ」

 

「良かったですね。理解の有る学校で」

 

「ちっとも良かねえよ! 俺が束縛されるのが嫌いっての知ってるだろ」

 

鳳翔の言葉にそう言い返す白狼。

 

「………それから、お前。何時までそこで見てる気だ」

 

「!? ふあっ!?」

 

とそこで、不意に白狼が店の入り口の方を振り返ってそう言い放つと、短い悲鳴が聞こえ、店の戸が鳴った。

 

「…………」

 

暫しの間の後、やがて観念したかの様に戸が開き、私服姿の優花里が姿を現す。

 

「アレ? 君、確か………」

 

「す、すみません、神狩殿! わ、私、その………」

 

イチが優花里の姿に見覚えを感じていると、優花里が白狼に向かって頭を下げる。

 

「鳳翔さん、コイツに適当なモン頼む」

 

しかし白狼は、鳳翔に優花里に何か作ってくれと頼む。

 

「えっ?」

 

「ハイ、神狩くんの奢りですね」

 

「あっ? 何でだよ?」

 

「神狩よ。こういう時は男が払うのが甲斐性と言うものだぞ」

 

鳳翔が代金は白狼持ちだと言い、蜻蛉切もそう言い放つ。

 

「チッ、分かったよ………何してんだ、早く座れ」

 

「あ、ハイ………」

 

そう言われて、優花里はおずおずと言った感じで白狼の左隣の席に座る。

 

とそこで………

 

「こんばんわ~」

 

「大将、女将さん。やってる?」

 

そう言う台詞と共に、冥桜学園の生徒達が次々に入店して来た。

 

「いらっしゃい」

 

「好きな席に掛けてくれ」

 

鳳翔と蜻蛉切がそう言うと、冥桜学園の生徒達は思い思いの席へ腰かけて行く。

 

店の中が一気に騒がしくなる。

 

「集まって来たな………」

 

「皆さん、良く利用されるのですか?」

 

「ああ、此処は俺達の憩いの場所だからな」

 

白狼がそう呟き、優花里が尋ねると、客の中に居た木曾がそう返す。

 

段々と客が増えて来て、店員の『乱藤四郎』と『薬研藤四郎』が、出来上がった料理をあちらやこちらのテーブルに慌しく運んで行く。

 

厨房の方では、夜はコチラで働いている間宮と伊良湖の姿が見える。

 

更に、三日月と文月と皐月と宗近と御手杵が入店してきたかと思うと、三日月と文月と皐月がエプロンを装着して鳳翔の手伝いを始める。

 

如何やら、此処でバイトをしている様だ。

 

皆話に花が咲き、小宴会の様な雰囲気となっている。

 

「何か………良いですね」

 

「当然だろ」

 

そんな光景を見て、ポツリとそう呟く優花里に、白狼が同意する。

 

「そう言えば、神狩殿。試合中に見せたあのカンフー………一体何処で身に付けたんですか?」

 

「中国の山奥さ。仙人みたいな爺さんに稽古をつけてもらってな………大変だったぜ。只管投げ飛ばされて受け身を取らされたり、水瓶の中の水を只管移し替えたり、逆さに釣られた状態で下にある水瓶の水を、御猪口で上の水瓶に移し替えたり、両手に木の棒を固定されて爺さんと同じ動きをさせられたり、只管胡桃を指で割ったり………」

 

「す、凄い修行ですね………」

 

と、そこで………

 

「こんばんわ~、やってますか~?」

 

そう言う台詞と共に、1人の女性が入店して来た。

 

「!? ああっ!? た、たたたた、高垣 楓さんっ!?」

 

その女性・楓の姿を見た吹雪が仰天の声を挙げる。

 

「ええっ!? 嘘っ!?」

 

「マジッ!?」

 

「本物だぁっ!?」

 

その声で、他のメンツも楓に気づき、一様に驚きの声を挙げる。

 

「失礼しま~す」

 

「笛吹TVの者ですがぁ」

 

とそこで、楓の後に続く様にカメラマンやディレクターなどの面々が現れた。

 

如何やら、テレビの撮影の様である。

 

「ああ、いらっしゃい。お待ちしてましたよ」

 

「ようこそいらっしゃいました」

 

鳳翔と蜻蛉切が、そう言って楓とスタッフを歓迎する。

 

「皆さん。言い忘れてましたけど、今日はテレビの撮影があります。けど、変に気を使わず、普段通りにしていて下さいね」

 

「「「「「「「「「「は~い!」」」」」」」」」」

 

そう鳳翔に言われ、客に来ていた生徒達は、普段通りに振る舞う。

 

その後番組は何事も無く進行。

 

楓は、本日のお勧めである『彩りコロッケの豚汁定食(ご飯おかわり無料)』を、某まいうーな人や宝石箱や~な人にも匹敵する美味しそうな表現で紹介。

 

そして、味わった後は店に来ていた人達に1人づつインタビューをすると、番組は終わった。

 

しかし、ココからが楓の本領発揮だった………

 

撮影した映像の編集の為にスタッフは引き上げたが、酒好きの楓はこの店の酒を味わいたいと残留。

 

そのまま1人でドンドンと酒をかっ喰らい始め、その飲みっぷりに誘われる様に、隼鷹、千歳、那智、足柄と言った大学組の生徒達がこれまた飲み始め………

 

小宴会が飲み比べ大会へ発展してしまう。

 

「あわわわ………」

 

「ウルセェなぁ………」

 

そんなどんちゃん騒ぎを見て如何すれば良いのかとオロオロする優花里と、対照的に冷めた目で飲み比べをしている面子を見据えている白狼。

 

と、そこへ………

 

「ありゃ~? お兄さんは確か~………」

 

「や~、また会ったね~」

 

そう言う台詞と共に、店の入り口に双葉 杏を抱えたきらりが姿を見せた。

 

「全く、先輩アイドルともあろうお方が困ったものですね………ってあの時のおにーさんっ!?」

 

「あ、こ………こんばんわ」

 

「ま、また会えたな………ふ、ふひひひひ………」

 

更にその後ろから、幸子、小梅、輝子の身長143センチ組が現れる。

 

「お前達か………」

 

「楓さんのプロデューサーさんに様子見てきてくれって頼まれたんだけど………案の定みたいだっただね~」

 

白狼が反応すると、杏が酒盛りをしている楓の姿を認めてそう言う。

 

「にゃっほーい! ハロウィン戦、カッコよかったにー!!」

 

きらりがそう言うと、一同は白狼の近くの席に付き、注文をする。

 

「そりゃどうも………お前らも仕事か?」

 

「ええ、この冥桜の都市伝説の紹介をボクも御一緒との事で………」

 

「こ、この学園艦には………お岩の幽霊が出ると言うことで………早速、現場調査撮影の為に………」

 

「め、珍しいキノコも有るとの事で、トモダチと一緒に………ふ、フヒヒヒヒヒヒ………」

 

「理由がメチャクチャだな………」

 

「え? でも、あそこにいる高垣 楓っていう女の人を迎えに来たんじゃ?」

 

3人の目的に、白狼が呆れていると、イチはそう指摘する。

 

「うん! そうだにー! お迎えに様子に見てきてほしいって高垣さんのPちゃんに言われたから来たんだにー!」

 

「でも、あの人って、お酒やおつまみが好きだから、居酒屋に入ったら飛ばすからね~………」

 

「………番組の為に来たんじゃねーのかよ」

 

「あ、あははは………」

 

またも呆れる白狼に、イチは苦笑いを浮かべる。

 

当の楓は美味しいお酒と肴にご満足の様子である。

 

「ところで、お前等アイドルなんだろ? 戦車道に興味とかあるのか?」

 

「戦車道になんて興味ありませんよ! このカワイイボクが、あんな鉄のカタマリと一緒に居たら、ボクのカワイイイメージが総崩れになりますよ」

 

「むっ………」

 

幸子の発言に、優花里が少しムッとした様子を見せる。

 

「わ、私は………あまり………グラグラしてるのとか………大きな音は………好きじゃ………ないから………」

 

「せ、戦車の中は、く、暗くてジメジメしてるから、う、動かない方が………キノコも喜ぶ………」

 

「殆ど自分の趣味範囲じゃねーか………」

 

「きらりもねー、学校でね、乗れる戦車が無いから、入れないの~。」

 

「あたしはどっちかと言えば戦車ゲーが一番だな~。」

 

きらりと双葉 杏もそう言って来る

 

「………そう言えばおにーさんは、歩兵さんなんですよね?」

 

「ああ、以前も今もだけどな」

 

「何ですか、その中途半端な態度は………歩兵道の男子達は立派で誇り高い名誉ある人達だって言われてましたよ。シンデレラプロジェクトのプロデューサーさんだって、元々は歩兵道の選手だったんですから」

 

「余所は余所、ウチはウチだ………大体、俺はそんな大層立派な心掛けなんか無いし、戦車に乗った女子をを守るのは、それがルールだからだ」

 

「白狼、そんな言い方はないだろ。女の子が男の子に守られるのは、皆憧れるもんなんだぜ」

 

「お前は彼女持ちだから言える義理なんだ」

 

白狼の皮肉をイチは咎めようとするが、そんな彼の言葉に白狼はそう返す。

 

「………ってことは………リア充か………フフフフフ………爆発しろリア充めぇぇぇぇぇぇ!! ヒャッハァァァァァァァァァーーーーーーーー!!!」

 

「な、何だよいきなり………未成年の癖に、飲んじまったのか?」

 

突然豹変した輝子の様子に、白狼が若干ビビる。

 

「う、ううん………輝子ちゃんは………元々こういう性格だから………気にしないで………」

 

「………はっ! ご………ごめんごめん………ついつい………憎しみのオーラが………」

 

「どういう環境で育ったんだよ………」

 

我に返った輝子に、またも白狼は呆れる。

 

「と、兎に角! 貴方の様な態度じゃ、守ってる女の子に失礼ですよ!! 歩兵道も戦車道もそんなごっこ遊びじゃないんですから!!」

 

「さっきまで戦車に乗らないって言ってたヤツが言う台詞かよ………そこまで言うんなら、お前は守られる事に憧れがあるのかよ?」

 

「勿論じゃないですか! この世界一カワイイと称される輿水 幸子を守れるる男子達は幸運に決まってますよ! 戦車道には、そう言う嬉しい気持ちがあるんですから!」

 

「嬉しい気持ちね………俺には全然分かんねぇ……つーか理解したくもねえな」

 

「何か………凄く酷い言い方………」

 

あんまりな白狼の物言いに、思わずきらりの表情にも曇りが出る。

 

と、その時!!

 

白狼の顔に、茶色い液体が掛けられた!

 

「うわっ!? な、何だよ、秋山っ!?」

 

「…………」

 

優花里が、持っていたコップの中身のウーロン茶を掛けたのである。

 

「一体何の積………」

 

「この不覚悟者めぇっ! 私のケツを舐めろぉっ!!」

 

「!?」

 

「「「「「「「「「「!??!」」」」」」」」」」

 

白狼が問い質そうとしたところ、優花里は突然そう叫び、白狼も思わず固まり、他の面々も一瞬で静まり返って優花里と白狼に注目した。

 

「神狩殿ぉ~………大体貴方は………ちょっと身勝手が過ぎるであります………」

 

完全に据わった目で白狼を睨みつける様に見ながら、優花里はそう言い放つ。

 

「あ、秋山、さん?………」

 

その迫力の前に、白狼はタジタジになり、思わず優花里の事をさん付けで呼ぶ。

 

「………ヒック」

 

「ヒック?………!?」

 

と、優花里がしゃっくりを漏らしたのを聞いた白狼は、先程優花里に掛けられたウーロン茶を舐めて、ある事に気づく………

 

「オイ! 鳳翔さん! コレ、ウーロンハイじゃねえかっ!!」

 

「ええっ!?」

 

「あ、しまったっ! 高垣さん達の方に持って行くのと間違えたっ!!」

 

白狼がそう指摘すると、鳳翔と蜻蛉切が慌てた声を挙げる。

 

そう………

 

優花里が今飲んでいたのは、ウーロン茶ではなくウーロンハイ………

 

カクテル、つまりは『酒』だ。

 

つまり、今優花里は酔っぱらっているのである。

 

「大体でありますな。神狩殿は日頃から縛られるのは嫌いだとか、自由が好きだなどと言っておりますが………自由には責任が伴うって事を分かってますか!!」

 

「お、おい、秋山。落ち着け………」

 

「人の話を聞けぇっ!!」

 

優花里を落ち着かせようとした白狼だったが、優花里はそう言い放って、何処かから取り出した巨大ハリセンで白狼を引っ叩いた。

 

「ぶべっ!?」

 

「経緯は如何あれ、神狩殿は今我々大洗機甲部隊の一員であります! 私も含めて、皆神狩殿の事を仲間だと思っているのであります! その仲間達の気持ちを理解出来ないですって! 寝言は寝てから言って下さいっ!!」

 

「い、いや、だから………」

 

「口答えするなぁっ!!」

 

再び白狼が何か言おうとすると、再び優花里のハリセンチョップが炸裂する。

 

「アバッ!?」

 

「………白狼くん」

 

すると、引っ叩かれた白狼に、鳳翔が声を掛ける。

 

「ん? 何だよ、鳳翔?」

 

「自由に生きる事も良いですけど、偶には周りを見渡す事も大切ですよ」

 

「…………」

 

鳳翔にそう言われて黙り込む白狼。

 

「私は沢山の子達に弓道を教えてあげて、自分のお店を持って、間宮さんや伊良湖ちゃんと一緒にお料理を作って、三日月ちゃんや文月ちゃん、皐月ちゃん達と一緒にお仕事をして、そして蜻蛉切さんと出会って働いて、沢山のお客様の色んな顔を見て、それに幸せに感じたのよ。貴方も此処に居る皆や大洗の子達と出会って、何か感じた事が有るでしょ? それは自由以上に素敵な事の筈よ」

 

「鳳翔殿の言う通りですよ。昔はよく貴方の自由に振り回されましたが、そのお陰で鳳翔殿と御近づきになれました。それは私だけではありません。此処、冥桜学園の皆が勇気を手にしました。皆貴方に感謝しています。だからこそ、今度は白狼殿が大切な人達と共に幸せになる番ではないですか?」

 

「…………」

 

鳳翔と蜻蛉切からそう言われ、白狼は返事をする代わりに、自分のコップのウーロン茶を飲み干す。

 

と………

 

「今の良い話に対して何のリアクションも無しか、コラァッ!!」

 

「!? べごっ!?」

 

その態度が気に入らなかったのか、優花里が突然、白狼にタックルを掛けた!

 

2人はカウンター席から落ちて、そのまま床の上に転がる。

 

丁度、白狼が仰向けの状態で、優花里に馬乗りにされている状態となる。

 

「お前………いい加減にしろよ! この西住の忠犬!!」

 

「何ですと~? 私の何処が犬でありますと~?」

 

大分酔いが回って来たのか、呂律が怪しくなる優花里。

 

「じゃあ、何様なんだよ? 弱音を吐くとすぐに西住 みほ総隊長の名前を叫んでるくせに」

 

「さっきから聞いて居れば言いたい放題に………犬と言うのはでありますね~………こういう事をする奴の事を言うのであります~っ!!」

 

と、優花里はそう言い放ったかと思うと………

 

白狼に馬乗りになったまま、白狼の顔を舐めまわし始めた!!

 

「!? うわっ!? オイ、馬鹿!! 止めろっ!!」

 

「聞こえないであります~」

 

白狼が止めるのも聞かず、まるで本当に犬の様に、白狼の顔を舐め回す優花里。

 

「クソッ!………って!? 何だ、この力っ!?」

 

埒が明かないと、力づくで引き剥がそうとした白狼だったが、優花里は凄まじい力でしがみ付いており、引き剥がせない。

 

実は装填手である優花里は、日課として自主的に筋トレをしており、そんじょそこらの男子よりは筋力が有るのだ。

 

「ん~~、神狩殿の顔は美味しいでありますなぁ~」

 

「オ、オイ、お前等っ! 助けてくれっ!!」

 

更に顔を舐め回され、白狼は冥桜学園の生徒達に助けを求めたが………

 

「こりゃ傑作だ」

 

「わおっ! シャッターチャンスッ!」

 

「見ちゃいました!」

 

「アハハハ、面白い面白い」

 

冥桜の皆はその光景を面白がり、携帯やスマホで写真・動画撮影しており、全く助けようとする気配は無い。

 

「お前等ぁっ!!」

 

「ブログのネタにしよう」

 

「ツイッターに挙げたろ」

 

「動画投稿サイトに………」

 

怒鳴る白狼だったが、冥桜の面々は全く気にせず、撮影した写真や動画をネットに挙げ始めようとするのだった。

 

「い、良いんですか? 止めなくて?」

 

「心配しなくても大丈夫ですよ。いつもの事ですから」

 

「それはそれで問題じゃないかなぁ………」

 

思わずそう言う幸子だったが、鳳翔が笑いながらそう返すと、杏が呆れた様に呟く。

 

「そう言えば、都市伝説を探してるんでしたね。お店が終わったらその場所までご案内しますね」

 

「え? 良いんですか?」

 

そこで鳳翔は、幸子達の企画を思い出しそう言う。

 

「ええ、その場所でしたら詳しいので」

 

「む? そう言えば、撮影者は?」

 

とそこで、蜻蛉切がカメラマンの姿が無い事に気づく。

 

「さ、撮影は………このビデオカメラで、撮すの………」

 

そう言って家庭用のホームビデオを見せる小梅。

 

「成程。ドキュメンタリー形式ですか………」

 

「ふふん! 僕に怖いものなんてありませんよ! ねっ! 杏さん!」

 

(きらりの袖を掴んでも説得力無さ過ぎ………)

 

強がってそう言う幸子だったが、その手はきらりの服の袖をしっかりと握り締めていた。

 

その後、店が終わり………

 

鳳翔が幸子達を案内すると、ハンディカムを持ってきた小梅が、撮影を開始。

 

暗い夜道の中を幸子は、杏の袖を掴んだまま出発する。

 

その後………

 

放送されたとときら学園の番外コーナーの、142cmとあんきらのホラーショーにて………

 

幸子が気絶した姿が放送されたのは言うまでも無い………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、酔っぱらって白狼の顔を舐め回した優花里は………

 

翌日にはスッカリ記憶を失っており………

 

更には二日酔い状態となっていたので、戦車の振動や砲撃音に終始苦痛の表情を浮かべていた。

 

優花里に覚えていないと言われた白狼も、練習中は終始憮然とした表情であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オマケ

 

 

 

 

 

あの破天荒警察官が………

 

 

 

 

 

再びガルパンの世界へ………

 

 

 

 

 

やって来るっ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

劇場版ガールズ&パンツァー×こちら葛飾区亀有公園前派出所

 

『劇場版 両津&パンツァー 亀有より愛を込めて』

 

 

 

 

 

「大洗女子学園が廃校だとぉっ!!」

 

「そうなんですよ~。文科省が決めたらしくて………」

 

「ふざけるな! 中川! 来いっ!!」

 

「えっ!? ちょっ!?………」

 

 

 

 

 

「学園艦が戻って来てる!?」

 

「ようこそ、『私立』大洗女子学園へ」

 

「大洗女子学園艦と関係する全ての権利は、僕が買い取らせていただきました。だから、大洗女子学園は県立から私立になります」

 

「「「「「「「「「「ええええええぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーっ!?」」」」」」」」」」

 

 

 

 

 

「クソッ! 何で中川財閥が出張って来るんだ!!」

 

「折角懇意の解体業者に仕事を流して、その見返りを手に入れようとしたのに、全てパーだっ!!」

 

「おのれ、大洗………見ていろよ………このままではすまさんぞ」

 

 

 

 

 

「その繋がった眉毛は………ひょっとして………勘ちゃん?」

 

「えっ?」

 

「ホラッ! 私よ、私! 同じ小学校で同級生だった、『ちよきち』よ!!」

 

「!? 『ちよきち』!? お前、まさか!! 『千代』かよ!?」

 

 

 

 

 

「優勝旗を返還しろっ!?」

 

「優勝したのは県立大洗女子学園であって、私立大洗女子学園じゃないってさ」

 

「そんな事出来ません! あの旗には………私達皆の思いが籠っているんです!!」

 

 

 

 

 

「もしよろしければ………我々文科省が、ボコミュージアムのスポンサーをしてあげてもいいですよ」

 

「!?」

 

「如何します?」

 

(………大丈夫………私が助けてあげるからね)

 

 

 

 

 

「お願い、勘ちゃん! あの子を! 愛里寿を助けてっ!!」

 

「心配するな、ちよきち! わしに任せておけっ!!」

 

 

 

 

 

「待て待て待てえーいっ!!」

 

「! この声は!?」

 

「葛飾警察署亀有公園前派出所勤務、両津 勘吉巡査長! 大洗に味方するぜぇっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

SS速報VIPにて、掲載予定!!




新話、投稿させていただきました。

里歌を加えたサンショウウオさんチームの初ライブ。
無事成功し、里歌もメンバーと大分打ち解けました。

そして、白狼は………
謹慎前の晩餐と、冥桜学園の居酒屋鳳翔で、冥桜の仲間達と過ごす。
そこへ乱入する優花里とアイドル達。
最後は酔った優花里に何とも羨ましい事をされるのだった(笑)

オマケですが、『VSこち亀』の、ガルパンとのコラボが予想以上に良かったので、時系列的に劇場版の前だから、このまま両さんが劇場版に介入したらと思い至りまして。
記載した通り、SS速報の方で掲載しようと思うので、台本形式+会話文オンリーの簡易SSです。
そうしないと、本編と並行で書き進めるなんて出来ないので。
開催時期につきましては、まだ何とも言えません。
余裕が在った、SS速報への掲載が終わった後、地の文などを追加して、こちらにも投稿しようかと。
あまり期待しないでいて下さい。

これからも、よろしくお願いします。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。