ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース 作:宇宙刑事ブルーノア
本日、10月23日は、我等が軍神・西住 みほちゃんの誕生日!!
小説書きとしては、誕生日記念SSの1つも書くのでしょうが………
残念ながら本編執筆が忙しく、暇がありませんでした。
ごめんよ、みぽりん。
せめてものお詫びに、精一杯祝わせてもらいます、
お誕生日おめでとう!!
『ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース』
第165話『グロリアーナ&ブリティッシュ、再びです!』
準々決勝にて、ナイトウィッチ&ハロウィン機甲部隊を相手に壊滅寸前まで追い込まれた大洗機甲部隊だったが………
白狼の帰還と、起死回生のヤシオリ作戦が成功し、如何にか勝利を収めた。
いよいよ残す試合は後2回………
そんな大洗機甲部隊は………
日本・某所………
『天竺ジョロキア機甲部隊、フラッグ車行動不能! よって、黒森峰機甲部隊の勝利っ!!』
「! ローリエさん!」
観客席に居たみほが思わず目を見開く。
今日は準々決勝の第3試合………
天竺ジョロキア機甲部隊VS黒森峰機甲部隊の試合が行われていたのだ。
練習試合を行い、交流もあった天竺ジョロキア機甲部隊と、王者黒森峰機甲部隊の試合………
気になる対戦カードに、みほは居ても立っても居られず、あんこうチームと弘樹、地市、飛彗、白狼、煌人と共に、試合会場を訪れていた。
そして結果は、ご覧の通りである………
「ローリエさん達………負けちゃった………」
「残念です………」
「やはり、相手が黒森峰では………」
「けど、惜しかったな………」
沙織、華、優花里、麻子の面々の表情も何処か浮かない。
「黒森峰の壁は厚かったか………」
「再戦の約束をしていたのに………」
「チッ………」
「だが、お蔭で黒森峰に対するデータが多少収集出来た」
地市、飛彗、白狼も何処か思う所が有る様子を見せる中、冷静に黒森峰のデータを収集している煌人。
「…………」
そして弘樹は、未だに彼方此方で黒煙が立ち上っている試合会場を見ながら、やがて傍に居たみほの方へと視線をやる。
「みほくん………」
「………弘樹くん」
弘樹に声を掛けられ、みほは弘樹の方を振り返る。
「………行くか」
「………うん!」
弘樹がそう問い質すと、みほは一瞬考え込んだ様な様子を見せたかと思うと、やがて決心した様子で力強く頷いたのだった。
天竺ジョロキア機甲部隊の宿営地………
「オーライ! オーライッ!」
「それはコッチに頼む!」
天竺ジョロキア機甲部隊の面々が忙しく動き回り、撤収に入っている。
「「「「…………」」」」
その中で、ドラゴンワゴンに乗せられる、彼方此方に被弾し、ボロボロになっているコメット巡航戦車を見上げているローリエ、ルウ、ターメリック、キーマの姿が在った。
「ローリエさん!」
「ターメリック」
とそこで、みほと弘樹を先頭に、あんこうチームと地市達が姿を見せる。
「! みほちゃん!」
「舩坂 弘樹………」
「「!!」」
ローリエとターメリックが反応し、ルウとキーマも弘樹達の方へ向き直る。
「………負傷したのか?」
とそこで、弘樹がターメリックの腕に包帯が巻かれているのを見てそう言う。
「掠り傷だ………」
そう答えるターメリックだが、その表情は複雑そうだ。
「ローリエさん、あの………」
「ゴメンナサイね………再戦の約束は果たせなかったわ」
みほが何か言おうとして口籠ると、ローリエの方がそう切り出す。
その表情は何処か悲しげだ………
「ゴメン! 私がもっと上手く操縦してれば!!………」
「いや! 俺がもっとしっかりとしていれば!!………」
そこで、耐え切れなくなった様に、ルウとキーマが悔し涙を流し始める。
「止めろ、2人共っ!!」
「「!!」」
しかし、ターメリックがそれを一喝する。
「我々は負けた………それが事実だ」
「そうよ。気にするなとは言わないけど、引き摺っちゃ駄目よ。貴方達には来年が有るんだから」
ルウとキーマに向かって、ターメリックとローリエはそう言い放つ。
「で、でも、お姉ちゃんは………」
「隊長はもう………」
「…………」
そう言うルウとキーマの様子を見て、みほも黙り込む。
「確かに、私の高校での戦車道はもう終わったわ………でも、まだ次の戦車道があるわ」
「! 次の………戦車道」
ローリエのその言葉に、みほが軽く驚きを示す。
「大学に行っても、社会人になっても戦車道は出来るわ。戦車道そのものが終わったワケじゃないわ」
「お姉ちゃん………」
「キーマ、ジョロキアの事は任せたぞ………」
「隊長………ハイ!」
ローリエとターメリックにそう言われ、ルウとキーマは表情を引き締める。
「………みほちゃん、再戦の約束は果たせなかったけど、もし貴方がコレからも戦車道を続けるなら、きっとまた道が交わる日が来るわ」
「その時に………改めて勝負だ」
そして、ローリエはみほに握手を求め、ターメリックは弘樹に握り拳を突き出す。
「! ハイッ!!」
「望むところだ………」
みほはその握手に応え、弘樹は自分の拳をターメリックの拳に軽くぶつけた。
こうして、天竺ジョロキア機甲部隊の戦車道・歩兵道全国大会は終わりを告げた………
◇
翌日………
大洗女子学園・戦車格納庫………
「よし! コレでOKだね!」
「ああ、何とか形になったな………」
ナカジマと敏郎が、サンショウウウオさんチームのクロムウェルを見上げながらそう言う。
そのクロムウェルの主砲は、6ポンド砲ではなく………
75ミリ QF砲に換装されており、更に追加装甲をボルト止めで増設してあった。
「凄~いっ! 何か強そうになったぁっ!!」
「強そうじゃなくて、実際に強化されているんですよ」
聖子がそんなクロムウェルの姿を見て、目を輝かせながらそう言うと、優がそうツッコミを入れる。
「気を付けてよ。火力と装甲は強化して、速度も据え置きだけど、その分足回りへの負担は増えるから、操縦は慎重にね」
「大丈夫だって、任せとけ!」
藤兵衛がそう忠告すると、唯は心配要らないとサムズアップを返す。
「天地、貴方にはまだやる事があるでしょう」
とそこで、そんな唯に里歌がそう言って来た。
「うえっ!? またかよ………」
「上手く歌いたいんでしょう? 文句言わない」
「ヘイヘイ………分かりましたよ」
里歌にそう言われ、唯は愚痴りながら頷く。
サンショウウオさんチームの中で、歌唱力に問題を抱えていた為、今までステージで歌った事の無い唯に対し、里歌が元候補生の経験を活かして、個人的にボイスレッスンを付けていた。
その甲斐あって、当初の頃はジャイアンリサイタル並みだった唯の歌唱力は瞬く間に向上。
今では人並みに歌える様になっていた。
「いよいよ次のステージではメンバー全員でパフォーマンスが出来そうだね」
「楽しみだにゃ~」
伊代と満里奈が笑顔を浮かべてそう言い合う。
「また世話になったな、とっつあん」
「気にすんなって。丁度良いのが有ったから手に入れておいてやっただけだ」
その様子をやや離れたところから見ていた弘樹とゴウトがそう言い合う。
何を隠そう、クロムウェルの強化改造用の部品を持って来てくれたのはゴウトであった。
「………ところで、『例の件』の方は?」
そこで弘樹は、小声でゴウトに調べておいて欲しいと頼んだ件………
文科省が進めている学園艦統廃合計画の裏側の事を尋ねる。
「ああ、まだ大きな事は掴めちゃいねえが………少なくとも、一部では無く文科省全体が絡んでいるのは間違いねえ。金も相当動いているみてぇだしな」
「そうか………」
「けど、コレ以上調べるとなると、公的な機関からの情報も欲しいところだな」
「公的な機関………警察等か」
ゴウトからそう言われた弘樹は、少し思案顔になる。
「………分かった。生徒会長に話してみる」
「神大の御曹司様か………成程、うってつけだな」
迫信に相談すると言った弘樹の言葉を聞いて、ゴウトはニヤリと笑う。
「じゃあ、そろそろ失礼するぜ。今年の戦車道・歩兵道の全国大会は異様なまでに盛り上がってるんでな。商売話が溢れてるんだ」
「ああ。また頼むぞ」
「毎度あり~」
ゴウトはそう言い残すと、格納庫から出て行った。
「………さて」
それを見送ると、弘樹は迫信の元へと向かう。
「生徒会長、宜しいですか?」
「ああ、舩坂くんか。丁度良かった」
歩兵部隊の補給品のリストをチェックしていた迫信が、弘樹の姿を認めるとそう言う。
「ちょっとお話が有るのですが………」
「………余り人に聞かれたくない事かい?」
「…………」
迫信がそう尋ねると、弘樹が無言で頷く。
そして弘樹と迫信は、格納庫の隅の方へと移動する。
「………それで? 一体どんな話だい?」
「実は………」
弘樹は、ゴウトが得ていた情報を、迫信へと開示する………
「成程………統廃合計画に黒い噂が有るのは聞いていたが、君も知り合いに調べて貰っていたとはね」
「生徒会長。私感ではありますが、この件、かなり根が深いかと………」
「私もそう思うよ………了解した。私の方からも手を回そう」
「ありがとうございます、生徒会長」
弘樹は迫信に向かって頭を下げる。
「………そう言えば生徒会長。先程、『丁度良かった』と仰っておりましたが、それは?」
「ああ、そうだった。角谷くんが君を探していてね。大洗女子学園の生徒会室まで来て欲しいそうだ」
「角谷会長が? 分かりました。すぐに向かいます。失礼」
杏が自分を探していると聞き、弘樹は大洗女子学園の生徒会室へと向かう。
「………さて」
弘樹が去ると、迫信は懐からスマホを取り出すと、電話帳に有ったとある人物へと電話を掛ける。
『………ハイ、もしもし?』
「お久しぶりです、後藤警部補。迫信です」
『ああ、神大とこのお坊ちゃん。久しぶりだね~』
電話の先からはとぼけた様な声が返って来る。
『………それで、俺に電話掛けて来たって事は、厄介事かな?』
しかし、すぐに鋭い感じがする声になる。
「お察しが良くて助かります。実は………」
『………成程。そりゃ臭いな』
「知人が個人的に調べていたのですが、民間からの情報だけではそろそろ限界が来ている様でして」
『それでウチ(警察)での情報を入れてくれって事ね。でもね、分かってる? そう言うのっていけないんだよ?』
「『正義の味方』の後藤警部補としては、見逃せない事態だと思ってご連絡差し上げたのですが?」
『若い内から大した狸っぷりだね………ま、良いさ。実を言うと俺もその噂は気になってたんだ。調べてみるよ』
「お願いします。今度そちらへの寄付金を割り増しする様に指示しておきますので」
『そりゃ大いに助かるね。じゃ、忙しいから、切るね』
電話の相手はそう言うと、迫信の返事も待たず電話を切った。
「…………」
すると迫信は、更に別の人物へと電話を掛け始める。
「もしもし………公安9課の荒巻課長をお願いします」
一方、その頃………
迫信から、杏が自分を探していたとの話を聞いた弘樹は、大洗女子学園の生徒会室前に来ていた………
「角谷会長、舩坂です」
扉をノックし、中に居ると思われる杏に声を掛ける。
「おお~、待ってたよ~、入って~」
「失礼します」
杏からの許しを得て、弘樹は生徒会室内へと入る。
するとそこには先客の姿が在った………
「! 弘樹くん!」
「みほくん? 君も呼ばれてたのか?」
「うん………」
弘樹はみほの隣に並び立つと、共に生徒会長席に腰掛けている杏に視線を向ける。
「2人共揃ったね~」
「あの、会長………私達2人に用って何ですか?」
杏がそう言うと、みほが改めてそう問い質す。
「ん~~、実はね~~………」
そこで杏は、生徒会長机の引き出しをゴソゴソと漁り始める。
「え~と、何処やったかなぁ~?………おっ! あったあった!」
やがて何かを見つけると、それを取り出して、弘樹とみほに見せる様に机の上に置く。
それは、高級感溢れる2枚の封筒だった。
「2人宛に届いてたんだ~」
「手紙?………」
「小官達宛に?………」
杏がそう言うと、みほと弘樹はその封筒を手に取る。
そして送り主を確認すると………
「! 聖グロリアーナ女学院っ!?」
「ダージリン………」
みほが驚きの声を挙げ、弘樹も表情を険しくする。
何故なら、聖グロリアーナ女学院、そして聖ブリティッシュ男子高校のグロリアーナ&ブリティッシュ機甲部隊は………
次の準決勝の相手なのである。
かつて、戦車道を再開させ、歩兵部隊の規模もまだまだだった頃………
大洗町を舞台に行ったグロリアーナ&ブリティッシュ機甲部隊との練習試合………
結果は奮戦したものの、大洗機甲部隊の惨敗………
初期からのメンバーにとっては、苦い記憶である。
そのグロリアーナ&ブリティッシュ機甲部隊と、遂に再戦をする機会を得た。
しかも、全国大会の準決勝と言う晴れの舞台で………
大洗機甲部隊の戦意は、否が応にも高まっていた。
無論、弘樹とみほも例に漏れない。
「「…………」」
2人は顔を見合わせると、封筒を開き、中に有った手紙を広げる。
「何て手紙?」
「コレは………」
「招待状です………」
杏がそう尋ねると、弘樹とみほは呆気に取られた様な表情でそう言う。
「招待状?」
「ハイ………私と弘樹くんを、是非お茶会に招待したいって」
「罠か? 或いは試合前の諜報戦の一種か………」
みほが杏とそう言い合っている横で、弘樹は思案顔になって様々な可能性を考える。
「行ってみりゃ分かるんじゃないの?」
しかし、杏はあっけらかんとそう言い放った。
「!? 会長っ!?」
「角谷生徒会長、それは………」
何かを言おうとするみほと弘樹だったが………
「な~に、あの隊長さんは腹芸は得意そうだけど、信用は出来るさ。それにコッチから偵察に行って捕まったら拙いけど、向こうが招待してくれて行く分には大丈夫じゃん」
それを制する様に、杏は続けて2人にそう言った。
「それは………」
「一理有りますが………」
「それに言うじゃん。虎穴に入らずんば虎子を得ず、ってね」
「「…………」」
杏がそう言うのを聞いて、弘樹とみほは顔を見合わせる。
◇
その翌日………
聖グロリアーナ女学院&聖ブリティッシュ男子高校の学園艦の甲板都市の一角にて………
「此処が聖グロリアーナ女学院と聖ブリティッシュ男子高校の学園艦の甲板都市………」
「学園艦自体は前に見ていたが、甲板都市に上がるのは初めてだな」
連絡船の乗り場から上がって来たみほと弘樹が、目の前に広がるイギリス風の街並みを見てそう言い合う。
2人は虎穴に入る事を決断したのである。
と、そこへ………
「失礼します。西住 みほ様と舩坂 弘樹様ですね?」
そう声を掛けられて、弘樹とみほが声の主を確認すると………
「お待ちしておりました」
何時の間にか停まっていた馬車の傍でお辞儀をしているメイドの姿が在った。
「貴方は?………」
「ダージリン様の使いで参った者です。どうぞ、御乗り下さい。学園までご案内致します」
弘樹が尋ねると、メイドはそう言い、2人に馬車に乗るよう促す。
「御乗り下さいって………この馬車にっ!?」
「その様だな………」
まさか馬車が迎えに来るとは微塵も思っていなかったみほは驚きの声を挙げる。
「グロリアーナは英国風に加え、お嬢様の学校だと聞いていたが………ココまでとはな」
「あ、あはは………」
そう呟く弘樹に、みほは乾いた笑いを漏らしながら、共に馬車へと乗り込む。
「ハイッ!」
2人が乗ったのを確認すると、メイドは馬車の馬を操る席に座り、手綱を引くと、馬車を走らせたのだった。
つづく
新話、投稿させていただきました。
再戦の約束をしていた天竺ジョロキアは、黒森峰の前に敗れた………
だが、新たな再戦の約束を胸に、新たな天竺ジョロキア機甲部隊が生まれる。
そして、大洗の準決勝の相手は因縁のグロリアーナ&ブリティッシュ機甲部隊。
学園艦統廃合計画の裏への調べも進む中………
ダージリンより、みほと弘樹に茶会の招待状が届いた。
果たして、その目的は?
では、ご意見・ご感想をお待ちしております。