ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース 作:宇宙刑事ブルーノア
来襲の日曜日は元日ですが、更新は何時も通り行います。
来年もガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダースをよろしくお願いします。
良いお年を。
『ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース』
第174話『駐車場の罠です!』
戦車道・歩兵道全国大会、決勝リーグ・準決勝の試合会場………
大洗町に似た港町を模した演習場………
グロリアーナ&ブリティッシュ機甲部隊の誘い出しに掛かったみほ達は………
「! 来ましたよっ!!」
「よし! 出せっ!!」
楓が、Ⅳ号を先頭に此方へと向かって来るみほ達、戦車チームの姿を確認すると、先行して待機していた大洗歩兵部隊が進軍を再開。
そのままⅣ号達へと合流するのだった。
「西住総隊長! 此方カモさん! グロリアーナ&ブリティッシュ機甲部隊の半数が追撃して来ています!!」
と、最後尾を固めていたカモさんチームのルノーB1bisのみどり子が、砲塔後部のハッチを開けて、追って来るグロリアーナ&ブリティッシュ機甲部隊の姿を確認し、みほへそう報告を挙げる。
「半数?………間違いありませんか?」
「間違いなく半数です。さっき見た時と数が合いません」
みほが確認する様に問い直すと、みどり子は間違いないと返す。
「………半数は回り込ませて挟み撃ちにする作戦か」
瞬時にみほは、ダージリンの作戦を読む。
「西住総隊長! そっちは私達が引き受けます!!」
するとそこで、アヒルさんチームの典子が、そう声を挙げた!
「! 磯辺さん!」
「情けないですけど、この中で真面な戦力にならないのは私達ですからね。でも、足止めぐらいはして見せます」
驚いた様子を見せるみほに、典子はやや自虐的ながらも、ハッキリとした口調でそう言う。
「西住総隊長! ワイ等も行くで!!」
「戦車と随伴歩兵分隊は運命共同体だからな」
とそこで、ペンギンさん分隊の大河と大詔もそう声を挙げる。
「………お願い出来ますか?」
一瞬考え込んだ様子を見せたみほだったが、すぐに典子とペンギンさん分隊の方を見ながらそう言った。
「分かりました!」
「任せときぃっ!!」
典子と大河がそう威勢の良い返事を返したかと思うと、交差点に差し掛かった瞬間!
アヒルさんチームの八九式とペンギンさん分隊の面々が左折!
そのまま離脱して行った!
「敵部隊の1部が離脱します」
「ルクリリ、聞こえる? そちらに戦車が1輌と随伴分隊が向かったわ」
アッサムがそう言うと、ダージリンは即座に狙いを見抜き、ルクリリにそう通信を送る。
『敵の車種は何ですか?』
「八九式よ」
『えっ? 八九式ですか?』
向かって来ている相手が八九式だと知り、ルクリリは拍子抜けした様な声を挙げる。
「侮るんじゃありません。大洗の八九式は化け物よ。そう思って対処しなさい」
しかし、すぐさまダージリンは、強い口調でそう戒める。
『! ハ、ハイ! 了解しましたっ!!』
一瞬慌てた様に返事を返し、ルクリリは通信を終了する。
「やれやれ………」
「あの子もある意味、ローズヒップと良い勝負ですからね」
ダージリンが呆れた様な溜息を吐くと、アッサムがそう言って来る。
「まあ、仮にもティーネームを持つ身………早々にドジは踏まないでしょう。全部隊、離脱した戦力には構わず前進。フラッグ車を追撃しなさい」
気を取り直すと、部隊にそう指示を出し、みほ達の追撃を続けるダージリンだった。
一方、その頃………
海岸線では………
「イヤーッ!!」
ニンジャシャウトと共に、小太郎が両手を鞭の様に撓らせ、広げる様に動かしたかと思うと、無数のスリケンが射出される。
「フフフ………」
だが、ジャスパーは不敵に笑いながら、ロングボウに掛けた束ねた矢を放つ。
散弾の様に拡散した矢が、小太郎の放ったスリケンを全て叩き落す。
「トアアーッ!!」
そして今度は自分の番だとばかりに、ロングボウを左手に持ったまま、クレイモアを右手に小太郎に斬り掛かる!
「むうっ!!」
その1撃を、小太郎は後ろ腰から抜いた忍者刀で受け止める。
「そらそらそらっ!!」
するとジャスパーは2撃、3撃と連続でクレイモアでの斬撃を見舞って来る。
「ぬううっ!!」
素早い攻撃の前に防戦一方となる小太郎。
「如何した、忍者くん! 得意の忍術を見せてくれよ!!」
そんな小太郎を、ジャスパーはそう挑発する。
「ではご披露するでござるっ!!」
するとその瞬間!!
小太郎は一瞬にして砂の中へと潜った!!
「!? おおっ!?」
コレにはジャスパーも目を見開いて驚きを露わにする。
「Wasshoi!」
と、そのジャスパーの背後に、小太郎が砂の中から飛び出して、姿を見せる。
「!!」
「イヤーッ!!」
そして空中回転して勢いを付けた踵落としを見舞う!!
「! グウッ!!」
咄嗟に身を捻って頭部への直撃は避けたものの、左肩へ喰らってしまうジャスパー。
そのままガクリと膝を付く。
「ハイクを読め! カイシャクしてやるっ!!」
間髪入れず、小太郎はジャスパーの首目掛けて忍者刀を振るう。
………が!
その1撃は、ジャスパーが立てる様に構えたクレイモアによって防がれる!
「!?」
「そう来ると思っていたよ」
如何やら、ジャスパーは小太郎の攻撃を予測していた様である。
「セヤッ!!」
そして、左手に持ったままだったロングボウで、小太郎の横っ面を思いっきり殴りつけた!!
「! グワーッ!!」
まさか弓で殴りつけて来るとは思っていなかった小太郎は真面に喰らってしまう。
「そらっ!!」
更にそこで、ジャスパーは態勢の崩れた小太郎に向かって手榴弾を投げつける!
「! イヤーッ!!」
小太郎は反射的に手刀で手榴弾を弾き飛ばす!
弾かれた手榴弾は空中で爆発する。
そしてその間に、ジャスパーは小太郎の懐へと飛び込む!
「!!」
「貰ったよっ!!」
ウカツ!!
小太郎の懐へと飛び込んだジャスパーは、小太郎の胸目掛けて、クレイモアでの突きを繰り出す!
「! グワーッ!!」
直撃を貰い、ブッ飛ばされる小太郎。
そのまま砂浜に背中から叩き付けられる!!
ナムアビダブツッ!!
あのパイルバンカーめいて凄まじい突きを喰らっては、小太郎と言えど、戦死判定は免れない!!
最早勝負あったか………
「………ゴホッ! ガハッ!」
しかし、何と!!
小太郎は吐血している様なアトモスフィアで身を起こしたではないか!!
「!? 何っ!?」
ジャスパーは驚愕する。
手応えで、完全に戦死判定をもぎ取っていたと確信していたからである。
「………運に救われたでござる」
小太郎はそう言いながら、ジャスパーの突きを喰らった部分の戦闘服の内側に手を入れる。
そこから、真っ二つに割れたスリケンを取り出す。
如何やら、このスリケンがジャスパーの突きを受け止め、その威力を軽減させた様である。
サイオー・ホースだ!
「ぬう、運が良いな………だが、2度目は無いぞ」
ジャスパーはそう言い、クレイモアを突きの姿勢で構える。
(またアレを喰らえば戦死判定は確実………幸運も2度は続かんでござる………だが、距離を取ったとしても、弓矢の攻撃が待ち構えているでござる………如何すれば………)
有効な攻撃手段の浮かばない小太郎。
(駄目か………いや、諦めてはイカンでござる………また父上に叱られるでござる)
しかし、諦める積りはなかった。
(ニンジャは地水火風の精霊と常にコネクトし、操る存在だ。これをフーリンカザンと称す!)
その脳裏に、父であるマスターニンジャの教え………インストラクション・ツーが過る。
(フーリンカザン!………)
と、小太郎は心の中でそう唱えたかと思うと、何を思ったか、一気にジャスパーから距離を取った。
「逃がさんっ!!」
すぐさまジャスパーは得物をロングボウに持ち替え、束ねた矢を連続で放つ!
束ねた矢は散弾の様に拡散!
無数となって小太郎へと迫る!!
「…………」
だが、何を思ったか、小太郎は迫り来る矢を前にして目を瞑り、合掌する。
「諦めたかっ!?」
「………スーッ………ハーッ………スーッ………ハーッ………」
ジャスパーのそう言う声も余所に、小太郎は独特な呼吸を始める。
それは太古の昔より伝わる暗殺拳………『チャドー』の呼吸法だっ!!
無数の矢が小太郎に突き刺さる………
………かに思われた瞬間!!
「イヤーッ!!」
小太郎はその矢に向かって跳躍!!
1番先頭を飛んでいた矢を足で踏み付けたかと思うと………
「イヤーッ!!」
何と!!
そのまま踏み付けた矢を足場に更に前へと跳躍!!
別の矢を踏み付け、更に前へと跳躍!!
それを繰り返して、一気にジャスパーとの距離を詰めたっ!!
ゴウランガッ!!
「!? アイエエエッ!?」
その小太郎のワザマエに、ジャスパーは悲鳴めいた声を挙げる!
「イヤーッ!!」
その間に、小太郎は最後の矢を踏み越え跳躍!
一気にジャスパーへと跳び掛かろうとする!
「! このおっ!!」
だが、そこは腐ってもブリティッシュ歩兵部隊のエースであり、ジャック・チャーチルの子孫!
素早く我に返り、再び握ったクレイモアで突きの体勢を取る!
「イヤーッ!!」
だがそこで、小太郎は『何か』をジャスパーに向かって投擲!
その投擲された物は、ジャスパーのクレイモアを構えている手に当たったかと思うと、そのままクレイモアごとジャスパーの手に巻き付いた!
分銅鎖である!!
「! イヤーッ!!」
ジャスパーは構わず、小太郎に向かって突きを繰り出す!
「イヤーッ!!」
だが、おお、見よ!!
小太郎は付き出されたクレイモアの刃の上にも足を掛け、そのまま足場にして真上に跳躍した!!
「!?」
驚きながら上空を見上げるジャスパー!
その瞬間に彼の目に飛び込んで来たのは、サンサンと輝く太陽の光であった!!
「!? うわっ!?」
備えなく日光を直視してしまったジャスパーは思わず目を瞑る。
「イヤーッ!!」
その瞬間!
小太郎のメテオめいたボン・パンチが、ジャスパーに炸裂する!
「! グワーッ!!」
その凄まじい威力に、ジャスパーの身体は砂浜に打ち付けられたかと思うと、反動で空中に浮かび上がった!!
「イヤーッ!!」
そのジャスパー目掛けて、小太郎は溜め動作の後、『唐突な嵐の如き』ジェットロケットめいた爆発力で鋭角に跳躍!!
完璧に均整のとれた姿勢での跳び蹴りが、ジャスパーの頭部に叩き込まれる!
ドラゴンッ!!
これぞ伝説の暗黒カラテ技『ドラゴン・トビゲリ』だ!!
「サヨナラーッ!!」
ジャスパーの身体は大きく吹き飛び、そのまま海へと落下!
戦死の判定が下された。
「………イヤーッ!!」
小太郎はその様子を無感情に見届けると、残るアーチャー対戦車自走砲とコマンド部隊を片付ける為、手榴弾を手に跳躍するのだった。
一方、その頃………
逃走するみほ達の先回りをしろと命ぜられたルクリリが率いている部隊………
彼女の乗るマチルダⅡともう1輌。
アキリーズが3輌にチャーチルとチャーチル・ガンキャリアが1輌ずつの部隊が、護衛のブリティッシュ歩兵部隊を率いて進軍している。
「…………」
先頭を行くルクリリ車では、車長のルクリリがハッチから姿を晒し、周辺を警戒している。
するとそこで………
突如ブザーの様な音が聞こえて来た。
「!!」
ルクリリがその警報が聞こえて来た方向を見やると、そこにはタワーパーキングが在り、鳴っていたのは入り口が開閉する事を知らせるブザーだった。
「タワーパーキング………まさか、あそこに?………全車停止」
とそこで、ルクリリは右腕を上げ、後続の車輌を停止させる。
「パーキングの前へ移動」
「大丈夫ですか?」
「潜んでいるのは八九式よ。例え零距離でもコッチの正面装甲は抜けないわ。出て来たところを狙い撃ちしてやりなさい」
「了解」
装填手が心配する様に尋ねて来たが、ルクリリは潜んでいるのが八九式である事からそう言い放つ。
タワーパーキングの真ん前へと移動するルクリリ車。
やがて、タワーパーキングの扉がゆっくりと開き始める。
「馬鹿め………」
思わずそんな言葉が口から出るルクリリ。
しかし、そこで………
タワーパーキングの反対側………
丁度ルクリリ車の停まっている場所の真後ろの立体駐車場が動き出す。
地下に潜っていた格納部分から、八九式が姿を現す。
「! ルクリリさんっ! 後ろですっ!!」
「!? 何っ!?」
待機していたブリティッシュ歩兵がそれに気づいて慌てて声を挙げると、ルクリリは後ろを振り返り、立体駐車場から八九式が出現しようとしている事に気づく。
「! 後ろだっ!!」
「そーれっ!!」
「「「そーれっ!!」」」
ルクリリがそう叫んで車内へ引っ込んだ瞬間、八九式が発砲!
砲弾はマチルダⅡの後部に装備されていた予備燃料タンクを破壊!
燃料に引火して激しい炎を上げる!
「クッ! 油断したわ!………けど、悲しいわね! 貫通しなかったわよ!!」
だが、ルクリリはそう言い放つ。
彼女の言う通り、八九式が撃った砲弾は予備燃料タンクを破壊後、更に砲塔後部へと命中していたが、弾かれて明後日の方向へ飛んでいた。
「砲塔旋回! コチラが此処に居れば奴は袋の鼠よ!!」
ルクリリは、自車が八九式の出口を塞いでいるのを見てそう言い、砲塔を旋回させる。
と、その瞬間!
「「「「失礼しまーすっ!!」」」」
アヒルさんチームのそう言う声が響いたかと思うと、八九式が勢い良く前進!
そして何と!
車体より履帯の先端が突き出していると言う八九式の構造を利用し、予備燃料タンクの無くなったマチルダⅡの車体の上に登って脱出した!
「!? なっ!? 私を踏み台にしたっ!?」
思わず何処かの黒い三連星の様な事を口走るルクリリ。
マチルダⅡを乗り越えた八九式は、そのまま逃走を図る。
「オノレッ! 逃が………」
「ル、ルクリリ様ぁっ!!」
ルクリリが追撃を指示しようとした瞬間、操縦手が悲鳴の様な声を挙げた!
「如何したの!?………!?」
そこでルクリリは、ペリスコープ越しに正面を向いて絶句する!
開き切ったタワーパーキングの中に……
7.5 cm PaK 40をコチラに向けている明夫達、大洗砲兵の姿が在った!!
「ワッハッハッハッ! 残念だったな!! コッチは囮じゃなかったのさ! 撃てぇっ!!」
明夫がそう言い放った瞬間、7.5 cm PaK 40が火を噴く!!
粗零距離からの攻撃で、マチルダⅡの正面装甲と言えど耐え切れず、徹甲弾が深々と突き刺さる!!
一瞬の間の後、ルクリリ車から白旗が上がる。
「ルクリリ様がやられたっ!?」
「誰か指揮をっ!!」
指揮を任されていたルクリリがやられた事で、グロリアーナ&ブリティッシュ部隊に混乱が走る。
「良し! 今だっ!!」
「突撃やぁっ! タマとったれーっ!!」
「「「「「「「「「「うおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーっ!!」」」」」」」」」」
とそこで、大詔と大河の声が響き、建物内や路地、果てはマンホールに隠れていたペンギンさん分隊の面々が一斉に飛び出して、突撃して行った!
「私達も行くぞぉっ!!」
「「「ハイ、キャプテンッ!!」」」
更に、離脱すると見せかけていた八九式も反転し、突入して行く。
「よおし! ええでっ!! 八九式の援護を受けながら………」
と、大河がペンギンさん分隊の面々に指示を出そうとしたところ………
すぐ傍に『何か』が着弾し、爆発したっ!!
「!? うおっ!?」
細かい破片が飛んで来たのを感じた大河だが、幸いにも戦死判定は下らなかった。
「ぶわっはっはっはっはっ! やるのう! ルクリリの奴を仕留めるとは!!」
それは、オレガノが放ったPIATの弾だった。
「だが、コレ以上の好き勝手は許さんぞ!!………え~と、予備の弾、予備の弾………」
オレガノはそう言いながら、PIATに新たな弾を装填しようとするが………
「ん? 何だ? 入らんぞっ?」
手順を間違えているのか、ガサツな為か、新しい弾が中々装填出来ない。
「………ええ~いっ! 面倒じゃっ!! このまま行くぞっ!!」
と、遂には装填を諦め、PIATを棍棒の様に構えて突撃して来た!!
「上等じゃいボケッ!! 吐いた唾呑むなやぁっ!!」
それに対し、大河も持っていたMP40を投げ捨て、オレガノへ突撃して行ったのだった。
続く
新話、投稿させていただきました。
小太郎VSジャスパーの対決は、小太郎に軍配が上がりました。
やっぱりニンジャは強かった。
そして、ルクリリの前にはアヒルさんチームとペンギンさん部隊が立ちはだかる。
有名な駐車場でのシーンをアレンジしてお送りしましたが、何故ココでやったかと言いますと、実は私の作品では練習試合の時に、駐車場の場面を再現出来なかったのです。
しかし、劇場版でのシーンを見て、コレは駐車場のシーンを入れておいた方が良いなと判断し、今回使わせていただきました。
来年には劇場版に突入出来ると思いますので、楽しみにしていて下さい。
では、ご意見・ご感想をお待ちしております。