ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース   作:宇宙刑事ブルーノア

212 / 287
第212話『お姉ちゃんと勝負です!』

『ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース』

 

第212話『お姉ちゃんと勝負です!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦車道・歩兵道全国大会の決勝戦の試合会場………

 

陸上自衛隊の東富士演習場・市街地………

 

HS地点の中庭にて………

 

「「…………」」

 

みほのⅣ号とまほのティーガーⅠが、正面を向き合って睨み合っている。

 

2人の車輌は共にフラッグ車………

 

つまり、この戦いを制した方が勝利………優勝となる。

 

正に最終決戦であった。

 

「「…………」」

 

ジッとお互いを見据えているみほとまほ。

 

「「!!」」

 

やがて粗同時に、両者は動き出した!

 

時計回りに相手の戦車を追い始める両者。

 

中庭の開けた場所を1周したかと思うと、みほのⅣ号がそこから離脱。

 

それをまほのティーガーⅠが追う。

 

ティーガーⅠが後ろに付けると、すぐにⅣ号は中庭内の建物に挟まれた通路を右折。

 

「…………」

 

一瞬振り返ってティーガーⅠの姿を確認しながら、その先のT字路で左折。

 

ティーガーⅠに射線を通らせない様にする。

 

その先のT字路で更に左折し、再び開けた場所まで戻るⅣ号。

 

「…………」

 

その姿を見失わない様にしながら追うまほのティーガーⅠ。

 

すると、みほが正面に向き直ったのを確認し、ティーガーⅠの砲塔が左へ旋回。

 

続いて発砲音と爆発音が響いた。

 

「! 榴弾………」

 

爆発音が聞こえた事から、発砲されたのが榴弾である事を察するみほ。

 

「停まってっ!!」

 

すると、みほはⅣ号が再び建物に挟まれた通路に左折した所で停止を指示。

 

その先は、先程ティーガーⅠが発砲した榴弾で建物が崩れ、瓦礫に埋まっていた。

 

「後退して下さい」

 

みほが指示すると、Ⅳ号がゆっくりと後退を始める。

 

「………!!」

 

だがそこで、みほは迫り来るティーガーⅠのエンジン音と履帯が地面を打つ音を耳にする。

 

「全速後退っ!!」

 

すぐさまみほは全速での後退を指示!

 

するとそこで、砲塔を左側に向けたままだったティーガーⅠが、T字路に飛び出して来る!

 

急速後退したⅣ号は、ティーガーⅠの左側面前方に後部から衝突!

 

直後にティーガーⅠが発砲!

 

Ⅳ号の車体左側面前方のシュルツェンが吹き飛ばされる!

 

ティーガーⅠが砲塔を旋回させている間にⅣ号は素早く離脱。

 

一旦車内へ退避していたみほとまほが再び姿を現す。

 

接戦だった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃………

 

西住姉妹が激戦を繰り広げている中庭への道を護るレオポンさんチームと大洗歩兵部隊は………

 

「クソッ! 弾切れだっ!!」

 

「手榴弾、コレが最後だっ!!」

 

「榴弾が無くなりました! 後は徹甲弾だけですっ!!」

 

長期に及ぶ戦いの後の防衛戦で、弾薬が底を付き始めていた。

 

「歩兵総隊長! 弾切れですっ!!」

 

「コッチもですっ!」

 

しかし、それは黒森峰歩兵部隊も同じである。

 

「うわっ!」

 

「そろそろ持たないよ!」

 

「承知の上だよ」

 

「やれるところまでやるよ」

 

そして、護りの要であるポルシェティーガーにも限界が近づいていた。

 

既に左側の履帯は千切れ、車体の彼方此方には被弾痕や焦げ痕が残っている。

 

「このままでは埒が明かないな………」

 

StG44にまた新たな弾倉を装填しながら、都草がそう呟く。

 

「クソッ! 砲弾が無くなったっ!!」

 

するとそこで、ヤークトパンターの車長からそう声が挙がる。

 

如何やらとうとう砲弾が全て尽きてしまった様だ。

 

「ヤークトパンター、後退してくれ。後は我々が如何にかする」

 

砲弾の尽きたヤークトパンターに、都草がそう呼び掛けるが………

 

「………いえ、私は黒森峰戦車部隊の隊員として、最後の義務を果たします」

 

ヤークトパンターの車長は、何か覚悟を決めたかの様な声でそう言って来た。

 

「何?………」

 

「梶歩兵隊長! 後はお願いしますっ!!」

 

都草が疑問の声を挙げた瞬間!

 

ヤークトパンターが突撃する!

 

「! 待つんだっ!!」

 

都草が叫ぶが、ヤークトパンターは止まらずにポルシェティーガーへと向かって行く。

 

「!? 突っ込んで来るよっ!!」

 

「まさか特攻っ!?」

 

「させないよっ!!」

 

スズキが声を挙げると、ナカジマが驚き、ホシノが特攻してくるヤークトパンターを迎撃しようとする。

 

しかし、何とっ!!

 

ポルシェティーガーへと向かうと思われたヤークトパンターは、直前で急旋回っ!!

 

「えっ!?」

 

「! イカンッ! 上田くん! 退避しろっ!!」

 

ナカジマが驚きの声を挙げると、迫信がヤークトパンターの狙いに気づいて声を挙げる。

 

ヤークトパンターの狙いは、建物の1階部分に陣取った大洗砲兵部隊だった!

 

「! 退避っ!!」

 

紫朗が退避命令を下したその瞬間!

 

ヤークトパンターは建物の1階部分へと突っ込んだっ!!

 

「「「「「うわああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」」」」」

 

大洗砲兵数名がブッ飛ばされ、火砲の1部も潰される。

 

だが、重装甲とは言え、鉄筋コンクリート製の建物に思いっきり突っ込んだヤークトパンターも無事とは行かず、衝撃で内部機器が破損し、白旗を上げた!

 

「! 突っ込むぞっ! 付いて来れる者は付いて来いっ!!」

 

「「「「「!!」」」」」

 

とそれにより、大洗側の防御に僅かな隙が生じたのを都草は見逃さず、付いて来れる者達だけを引き連れて、ヤークトパンターが開けた穴から内部へ突入した!

 

「しまったっ!」

 

「突破されたぞっ!!」

 

誠也と明夫からそう声が挙がった瞬間………

 

今度は爆発音が響いたっ!!

 

「「「「「!!」」」」」

 

大洗歩兵達が視線を向けると、そこには白旗を上げたポルシェティーガーの姿が………

 

とうとう限界を迎えた様だ。

 

「今だ! 中庭へ突入よっ!!」

 

すぐに、残っていたパンターとラングが中庭への突入を試みる。

 

しかし………

 

「! だ、駄目ですっ! ポルシェティーガーの残骸が邪魔してっ!!」

 

そう、ポルシェティーガーは中庭への入り口を目一杯塞いで陣取っており、撃破された後もその場に在る事で、突入を妨害していた。

 

「クッ! 回収車はまだなのっ!?」

 

「「「「ゆっくりで良いよ~」」」」

 

焦る黒森峰戦車部隊員達に向かって、レオポンさんチームはそう言い放つ。

 

「クッ………ラングよりパンター! 我々を踏み台に使って下さいっ!!」

 

「!? 何っ!?」

 

するとそこで、ラングの車長からパンターの車長へそう通信が送られ、ラングがバックでポルシェティーガーの後部・エンジン部へ接触したかと思うと、砲身を下げて文字通り踏み台になる。

 

「早くっ!!」

 

「! すまないっ!!」

 

急かすラングの車長に詫びながら、パンターはラングを踏み台にしてポルシェティーガーを乗り越えようとする。

 

「我々も歩兵部隊、突入だ!! 歩兵である我々なら抜けられるっ!!」

 

残っていた黒森峰歩兵達の方も、ポルシェティーガーを越えての突入を試みる。

 

「水谷くん!」

 

「ハ、ハイ!………レオポンさんチームの皆さん………申し訳ありません」

 

『気にしないで。コレも作戦なんだから。やっちゃって』

 

「…………」

 

するとそこで、迫信が灰史に呼び掛けたかと思うと、灰史はレオポンさんチームに謝罪しながら持っていたスイッチを押した!

 

その瞬間!!

 

ポルシェティーガーが塞いでいた通路の天井部分が爆発!

 

「「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」

 

瓦礫が、ポルシェティーガーを乗り越えようとしていたパンターと黒森峰歩兵部隊へと降り注ぐ。

 

「「「「「「「「「「うわあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!!」」」」」」」」」」

 

そのままパンターと黒森峰歩兵部隊は瓦礫に押し潰され、中庭への入り口は完全に埋もれてしまうのだった。

 

「良し、後は突入して来た歩兵部隊を………」

 

「小官が行きます………」

 

迫信がそう呟くと、傍に控えていた弘樹がそう言い、突入して来た都草達の迎撃へ向かった。

 

「弘樹、俺も!」

 

「お供します!」

 

「僕も行きますっ!!」

 

それに了平、楓、飛彗が続き、更に数名の歩兵達が続いた。

 

「………頼むぞ」

 

そんな弘樹達の背に向かって、迫信がそう言い放つのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

再び、中庭内では………

 

ティーガーⅠが発砲するが、砲弾は僅かに逸れてⅣ号右側面のシュルツェンの後ろ半分を破壊。

 

続けて発砲するティーガーⅠだったが、今度はⅣ号から外れたシュルツェンを踏んだ事で照準が微妙にズレ、Ⅳ号の砲塔右側のシュルツェンを吹き飛ばすに留まる。

 

ティーガーⅠからの3発目の砲撃は、Ⅳ号が角を右折しようとしたところで放たれたが、みほはコレを読み、右折する直前に一瞬だけ停車して回避。

 

すぐに再発進して右折する。

 

ティーガーⅠも右折し、更にその先の角も右折。

 

再度捉えたⅣ号に向かって発砲するが、コレも外れる。

 

直後にⅣ号が砲塔を後部に向けて発砲して来たが、ティーガーⅠは回避。

 

すぐさまⅣ号はT字路を左折。

 

ティーガーⅠはそのまま前進し、両者は一旦互いに見えなくなる。

 

Ⅳ号は砲塔を今度は右側へと向けながら、次のT字路を右折。

 

そのままT字路を直進したかと思うと、通路越しにティーガーⅠを発見して発砲。

 

ティーガーⅠも発砲して来たが、砲弾は両者共に外れる。

 

真っ直ぐ進んだⅣ号は、砲塔を正面に向けながら角を右折。

 

正面にティーガーⅠが現れ、真っ向から発砲して来たが、ギリギリまで引き付けてかわし、そのまま擦れ違う。

 

ティーガーⅠが左、Ⅳ号が右へと砲塔を向けると、再び通路越しに今度はⅣ号だけが発砲。

 

砲弾はティーガーⅠの車体左側面前部に命中したが、分厚い装甲の前に弾かれてしまう。

 

その際の通路で、今度はティーガーⅠが発砲して来る。

 

Ⅳ号は急減速し、砲弾はⅣ号の正面僅かな距離を掠めて地面に命中。

 

再び加速すると、両者は再び中庭の開けた部分へ突入。

 

お互いの姿が見えた瞬間に、両者共に発砲するが、コレも外れる。

 

「「…………」」

 

そこで両者は、開けた場所の対角線上に位置取り、再度正面を向け合って睨み合いとなる。

 

粗互角の戦いである。

 

しかし、車両スペックとしてはまほのティーガーⅠの方が勝っており、このままでは何れⅣ号の方が追い詰められてしまう。

 

『コチラは神大。黒森峰歩兵部隊の一部が防衛戦を突破した。そちらに向かって居る。注意してくれ』

 

とそこで、迫信から防衛戦を突破されたとの報告が入る。

 

「みぽりん! 敵が近づいてるから急いでっ!!」

 

報告を受けた沙織が、みほへとそう呼び掛ける。

 

「やっぱり1撃をかわしてその間に距離を詰めるしか………優花里さん、装填時間更に短縮って可能ですか!?」

 

「ハイ! 任せて下さいっ!!」

 

みほの指示にやってみせると返す優花里。

 

「行進間射撃でも可能ですが、0.5秒でも良いので停止射撃の時間を下さい。確実に撃破して見せます」

 

すると華も、プロさながらの台詞を言い放つ。

 

「麻子さん! 全速力で一気に正面から後部まで回り込めますか!?」

 

「履帯切れるぞ」

 

「大丈夫! ココで決めるから………」

 

「分かった………」

 

そして何時もの様に無茶なオーダーにも平然と出来ると返す麻子。

 

遂に、この長い戦いにも決着が着けられようとしていた………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、建物内へ突入して来た黒森峰歩兵部隊の迎撃に向かった弘樹達は………

 

「撃てっ! 撃ちまくれっ!! 弾薬を使い切っても構わん! 何としても食い止めるんだっ!!」

 

室内に残されていた机やら椅子やらを積み上げて簡易バリケードを作り、中庭へと続く通路を押さえ、弾の続く限り弾幕を張っている弘樹達。

 

「突破しろっ!!」

 

「奴等さえ撃破すればもう中庭だっ!!」

 

だが、黒森峰歩兵部隊も最後の意地とばかりに、取り外した防火扉を数人で支えて押しながら、強引に突破を図って来る。

 

「クソッ! 誰か爆発物はねえのかよっ!?」

 

「もう皆使ってしまいましたよ!」

 

得物の弾薬を撃ち尽くし、二十六年式拳銃で応戦している了平が叫ぶと、飛彗がそう返す。

 

と、そこへ………

 

「兄さんっ!!」

 

そう言いながら、パンツァーシュレックを携えた隆太が現れる。

 

「! 隆太かっ!!」

 

「まだパンツァーシュレックがあったんですか!?」

 

「ハイ! コレが正真正銘最後ですっ!!」

 

楓の問いにそう返す隆太。

 

「何でも良いからブッ放してくれっ!!」

 

「任せといて下さいっ! 行くぞっ!!」

 

了平がそう言うと、隆太がパンツァーシュレックを構え、防火扉を押している黒森峰歩兵達へ向ける。

 

と、そこで………

 

『コチラは神大! 緊急事態だ!!』

 

珍しく焦った様子の迫信から通信が入る。

 

『先程撃破したと思われたパンターが息を吹き返した! 中庭へ突入された! 至急迎撃せよっ!!』

 

「!? 何だってっ!!」

 

「完全に瓦礫に埋もれていたと思ったが………まだ動けたのか」

 

隆太が驚きの声を挙げると、弘樹も苦い顔をする。

 

「隙有りっ!!」

 

と、その隙を見逃さず、防火扉の陰から僅かに姿を見せた1人の黒森峰歩兵が、隆太に向かって発砲した!

 

「!? うわあっ!?」

 

頭に直撃を受け、倒れる隆太。

 

「! 隆太っ!!」

 

すぐに助け起こす弘樹だったが、隆太には戦死判定が下る。

 

「す、すまない、兄さん………コレを………」

 

隆太は申し訳無さそうにしながら、パンツァーシュレックを弘樹に差し出す。

 

「!………」

 

それを受け取る弘樹だったが、まだこの場を離れるワケには行かない………

 

(如何する?………)

 

弘樹が逡巡したその瞬間………

 

掃除用具入れと思われるロッカーが、砲弾の様に飛んで来て、黒森峰歩兵部隊が防壁として使っていた防火扉に命中する。

 

「「「「「!? うわあああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」」」」」

 

一瞬倒れかけるが、何とか持ち直す黒森峰歩兵部隊。

 

「!!」

 

「………行け。此処は引き受ける」

 

弘樹がロッカーが飛んで来た方向を見やると、そこには同じロッカーを肩に担いでいるシャッコーの姿が在った。

 

「………頼む」

 

パンツァーシュレックをベルトで肩に担ぐと、すぐに突入したパンターの撃破へと向かう弘樹。

 

「…………」

 

それを見送ったシャッコーは、再びロッカーを黒森峰歩兵達に向かって投げつけるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

HS地点・建物内………

 

パンターの撃破へと通路を急いで走る弘樹。

 

と、上へと続く階段が在る場所まで差し掛かると………

 

「………!!」

 

何かを感じて足を止める。

 

「………漸く会えたね。舩坂 弘樹くん」

 

そう言う台詞と共に、教室への入り口から、都草が現れた。

 

「梶 都草………」

 

「待ちわびていたよ。遂に君と戦える日が来た………さあ、存分に戦おうじゃないか」

 

都草はそう言い、StG44を弘樹に向ける。

 

「…………」

 

対する弘樹は、四式自動小銃を手にしているはいるものの構えない。

 

まるで都草の隙を窺うかの様に………

 

「如何した? 来ないならば此方から行くぞっ!!」

 

都草はそう言うと、StG44をフルオートで発砲!

 

「!!」

 

弘樹は素早く階段の陰に身を隠す。

 

「………!」

 

そして、その近くに消火器が在るのに気づく。

 

「…………」

 

一方都草は、リロードを済ませると、慎重にStG44を構えながら弘樹の居る場所に接近する。

 

その瞬間!!

 

「!!」

 

弘樹は、消火器を両手で掲げ、都草に向かって投げつけた!

 

「むっ!?」

 

咄嗟にStG44で消火器を撃ち抜く都草。

 

すると消火器が破裂し、辺りに白煙が立ち込める。

 

「むうっ! しまったっ!!」

 

都草はそう言いながらも、すぐに壁を背にし、背後からの奇襲を防ぐ。

 

(何処だ? 何処から来る?)

 

神経を研ぎ澄まし、弘樹の気配を察知しようとする都草。

 

しかし、一向にその気配は感じられない………

 

(? 如何言う事だ?………!? しまった!?)

 

一瞬首を傾げた都草だったが、すぐに何かを思い至った様な顔になるのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

再度、中庭にて………

 

遂にみほとまほの姉妹対決に終止符が打たれようとしていた………

 

「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」

 

既に撃破された大洗機甲部隊のメンバーも、固唾を呑んで試合の様子を映しているモニターを凝視している。

 

「この1撃は………皆の思いを込めた1撃………」

 

と、照準器を覗き込む華がそう呟いた瞬間………

 

「前進っ!!」

 

みほの叫びが木霊し、停まっていたⅣ号が前進を始める!

 

まほのティーガーⅠも、それに呼応するかの様に前進する。

 

「練習試合の時は失敗したけど、今度は必ず………」

 

迫るティーガーⅠを見据えながら、そう呟くみほ。

 

やがてⅣ号は、ティーガーⅠの右側へ回り込む様に動き始める。

 

それに対しティーガーⅠは一旦停止し、超信地旋回でⅣ号に対し正面を向け続ける。

 

大きく右旋回を続けるⅣ号。

 

やがてその車体が、ティーガーⅠの方へと向き直り、横滑りを始める。

 

「撃てぇっ!!」

 

その瞬間にみほの指示が飛び、Ⅳ号は発砲!

 

砲弾はティーガーⅠの車体正面左側に命中。

 

ティーガーⅠの超信地旋回が止まる!

 

「撃てっ!!」

 

とそこで今度はティーガーⅠが発砲!

 

だが、被弾の衝撃もあってか、ティーガーⅠの砲弾はⅣ号の砲塔右側面の残っていたシュルツェンを吹き飛ばすだけに終わる。

 

そしてⅣ号は履帯から火花を散らしながら横滑りを続けてティーガーⅠに接近!

 

ティーガーⅠも再び超信地旋回。

 

やがて、Ⅳ号の急激な横滑りに付いて行けなくなった右履帯が千切れ、シュルツェン諸共吹き飛んだかと思うと、転輪までもが脱落を始める。

 

だが、残る左側の履帯だけで、Ⅳ号は横滑り移動を続けながらティーガーⅠに接近。

 

と、その時!

 

「総隊長っ!!」

 

何と、防衛戦を突破したパンターが、中庭へと姿を現した!

 

そして、ティーガーⅠの後方へと回り込もうとしているⅣ号の姿を認める。

 

「! やらせるものかぁっ!!」

 

すぐさま主砲をⅣ号へと向けるパンター。

 

「撃………」

 

て、とパンターの車長が言い放とうとした瞬間!

 

飛来したロケット弾が、パンター車体上部へと命中!

 

「!? うわあっ!?」

 

爆風に煽られ、車内へと落下するパンターの車長。

 

次の瞬間には、パンターから白旗が上がる。

 

そしてその間に遂に、Ⅳ号はティーガーⅠの後部へ回り込む!

 

だが、その時には………

 

ティーガーⅠの砲塔も、後方へと向けられていた!

 

両者は同時に発砲!!

 

爆煙がⅣ号とティーガーⅠを包み込んだ!!

 

「「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」

 

会場に居た全ての人間に緊張が走る。

 

被弾の瞬間は確認出来なかった………

 

一体どちらが勝ったのか?

 

全ての人間がそう思っている中、徐々に爆煙が晴れて行く………

 

そして、左側面の装甲が僅かに抉られているⅣ号と………

 

車体後部に大穴が空き、エンジンから炎を上げているティーガーⅠの姿が明らかになる。

 

「…………」

 

「………強くなったな、みほ」

 

ジッとまほの事を見据えるみほと、微笑みながらそう言い放つまほ。

 

白旗が上がって居たのは………

 

まほのティーガーⅠの方だった。

 

『黒森峰フラッグ車、走行不能! よって………大洗機甲部隊の勝利っ!!』

 

「「「「「「「「「「わあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!!」」」」」」」」」」

 

亜美のアナウンスが流れた瞬間、会場内は割れんばかりの歓声に包まれた!

 

「勝った………のか?」

 

「そうだよ、桃ちゃん!」

 

「優勝だ!」

 

「うがっ!!………」

 

「桃ちゃん?………!? 気絶してる!?」

 

そして、誰よりも喜んでいるのは、生徒会メンバー達だった。

 

コレで大洗女子学園は廃校を免れたのだと………

 

「やったよー! みぽりんっ!!」

 

「わっ!」

 

キューポラから姿を晒したまま暫し茫然としていたみほに、通信手席から飛び出した沙織が、感極まった様に抱き付く。

 

「勝ちましたー!」

 

「私達! 勝ちましたーっ!!」

 

「うん………」

 

華、優花里、麻子も顔を出し、其々に喜びを露わにしている。

 

「勝ったん、だよね?」

 

「うん!」

 

「…………うふっ!」

 

改めて沙織にそう問い、みほも笑顔を浮かべる。

 

「…………」

 

そして、そのまま建物の屋上へと顔を向ける。

 

そこには………

 

「…………」

 

砲煙を上げているパンツァーシュレックを構え、屋上の縁に立っている弘樹の姿が在った。

 

そう………

 

あの時、乱入して来たパンターを仕留めたのは………

 

弘樹だった。

 

もしあのままパンターに攻撃されていれば、試合の結果は変わっていただろう………

 

「…………」

 

みほは笑顔のまま、弘樹に向かって大きく手を振る。

 

「…………」

 

それを見た弘樹は、漸くパンツァーシュレックを降ろし、静かに頷いた。

 

「おめでとう、舩坂くん。君達の勝ちだ」

 

「!………」

 

そこへ背後からそう言う声が聞こえて来て、弘樹が振り返ると、そこには自嘲気味な笑みを浮かべた都草の姿が在った。

 

「梶 都草………」

 

「全く持って不覚だ………この梶 都草、歩兵道の中に於いて歩兵道を忘れた………君との勝負の固執する余り、歩兵の本分………随伴する戦車を護ると言う使命を疎かにしてしまった………」

 

「…………」

 

「勝負に固執した私………飽く迄歩兵であった君………それが勝負を分けた様だね………」

 

皮肉気味にそう言い放つ都草。

 

「決着は付いた………優勝は大洗機甲部隊だ………だが」

 

しかしその瞬間………

 

再び都草に覇気が溢れる。

 

「!………」

 

その覇気を感じた弘樹は、自然と臨戦態勢になった。

 

「私はどうしても………君と戦い………決着を付けたい」

 

と、そこで都草は左手の手袋を外すと、弘樹に向かって投げつけた!

 

「!!」

 

その手袋をキャッチする弘樹。

 

「舩坂 弘樹! 私は、黒森峰機甲部隊・歩兵部隊総隊長として! 歩兵道求道者として!………いや! 1人の男として! 君に決闘を申し込むっ!!」

 

「!!………」

 

「私と戦え! 舩坂 弘樹!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遂に………

 

大洗機甲部隊は………

 

悲願の優勝を果たした………

 

だが………

 

弘樹と都草………

 

この2人、男と男の決着は………

 

コレから付けられるのだ………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させていただきました。

遂にみほとまほとの戦い………
決勝戦のクライマックスです。
歩兵部隊の攻防も続く中、両者1歩も退かない戦いを見せます。
だが、最後は………
弘樹の助けを受けたみほが、まほを撃破………
大洗の優勝が決まります。

悲願達成………
しかし、都草は弘樹との個人的な決着を着ける為、決闘を申し込む。

この2人の戦いも完全決着にしたかったので、この様な延長戦的な形をとりました。
メタルギアで、最後はスネークとリキッドが殴り合うみたいな感じです。
今回が戦車戦の最終決戦なら、次回は歩兵戦の最終決戦です。
お楽しみに。

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。