ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース   作:宇宙刑事ブルーノア

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チャプター2『チーム集結です!』

『OVA ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース ボーネシュラハト』

 

チャプター2『チーム集結です!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地元・大洗町の『大洗八朔祭』のイベントで………

 

『磯前神社奉納戦車・歩兵戦』が開催される事となった………

 

スケジュールが詰まっていた大洗機甲部隊だったが、迫信の提案により………

 

その試合を『強襲戦車競技(タンカスロン)・バトリング』形式にする事で参加人数を絞り………

 

更には参加校を募っての開催となった………

 

大洗機甲部隊から参加する軽量化を施された八九式のアヒルさんチームと、バトリング用装備の『ローラーダッシュアンクル』を装備した弘樹………

 

そして遂に………

 

大洗八朔祭の日が訪れたのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

茨城県・大洗町………

 

大洗町の商店街一帯が歩行者天国となり、各商店が出店を出す中、神輿や山車が巡行している。

 

正にお祭りムード一色である。

 

そんな中………

 

目玉である『磯前神社奉納戦車・歩兵戦』に参加する選手達が………

 

大洗文化センターの駐車場に集合していた。

 

 

 

 

 

大洗文化センター・駐車場………

 

「かなり集まったな………」

 

様子を見に来たあんこうチームと弘樹達の中で、地市が所狭しと集結している各校の強襲戦車競技(タンカスロン)・バトリングチームを見てそう呟く。

 

「如何やら、我々の優勝は思わぬ所にも影響を及ぼしていた様だね………」

 

一方迫信は、何時もの様に広げた扇子で口元を隠してそう言う。

 

そう………

 

参加を希望して来た各校の強襲戦車競技(タンカスロン)・バトリングチームは、謝礼の他に………

 

『あの大洗のチーム』と戦える機会を得られる………

 

血の気が多い強襲戦車競技(タンカスロン)・バトリングチームには、それが目当てで参加して来た輩も多い。

 

「ん?………」

 

するとそこで、弘樹が何かを見つけた様な顔を見せる。

 

「弘樹くん? 如何したの?」

 

「………知り合いが居た。ちょっと声を掛けて来る」

 

みほが尋ねると、弘樹はそう言って、とある強襲戦車競技(タンカスロン)・バトリングチームの元へと向かった。

 

「良いざますか! 今回の戦いの最大の目的は大洗との勝負に有りざます!」

 

「正直言って勝てる見込みは低い………けど、0じゃない! やれるだけの事はやろうじゃないか!!」

 

集結している『BC自由学園』の強襲戦車競技(タンカスロン)・バトリングチームを前に、総隊長である『アスパラガス』、副官の『ボルドー』がそう言う。

 

「「「「「「「「「「ダコールッ!!」」」」」」」」」」

 

2人に対し、姿勢を正して返事を返すBC自由機甲部隊。

 

と、そこで………

 

「暫く見ない間に随分と真面な部隊になったじゃないか」

 

「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

 

弘樹がBC自由機甲部隊へ声を掛けると、アスパラガスとボルドーを筆頭に、BC自由機甲部隊の面々がビクンと反応する。

 

「「「「「「「「「「舩坂キャピテーヌッ!!」」」」」」」」」」

 

途端に、BC自由機甲部隊員達は、一斉に姿勢を正し、弘樹に向かって敬礼する。

 

「そう畏まらんでも良いぞ。小官はもうお前達の指南役じゃない」

 

「いえ! 今日の我々があるのは舩坂キャピテーヌのお蔭ですっ!!」

 

そう言う弘樹に、ザマス口調も忘れたアスパラガスが背筋をピンッと伸ばしたままそう返す。

 

「と、言っても………この前の強襲戦車競技(タンカスロン)の試合で、相手の策略に嵌って、また仲違いして負けちゃったんですけどね」

 

「!? ちょっ!? ボルドーッ!?」

 

と、ボルドーがボソリとそう言うと、アスパラガスが焦った様子を見せる。

 

「何だ、相変わらずか………まあ、長年の問題だ。そう簡単には行かんだろうな」

 

「お、お恥ずかしい限りです………」

 

かなり恐縮している様子のアスパラガス。

 

「ところで………その君達を負かした連中と言うのはどんな奴等だったんだ?」

 

「ハ、ハイ! ムカデのマークが描かれた真っ赤な九七式軽装甲車に乗った大きなリボンを付けた武者の様な女です」

 

「レッドショルダーと思わしき歩兵を3人も引き連れてました」

 

弘樹の問いに、アスパラガスとボルドーがそう答える。

 

(アイツ等か………)

 

すぐにそれが鶴姫 しずかのムカデさんチームと、旧友のグレゴルー達であると気付く弘樹。

 

「兎も角、今日の試合は期待しているぞ。存分に来い」

 

「ハイ! 胸を借りさせて頂きますっ!!」

 

「よろしくお願いしますっ!!」

 

そう弘樹が言うと、BC自由機甲部隊はまた一斉に敬礼するのだった。

 

「…………」

 

軽く手を上げて返すと、その場を後にする弘樹。

 

「弘樹くん。BC自由学園の人達と知り合いだったの?」

 

戻って来た弘樹に、みほがそう尋ねる。

 

「ああ。中学の頃に、まだ中等部に居た彼女達と試合をした事があってな………だが、試合中に向こうが仲違いを始めてな。結局無効試合になってしまったがな」

 

「BC自由学園の仲の悪さは有名ですからね」

 

弘樹がそう言うと、優花里がそう口を挟む。

 

「で、試合が終わっても責任の擦り合いをしてな。耐えかねて、当時の戦友達と総出で叩き直してやろうって話になってな………」

 

「そりゃ御愁傷様だなぁ………」

 

絹代達や弘樹達に扱かれるBC自由機甲部隊員達の姿を想像して、地市が同情する様子を見せる。

 

と、そこで………

 

「弘樹!」

 

「! ポタリア! キデーラも来ていたのか!」

 

「へへ、この試合は出るだけで賞金が貰えるからな。飛び付かない方がおかしいぜ」

 

以前、全国大会の決勝戦でも姿を見せた旧友、ポタリアとキデーラが姿を見せた。

 

その背後には、黒髪で小麦色の褐色肌に、顔に白いフェイスペイントの様な物をした少女が控えている。

 

「?………」

 

「ああ、彼女は『竪琴高校』の戦車道チームの隊長で、『アウンさん』だ」

 

「は、初めまして! 『アウン』です!! 舩坂 弘樹さんに西住 みほさんとお会い出来てとても光栄ですっ!!」

 

弘樹がその少女に気づいて視線を向けると、ポタリアがそう言い、『アウンさん』がかなり緊張している様子で自己紹介する。

 

「『竪琴高校』?………確か昔は相当な強豪校として知られているな。しかし、大分前に戦車道を廃止していたと聞いていたが………」

 

「最近復活させたのさ。と言っても、まだ部活という形で、彼女も含めて隊員は全員素人で戦車は全て払下げ品………」

 

「オマケに歩兵部隊はまだ解散状態と来たもんだから、交流が有った俺達クメン校に合同部隊編成を持ちかけて来たってワケさ」

 

そう指摘する弘樹に、ポタリアとキデーラがそう返す。

 

「最初はもうヒデェもんだったぜ。試合どころか、真面に戦車を動かす事さえ出来なかったんだからな」

 

「キ、キデーラさん! それは言わないで下さいよぉっ!!」

 

「何だか、大洗と似てるね………」

 

キデーラが思い出す様に笑いながらそう言うと、アウンさんが軽く狼狽し、みほが親近感を感じて笑う。

 

「ところで………その模様はフェイスペイントか何かですか?」

 

とそこで優花里が、アウンさんが顔に塗っている白い模様について尋ねる。

 

「あ、いえ、コレは『タナカ』です」

 

「『タナカ』?」

 

「ミャンマーの伝統的な化粧品だね」

 

アウンさんがそう答えると、優花里は首を傾げ、迫信がそう説明する。

 

「ハイ、ウチはコレが名産でして………宜しければ、どうぞ」

 

とそこで、アウンさんはタナカをあんこうチームの皆に配り始める。

 

「まあ、ありがとうございます」

 

「どうもであります」

 

「ん………」

 

「やだも~! コレ気持ち良い~!」

 

受け取ったタナカを、早速顔に塗りたくり始める沙織。

 

「沙織さん、気が早いですよ」

 

「ねえねえ、地市くん! 如何かな、コレ?」

 

華がそう言うが、沙織は気にも留めず、タナカを塗った顔を地市に見せて、感想を伺う。

 

「ああ、良いぜ。可愛いぞ、沙織」

 

「やだも~~っ!」

 

「最近バカップルぷりに磨きが掛かって来たな………」

 

「全く、目の毒だ………」

 

正にバカップルな遣り取りをする地市と沙織を横目で見ながら、麻子と煌人が呆れた様子を見せる。

 

「宜しければコレからも御贔屓にお願いします。今日からセールで特価販売させて頂きますから」

 

「ちゃっかり商売してやがる………」

 

「まあまあ、神狩殿。竪琴高校の貴重な資金源になるんですから」

 

商売を始めるアウンさんに白狼がそうツッコミを入れると、優花里がフォローする。

 

すると………

 

「失礼。私にも1つ頂けるかな?」

 

何とそこで、迫信がアウンさんにそう言った。

 

「えっ!? あ、ハイ、どうぞ………」

 

男性から声が掛かると思っていなかったアウンさんは戸惑いながらも、迫信にタナカを1つ渡す。

 

「ふむ………」

 

受け取ったタナカを、ジッと見つめたり、指に取ったりして、何やら確認している様子を見せる迫信。

 

「あ、あの………」

 

「やはり思った通りだ。コレは素晴らしいな」

 

アウンさんが戸惑っていると、迫信はタナカを見ながらそう言った。

 

「如何だね? 我が神大コーポレーションの化粧品会社と契約しないかね?」

 

「えっ!?」

 

何と!!

 

竪琴高校のタナカは、迫信の御眼鏡に敵った様である。

 

「取り敢えず、前金としてコレだけ渡しておこうか」

 

と、迫信がそう言うと、懐から小切手を取り出し、サッと金額部分にペンを走らせると、破いてアウンさんに手渡す。。

 

「一、十、百、千、万………!? 億ぅ~~~~~っ!?」

 

「おお、スゲェッ!!」

 

そこに掛かれていたトンでもない大金を目の前にして、思わず悲鳴の様な声を挙げるアウンさんと、思わず唸るキデーラ。

 

「足りなければ後で幾らでも用意しよう。是非、契約してくれたまえ」

 

「ハハハ、ハイ! 喜んでぇっ!! あ、ありがとうございま、しゅ~~~………」

 

「! アウンさんっ!!」

 

迫信が重ねてそう言うと、アウンさんは頭から湯気を噴き出して、気絶して倒れそうになり、ポタリアが慌てて支える。

 

如何やら、余りの出来事に脳の処理が追い付かなかった様である。

 

「ああ、コレはすまない。私とした事が、つい気が急いてしまった様だ。申し訳無い」

 

「いえ、とても嬉しい話です。ありがとうございます」

 

「こりゃ思わぬ儲け話だぜ。竪琴高校の連中も腰を抜かすぞ、きっと」

 

迫信が謝罪すると、気絶しているアウンさんに代わってポタリアがお礼を言い、キデーラがそんな事を口にする。。

 

「では、皆さんに伝えて来ますので。コレで………」

 

「あんがとよ、会長さん。コレで竪琴高校も安泰ってワケだ」

 

そう言い残し、ポタリアとキデーラは気絶したままのアウンさんを連れて、自軍の元へと戻って行くのだった。

 

「何か凄い事になっちゃったね………」

 

「ア、アハハ………」

 

間の前で繰り広げられた光景に、沙織が唖然としながらそう言い、みほは乾いた笑いを漏らす。

 

と、そこへ………

 

「お待たせしましたーっ!」

 

典子の威勢の良い声と共に、軽量化された八九式が、待機所へと入って来た。

 

「あ、磯部さん………えっ?」

 

それを見たみほが、典子達に声を掛けようとして思わず、固まる。

 

「あの………何で水着姿なんですか?」

 

飛彗がアヒルさんチームに向かってそう尋ねる。

 

そう、何故か全員が水着姿だったのである。

 

「いや~、実は………」

 

「来る途中でビーチバレーの試合をやってるのを目にしちゃって………」

 

「それで思わず我慢出来ずに………」

 

妙子、あけび、忍が申し訳無さそうにそう答える。

 

「勿論! 勝ちましたよっ!!」

 

典子だけが分かって居ない様でそう返す。

 

「うへへへ、溜まらんです、ハイ………」

 

「鼻血を止めなさい、了平」

 

そんなバレー部チームの艶姿に、了平が鼻血を垂らし、楓に嗜められる。

 

と、そこで………

 

「お、何だ? 今日は強襲戦車競技(タンカスロン)とバトリングの試合だって聞いて来たんだがな………」

 

「グラビアの撮影だったとは知らなかったな」

 

「フン………」

 

そう言う台詞と共に、グレゴルー、バイマン、ムーザが、弘樹達の前に姿を見せた。

 

「グレゴルー! バイマン! ムーザ! やはり来たか」

 

旧友の登場に、弘樹が真っ先に反応する。

 

「まあな。こんだけ大がかりなイベントとなりゃ、参加しない方が無理ってもんだぜ」

 

「だろうな」

 

「それより、弘樹。御愁傷様だな」

 

すると不意に、バイマンが弘樹に向かってそんな事を言って来た。

 

「? 何の事だ?」

 

「そいつは………」

 

バイマンの言った言葉の意味が分からず、弘樹が首を傾げたのを見て、グレゴルーは説明しようとしたところ………

 

「久方ぶりであるな………」

 

そう言う台詞と共に、砲塔のハッチからしずか、操縦席のハッチから鈴が顔を覗かせている状態の真っ赤なテケが現れる。

 

「鶴姫 しずか………」

 

「あんこうチームの皆さん! 舩坂さん! ご無沙汰です!!」

 

弘樹がしずかの姿を確認している中、操縦手席から出て来た鈴が駆け寄って来る。

 

「全国大会優勝! 改めておめでとうございます!! 私、ずっと見てました!!」

 

「ありがとうございます、松風さん」

 

興奮している様子の鈴が、改めて大洗の全国大会優勝を祝い、みほは笑顔でそれに応じる。

 

「…………」

 

しかし、しずかの方は何やら弘樹を睨む様に見据えていた。

 

(コレは………殺気か?)

 

そこで弘樹は、しずかから殺気にも似た気配を感じ取り、訝しげな顔をする。

 

「………何故そんな気配を小官に向けて来る?」

 

率直にしずかに向かってそう問い質す弘樹。

 

「………舩坂 弘樹殿………我の今日の狙いは貴様ぞ」

 

するとしずかは、『頑張る女の子の美しい笑顔』を浮かべて弘樹にそう言い放つ。

 

「何?………」

 

「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

 

突然の宣戦布告に、弘樹は僅かに目を細め、みほ達は驚きを露わにする。

 

「大洗機甲部隊の試合を見て、我の中には1つの疑問が浮かんだ。圧倒的に寡兵でありながら、日の本の頂点に立てた強さの源は何かとな………そしてそれが貴様だと確信した」

 

『頑張る女の子の美しい笑顔』を浮かべたまま、しずかは弘樹に向かってそう言い放つ。

 

「………随分と過大評価されたものだ」

 

「謙遜する事はなかろう」

 

「小官は飽く迄1歩兵に過ぎない。その小官が大洗の強さの源など、性質の悪い冗談だ」

 

飽く迄自分は1歩兵に過ぎないと言う立場を取る弘樹。

 

「ええ、その通りよ。1歩兵が勝敗を左右するなんて、誇大妄想も良いところね」

 

「「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」

 

と、不意にそう言う声が聞こえて来て、一同が振り返ると、そこには………

 

「ムカデさんチーム………正直貴方達の事は買っていたのだけど………私の見込み違いだった様ね」

 

ヤイカの乗った7TP(単砲塔)を筆頭とした、ボンプル機甲部隊の姿が在った。

 

「おお! 来たぞっ!!」

 

「強襲戦車競技(タンカスロン)の王者!!」

 

「ボンプル高校の騎士団長! ヤイカッ!!」

 

強襲戦車競技(タンカスロン)の王者の登場に、会場内が一気に沸き立つ。

 

「あの人がヤイカさん………」

 

「噂に聞いていた通り、強襲戦車競技(タンカスロン)では相当有名みたいですね」

 

そんなヤイカの姿を見て、みほと優花里がそう小声で言い合う。

 

「ヤイカ………貴様こそ見る目が無いな。舩坂 弘樹の強さは常識で計り切れるものではない」

 

「フン………戦車の差さえなければ、ボンプルがこそ最強………例え英霊の子孫であり絢爛舞踏であろうと、強襲戦車競技(タンカスロン)で後れは取らないわ!!」

 

しずかはそう言い返すが、ヤイカは一笑に付し、弘樹に向かって教鞭を指す。

 

「…………」

 

しかし、弘樹は無感情な仏頂面でヤイカを見据えている。

 

「あら? 怖くて何も言い返せないのかしら? 英霊の子孫、噂程でもないわね。所詮は歩兵道なんてお遊戯に夢中な男と言う事ね」

 

「…………」

 

更に挑発するかの様な言葉を投げ掛けるヤイカだが、弘樹は無言のままである。

 

「如何したの? ココまで良い様に言われて悔しくないの? そんな事では御先祖様が泣いているのではなくて?」

 

「………1つだけ言わせてもらおう」

 

とそこで、初めて口を開く弘樹。

 

「へえ? 何かしら?」

 

「試合開始はもうすぐだ。早く準備したら如何だ?」

 

「!?」

 

とそこで、ヤイカの方が苦々しげな顔となった。

 

そう………

 

弘樹はヤイカの事など歯牙にも掛けていなかったのである。

 

彼にとっては、彼女は只の参加チームの1つ………

 

その程度の存在だと。

 

「良い度胸ね………なら教育してあげるわ! 本当の戦闘! 強襲戦車競技(タンカスロン)とバトリングと言うものをねっ!!」

 

再度教鞭を弘樹に突き付け、ヤイカはそう宣言する。

 

「話はそれで終わりか?」

 

「!!………行くわよ! ウシュカッ!!」

 

「ハ、ハイッ!」

 

だが、相変わらず弘樹は特に気にしていない様子であり、ヤイカは憤慨した様子を見せながら、自軍の待機所へと向かったのだった。

 

「す、凄い………あのヤイカさんをあしらうなんて………」

 

「フハハハハハッ! 痛快痛快!! 流石は舩坂殿よ!! それでこそ死合うに相応しいっ!!」

 

鈴がヤイカを軽くあしらった弘樹に感心し、しずかは呵呵大笑しながらそう言う。

 

「ちょっと待ったっ!!」

 

「私達を忘れて貰っちゃ困るよ!!」

 

「強襲戦車競技(タンカスロン)なら戦車と戦わないとね!!」

 

「先ずは我等バレー部が相手だっ!!」

 

とそこで、あけび、忍、妙子、典子がそう口を挟んで来た。

 

「あのー………さっきから気になってたんですけど………何で水着なんですか?」

 

すると、鈴が最もな疑問を尋ねる。

 

「あ、いや、その………」

 

「色々と事情が有りまして………」

 

気恥ずかしさからか、曖昧に返す妙子とあけび。

 

「じゃ………取り敢えず着替えてもらって………」

 

「何をしている、鈴! 着替えるは………我等ぞ!」

 

アヒルさんチームに着替えて貰おうとした鈴だったが、それを遮り、しずかがそう言い放った!

 

「えっ!? いや姫! ちょっ待っ………」

 

鈴が止めようとしたが、それよりも早く、しずかはシャツを肌蹴、スカートのチャックを下ろしたかと思うと………

 

「我等も水着で戦うまで!!」

 

一気に両方を脱ぎ捨て、白地にムカデがあしらわれたビキニ水着を露わにする!

 

「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

 

鈴を初めとした一同が唖然としている中、しずかは残っていたパンストも脱ぎ捨てる。

 

「ちょっ!? 姫! こんなところで………」

 

「敵に恥を掻かせるな! 胸を張れ、鈴!!」

 

更にしずかは、止めようとした鈴の制服をも引っぺがし、彼女も水着姿にする。

 

「そんな~~~」

 

「どーせ勝負が終わったら海で遊ぶ積りだったろ」

 

恥かしがる鈴とは対照的に、実に堂々としながらそう言い放つしずかだった。

 

「やれやれ………」

 

「お姫さんも相変わらずだな」

 

「全く、バカンスに来てんじゃねえんだぞ」

 

そんなしずかの姿に、グレゴルー、バイマン、ムーザは呆れる様な様子を見せる。

 

「熱い試合になりそうだな………色んな意味で」

 

「ア、アハハハ………」

 

そして弘樹がそう言うと、みほがまたも乾いた笑い声を挙げるのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

間も無く………

 

『磯前神社奉納戦車・歩兵戦』が開始される………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させていただきました。

リボンの武者のキャラ達が大洗に集結です。

弘樹が昔BC自由学園の連中を扱いていたと言う設定は、リボンの武者での描写と今度の最終章でBC自由の様子が余りにも険悪だったもので、ちょっとネタバレですが、劇場版にてBC自由にも出番が有る為、ある意味での布石として設定しました。

そして、資金が増えるよ!
やったねアウンさん!(おい馬鹿止めろ)
彼女はリボンの武者の中ではお気に入りのキャラなのであからさまに贔屓しちゃいました(爆)
アウンさんはもっと報われても良い筈だ。

そして死亡フラグを立てるヤイカ達と、『頑張る女の子の美しい笑顔』が眩しいムカデさんチーム。
早くもカオスの予感が………
そして、先頭を走るのは、いつもアイツ(弘樹)!!

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

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