ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース   作:宇宙刑事ブルーノア

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チャプター14『西住流と島田流の因縁です!』

『劇場版 ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース ~炎のさだめ~』

 

チャプター14『西住流と島田流の因縁です!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

みほの初めてのボコ友達・愛里寿………

 

だが愛里寿は、西住流のライバルとも言える戦車道・歩兵道流派『島田流』の娘だった………

 

その兄である『島田 伊四郎』こと『イプシロン』と共に………

 

みほと弘樹は宣戦布告を受ける。

 

それが西住と島田に生まれた者の宿命だと………

 

西住流と島田流の因縁………

 

それを知る為………

 

みほは弘樹と共に、実家に向かう事を決めたのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

熊本県………

 

迫信の厚意で、神大コーポレーションのプライベートジェットを貸してもらった弘樹とみほは、熊本空港へと降り立つと………

 

そこからは更に神大コーポレーションのプライベートヘリで、直接西住家へと向かった。

 

「「…………」」

 

ヘリの中で、無言で隣り合って座っている弘樹とみほ。

 

ローターの爆音が煩いのも有るが、やはり先日の愛里寿との一件のショックが大きいのも有った。

 

「………あ! 弘樹くん、見えて来たよ」

 

「…………」

 

ふとそこで、みほが窓の外を見てそう言うと、弘樹も窓の外を覗く。

 

眼下には、広い和風の家………西住家が広がっていた。

 

「アレがみほくんの実家………西住流の総本山か」

 

「こんな形で帰って来るとは思わなかったなぁ………」

 

弘樹がそう言うと、みほは複雑そうな表情でそう呟いた。

 

「着陸態勢に入ります。準備して下さい」

 

「「…………」」

 

そこで、ヘリのパイロットからそうアナウンスされ、弘樹とみほはシートベルトをチェックするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

西住家・ヘリポート………

 

ヘリポートへと降り立ったヘリの扉が開き、爆風が収まり切らぬ中、西住家の敷地へと足を下ろす弘樹とみほ。

 

「お帰りなさいませ、みほお嬢様。そして舩坂様。ようこそいらっしゃいました」

 

そんな2人を、菊代が出迎えた。

 

「菊代さん、久しぶり」

 

「御丁寧な御挨拶、ありがとうございます」

 

みほが笑みを浮かべ、弘樹が深々と頭を下げる。

 

「みほ!」

 

とそこで、町子が姿を現した。

 

「あ! お祖母ちゃん………!? うわっ!?」

 

「お~良く帰ってきたね~! あたしゃ嬉しいよぉ!」

 

みほが挨拶をするよりも早く、町子はみほに近づいたかと思うと、そのまま抱き締めて頬擦りをする。

 

「お、お祖母ちゃん、くすぐったいよ~」

 

戸惑いながらも嬉しそうな様子を見せるみほ。

 

「お久しぶりです、西住家元代行」

 

一方弘樹は、姿勢を正してヤマト式敬礼をしながら、町子にそう挨拶をする。

 

「おお、舩坂 弘樹かい。何だい? 話が有るって聞いてたけど、結婚の御挨拶かい?」

 

「!? ふええっ!?」

 

と、弘樹の姿を見た町子がそんな台詞を口にし、みほは真っ赤になる。

 

「そうかいそうかい。いや~、まほと梶の方が先だと思ってたけど、お前達が先になるとねえ」

 

「ち、違うよ、お祖母ちゃん! 結婚なんて『まだ』早いよっ!!」

 

「『まだ』?」

 

「!? あ、あうう………」

 

うっかりそう言ってしまい、みほは益々赤くなる。

 

「町子様、その辺で………」

 

「家元代行、本題に入りたいのですが………」

 

そこで菊代が止めに入り、弘樹が冷静にそう言う。

 

「ハハハ、分かってるよ。軽い冗談さ。まあ、取り敢えず上がりなさい。何があったか聞かせて貰おうじゃないか」

 

町子は呵々大笑すると、菊代を伴って、2人を家の方へと案内する。

 

「…………」

 

その間のみほの顔は、終始真っ赤になっていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

西住家・応接間………

 

応接間へと通された2人は、愛里寿とイプシロンとの事を、全て町子に打ち明けた………

 

「そうかい、島田流のが………」

 

話を聞き終えた町子が、苦い顔を浮かべている。

 

「愛里寿ちゃんとイプシロンさんは、西住と島田の因縁って言ってたけど………そんなに仲が悪いの?」

 

「確かに、世間では西住流と島田流は長年のライバル関係であると認識されていますが、あの様子は少々異常ではないかと」

 

みほと弘樹が、そんな町子に向かってそう言葉を続けた。

 

「………まさかこんなところで『ツケ』が回って来るとはねぇ」

 

すると町子は、そんな言葉を漏らした。

 

「? 『ツケ』?」

 

「如何言う事ですか?」

 

その言葉に首を傾げるみほと、怪訝な顔をする弘樹。

 

「確かに、西住流と島田流はライバル関係にあると言って良い………だが、それはお互いに切磋琢磨し合う仲でのライバルさ。決して憎しみ合う様な仲じゃなかった」

 

「では、何故………」

 

「それが変わっちまったのは、しほの代からさ………」

 

弘樹の言葉を遮る様に、町子はそう言う。

 

「お母さんの?………! まさかっ!?」

 

しかし、みほは何か思い当たる節が有る様子を見せる。

 

「今の島田流の師範であり家元………『島田 千代』ちゃんは、しほとは学生時代からのライバルでね。お互いに良くぶつかっていたものさ………」

 

「でも、お母さんは段々と勝利至上主義になっていった………」

 

以前町子から聞いた話を思い出し、みほはそう言う。

 

「そう………只管に勝利を求める戦車道をする様になったしほの前に、千代ちゃんは悉く敗北してね………そのせいで島田流は一時期没落寸前にまでなったのさ」

 

「そんな事が………」

 

「けど、活躍の場を大学戦車道の方に移してからは持ち直してね。今じゃ世界大会の出場候補チームに選ばれるまでになった。しかし、当時を知る者達からはまだ西住流の方が上だと思っている輩も少なくない」

 

「じゃあ、愛里寿ちゃんはお母さんの屈辱を晴らす為に………」

 

それを聞いたみほは、また複雑そうな表情となる。

 

「………家元代行。島田流家元の御主人については何か? 彼女は西住流を倒す事は父親の願いでもあると言っていましたが」

 

とそこで、弘樹が愛里寿の言葉を思い出しながらそう言う。

 

「いや、それについてはちょいと分かりかねるね………常夫と違って、島田の家の旦那は歩兵道をやっていたワケじゃないから、とんと話を聞かなかったからねえ。ただ………」

 

「? ただ………?」

 

「…………」

 

何やら言い淀んでいる様な様子を見せた町子だったが………

 

「島田の旦那は………もう大分前に亡くなっている筈だよ」

 

「!? ええっ!? 愛里寿ちゃんのお父さんがっ!?」

 

「………!」

 

やがてそう口にすると、みほはおろか、弘樹でさえも驚きを露わにする。

 

「元々身体が弱い人だったみたいでねぇ………その愛里寿って子が大分幼い内にポックリとね」

 

「そんな………」

 

「そして丁度その頃からかね………没落寸前だった島田流が一気に隆盛となったのは」

 

「…………」

 

町子の言葉を聞いて、弘樹は考える様な素振りを見せる。

 

(島田の父親の死と、島田流の隆盛………一体如何言う関係が有るんだ?)

 

「………そう言えば」

 

するとそこで、町子は何かを思い出した様な表情を見せる。

 

「? お祖母ちゃん? 如何したの?」

 

「今回の件に関係あるかは分からないけど、風の噂で聞いた話だが………島田の家には、出奔した長女が居るって話を聞いた事が有る」

 

「出奔した?」

 

「飽く迄噂だがねえ。確か、まほと同い年ぐらいだって聞いてるよ」

 

「お姉ちゃんとって事は………今、高校3年生くらい………」

 

考え込むみほだったが、該当者が浮かばず、頭を捻る。

 

「…………」

 

だが弘樹の方は、何かに思い至っている様な表情を見せている。

 

「………取り敢えず、私が話せるのはコレぐらいだよ。役に立てなくてすまないねえ」

 

「ううん、そんな事ないよ。ありがとうお祖母ちゃん」

 

「ありがとうございました」

 

町子がそう言うと、みほと弘樹は町子に向かって深々と頭を下げた。

 

「そう言ってくれると助かるよ………ところで2人共。この後は如何する積りだい?」

 

とそこで、町子が2人にそう尋ねた。

 

「? 如何って………?」

 

「学園に戻って、状況が動くのを待つ積りですが………」

 

「折角来たんだい………しほと常夫の所にも顔を出したら如何だい? 何なら1泊ぐらいして行きな」

 

その質問に2人は若干戸惑いながらそう答えると、町子はそんな事を言って来た。

 

「えっ………?」

 

そう言われたみほは、考え込む様な様子を見せる。

 

「しかし、今の状況を考えると、学園に待機していた方が………」

 

弘樹はそう言って断ろうとしたが………

 

「………弘樹くん」

 

不意にみほが、弘樹の事を呼びながら服の裾を引っ張った。

 

「! みほくん………」

 

「………良いかな?」

 

只それだけ………そう尋ねるみほ。

 

「………了解しました」

 

それを受けて、弘樹はそう返す。

 

「決まりだね。それじゃあ、早速行って驚かしてやりな」

 

「うん、ありがとう、お祖母ちゃん」

 

「…………」

 

みほは笑顔で町子にお礼を言い、弘樹も深々と頭を下げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後………

 

弘樹とみほは、ヘリのパイロットに今日はみほの両親の所に泊まると告げ、明日の迎えを頼んで帰還させた。

 

そして、西住家から程近い………

 

片田舎の町を訪れていた。

 

その町の一角に在るパン屋………

 

ベーカリー『クロスボーン・バンガード』………

 

そこが今の常夫としほの住居である。

 

「…………」

 

焼きたての香ばしいパンの匂いが漂う店の前で、佇んでいるみほ。

 

「みほくん………」

 

そんなみほを気遣う様に声を掛ける弘樹だったが………

 

「………大丈夫だよ、行こう」

 

みほは弘樹に笑顔を向けてそう言った。

 

「………ああ」

 

それを見て、それ以上は何も言わず、弘樹はみほと共に、ベーカリー『クロスボーン・バンガード』へと入店した。

 

「いらっしゃいませ~………あっ!? みほじゃないか!! 弘樹くんもっ!!」

 

カウンターのレジの前に居た常夫が、みほと弘樹の姿を認めると、嬉しそうな声を挙げる。

 

「ただいま、お父さん」

 

「お邪魔します。ご無沙汰しておりました」

 

笑顔を常夫に向けるみほと、深々と頭を下げて挨拶する弘樹。

 

「わ、何、帰って来たの!? 嬉しいなぁっ!! お~い! しほちゃんっ! ちょっと来てちょっと来て!!」

 

常夫は興奮気味に、挨拶もそこそこで店の奥、作業場の方へと消える。

 

「ホラホラッ!」

 

「ちょっ! 何なの、常夫さん!? 今丁度生地が良い感じに仕上がって来たところで………!? みほっ!?」

 

そして、再び出て来たかと思うと、エプロン姿でバンダナを頭に巻いた、如何見てもパン屋の女主人にしか見えない女性………しほを連れて出て来た。

 

「うふふ、似合ってるよ、お母さん」

 

「~~~~っ!」

 

みほにそう言われて、しほは恥ずかしそうに黙り込む。

 

「御無沙汰しております………」

 

とそこで、弘樹がしほに向かってそう挨拶し、深々と頭を下げた。

 

「舩坂 弘樹………」

 

しほは弘樹の姿を見ると、気まずそうな様子を見せる。

 

すると………

 

「こんちわ~! 常ちゃん、アンパン有る?」

 

そう言う台詞と共に、青い服を来た男が店に入って来た。

 

「あ、青梅さん。ありますよ~。青梅さんが来ると思って、取って置いたんですよ」

 

青梅と呼んだ年配の男にそう言いながら、常夫は再びカウンターに向かうと、その裏に置いてあったと思われる、大量のアンパンが乗ったトレーを出す。

 

「おお、ありがとう! 全部貰うよっ!!」

 

「毎度あり~」

 

青梅が会計に入ると、常夫はアンパンを袋に詰め始める。

 

「ん? 君達は………」

 

とそこで、青梅はみほ達の存在に気づく。

 

「あ、えっと、私達は………」

 

「ああ、常ちゃん達の娘さんかい! 何だい、帰って来てたのかい?」

 

みほが自己紹介しようとしたが、青梅は合点が行った様な様子でそう言った。

 

「成程………町子さんの若い頃にソックリだね」

 

「お祖母ちゃんの事、知ってるんですか?」

 

「勿論さ。現役時代は切磋琢磨し合った仲だからね。この町の人は皆町子さんの現役時代の知人だよ」

 

(そう言う事か………)

 

青梅とみほがそう会話するのを聞いて、弘樹は納得が行った様子を見せる。

 

引責辞任と言う形で責任は取ったが、まだ一部には、しほに厳しい目を向ける者達が居る。

 

そんなしほが、パン屋などと言う商売を始めてて大丈夫なのかと言う考えが頭の片隅を過ぎっていたが、町の住人が皆町子の知人であるならば心配は要らないだろう。

 

先程から店の前を通り過ぎて行っている人々から、歴戦の勇士の様な貫禄を感じていた弘樹はそう思う。

 

「…………」

 

更に弘樹は、店に備え付けられた防犯カメラも見やる。

 

その防犯カメラには、『神大セキュリティーサービス』の文字が在った。

 

如何やら、町自体のセキュリティーは、神大コーポ―レーションのセキュリティーサービスが担当しているらしい。

 

恐らく、神大のシークレットサービス部隊も、町の何処かに駐屯していると思われる。

 

「ハイ、どうぞ」

 

「おう、ありがとう。また頼むよ」

 

とそこで、漸くアンパンを袋に詰め終わった常夫がそう言うと、青梅はベーカリー『クロスボーン・バンガード』を後にした。

 

「さて………立ち話も何だし、今日はコレで店じまいにして、奥でゆっくり話し合おうか」

 

「え、ええ、そうね………」

 

青梅の登場で置いてけ堀になっていたしほにそう言い、常夫は店仕舞いを始める。

 

「みほ、今日は泊まって行くんだろう?」

 

「う、うん、そうだよ」

 

「!!」

 

みほの泊まって行くという言葉を聞いたしほが動揺を見せる。

 

「わあ、ホントかい! お父さん、嬉しいなぁっ!!」

 

そんなしほの動揺を知ってか知らず、無邪気に笑いながら燥ぐ様子を見せる常夫だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして店仕舞いが終わり………

 

ベーカリー『クロスボーン・バンガード』居住部分・居間にて………

 

「! 島田流の子がっ!?」

 

「本当かい?」

 

「うん………」

 

みほは、島田流の件をしほと常夫にも話していた。

 

「そう………千代はそこまで私の事を………」

 

責任を感じているのか、しほの表情が曇る。

 

「お母さん、お父さん………私、愛里寿ちゃんと戦うよ」

 

「! みほ………」

 

「みほ………」

 

と、みほがそう言うと、しほは驚き、常夫も珍しく神妙な面持ちとなる。

 

「きっとコレは………私がやらなきゃいけない事だから」

 

そんな2人を見据えながら、みほは迷いの無い瞳でそう言い切った。

 

「みほ………」

 

しほはそんなみほの姿を暫し見つめた後、弘樹へと視線を移す。

 

「…………」

 

先程から弘樹は、いつもの仏頂面で黙り込んでいる。

 

「………みほ。ちょっと舩坂くんと話をさせてくれないかしら?」

 

「えっ?………」

 

そこでしほからそう言う提案が挙がり、みほは思わず弘樹の顔を見やる。

 

「…………」

 

弘樹は仏頂面の表情のまま、みほに向かって頷いた。

 

「………分かったよ、お母さん」

 

「それじゃみほ、ちょっと手伝ってくれるかな? 客間の準備をしないといけないから」

 

みほがそう言うと、常夫がそう言って立ち上がった。

 

「うん、分かったよ、お父さん」

 

そして、みほと常夫は、弘樹を泊める客間の準備に向かったのだった。

 

「「…………」」

 

残された弘樹としほは、お互いを正面から見合ったまま沈黙している。

 

「………舩坂 弘樹くん………あの時は本当に………」

 

「その節は大変な失礼を働きました。誠に申し訳ございません」

 

と、しほがプラウダ&ツァーリ機甲部隊との試合後の出来事について謝罪しようとしたところ、それを遮って弘樹が謝罪を口にし、深々と頭を下げる。

 

「! 舩坂くん! 謝るのは私の方よっ!!」

 

「いえ、小官が西住流の家元であり師範であった貴方に対し無礼を働いたのは事実です」

 

慌てるしほだが、弘樹は頭を下げ続ける。

 

「………貴方も不器用ね」

 

「その様な生き方しか知りませんので………」

 

しほがふっと笑うと、漸く弘樹は頭を上げる。

 

「………みほの事を………よろしくお願いします」

 

そこで今度は、しほの方がそう言って深々と頭を下げる。

 

「…………」

 

弘樹は只無言で………

 

されど力強く頷いたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜………

 

ベーカリー『クロスボーン・バンガード』居住部分・縁側にて………

 

「「…………」」

 

みほとしほが、縁側の縁に腰掛け、雲1つ無い夜空で輝いている星々を見上げている。

 

「この空も変わってないなぁ………」

 

そんな夜空の姿が、幼き日の記憶に在る夜空と一致し、みほはそう呟く。

 

「そうね………」

 

しほも、何処か懐かしむ様な表情を見せながらそう呟く。

 

「「…………」」

 

そのまま2人は、また暫し沈黙………

 

「みほ………ゴメンナサイ………私の不始末を………貴方に着けさせることになってしまって………」

 

「謝らないでよ、お母さん。そんなのお母さんらしくないよ」

 

自らが行き起こした事態の尻拭いをさせてしまう事になったみほに向かって謝るしほだったが、みほはそう返す。

 

「みほ………貴方、強くなったわね………とても」

 

不意にしほが、そんな言葉を漏らす。

 

「そうかな………?」

 

「ええ、ともて………それに比べて、私はとても弱かったわ………勝敗ばかり気にして、虚勢を張って………」

 

と、そこでしほの目尻に涙が浮かび始める。

 

「! お母さんっ!?」

 

「!!」

 

それにみほが驚いた声を挙げた瞬間、しほはみほに抱き付く。

 

「ごめんなさい………ごめんなさい、みほ………こんな駄目なお母さんを許して………」

 

止めどなく涙を流しながら、しほは只管みほに対して謝罪の言葉を口にする。

 

「………許すも許さないもないよ………だって………『家族』だもん」

 

みほは目を閉じ、優しく笑いながら、しほの事を抱き返す。

 

「みほ………ああ、みほ………」

 

「…………」

 

まだ泣き続けるしほを、みほはしっかりと抱きしめるのだった。

 

「うんうん………良かった良かった………うんうん」

 

そんな2人の姿を、廊下の隅から覗き見ながら、涙を流して頷いている常夫。

 

「…………」

 

そしてトイレに行く途中でそんな常夫を見つけ、無言でその場から立ち去る弘樹だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その翌日………

 

青梅が全く同じ顔をした曙や一条寺と言う人物と話しているのを見て驚いた等と言う一幕もありながら………

 

弘樹とみほは、大洗学園艦へと帰還………

 

だが、そこでは………

 

思わぬ人物が2人を待ち受けていたのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させていただきました。

実家へと帰還したみほと、それに付き添った弘樹は………
町子から西住流と島田流の確執を聞かされる。

その日は、当の確執の原因であるしほの元に泊まるが………
家元じゃなくなったしほはすっかりしおらしくなっていました。
この2人を親子に戻すにはやはりしほに立場を捨てさせないと駄目だなと思いまして。
母親に強くなったみほの姿を見せたいと言う事もありまして。

新たな謎も生まれましたが、一部の謎は次回『あの男』が語ってくれます。
そして遂に大洗は、大学選抜チームとの戦いに臨む事となります。

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