ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース 作:宇宙刑事ブルーノア
『劇場版 ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース ~炎のさだめ~』
チャプター16『連合学園艦隊です!』
熊本の西住家から帰ってきた弘樹とみほの下に現れた………
島田流のスポンサーであるアメリカ軍の情報将校・ロッチナ………
彼によって大学選抜チームから試合申し込み状が届けられ………
愛里寿が試合で見せた強さの秘密が、愛里寿の父である旧姓・春 敏の開発した戦車道用の戦術・戦略AIによるものである事………
そのAIを軍事利用する為にアメリカ軍が島田流を支援している事………
更に、『無人戦車道』の確立の為に動いている事を知る………
西住流と島田流との因縁を断つ為………
戦車道を守る為………
何より、友達である愛里寿の為に………
みほは、大洗機甲部隊の面々と共に………
大学選抜チームとの戦いに臨む事を決めたのだった………
洋上・一航専の学園艦と呉校の艦隊を引き連れて、海原を進む大洗学園艦………
大洗男子校・作戦会議室………
大学選抜チームとの試合を決めた大洗機甲部隊は、早速試合に向けての作戦会議に入っていた。
「それで、肝心の試合内容は如何なってるんですか?」
「うむ………皆、コレを見てくれ」
清十郎がそう尋ねると、迫信が大型モニターを起動させた。
そこには、巨大な学園艦………
否………
最早そんなレベルではなく、洋上を動く巨大な『島』が在った。
「な、何だこりゃっ!?」
「島が動いとるっ!?」
「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」
海音と豹詑がそう声を挙げ、一部を除いた大洗機甲部隊の面々も驚きを露わにする。
「『メガフロート艦』………次世代の都市艦構想の1つとして考えられていた、新しい都市艦の形だ」
「メガフロート艦………」
迫信がそう説明すると、みほが大型モニターに移る動く浮島………『メガフロート艦』を見て呟く。
「しかし、技術的には十分可能だったものの、予算が掛かり過ぎると言う欠点が発覚してね………結局、1隻だけが完成した時点で計画は凍結されてしまったよ」
「その完成した1隻を、島田流が買い取ったってのか?」
「ハイ、演習場に使用すると言う名目で」
迫信が説明を続けると、俊がそうツッコミ、逞巳が答える。
「試合会場はこの場所か………」
「現在の状況は不明だが、完成時のデータによれば、湿地帯や平原、森林地帯や山に加え、遊園地も在ったらしい」
エースが呟くと、煌人がパソコンを弄りながらそう言って来る。
「演習場にはうってつけな地形だな………」
「問題は試合の形式だ。どの試合方法で戦うのだね?」
俊がそう呟くと、ゾルダートがそう尋ねる………
「それが………」
「………『フラッグストロング形式』らしいよ?」
その質問に、柚子が言い淀む様な様子を見せると、杏が変わる様にそう説明した。
「!? フラッグストロング形式っ!?」
「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」
その言葉を聞いた優花里が驚愕の声を挙げ、大洗機甲部隊の面々も仰天する。
「ストロング形式って、アレだよねっ!? 新しく取り決められたルールのっ!?」
「確か………燃料と弾薬、そして体力と気力が続く限り、やられても再出撃して戦えると言うルールでした筈です」
「つまり、相手のフラッグ車を撃破しない限り、延々と敵が湧き続けて来ると言うワケか………」
やがて沙織、華、麻子がそう言い合う。
「大学選抜チームの保有戦力はどれ程なのですか?」
飛彗が肝心要なところについて尋ねると………
「あの………聞きたいですか?」
「何て言うか、その………聞いたら心が折れちゃうかも?」
逞巳と蛍が、言い辛そうな様子でそう告げる。
「どの道戦うんだろ?ならとっとと教えろ」
しかし、そんな雰囲気を気にせずに、白狼がそう言い放つ。
「………戦車保有数は1000輌」
「歩兵は少なくとも、3個師団規模は居るかと………」
「航空部隊や支援艦隊も、相当規模が存在している筈です」
そして、蛍と逞巳、清十郎は、大学選抜チームの戦力を告げる。
「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」
大学選抜チームの保有戦力を聞き、大洗機甲部隊員達は沈黙する………
「駄目だーっ! 絶対に勝てなーいっ!! 1000輌に3個師団だとぉっ!? ふざけるのもいい加減にしろーっ!!」
絶望的………と言う言葉さえ生温く感じる戦力差に、早速心が折れた桃が泣き喚き始める。
しかし………
「聞いたか? 1000輌に3個師団だってよ?」
「しかもそれが燃料と弾薬、そして体力と気力が続く限り出て来るんだろう?」
「こりゃあ、戦果を稼ぐ良いチャンスだな」
磐渡、重音、鷺澪がそう言ったのを皮切りに、大洗機甲部隊員達からどれだけ戦果を挙げられるかと言う話題が噴出する。
「我々にも戦果による勲章を賜れるチャンスが巡って来たな」
「大学選抜チームには悪いが………」
「我々の歴史の礎となってもらおう………」
「目指せ、黄金柏葉剣ダイヤモンド付騎士鉄十字勲章だ」
カエサル、おりょう、左衛門佐、エルヴィンの歴女チームなど、既にやる気満々な様子である。
「いよいよこの鍛え上げた肉体を試す時が来たにゃ」
「乾坤一擲なり」
「やってやるっちゃ」
筋トレの成果なのか、力瘤を作りながら、文字通り頼もしそうにそう言うねこにゃー、ももがー、ぴよたんのアリクイさんチーム。
「絶好調であるっ!!」
「ぶるあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!!」
「俺に生きる実感をくれっ!!」
テンションが高まり過ぎたのか、吼える月人と竜作、ハンター。
「大学生だろうがなんだろうが、風紀を乱す輩は風紀委員が許さないわっ!!」
「君はいつもそれだな………」
相変わらず風紀命なみどり子と、そんなみどり子の姿に半ば呆れている紫朗。
「野郎共ぉっ! 俺達の特技は何だぁっ!?」
「「「「「「「「「「殺せっ!! 殺せっ!! 殺せっ!!」」」」」」」」」
「この試合の目的は何だぁっ!!」
「「「「「「「「「「殺せっ!! 殺せっ!! 殺せっ!!」」」」」」」」」
「俺達は歩兵道を愛しているかぁっ!? 大洗を愛しているかぁっ!?」
「「「「「「「「「「ガンホーッ!! ガンホーッ!! ガンホーッ!!」」」」」」」」」」
「良し! 行くぞぉっ!!」
早くもキリングマシーン状態になっている武志を初めとしたラクビー部員達。
「ええかっ! 1番戦果を挙げた奴には、ワイが大洗の町で好きなだけ御馳走してやるでぇっ!!」
「1番高いのを御馳走になりますっ!!」
「大洗万歳っ!!」
同じく、大河の鼓舞もあって戦意が高揚している大洗連合。
コレまで、幾多の激戦………
しかも常に圧倒的に不利な条件で戦い抜いてきた大洗機甲部隊………
そんな戦いを何度も経験して来ていた隊員達の感覚は………
とっくの昔に狂っていたのだった。
「…………」
その光景を見て桃が、ピタリと泣き止んで立ち上がった。
「!? 桃ちゃんが1人で泣き止んで立ち上がったっ!?」
「信じられない………」
そんな桃の姿を、あり得ないものを見る様な目で見る柚子と蛍。
「………何かもう、泣いて落ち込んでるのが馬鹿らしくなったんだ」
それに対し、桃は遠い目で乾いた笑みを浮かべてそう返す。
「ア、アハハハハ………」
流石の杏も、そんな桃の姿を見て、苦笑いを零すのだった。
………と、その時!!
突然作戦室内に警報が鳴り響いた!!
「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」
一斉に身構える大洗機甲部隊員達。
「コレは………船舶科からの異常発生のサイレンだな」
「何事だね?」
俊がそう言うと、迫信がすぐさま壁に掛けて在った通信機を取り、学園艦の艦橋に繋げる。
『神大会長! 杏会長! 至急艦橋に来て下さいっ!!』
すると、通信先の艦橋からは、やや切羽詰まっている様子の船舶科の生徒からの声が返って来る。
「分かった、すぐに向かう」
「西住ちゃんと舩坂ちゃんも来てもらって良い?」
迫信がそう返すと、杏が念の為にみほと弘樹にも同行を求める。
「あ、分かりました」
「了解」
みほと弘樹が承諾すると、4人は大洗学園艦の艦橋へと向かうのだった。
大洗学園艦・艦橋………
「状況は?」
艦橋に入るや否や、迫信がそう尋ねる。
「あ、神大会長。不明艦が多数接近して来ています」
その声を聞いて、双眼鏡を構え、窓越しに水平線を見ていた学園艦の艦長がそう報告する。
「………ふむ」
それを聞いた迫信が、窓の外を眺めると、水平線に肉眼でも確認出来る大きさの船影を認める。
「あの大きさ………都市艦ですね」
「でも、1度にあんな数の都市艦が同一海域に集結するなんてあり得ないよ」
弘樹がそう言うと、みほがそう口にする。
「! レーダーが都市艦と思われる艦艇群の周辺に、多数の艦影を発見っ!!」
するとそこで、レーダーを見ていた船舶科の生徒がそう声を挙げた。
「「!?」」
弘樹とみほが、すぐにそのレーダーを確認すると、確かにそこには大きな影の周りを取り囲む様に、無数の小さな影が映っていた。
「ソナー室より入電! 海中に多数のエンジン音とスクリュー音を確認!!」
更にそこへ、ソナー室からも潜水艦を多数感知したとの報告が挙がる。
「まさか………大学選抜チームが先手を打って来たのか?」
そう言うと、杏の表情も険しくなる。
アレ程の大艦隊………
如何に一航専と呉校艦隊が護衛に居るとは言え、一気に襲い掛かられれば一溜りも無い。
「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」
艦橋を緊張の沈黙が包み込む。
「! 不明艦隊の一部が接近して来ますっ!!」
とそこで、レーダー員がそう声を挙げる。
見れば、不明艦隊の一部が、1隻の学園艦を中心に、大洗学園艦隊との距離を詰めて来ていた。
「総員警戒態勢っ!! コレは訓練ではないっ! 繰り返すっ!! コレは訓練ではないっ!!」
すぐさま学園艦の艦長が全艦にそう通達する。
大洗学園艦の周辺に展開していた呉校艦隊も、大洗学園艦を守る様に第二警戒航行序列に移行する。
「一航専より入電! 各機発進準備完了! 何時でも行けるとの事ですっ!!」
更に通信士がそう報告を挙げる。
「………アレ? ねえ、弘樹くん。あの学園艦って?」
するとそこで、みほが窓の向こうの水平線に浮かぶ護衛艦隊に守られた学園艦に見覚えを感じる。
「! アレはっ!?」
それを聞いた弘樹も、その学園艦を注視して気づく。
「アレは………」
「グロリアーナ&ブリティッシュの学園艦だね」
杏と迫信がそう言っていると、その学園艦………イギリス艦艇の艦隊に護衛されたグロリアーナ&ブリティッシュ学園艦が、肉眼でもハッキリと確認出来る距離まで近づいていた。
「! 艦長! グロリアーナ&ブリティッシュ学園艦の艦橋に、大洗の校章の旗が掲揚されていますっ!!」
「何っ!?」
見張り員の1人の報告に、艦長は双眼鏡を構えて、グロリアーナ&ブリティッシュ学園艦の艦橋を確認する。
そこには確かに、聖グロリアーナ女学院と聖ブリティッシュ男子高校に加え、大洗女子学園と大洗国際男子校の校章が描かれた旗が風に棚引いていた。
「グロリアーナ&ブリティッシュ学園艦より入電! 『秋の日の ヴィオロンのため息の ひたぶるに 身にしみて うら悲し』………」
「ポール・ヴェルレーヌの詩『秋の歌』の冒頭だね」
「ノルマンディー上陸作戦開始の合図に使われた暗号でもあるね」
通信士がグロリアーナ&ブリティッシュ学園艦からの入電を読み上げると、杏と迫信がそう言い合う。
「更に入電! 『我々、グロリアーナ&ブリティッシュは大洗に助力する』………との事ですっ!!」
「つまり、友軍と言う事か?」
「じゃ、じゃあ、あの艦隊はっ!?」
更に入った入電を読み挙げると、今度は弘樹とみほがそう言う。
するとそこで、他の艦隊も距離を詰め始めた。
やがて、その艦隊の中の都市艦の姿がハッキリと見える様になり………
それが黒森峰、サンダース&カーネル、アンツィオ&ピッツァ、プラウダ&ツァーリ、天竺ジョロキア、継続、知波単、マジノ、BC自由、ベルウォール、パシフィック、クレオパトラ&スフィンクス、西部、竪琴&クメン、ナイトウィッチ&ハロウィン、鉱関………
日本に所属する、全ての学園艦が集結していた!
「各学園艦隊より入電! 内容は全てグロリアーナ&ブリティッシュと同じです!! 我々に合流するとっ!!」
「コレは………圧巻だね」
全ての学園艦が集結すると言う物凄い光景に、迫信も思わず唸る。
「皆さん………」
みほの目頭も熱くなる。
「いや~、ウチは愛されてるね~。いや、ウチと言うより………西住ちゃんが愛されてるのかな?」
「!? ふええっ!?」
しかし、杏がそんな事を言うと、途端に顔を真っ赤にする。
「…………」
そして弘樹は、無言で合流して来る学園艦隊にヤマト式敬礼を取っていたのだった。
そして………
各校より作戦会議要請があり、隊長クラスが大洗学園艦に集まる事となった為………
みほ達が出迎えの為に、大洗女子学園の校庭に集合。
臨時の空港と化した大洗女子学園の校庭には、ヘリや小型機等が次々に着陸して来ている。
「お姉ちゃん!」
「すまない、みほ。遅くなった」
Fa 223から降りて来たまほを、みほが出迎える。
「ううん、そんな事無いよ! とても心強いよっ!!」
「ったく、何で私がこんな事を………」
「おやおや、いの1番に大洗の救援に向かおうと提案したのは何処の誰でありましたかなぁ?」
「う、煩いわよっ!!」
「うふふ、エリカさんったら、素直じゃないんだから」
とそこで続けて、お馴染みの遣り取りを繰り広げながら、エリカと久美、小梅が降りて来る。
「エリカさん! 久ちゃん! 小梅さん!」
「か、勘違いするんじゃないわよ! べ、別にアンタを助けに来たワケじゃないからねっ!!」
みほから声を掛けられると、エリカが顔を真っ赤にしてそっぽを向きながらそう言い放つ。
「ハイハイ、ツンデレ乙」
「誰がツンデレよっ!?」
「アハハハッ!」
久美が茶々を入れるとエリカはいきり立ち、小梅が笑う。
「御機嫌よう、みほさん」
「イエース! 派手なパーティが始まるみたいねっ!!」
「だが、心配は要らないぞ」
「私達が来たからにはもう勝ったも同然よっ!!」
「義によって助太刀するわ」
「風が呼んでいたからね………」
「まさか再戦の約束を果たす前に共闘する事になるなんてね」
「奇妙な縁ですわね」
「さあ、敵は何処っ!? 私の血を熱く滾らせてくれる敵はっ!?」
「いざ行かん! 我等が戦場(いくさば)へっ!!」
「気が早いよ、クロエちゃんもしずかちゃんも」
「喧しい連中が多いのう………」
「同感ザマス」
「またこんな事で共闘する事になるなんてね」
「お、及ばずながら、助けに参りましたっ!!」
「今度は力になるよ、みほちゃん」
オレンジペコ、ケイ、アンチョビ、カチューシャ、絹代、ミカ、ローリエ、セイレーン、クロエ、しずか、シュガー、ネフェティ、アスパラガス、エミ、アウンさん、瑪瑙が現れる。
「皆さん………ありがとうございますっ!!」
そんな総隊長の面々に向かって、みほは感謝を示しながら深々と頭を下げる。
「………でも、何でウチの学校の制服を着てるんですか?」
とそこで、みほはそうツッコミを入れる。
その言葉通り、各校のメンバーは何故か全員、大洗女子学園の制服を着用していた。
「いや、その、何だ………」
「1度着てみたかったのよ、コレ!」
口籠るまほに代わって、ケイがあっけらかんとそう言い放つ。
「ダージリン様が『きっとこんな日が来る』と言って、密かに集めてらしたんです」
「ダージリンさんが?」
そしてオレンジペコがそう言うと、みほはそのダージリンの姿が無い事に気づく。
「ペコさん、ダージリンさんは………?」
「それが………謹慎がまだ解けなくて………」
みほがそう尋ねると、オレンジペコは申し訳無さそうにそう告げる。
「そう………ですか」
(………アイツがそんな事で黙っている玉じゃない………きっと何か企んでいるな)
残念そうな表情を見せるみほだったが、付き合いの長いまほは、ダージリンがきっと何かを企んでいると予感するのだった。
そして、各校代表を集めて………
改めての作戦会議が開始されるのだった………
つづく
新話、投稿させていただきました。
この作品での大学選抜チームは、1000輌の戦車を保有し、3個師団の歩兵を従えています。
………明らかにおかしいですね(笑)
でも、今までが今までですので、これぐらいいないと劇場版の敵って感じがしないので。
試合形式をフラッグストロングマッチにしたのは、正直この数で殲滅戦を描写し切るのは無理なのと、フラッグ車戦を最後に持って行けば、数の接合性を無視出来るので。
試合会場が島田家が保有する演習場のメガフロート艦というのも、後々の展開を考えてです。
そして遂に結成!
大洗連合チーム!!
オリジナル校が多数出ておりますので、原作の様に試合直前に集合だと無理が生じるので、事前に集まると言う形を取りました。
学園艦が連合艦隊を組むと言う描写もやってみたかったので。
正直、ココからキャラを全員捌き切れるか不安です(汗)………
ダージリンが居ない様ですが、彼女が後ではっちゃけた登場をしてくれます。
お楽しみに。
次回、遂に島田家の長女が登場し、島田家の最後の謎を語ります。
一体誰なんだ?(すっとぼけ)
では、ご意見・ご感想をお待ちしております。