ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース   作:宇宙刑事ブルーノア

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チャプター41『死闘です!(その6)』

『劇場版 ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース ~炎のさだめ~』

 

チャプター41『死闘です!(その6)』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メガフロート艦上・遊園地跡………

 

ゾンビエリア………

 

「おらぁっ!!」

 

「ちょっ!?」

 

威勢の良い掛け声と共に、シズミのM45重戦車が、アリサのM4A1に体当たりをかます!

 

「! 履帯がっ!?」

 

「喰らえっ!!」

 

衝撃でM4A1の履帯が外れ、動けなくなったところへ、M45重戦車は粗零距離で主砲を発射!

 

M67対戦車榴弾がM4A1に叩き込まれ、M4A1は白旗を上げる。

 

だが、超至近距離から撃ったので、M45重戦車のボディも煤けている。

 

1歩間違えれば自車も損傷していたと思われる行為だ。

 

「あ、アンタ………正気?」

 

顔を若干煤けさせたアリサが、シズミに向かってそう問う。

 

「戦いってのは切った張ったよ。自分が傷つく事を恐れて戦う事が出来るか!?」

 

しかし、シズミはさも当然の様にそう返す。

 

「OH! クレイジーッ!」

 

「ウチに居る人達と気が合いそうね………」

 

そんなシズミの様子を見たケイが声を挙げ、エミがクロエとしずかの事を思い浮かべながらそう呟く。

 

「ホラホラッ! 考えている暇が有ったら掛かって来いっ!!」

 

と、そんな2人に向かって、シズミのM45重戦車が主砲を発砲する!

 

「! あぶなっ!!」

 

「わおっ!!」

 

幸いにも外れたが、榴弾の爆発でシャーマンとティーガーⅠは揺さぶられる。

 

「………ッ」

 

とそこで、隙を衝く様にナオミのファイアフライが17ポンド砲を放つ。

 

「! おっとっ!」

 

だが、シズミは素早く反応し、砲塔を旋回させて装甲の最も厚い防盾で弾き飛ばす。

 

「チッ! 後退っ!!」

 

「お返しだっ!!」

 

ナオミは舌打ちをしながらも素早く指示を出し、反撃のM67対戦車榴弾を躱す。

 

「さあさあ! ドンドン掛かって来いっ!!」

 

シズミはそう言うと、ケイやエミ達の戦車部隊の中へ突っ込んで行く。

 

自分が撃たれる事など微塵も恐れずに。

 

「へえ………良い度胸してんじゃねえかよ」

 

「ホント、選抜チームなんてエリートなんざ似合わないねぇ」

 

だがそんな中で、そんなシズミの姿に何処か親近感を覚える音子と千冬だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、歩兵部隊の方は………

 

「…………」

 

「ぐわああっ!?」

 

「ガラムッ!?」

 

影月が振るったサタンサーベルで斬り捨てられるガラム。

 

「チキショウッ! よくもガラムをっ!!」

 

兄弟をやられたマサラが、仇を取ろうと、影月に向かってバズーカを放つ。

 

「…………」

 

しかし何と!

 

影月は迫り繰るバズーカのロケット弾に向かって跳躍したかと思うと、ロケット弾を踏みつけて足場にし、マサラに向かって跳躍した!

 

「「「「「! わあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!!」」」」」

 

踏みつけられて軌道の変わったロケット弾を、ジョロキア歩兵部隊に命中させると言う離れ業を繰り出しながら。

 

「!? なっ!?」

 

「………!」

 

驚愕して動きの止まってしまったマサラに、影月は捻りを加えた両足での跳び蹴りを喰らわせる!

 

「!? がばっ!?」

 

まるで戦車に衝突されたかの様な衝撃がマサラの身体を襲い、人形の様にブッ飛ばされるマサラ。

 

ロボットゾンビ達をボーリングのピンの様に次々に薙ぎ倒したかと思うと、ショッピングモールのショーウインドウに激突。

 

ガラスを粉々にし、ショーウインドウをメチャメチャにして戦死判定となる。

 

「野郎っ! 跳ね飛ばしてやるっ!!」

 

すると今度はボブが、バイクで影月にウイリーしながら突撃する。

 

しかし………

 

「…………」

 

何と影月はサタンサーベルを持っていない左手だけで、ウイリーしていたボブのバイクの前輪を摑み、止めてしまう!

 

「!? なっ!?」

 

「…………」

 

そしてそのまま、ボブをバイクごと片手で投げ飛ばした!

 

「!? おわああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!?」

 

空中でバイクから投げ出されたボブは、バイクの下敷きになって地面に叩き付けられ、戦死判定が下される。

 

とそこで、銃声が鳴り響いたかと思うと、サタンサーベルの刀身から火花が散り、影月の手から弾き飛ばされた!

 

「!?」

 

「馬鹿め! 油断したなっ!!」

 

サタンサーベルが弾かれた事に、影月は初めて驚いた様子を露わにし、その影月にトドメを刺そうと、M1カービンを構えるジェイ。

 

だが………

 

「シャドーセイバーッ!」

 

影月は素早く、大小二振りの両刃剣・『シャドーセイバー』を抜く。

 

「ハッ!」

 

そして、ショートソードタイプの方を、ジェイ目掛けて投擲した!

 

「そんなモンッ!!」

 

飛んで来るショートソードタイプのシャドーセイバーを叩き落そうと発砲するジェイ。

 

しかし、ショートソードタイプのシャドーセイバーは飛来する弾丸を切り裂き、ジェイへと向かう!

 

「!? うわああああっ!?」

 

そのままジェイの戦闘服の心臓部分に突き刺さるショートソードタイプのシャドーセイバー。

 

当然、ジェイは戦死判定である。

 

「…………」

 

その間に影月はサタンサーベルを回収。

 

ロングソードタイプのシャドーセイバーと合わせて二刀流で構える。

 

「強い………」

 

「バラバラに戦っても駄目だ! 一斉に掛かるぞ!」

 

「了解っ!」

 

ジョーイが冷や汗を流しながらそう呟くと、ターメリックがそう言い、キーマも加わって3人で影月を取り囲む様に陣取る。

 

「…………」

 

影月は冷静な様子で、取り囲むジョーイ、ターメリック、キーマを見回す。

 

(合図で一斉に掛かるぞ………)

 

((…………))

 

ターメリックが目でそう指示すると、ジョーイとキーマは無言で頷く。

 

「…………」

 

するとそこで、影月が右足を1歩引いた。

 

「! 今だっ!!」

 

「「!!」」

 

その瞬間にターメリックの合図が飛び、ジョーイがコンバットナイフ、キーマが飛び膝蹴り、ターメリックが二振りの宝剣で斬り掛かる!

 

だが、その全てが命中すると思われた瞬間に………

 

影月の姿がパッと消えてしまった!

 

「!?」

 

「消えたっ!?」

 

動揺するターメリックとキーマ。

 

「!? 上だっ!!」

 

「「!?」」

 

しかし、ジョーイだけは影月が上空高くに跳躍していたのに気づき、そう声を挙げるとターメリックとキーマも上を向く。

 

そして、頭上高くに跳躍していた影月の姿を発見する。

 

「! このぉっ!!」

 

キーマがそれを追う様に跳躍し、影月に向かった!

 

「! 待て、キーマッ!!」

 

ターメリックが慌てて止めるが時既に遅し。

 

「シャアアアアアァァァァァァーーーーーーーッ!!」

 

空中の影月に向かって膝蹴りを繰り出すキーマ。

 

「………!」

 

だが、それに対し、影月は両足蹴りでカウンター!

 

膝蹴りを繰り出して来たキーマの膝を蹴り付ける!

 

「!? ぐあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!?」

 

膝の皿が割れたのではないかと思う様な激痛と共に失速するキーマ。

 

「…………」

 

そのキーマを、影月は容赦無くサタンサーベルとシャドーセイバーで斬り付ける!

 

「!?」

 

戦闘服を×の字に斬り裂かれ、キーマは地面に墜落!

 

そのまま戦死判定となった。

 

「キーマッ!」

 

「………次はお前達だ」

 

ターメリックが叫ぶ中、着地を決めた影月は、サタンサーベルの切っ先をターメリックとジョーイに突き付けながらそう呟く。

 

「「!!」」

 

そんな影月の姿に、2人は反射的に構えを取る。

 

「「「…………」」」

 

3人の間に緊張が走る。

 

周囲では大洗連合歩兵達と大学選抜歩兵達がゾンビロボット達と三つ巴の戦いを繰り広げているが、その喧騒さえも遠くに聞こえる程だった。

 

(………ターメリック)

 

(………!)

 

そんな中、ジョーイが影月には聞こえない様に小声でターメリックに声を掛ける。

 

(俺が奴の動きを止める。その間に仕留めろ)

 

(本気か!?)

 

(無傷で勝てる相手では無い………コレがベストな判断だ)

 

覚悟を決めた表情でそう言うジョーイ。

 

(………スマン)

 

(気にするな………そうする必要があると判断したからそうするだけだ)

 

「…………」

 

とそこで、2人の会話に気づいたのか、影月がサタンサーベルとシャドーセイバーを構える。

 

「………!」

 

その途端に、ジョーイは影月に向かって突撃した!

 

「!!」

 

コンバットナイフを両手で握り締め、全力での突きを繰り出すジョーイ。

 

「…………」

 

そのジョーイに対し、影月はサタンサーベルでの突きを繰り出す。

 

そして、ジョーイのコンバットナイフと、影月のサタンサーベルの切っ先同士がぶつかり合ったかと思うと………

 

ジョーイの突進がピタリと止められた!!

 

「!?」

 

そんな止められ方をするとは思っていなかったジョーイは思わず固まってしまう。

 

「ムンッ!!」

 

そのジョーイを容赦無く、影月はシャドーセイバーで斬り付けた!

 

「!? グアアッ!!」

 

戦闘服が斬り裂かれるジョーイ。

 

だが、その瞬間!

 

ジョーイは自らに食らわせられたシャドーセイバーの刃を素手で摑んだ!!

 

「!?」

 

「今だぁっ!?」

 

「!!」

 

今度は影月が驚いて一瞬動きが止まると、ジョーイが叫んで、ターメリックが宝剣を構えて突撃する!

 

「貴様っ!!」

 

シャドーセイバーを引こうとする影月だったが、ジョーイは手に激痛が走るのにもお構いなしで、ガッチリと摑んで離さない!!

 

「チイッ! ハアアアッ!!」

 

すると影月は、シャドーセイバーを引く事を諦め、サタンサーベルで突っ込んで来たターメリックに突きを繰り出す!

 

「!? ぐおおっ!?」

 

サタンサーベルの突きが、ターメリックの戦闘服の心臓部分を捉える。

 

「!?」

 

「惜しかったな………」

 

ジョーイが愕然とする中、影月はそう吐き捨てた。

 

しかし………

 

「むんっ!!」

 

ターメリックはその状態で更に更に踏み込んだ。

 

サタンサーベルの刃が、更に深々と戦闘服に突き刺さって行く。

 

「!? 何っ!?」

 

慌ててサタンサーベルを引こうとした影月だったが………

 

その瞬間に、首筋に衝撃が走った!

 

「グアッ!? き、貴様っ!!」

 

「…………」

 

コンバットナイフで首筋を切りつけて来たジョーイを睨む影月。

 

注意が逸れた一瞬の隙を衝いた反撃だ。

 

「ぬおおおおっ!!」

 

更にそこへ、ターメリックの宝剣での突きが、お返しとばかりに影月の心臓部へ叩き込まれる。

 

首筋と心臓………

 

人体の急所を2箇所も攻撃され、戦死判定が下らない筈はなかった。

 

「………見事だ………俺の………負けだ」

 

影月は、最後には2人の実力を認め、力尽きて倒れ伏せた。

 

「「…………」」

 

だが、同時にジョーイとターメリックの2人も倒れ伏せる。

 

程無くして、2人にも戦死判定を告げるブザーが鳴り響いたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃………

 

エミ達とシズミの戦いは………

 

「どりゃああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」

 

またも体当たりからの零距離撃ちで、チャレンジャー1輌を撃破するシズミのM45重戦車。

 

「ハハハハハッ! ドンドン来いやぁっ!!」

 

アドレナリン過剰気味なのか、獰猛な笑みを浮かべてシズミがそう言い放つ。

 

「ヤバイよ、アイツ」

 

「凄い人ね………」

 

ルウとローリエが、そんなシズミに戦慄する様子を見せる。

 

「如何する、エミッ!?」

 

「クッ………!」

 

ケイの問いに、エミは有効な戦法が思いつかず、苦い表情を浮かべる。

 

「総隊長。何苦い顔してやがる」

 

するとそこで、音子がそう通信を送って来た。

 

「! 音子っ!?」

 

「そうよ。アイツ自身が言っていたじゃない。戦いは切った張っただって」

 

エミが驚きの声を挙げると、今度は千冬が通信を送って来る。

 

「千冬っ!?」

 

「そう言う事なら………」

 

「私達の得意分野だよっ!!」

 

その直後!!

 

音子のヤークトパンターと、千冬のエレファントが、同時にM45重戦車に向かって突っ込んだ!

 

「!? なっ!? 待ちなさい、2人共っ!!」

 

「方針は自由だろっ!!」

 

「なら私達も自由にやらせてもらうよっ!!」

 

慌ててエミが止めるが、2人は止まらない!!

 

「良い度胸ねっ!!」

 

それに対し、シズミもM45重戦車を突撃させる!

 

お互いがお互いに、全速力で相手に向かって行く。

 

回避する素振りは全く無いっ!!

 

「!?」

 

「ぶつかるっ!!」

 

「ジーザスッ!!」

 

エミ、ローリエ、ケイの顔が驚愕に染まる。

 

そして遂に………

 

M45重戦車とヤークトパンター&エレファントは………

 

全速力で正面衝突した!!

 

「「「撃てええええええぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーっ!!」」」

 

更に駄目押しとばかりに3輌が零距離で同時に発砲!!

 

その姿が爆煙に包まれる。

 

「クッ! 如何なったのっ!?」

 

顔を庇いながら、爆煙の中に目を凝らすエミ。

 

やがて、爆煙が晴れて来ると………

 

M45重戦車とヤークトパンターとエレファントの全てが………

 

白旗を挙げて擱座している光景が広がった。

 

「相討ち………?」

 

ローリエがそう呟くと………

 

M45重戦車とヤークトパンターとエレファントのハッチが開き、シズミ、音子、千冬が勢い良く飛び出した!

 

「「「!?」」」

 

エミ達が再度驚いている中、3人は集まる様に歩み寄る。

 

「やるじゃない。高校生にして肝が座ってるわね」

 

「テメェこそ………やるじゃねえか」

 

「ええ、エリートさんよ」

 

3人は獰猛な笑みを浮かべて笑い合っているが、打ち解けあっていると言った様子では無い………

 

「如何する? コッチはまだ戦い足りないんだ。復活なんざ待っていられないよ」

 

「なら、やる事は1つだな………」

 

「そうね………」

 

そして、そう言い合ったかと思うと………

 

「「「うおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーっ!!」」」

 

そのままリアルファイトに突入したのだった!

 

「!? ちょっ!? 何やってんのぉっ!?」

 

「アラアラ、まあまあ………」

 

「アハハハハ………」

 

エミがツッコミの叫びを挙げ、ローリエは唖然とし、ケイも流石に乾いた笑いを立てるのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃………

 

施設の屋上でラスプーチン達、因縁の相手と相対した弘樹だったが………

 

「ガハッ………!?」

 

「がああああ………」

 

「ば、馬鹿な………」

 

ノされて積み上げられたカン・ユー、ニキータ、ラスプーチンが、呻き声を漏らす。

 

当然、全員には戦死判定が下っている。

 

「言った筈だ………お前達と遊んでいる暇は無いとな」

 

四式自動小銃に弾を装填しながら、弘樹がそう吐き捨てる。

 

弘樹への恨みから参戦した3人だったが、所詮は恨みの力など過去への執着………

 

例え行く先が地獄であろうと、前へと進む弘樹の敵ではなかった。

 

カン・ユーは分からぬが、ラスプーチンもニキータもそれなりに腕を磨いて来た筈だが………

 

常に戦場に居て鍛えられた弘樹の練度に比べれば天と地ほどの差が有った。

 

「…………」

 

弘樹は既に3人への興味を無くし、すぐにみほ達の元へと戻るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させていただきました。

シズミと影月も無事撃破しました。
そして、前回意味有り気に出て来たラスプーチン達でしたが………
申し訳ありませんが戦闘シーンはカットさせていただきました。

激しい再戦を期待されている方が多かったのですが、何回書いてもラスプーチンとの最初のバトルの焼き増し感が消えず、この後に本命のイプシロンとのバトルもあるので、私も泣く泣くながらカットを決断し焼き増しました。
大変申し訳ありません。

次回はいよいよバミューダ3姉妹との対決です。
バミューダアタックを破る方法にご注目下さい。

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

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