ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース   作:宇宙刑事ブルーノア

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チャプター45『異能たる者です!』

『劇場版 ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース ~炎のさだめ~』

 

チャプター45『異能たる者です!』

 

 

 

 

 

 

 

 

イプシロンは倒れた………

 

残るは愛里寿のみ………

 

しかし………

 

突如として、愛里寿の持つ戦術・戦略AIシステムが内蔵されたノートPCが………

 

独りでに起動し始めたのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メガフロート艦上・遊園地跡内………

 

中央広場………

 

「!? えっ!? な、何っ!?」

 

突如としてシステムが起動を始め、愛里寿が戸惑いの声を挙げる。

 

「?」

 

「何っ?」

 

突然戸惑った様な様子を見せた愛里寿に、ミカとみほも困惑する。

 

「システムが!?………勝手にっ!?」

 

「システム………?」

 

「! まさか、あのっ!?」

 

更に愛里寿からそんな声が挙がると、ミカが首を傾げ、みほが社会人チームとの試合での事を思い出す。

 

「! うわあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!!」

 

と、愛里寿の装着していたヘッドフォンのバイザー部分が発光したかと思うと、愛里寿が悲鳴を挙げる。

 

「!? 愛里寿ちゃん!」

 

「愛里寿っ!?」

 

みほとミカが思わず叫んだ次に瞬間………

 

「…………!」

 

バイザーの光が消え、愛里寿は糸の切れた操り人形の様に項垂れた。

 

が、すぐに顔を上げたかと思うと………

 

その顔から一切の感情が無くなり、目のハイライトも消えていた。

 

「「!?」」

 

愛里寿のその姿を見たみほとミカに額に冷や汗が流れる。

 

その次の瞬間!!

 

「…………」

 

無表情のままの愛里寿のセンチュリオンが突如として突撃を繰り出して来た!!

 

「「!!」」

 

Ⅳ号とBT-42は左右に分かれる様にして発進し、センチュリオンの突撃を躱す!

 

「…………」

 

すると愛里寿は、無表情のままBT-42の方を見遣ったかと思うと、センチュリオンをそちらへ進ませた!!

 

「!!」

 

「! ミカさんっ!!」

 

すぐにみほのⅣ号が救援に向かおうとしたが………

 

「来るなっ!!」

 

「!!」

 

他ならぬミカが制する。

 

「言った筈だよ! 私達が隙を作る!! 君達はチャンスを待つんだっ!!」

 

「! 分かりましたっ! 華さんっ!!」

 

「お任せ下さい………」

 

珍しく声を荒げてそう言うミカの迫力に押され、みほは華に呼び掛け、狙撃の態勢に入る。

 

「ミッコ! 履帯パージッ!!」

 

「おうっ!!」

 

ミカの指示が飛ぶと、ミッコがステアリングを取り出し、操縦席にセット。

 

同時にBT-42の履帯がパージされ、車輪走行形態となった。

 

一気にスピードが上がり、センチュリオンに肉薄して、

 

背後を取ろうとする。

 

「…………」

 

対するセンチュリオンは、超信地旋回で自車の周りを旋回するBT-42に後ろを見せない様にする。

 

「ミッコ! 速度を上げてっ! アキ! 何時でも撃てる様にっ!!」

 

「あいよっ!」

 

「任せてっ!!」

 

ミカの指示で、ミッコが更にアクセルを踏み込み、アキが発射トリガーに指を掛ける。

 

更に速度を上げるBT-42。

 

それでいて旋回半径が全く変わらないと言う、ミッコの操縦技術の高さが改めて浮き彫りになる。

 

やがて徐々に、BT-42がセンチュリオンの後ろを捉え始める。

 

(あと少し………)

 

凄まじい横Gに耐えながら、車外に姿を曝し続け、発砲のタイミングを窺うミカ。

 

「…………」

 

更に、狙撃態勢に入っていたⅣ号の方でも、華が極限の集中力を見せる。

 

「「「「…………」」」」

 

みほ、沙織、優花里、麻子にもその緊張感が伝わり、黙り込んでいる。

 

「(! ココだっ!)トゥ………」

 

そして遂に、BT-42の照準が、センチュリオンの後部を捉えた………

 

 

 

 

 

かに思われた、瞬間!!

 

 

 

 

 

突如として、BT-42に合わせる様に超信地旋回をしていたセンチュリオンが、突如として逆回転!!

 

「!? 何っ!?」

 

ミカが驚愕を露わにした瞬間!

 

逆回転したセンチュリオンの砲身が、BT-42の目の前に迫る!

 

「! しまっ………」

 

た、と言い切る前に、センチュリオンの砲身がまるでフルスイングしたバットの様にBT-42に直撃!

 

15トンの車体が、宙に舞った!

 

「! 華さんっ!!」

 

「!!」

 

みほも、その攻撃に驚きながらも、すぐさま華に呼び掛け、華が発射トリガーを引こうとする。

 

と、その瞬間!!

 

「西住総隊長っ!」

 

イプシロンを片付けた弘樹が、中央広場に到着した!

 

「! 弘樹くんっ!」

 

みほが弘樹の姿を見遣った、その時!!

 

逆回転したままだったセンチュリオンが、砲身がⅣ号に向いた瞬間に先んじて発砲した!!

 

「!?」

 

「………!!」

 

みほが驚愕の表情を浮かべた瞬間に、弘樹は右手にM1911A1を握り締めて駆け出した!

 

今の弘樹に、有効な対戦車兵器は無い………

 

拳銃如きで戦車を如何にか出来るものではない事は百も承知だ。

 

しかし、それでも………

 

例え無駄だったとしても………

 

弘樹は動かざるを得なかった。

 

センチュリオンが撃った砲弾はⅣ号の砲塔左側面を掠める様に命中!

 

撃破判定に至るものではなかったが、衝撃で砲塔左側面のハッチが吹き飛んだ!

 

「!?」

 

丁度それは、砲手である華のすぐ傍に有ったハッチであり、その出来事で華の集中力が一瞬途切れ、僅かに余分な力が入って狙いが微妙にズレてしまった。

 

だが、トリガーを引く指を停める事は叶わない………

 

「!!」

 

とそこで同時に、弘樹がM1911A1を構えたが………

 

「…………」

 

それも読んでいた様に、無表情の愛里寿が、機銃架のベサ機関銃を弘樹に向かって発砲した!!

 

放たれた機銃弾の1発が、弘樹の左肩を直撃!

 

「!!」

 

バランスを崩し、倒れ込みそうになる弘樹。

 

その瞬間に………

 

弘樹自身も無意識の内に………

 

右手に握っていたM1911A1の引き金を引いた。

 

放たれた弾丸は、床に当たって跳弾。

 

更に、その弾は『巧まずして』センチュリオンの砲身にブッ飛ばされたBT-42の砲塔部分に当たり、また跳弾。

 

そして今度は、『偶々』センチュリオンの砲撃で吹き飛ばされたⅣ号の砲塔左側面ハッチに当たり、またもや跳弾。

 

丁度その瞬間に、華が引き金を引き切ってしまい、Ⅳ号の砲身から砲弾が飛び出す。

 

その飛び出した瞬間の砲弾の先端部分に、『偶然にも』M1911A1の弾丸が命中!

 

まだ飛び出したばかりで勢いの乗って居なかった砲弾は、その衝撃で微妙にズレてしまっていた狙いが修正される。

 

更に更にM1911A1の弾丸は跳弾!

 

センチュリオンの方へと向かったかと思うと、愛里寿が姿を見せていたので開け放たれたままだったセンチュリオンのハッチに命中して何度目とも知れぬ跳弾をしたかと思うと………

 

『奇跡的』にセンチュリオンの車内へ飛び込み、愛里寿が装着しているバイザー付きのヘッドフォンが繋がれたノートPCに命中!

 

ノートPCは粉々になった!

 

「!? あああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!?」

 

バイザー付きヘッドフォンにスパークが走り、愛里寿が悲鳴を挙げる。

 

そしてその瞬間………

 

狙いが修正されていたⅣ号の砲弾が………センチュリオンの防盾下部に命中!

 

そのままショットトラップで、車体上部へと突き刺さり、センチュリオンは派手に爆発!!

 

「「「「「「「「!!」」」」」」」」

 

あんこうチームと地面に叩き付けられたBT-42のミカ達も驚愕。

 

「………何が、起こった?」

 

当の弘樹は、倒れ込んでいた為、その瞬間を見逃していた。

 

やがて、爆煙が晴れて来たかと思うと………

 

「…………」

 

力無く砲塔の天板に突っ伏していた愛里寿と、白旗を上げているセンチュリオンの姿が露わになったのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メガフロート艦上・某所………

 

「そ、そんなっ!? 愛里寿が!? システムまでっ!?」

 

イプシロンに続き、愛里寿も破れ、更に島田流自慢の戦術・戦略予測システムまで破壊された事に千代は愕然となる。

 

「勝負はあった様ですな………」

 

対するロッチナは、相変わらず淡々とした様子であった。

 

「な、何で貴方はそんなに淡々としているのですかっ!?」

 

その態度が気に障ったのか、ロッチナに向かって怒鳴る千代。

 

「………これこそが我が『神』の望みだからですよ」

 

しかし、ロッチナは不敵に笑ってそう返した。

 

「か、『神』!? 一体何を………」

 

ロッチナが言った『神』と言う言葉に、千代は動揺を露わにする。

 

その瞬間………

 

千代とロッチナが居る場所に、振動が走り始めた!

 

「! キャアッ!?」

 

「始まったか………」

 

よろけて悲鳴を挙げる千代に対し、ロッチナは全てを察している様な表情となっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メガフロート艦上・遊園地跡内………

 

中央広場………

 

「愛里寿ちゃん! 愛里寿ちゃんっ!!」

 

「愛里寿! しっかりするんだ、愛里寿っ!!」

 

動かなくなったセンチュリオンから救出した愛里寿に、必死に呼び掛けているみほとミカ。

 

「えっと、一応変な事はしないで下さいね」

 

「捕虜の扱いは条約に則るであります」

 

「別に抵抗はしません」

 

「ココで足掻いたらそれこそ見苦しい真似になるしね………」

 

一方、沙織と優花里達は、センチュリオンの他の乗員達を念の為に見張っているが、既にセンチュリオンの乗員達には抵抗する気は無い様だ。

 

「………大丈夫だ。気を失っているだけだ」

 

とそこで、左腕を押さえながら近寄って来た弘樹が、愛里寿の状態を見て、みほとミカにそう告げる。

 

「良かった………」

 

「愛里寿………」

 

それを聞いて安堵の表情を浮かべるみほと、愛里寿の手をギュッと握るミカ。

 

………と、その瞬間!!

 

突如、中央広場を振動が襲った!!

 

「うおっ!?」

 

「地震でしょうか?」

 

麻子がよろけ、華がそう言って辺りを見回す。

 

しかし、揺れているのは中央広場だけだった。

 

「揺れてるのはこの場所だけ!?」

 

「こんな地震あるのかよ!?」

 

と、アキとミッコがそう言った瞬間………

 

中央広場全体が………

 

ゆっくりと………

 

下降を始めた。

 

「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」」」

 

予想だにしなかった事態に、みほ達は驚愕を露わにする。

 

「………この広場自体が巨大なエレベーターで、メガフロート内の設備に繋がっていたのか?」

 

そんな中で、弘樹は只1人冷静に推察を行う。

 

巨大エレベーターはドンドンと降下して行き、とうとう空が見えなくなり、中央広場が暗闇に包まれる。

 

「ど、何処まで降りるの?」

 

「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」

 

沙織のその声に、誰もが不安な表情を浮かべる。

 

「弘樹くん………」

 

「大丈夫だ………」

 

みほも愛里寿を抱き抱えたまま弘樹に声を掛けるが、弘樹はいつもの調子でそう返す。

 

やがて、一際大きな振動が走り、大きな音が鳴ったかと思うと、エレベーターは静止した。

 

その瞬間に、壁となっていた周りの上部の方で、一斉に照明が点灯する!

 

「「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」

 

突然の強烈な光に、全員が目を腕で覆う。

 

「………此処は?」

 

やがて目が慣れて来ると、まるで巨大な機械の中の様なメガフロート内の様子が露わになる。

 

とそこで、壁の一角が扉の様に開いた。

 

「「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」

 

身構える一同。

 

やがて、その空いた場所から足音が聞こえて来たかと思うと………

 

ロッチナと千代が姿を現した!

 

「! 母さんっ!」

 

「ロッチナ大佐………」

 

千代の姿を見たミカが苦虫を噛み潰した様な表情を浮かべ、弘樹は警戒感を露わにする。

 

「フフフ………おめでとう、舩坂 弘樹。君は『神』の器となった」

 

だが、そんな弘樹の態度も気に留めず、ロッチナはそう言い放つ。

 

「『神』………?」

 

「ジャン大佐! 一体如何言う事なのです! 貴方は一体何を知っているのっ!? いえ、それ以前に………貴方は一体何者なのっ!?」

 

弘樹が訝しげな表情をした瞬間、千代が捲し立てる様にロッチナにそう言い放つ。

 

「そうだな………『神の国』から来た男………とでも思ってもらおうか」

 

ロッチナは不敵に笑ってそう言う。

 

「『神の国』………?」

 

「何を言っている?」

 

「「「「「??」」」」」

 

華と麻子を中心に、首を傾げる一同。

 

「『神』………『ワイズマン』の事か?」

 

とそこで、そう思い至った弘樹がそう声を挙げる。

 

「えっ!? ワイズマンって………」

 

「あの機械は壊れたんじゃないのっ!?」

 

みほと沙織が驚きの声を挙げ、白旗の上がっているセンチュリオンを見やる。

 

その車体の上には、粉々になっているノートPCだった物が集められていた。

 

「フフ………自らの意志を持ち、高度な能力を持つAI・ワイズマンが、そんなノートPC1台に収まり切ると思っていたのか?」

 

「………このPCは端末の1つに過ぎないと言う事か」

 

ロッチナの言葉に、麻子がそう推察する。

 

「その通り。そしてワイズマンこそが私の真の主………神なのだよ」

 

「!? 何ですってっ!?」

 

「私はその神より眼の役割を与えられ、舩坂 弘樹をズッと観察していたのだよ。ワイズマン自らの力と知識を与えるに相応しい人物か見定める為にな」

 

千代が驚きの声を挙げると、ロッチナは淡々とそう説明する。

 

「力と知識を与えるだと………?」

 

「そうだ。ワイズマンは高度に進化したAI………最早新しい生命と言っても過言ではない。だが、彼には肉体が無い。だから欲したのさ。自分の全てを授けるに相応しい強さと強靭な肉体を持つ者………それこそ『異能者』である者をな」

 

「そ、そんなっ!? 出鱈目だわっ!! あの人は島田流の………私の為にっ!!」

 

ワイズマンの事を亡くなった夫であると思い込んでいる千代は、ロッチナに反論するが………

 

「最早ワイズマンの中に春博士の意志など存在しない。島田 愛里寿やイプシロンに力を貸していたのは、当初は2人の内どちらかを憑代にしようとしていたからに過ぎん」

 

ロッチナは冷たくそう返す。

 

「だが、舩坂 弘樹の存在を知った今、2人はもう用済み。所詮は近似値に過ぎなかったと言う事だ。そして、島田家元………貴方の事に至っては最初から眼中に無かったのですよ」

 

「!? う、嘘よっ! こんなの嘘よっ!! こんな………こんな………いやああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーっ!!………!」

 

千代は絶叫の悲鳴を挙げたかと思うと、やがて糸の切れた操り人形の様にバタリと倒れた。

 

「! 母さんっ!!」

 

「「「島田家元っ!!」」」

 

ミカとセンチュリオンの乗員が慌てて駆け寄るが、千代は完全に気を失っていた。

 

「愚かな女だ………さて、舩坂 弘樹。ワイズマンが待っている。会いに行こうか」

 

そんな千代を冷めた目で見降ろしながら、ロッチナは再び弘樹に呼び掛けた。

 

「………そのワイズマンの力と知恵を受け取ると如何なる?」

 

そうロッチナに問う弘樹。

 

「全てを得られる。神の力を得られるのだ………当然の事だろう。全ての国々を支配する事だって出来る」

 

『その通りだ………』

 

「「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」

 

ロッチナが語っていると、突如別の者の声が響き渡り、一同は驚く。

 

「………ワイズマンか」

 

只1人、弘樹だけが虚空を仰ぎながらそう言う。

 

『そうだ、舩坂 弘樹………お前は数々の戦いを経験し………遂には私の力の一部を貸し与えた愛里寿とイプシロンをも退けた………やはりお前こそが我が憑代………』

 

と、ワイズマンのその言葉が響いたかと思うと………

 

先程ロッチナと千代が出て来た場所とは別の壁が開いた。

 

開いた先に続く通路からは光が溢れている。

 

『来い………舩坂 弘樹………お前こそが………この世界の神となるのだ』

 

「ふざけるなぁっ!!」

 

とそこで、ミカが怒声を挙げて、その光が溢れている通路に向かって行った。

 

「! ミカさんっ!!」

 

「そんな! そんな事の為に! 母さんを! 愛里寿を! イプシロンを! 私達、家族をぉっ!!」

 

みほが驚きの声を挙げる中、ミカは見た事も無い怒りの形相で、通路へと飛び込もうとする。

 

だが………

 

「!? うわああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!?」

 

途端に、ミカの身体に電流の様な物が走り、吹き飛ばされた!

 

「! ミカッ!!」

 

「オイ、ミカ! 大丈夫かっ!?」

 

慌ててアキとミッコが駆け寄り、助け起こす。

 

「ま、まさかっ!? 電磁バリアッ!? アメリカ軍でさえまだペーパープラン状態の物をっ!?」

 

「ワイズマンの力をもってすればこの程度の事は造作も無い」

 

その光景を見た優花里が、ミカを弾き飛ばした物の正体が電磁バリアである事に驚愕し、ロッチナが不敵にそう言う。

 

『私の元へ来れるのは舩坂 弘樹だけだ………』

 

そこで再度響くワイズマンの声。

 

「…………」

 

ジッと光の溢れている通路を見据えている弘樹。

 

「弘樹くん! 絶対行っちゃ駄目だよっ!!」

 

「そうだよ! こんなの新手の霊感商法みたいなもんじゃんっ!!」

 

みほと沙織が弘樹に向かってそう言う。

 

しかし………

 

「………それがアンタの望みか」

 

弘樹は目を瞑りながらそう呟く。

 

「? 弘樹くん?」

 

そんな弘樹の様子にみほが首を傾げた瞬間………

 

弘樹の口から信じられない言葉が飛び出した。

 

 

 

 

 

「分かった。喜んでアンタの憑代になろう」

 

 

 

 

 

「「「「「「「「!?」」」」」」」」

 

あんこうチームとミカ達の顔が驚愕で固まる。

 

「ひ、弘樹くん? な、何を言ってるの………?」

 

みほが呆然としたままで弘樹に問うが………

 

「今、この瞬間から小官はアンタの肉体だ。その役目を果たそう」

 

「!? そ、そんなっ!?」

 

「そうだ、舩坂 弘樹。それが正しい選択だ」

 

再度驚愕するみほを尻目に、ロッチナは笑みを浮かべてそう言い放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「小官は………神になる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させていただきました。

強制的に発動したシステムにより、マシンと化す愛里寿。
みほとミカのコンビネーションも通じず、駆け付けた弘樹まで倒されたかに思えたが………
またも弘樹の『異能の力』が発揮されます。

そして勝利した弘樹達はメガフロート内部へ………
そこで遂に、ロッチナの真の目的とワイズマンの陰謀が明かされます。
神の力を与えてやると言われ、それを受け入れる弘樹。
彼は神の力の魅惑に魅了されてしまったのか(棒読み)

もう少しで長かった劇場版も完結する予定です。
その後にエピローグになる愛里寿・ウォーを入れて、いよいよこの作品も完結となります。
次は最終章が全て公開されてからになるでしょうか。
………先は長いです(笑)


では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

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