ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース   作:宇宙刑事ブルーノア

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第38話『追撃戦です!』

『ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース』

 

第38話『追撃戦です!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

初動で後れを取り………

 

有利な高台をアンツィオ&ピッツァ機甲部隊に押さえられた大洗機甲部隊だったが………

 

逆に自分達が有利だと思い込んでいたアンツィオ&ピッツァ機甲部隊の慢心を突き、奇襲攻撃を掛けた。

 

戦車部隊が注意を惹き付けている間に、一の谷の戦いよろしく、急斜面を下って歩兵部隊がアンツィオ&ピッツァ機甲部隊を襲撃!

 

想定していなかった場所からの襲撃に、アンツィオ&ピッツァ機甲部隊は大混乱。

 

結果、戦車は半数がやられ、歩兵部隊にも甚大な被害を出して、アンツィオ&ピッツァ機甲部隊は折角高台に形成した陣地を捨て、撤退する事となった。

 

戦局は有利と判断したみほは、追撃を命令。

 

最早半死半生のアンツィオ&ピッツァ機甲部隊に、打つ手は残されているのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦車道・歩兵道全国大会公式戦2回戦会場………

 

『さあ、戦況は現在大洗機甲部隊が有利。敗走するアンツィオ&ピッツァ機甲部隊を追撃しております!』

 

『ココからアンツィオ&ピッツァ機甲部隊が上手く立ち直れるかがポイントですね』

 

ヒートマン佐々木とDJ田中の実況が続く中、森林の中の道を大洗機甲部隊の面々がかなりの速度で進軍して行く。

 

「敵の戦車は半数撃破しました。歩兵部隊の方にもかなりの被害が出ています。ココで一気に畳み掛けます!」

 

「「「「「「「「「「了解っ!!」」」」」」」」」」

 

キューポラから姿を見せているみほの指示に、大洗機甲部隊の面々は勇ましい返事を返す。

 

と、その時!!

 

ターンッ!と言う乾いた音がしたかと思うと、1両のくろがね四起の窓ガラスに罅が入った!

 

「!? うわぁっ!?」

 

それに驚いた操縦手が慌ててハンドルを切ると、くろがね四起は横転し、乗員が地面に投げ出される。

 

「!! 狙撃だっ!!」

 

「「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」

 

弘樹がそう声を挙げると、大洗機甲部隊の面々は進軍を停止し、歩兵部隊員達が其々に車両や戦車の影に隠れる。

 

「舩坂くん! 何処から撃たれたか分かる!?」

 

みほも慌てて車内へ引っ込み、通信で弘樹にそう尋ねる。

 

「駄目です。森の中からだとは分かりますが………」

 

弘樹がそう返事をしていると、再び発砲音が鳴り響き、銃弾がM3リーに当たって弾かれる。

 

「ヒイッ!?………こ、怖くない! 怖くなんかないぞ!」

 

勇武がその様子にビビるが、まるで念じる様にそう言い張る。

 

「コレじゃ迂闊に動けねえぞ」

 

「如何しますか、舩坂さん………」

 

「…………」

 

地市と楓がそう言うのを聞きながら、弘樹は思案を巡らせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その狙撃手………

 

ピッツァ歩兵部隊の狙撃兵・ボンゴは………

 

「良くもロマーノをやってくれたな………お返しはたっぷりとしてやるぜ」

 

ギリースーツに身を包み、狙撃仕様にカスタマイズしたカルカノM1938の、スコープを覗きながらそう言う。

 

そして、引き金を引いて発砲した。

 

放たれた銃弾は、停めてあったくろがね四起のタイヤに命中。

 

タイヤに穴を空けられたくろがね四起がガクリッ!と傾く。

 

「ヘヘヘ、そうしてお前達が動けないでいる間に『ネロ』が回り込んで襲い掛かる寸法だ。そして混乱しているところで、隠れているセモベンテと歩兵部隊が奇襲を掛けるのさ」

 

まるで自慢するかの様に1人作戦を呟くボンゴ。

 

その直後………

 

「! 浅間さん! あそこです!!」

 

モシン・ナガンM1891/30のスコープを除いていた飛彗が、ボンゴが隠れている地点を指差しながら、陣に向かってそう呼び掛けた。

 

「!………」

 

すぐさま陣は、飛彗が指差している方向に、シモノフPTRS1941を向ける。

 

「!? ヤベッ!? バレたか!?」

 

ボンゴが焦った直後、陣はシモノフPTRS1941を発砲!

 

しかし、放たれた弾丸は、ボンゴの頭上へと消えて行った………

 

「ハッ! 何だ、ハズレか! 下手くそめ………」

 

と、ボンゴが逆に陣を狙おうとして、再びカルカノM1938を構えた瞬間………

 

「!? ゲバハッ!?」

 

上から太い木の枝が振って来て、ボンゴはその下敷きとなった。

 

「ま、まさか………さっきのはコレを狙って………そんなの………有りかよ………」

 

下敷きとなったボンゴは気を失い、そのまま戦死と判定される。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃………

 

停止している大洗機甲部隊の背後の森林の中で………

 

「フフフ………狙撃に阻まれて進めない上に、注意を奪われてるな………こう言う時こそ、裏取りのチャンスだっての」

 

そう呟きながら、極力物音を立てずに森林の中を進み、大洗機甲部隊の背後へと回り込もうとしているピッツァ歩兵部隊の偵察兵『ネロ』

 

「見てろよ、大洗め………年季の違いを見せてやるぜ」

 

そう言っている間に、遂に大洗機甲部隊の背後へと回り込む事に成功するネロ。

 

「よおし、行くぞぉ………」

 

ブレダM30軽機関銃を握る手に力を込めると、大洗機甲部隊に奇襲を掛けようとする。

 

しかしそこで、背後からガタッ!と言う音がするのを耳にする。

 

「!?」

 

慌ててネロが振り向くと、そこには………

 

ダンボール箱が在った。

 

「何だ、ダンボール箱か………」

 

ネロはそう呟くと、再び大洗機甲部隊に向き直る。

 

「………!? んん!? 何でこんなとこにダンボール箱があるんだ!?」

 

だが、すぐにおかしい事に気付き、再びダンボール箱の方を振り返る。

 

すると!!

 

「待たせたなっ!」

 

そう言う声が響き渡り、ウィンチェスターM12 トレンチガンを携えた大詔が、ダンボール箱の中から姿を現した!

 

「!? お、大洗の!?」

 

「こう言う時にこそ裏取りさせる事を注意する。戦いの基本だ。それぐらい分からないと思ったのか?」

 

ウィンチェスターM12をコッキングしながらそう言い放つ大詔。

 

「ク、クソォッ!!」

 

ネロはすぐにブレダM30軽機関銃を向けたが………

 

「遅いっ!!」

 

それよりも早く大詔が発砲し、ウィンチェスターM12に装填されていたスラッグ弾が、ネロが構えていたブレダM30軽機関銃に命中する!

 

「!? うおわぁっ!?」

 

衝撃でブレダM30軽機関銃を手放してしまうネロ。

 

主の手を離れたブレダM30軽機関銃は、そのまま地面に落ちて、スラッグ弾が命中した部分からバラけた。

 

「ああっ!?」

 

「非情な様だが容赦は出来ん。このまま戦死判定を受けてもらうぞ」

 

動揺するネロに向かって、大詔は容赦無くコッキングを済ませると、再度引き金を引こうとする。

 

「!! うわあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!!」

 

とそこで!!

 

ネロが腕を鞭の様に撓らせ、何かを投擲して来た!!

 

「!?」

 

咄嗟に回避運動をしつつ、身体に当たりそうになった物を持っていたウィンチェスターM12で弾く大詔。

 

「!? 手裏剣だと!?」

 

そして大詔は、ネロが投げつけて来た物を見て驚く。

 

それは紛れも無く、八方手裏剣だった。

 

「こう見えても俺は通信教育で忍術を習った事がある! 2級の腕前だぞっ!!」

 

ネロはそう言い放つと、『通信教育忍者免許2級』の免許証を大詔に見せつける。

 

「成程、忍者か………なら、俺より最適な相手が居るな」

 

大詔はそう言ってフッと笑う。

 

「? 何を言って………」

 

と、ネロが大詔の言葉を理解出来ずに居たところ………

 

「Wasshoi!」

 

突如ニンジャシャウトが響き渡ったかと思うと、地面から何かが飛び出し、ドリルめいた回転と共に、地面の上に着地を決めた。

 

「!?!?」

 

「ドーモ、葉隠 小太郎です」

 

驚くネロに向かって、小太郎はアイサツと共にオジギする。

 

「!! ド、ドーモ、葉隠 小太郎=サン。ネロです」

 

動揺しながらも、ネロはアイサツとオジギを小太郎に返す。

 

「………やはり貴様はニンジャ!」

 

と、アイサツを返された事で、ネロの事をニンジャだと認識した小太郎の目が、カタナの刃めいて鋭くなる。

 

「ニンジャ倒すべし………慈悲は無い」

 

マッポーめいた世界を生きているかの様なアトモスフィアが漂い、小太郎はネロに向かって殺気とも言えるニンジャ闘気を向ける。

 

「アイエエエエエエエッ!?」

 

自分の様な欺瞞ニンジャとは違う本物のニンジャを前に、ネロはNRSを起こし、しめやかに(自主規制)した。

 

「ハイクを詠め………ネロ=サン!」

 

そんなネロに、小太郎は先程の言葉通り、一切慈悲を与えず、カイシャクをしようとする。

 

「イ、イヤーッ!!」

 

とその時!!

 

ネロの腕が鞭の様に撓り、無数の八方スリケンが、小太郎へと向かった。

 

恐怖のあまりか、生存本能による攻撃である。

 

「くたばれぇっ!!」

 

コレが歩兵道の試合である事も忘れ、そんな台詞を発するネロ。

 

だが!!

 

「イヤーッ!!」

 

おお、見よ!!

 

小太郎の腕がまるでアシュラ・ゴッドめいて複数に見える程に動いたかと思うと、ネロが投げた八方スリケンは全て側面を叩かれ、トゥモロウの方向へと飛んで行った!

 

タツジン!!

 

「ア、アイエエエエエエエッ!?」

 

ネロの悲鳴が挙がる。

 

自慢のスリケン・ジツも、小太郎の前には無力。

 

「こ、こうなったら! 俺の古代ローマカラテで!!」

 

すると、ネロは古代ローマカラテの構えを取ったが………

 

「イヤーッ!!」

 

「グワーッ!!」

 

そのワザが繰り出される前に、小太郎のカラテチョップがネロの首筋に命中!!

 

「イヤーッ!!」

 

「グワーッ!!」

 

更に今度はケリ・キックが炸裂!

 

「や、止めてくれ! 葉隠 小太郎=サン! 貴様の要求に応え………」

 

「慈悲は無いっ!!」

 

遂にネロが降参の言葉を口にしようとした瞬間!!

 

小太郎がトドメのポンパンチを放った!!

 

「サヨナラッ!!」

 

哀れ、ネロは爆発四散したかの様なアトモスフィアを出しながら、その場に倒れ、ダシを取られたマグロの様にぴくりとも身動きしなくなった。

 

「相変わらず容赦の無いカラテだな」

 

戦死判定が下されているネロを見下ろしながら、大詔が小太郎にそう言う。

 

「ノーニンジャ・ノーカラテだ」

 

「良く分からんな………」

 

小太郎のそんな返事に、大詔は苦笑いする。

 

「ど、如何しよう!? ボンゴさんもネロさんもやられちゃったよ!?」

 

「良し! 逃げようっ!!」

 

とそこで、作戦の初手を担当し、中核となっていたボンゴとネロがやられてしまった事で、突撃の機会を失ったセモベンテM40と歩兵部隊が、慌てて退却に入り、大洗機甲部隊の前に姿を晒した。

 

「逃さんっ!!」

 

だが、そこで既に7.5 cm PaK40 L46の展開を終えていた明夫を中心とした砲兵が、逃げ去ろうとしていたセモベンテに向かって、砲弾を放つ!

 

放たれた砲弾が、セモベンテM40の右後部に命中し、履帯と転輪を吹き飛ばした!!

 

「!? 履帯が!?」

 

「工兵! 早く修理をっ!!」

 

「撃てぇーっ!!」

 

セモベンテM40の乗員が慌てる中、今度はエルヴィンが叫び、Ⅲ突が砲撃。

 

砲弾はセモベンテM40の側面に命中し、派手に爆発。

 

少し間が有って、セモベンテM40からは白旗が上がる。

 

「撃てぇーっ!!」

 

更に弘樹がそう叫ぶと、軽機関銃や短機関銃を持った大洗歩兵達が、一斉に弾幕を張る。

 

「「「「「うわあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!?」」」」」

 

弾幕の嵐の前に為す術も無く、ピッツァ歩兵部隊の隊員達は、次々に戦死判定を下されて行き、遂に全滅した。

 

「歩兵を小隊規模撃破」

 

「戦車も1両減らした。今の奴等に取ってはかなりの痛手だな」

 

弘樹がそう報告を挙げると、十河が現在のアンツィオ&ピッツァ機甲部隊の戦力を計算し、ニヤリと笑う。

 

「しかし、このまま追いかけっこしてても埒が明かないぞ」

 

『西住より全部隊へ。コレより、私達あんこうチームととらさん分隊は別行動を取り、アンツィオ&ピッツァ機甲部隊の撤退先へ先回りします』

 

と、俊がそう呟いた瞬間に、みほから全部隊へそう通信が送られた。

 

「1部隊で追撃するんですか?」

 

『コレ以上の撤退を許した場合、態勢を整えられて反撃される恐れが有ります。私達あんこうチームととらさん分隊が先回りして、挟撃を掛けます』

 

清十郎がそう尋ねると、みほはそう答える。

 

『確かに、それも一理あるな………』

 

「了解した。此方の指揮は私が取ろう」

 

『お願いします………とらさん分隊の皆さん。付いて来て下さい』

 

「「「「「「「「「「了解っ!!」」」」」」」」」」

 

指揮車の煌人がそう呟く中、迫信が本隊の指揮を引き継ぎ、みほ達あんこうチームのⅣ号は、弘樹達とらさん分隊の面々を引き連れて、アンツィオ&ピッツァ機甲部隊の撤退先へ先回りを開始するのだった。

 

『あ~っと! 如何やらアンツィオ&ピッツァ機甲部隊の足止めは失敗した模様です!』

 

『コレは厳しいですよ~』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃………

 

「副隊長! 大洗の足止めに向かったボンゴさん達からの連絡が途絶えました! 恐らく………」

 

「やられたか………」

 

「クソッ!!」

 

隊員からの報告にフォルゴーレがそう呟くと、P40のキューポラから姿を見せていたアンチョビが、握った両手を砲塔の天板に叩き付けた!

 

「あんな事を言って置いてこの様か………コレでは良い笑い者ではないか………」

 

身体を震わせてそう呟くアンチョビ。

 

その目には涙が浮かんでいる。

 

「総帥(ドゥーチェ)………」

 

そんなアンチョビの姿を、P40の装填手席に居たカルパッチョが見上げる。

 

「………ペパロニ。止めて」

 

「? カルパッチョ?」

 

とそこで、操縦手のペパロニに呼び掛け、P40を止めさせる。

 

「止まって!」

 

そしてP40が止まるとすぐに車外へと出て、残っていたM13/40カルロ・アルマートを止める。

 

「アイーダ、代わって」

 

「ハ、ハイ」

 

車長の子にそう言い、M13/40カルロ・アルマートへと乗り込むカルパッチョ。

 

「カルパッチョ!? 何をする気だ!?」

 

「私が大洗機甲部隊に突撃して相打ちでフラッグ車を打ち取ります」

 

驚くアンチョビに向かって、カルパッチョは驚くくらいに冷静な態度でそう言い放った。

 

「なっ!? 馬鹿な!? カミカゼをやる気か!? 幾ら戦車道と言えど危険だぞ!!」

 

「私の役割は総帥(ドゥーチェ)に勝利を捧げる事………その為ならば如何なる手段も取る覚悟が有ります」

 

止めようとするアンチョビだが、カルパッチョの決意は固かった。

 

「すまない、諸君………付き合って欲しい」

 

「ハ、ハイ………」

 

「やるしかないよね………」

 

多少の恐怖を見せながらも、カルパッチョに付き従おうとするM13/40カルロ・アルマートの乗員達。

 

「良し………行くぞっ!!」

 

カルパッチョがそう言い放つと、M13/40カルロ・アルマートは反転し、大洗機甲部隊の元へと向かおうとする。

 

と、その時………

 

「お待ち下さい! カルパッチョ様!!」

 

フォルゴーレがそう言い放ちながら、M13/40カルロ・アルマートの前に立ちはだかった。

 

「フォルゴーレ! 止めないで!!」

 

「いえ! その役目は………私にお任せ下さい!」

 

止めるなと言うカルパッチョに対し、フォルゴーレはそう言い返す。

 

「えっ?………」

 

「我等歩兵は戦車を守る盾………みすみす女性を危険に晒す様な真似を黙って見ている事など出来ません。ならば、この私が大洗機甲部隊へと突撃し、見事フラッグ車を撃破してみせましょう!」

 

「そんな!? 戦車でさえ危険が大きいと言うのに、歩兵1人で突撃なんてそれこそ危険だわ!」

 

「構いません。人の生は、何を為したかで決まる………総帥(ドゥーチェ)は我等をココまでお連れ下さった。立派です。そしてカルパッチョ様の望みがこの試合の勝利ならば、それを助けるのが歩兵としての私の役目」

 

フォルゴーレはそう言うと、カルパッチョに背を向けて歩き出した。

 

「あ!………」

 

「副隊長!」

 

「我々も同行致します!」

 

「どうせ散るにしても、恰好付けて散りたいですからね」

 

カルパッチョが何か言い掛けた瞬間、ピッツァ歩兵部隊の中からフォルゴーレに同行する者達が出始める。

 

「すまない………見事、勝利の栄光を掴んでご覧にいれます」

 

そんなピッツァ歩兵部隊員達に感謝しつつ、フォルゴーレは大洗機甲部隊の元へと向かう。

 

「フォルゴーレ………お願い………命だけは大事にして………」

 

フォルゴーレの背を見送りながら、カルパッチョは祈る様に両手を胸の前で合わせるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数10分後………

 

アンツィオ&ピッツァ機甲部隊の撤退先に先回りを試みたあんこうチームととらさん分隊は………

 

「推測が正しければ、そろそろアンツィオ&ピッツァ機甲部隊と接触します」

 

「全員、警戒を厳に!」

 

「「「「「「「「「「了解っ!!」」」」」」」」」」

 

みほと弘樹の言葉に、部隊員達の緊張の度合いは増す。

 

「! 居ました! 10時の方向!!」

 

とそこで、双眼鏡を覗いていた楓がそう報告を挙げる。

 

「このまま行けば、側面を突けます」

 

「西住総隊長、指示を」

 

更に楓がそう報告を挙げると、弘樹がみほに指示を求める。

 

「………全部隊、突げ………」

 

みほが突撃命令を出そうとしたその瞬間!!

 

『コチラ大洗機甲部隊本隊! コチラ大洗機甲部隊本隊! 西住総隊長! 応答願います!!』

 

通信回線に、勇武の物と思われる悲鳴の様な声が響き渡った。

 

「!? 西住です! 如何したんですか!?」

 

『此方は現在、敵の奇襲を受け………うわぁっ!? お、『鬼』がぁっ!? 『鬼』がぁっ!!』

 

みほが問い質した瞬間に、勇武から再び悲鳴が挙がり、通信はノイズだけとなる。

 

「!? もしもし!? 応答して下さい!!………沙織さん!!」

 

「駄目、全然通じない! 向こう側の通信機で何か問題が起こってるみたい」

 

みほは通信手の沙織に呼び掛けるが、沙織は送信側のトラブルであると報告する。

 

「『鬼』が………って叫んでましたね」

 

「まさか、空教官が言っていた、例のアンツィオ&ピッツァ機甲部隊の『鬼』じゃ………」

 

通信で、勇武がしきりに『鬼』と叫んでいた事を聞いていた楓と飛彗がそう言い合う。

 

「みほさん、如何しましょう?」

 

「すぐに救援に向かいましょう!」

 

「だが、ココでアンツィオ&ピッツァ機甲部隊の本隊を逃がしたら態勢を立て直されるぞ」

 

華、優花里、麻子がみほにそう呼び掛ける。

 

「…………」

 

みほは如何するべきかと苦渋の表情を浮かべる。

 

「西住総隊長!」

 

するとそこで、弘樹がみほに呼び掛けた。

 

「!? 舩坂くん!?」

 

「本隊の救援には小官と神狩が向かいます。総隊長殿はアンツィオ&ピッツァ機甲部隊の本隊を」

 

「オイオイ、俺もかよ?」

 

みほに向かってそう言う弘樹に、白狼がそうツッコミを入れる。

 

「オートバイ兵のお前が1番速い。すぐに向かうぞ」

 

そう言うやいなや、白狼の返事も待たずにバイクの後方に腰掛ける弘樹。

 

「おまっ、勝手に………ああ! もう! しょうがねえなぁ!!」

 

白狼が愚痴りながらも、マックスターンをしてバイクの向きを変える。

 

「………舩坂くん! お願いっ!!」

 

みほは弘樹は信頼し、そう言葉を掛ける。

 

「総隊長殿もご武運を!」

 

弘樹はそう言い残し、白狼と共に本隊の救援へと向かうのだった。

 

「………良し! 作戦変更です! 私達はコレからアンツィオ&ピッツァ機甲部隊の本隊に仕掛けます!!」

 

「「「「「「「「「「了解っ!!」」」」」」」」」」

 

それを見送ると、みほはアンツィオ&ピッツァ機甲部隊の本隊の方へと向き直り、残ったとらさん分隊の皆にそう呼び掛ける。

 

「パンツァー・フォーッ!!」

 

「「「「「「「「「「突撃ぃーっ!!」」」」」」」」」」

 

みほの掛け声を合図に、Ⅳ号ととらさん分隊員達はアンツィオ&ピッツァ機甲部隊の本隊に突っ込んで行く!

 

「!? 大洗!?」

 

「しまった!? 先回りされた!?」

 

「狼狽えるな! 相手は小隊規模だ! 叩き潰せぇっ!!」

 

ペパロニとカルパッチョが驚きの声を挙げる中、アンチョビはそう命じ、アンツィオ&ピッツァ機甲部隊は迎撃の態勢を取るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させていただきました。

敗走したアンツィオ&ピッツァ機甲部隊に追撃を掛ける大洗機甲部隊。
途中、進撃を遅らせようととした足止め部隊を難なく撃破し、徐々にアンツィオ&ピッツァ機甲部隊を追い詰める。
だがその時!
遂にアンツィオ&ピッツァ機甲部隊の『鬼』が現れます。
注目の正体は次回で。

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

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