ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース   作:宇宙刑事ブルーノア

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第45話『らぶらぶ作戦です!』

『ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース』

 

第45話『らぶらぶ作戦です!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大洗機甲部隊に、新たな仲間達が加わった。

 

戦車チームに、園 みどり子を筆頭とした風紀委員達のルノーB1bisの『カモさんチーム』

 

新たに天地 唯をメンバーに加え、聖子達を筆頭としたスクールアイドル達のクロムウェル巡航戦車の『サンショウウオさんチーム』

 

そして、大洗歩兵部隊にも新分隊………

 

カモさんチームの随伴分隊である絃賀 月人(突撃兵)を分隊長とする、鎧 鋼賀(突撃兵)、文月 弦一朗(突撃兵)、伊達 圭一郎(狙撃兵)を中心とした『マンボウさん分隊』

 

そして、サンショウウオさんチームの随伴分隊である内藤 英洲(突撃兵)を分隊長とする、杷木 拳龍(偵察兵)、白鳥 弁慶(対戦車兵)、ルダ・シャッコー(突撃兵)、ジャクソン・ダート(偵察兵)を中心とした『タコさん分隊』が加わった。

 

公式戦3回戦に向け、今日も今日とて訓練が続けられる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大洗学園艦・演習場………

 

カモさんチーム&マンボウさん分隊………

 

「小生はっ! 絶! 好! 調! であるうううううううううぅぅぅぅぅぅぅぅぅーーーーーーーーーーっ!!」

 

着剣したKar98kを構え、いの1番に駆け抜けている月人がそう声を張り上げる。

 

「ちょっ!? 分隊長っ! 突っ込み過ぎですって!!」

 

「フハハハハハッ! 我が世の春が来たああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」

 

分隊員の止める言葉も何処吹く風、兎に角先頭を突っ走る月人。

 

「おおっ! スッゲェ気合だな、分隊長殿は! よっしゃあっ! 俺も負けられないぜぇっ!!」

 

更にそれに触発されたのか、陸王に乗って居た弦一朗もスピードを上げて、月人に続いて行った。

 

「ちょっ!? 弦一朗さんまで!!」

 

「ちょっと! 何やってんのよ!?」

 

その光景に、ルノーB1bisの車長兼副砲砲手兼装填手を務めているみどり子も声を挙げる。

 

「やれやれ………ウチの分隊は血気盛んな奴が多いみたいだな」

 

パンツァービュクセ 39を携えた圭一郎が、そんな月人と弦一朗の事を見ながら、他人事の様にそう呟く。

 

「面白いなぁ、あの2人………オーイ! あの2人も撮っておけぇ! 後で映像素材に使えるかも知れない!!」

 

一方、アルコン M-1943を携えた鋼賀は、そんな2人の姿を面白がり、映画の素材になると、撮影をしている映研メンバーにそう指示を出すのだった。

 

と、そこで………

 

訓練用に設置されていた、仮想敵陣地から、訓練用無人野戦砲の攻撃が開始された。

 

進軍していたカモさんチームとマンボウさん分隊の周辺に次々と砲弾が飛来し、爆発が起こる。

 

「おっと! 撃って来たか!!」

 

「皆ー、なるべく姿勢を低くするんだぁっ!!」

 

圭一郎がそう言うと、鋼賀が皆にそう呼び掛ける。

 

「その程度で小生を止められると思ったかぁっ!!」

 

「うおおおおぉぉぉぉぉーーーーーーっ! 俺の青春はこんなモンじゃ止められねえぇぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!」

 

しかし、そんな中でも月人と弦一朗は突撃を敢行。

 

そのまま仮想敵陣地の中へと雪崩れ込んだ!!

 

「先祖代々鍛錬を続けてきた、武門の家柄がぁ! そんじょそこらの歩兵共とは違う事を見せてくれるわあぁっ!!」

 

月人は叫びながら次々に手榴弾を投擲し、訓練用無人野戦砲を破壊して行く。

 

「ライダー乱れ撃ちいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃーーーーーーーーっ!!」

 

更に弦一朗も、仮想敵陣地の中を陸王で走り回りながら、オーウェン・マシンカービンを無人野戦砲に備え付けられている敵砲兵に見立てた仮想標的を撃ち抜いて行く。

 

「流石に先んじて突っ込んで行くだけの事はあるなぁ………」

 

そんな2人の姿を見て、圭一郎が半ば呆れる様にそう呟く。

 

とその時!

 

無事だった野戦砲が、水平砲撃でマンボウさん分隊目掛けて砲弾を撃ち込んで来た!

 

「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

 

砲撃で足が止まっていたマンボウさん分隊の隊員達が仰天する!

 

だが、そこで!!

 

「ゴモヨ! 割り込んで!!」

 

「わ、分かったよっ!!」

 

ルノーB1bisが、マンボウさん分隊の前に回り込み、斜めにした正面装甲で砲弾を弾き飛ばした!

 

「「「きゃああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」」」

 

しかし、車内に走った振動と衝撃で、みどり子達からは悲鳴が挙がる。

 

「カモさんチームっ!?」

 

分隊員の声が挙がる中、無人砲台の再装填が終わり、次弾を放とうとする。

 

しかし、次の瞬間!!

 

発砲音が鳴り響いたかと思うと、無人砲台の砲口に銃弾が飛び込んだ!!

 

装填されていた砲弾に弾丸が命中して暴発!

 

遂には無人野戦砲ごと大爆発する!!

 

「やれやれ………歩兵が戦車を守らなきゃいけないってのに、逆に守られてたんじゃお笑い種だぜ」

 

何時の間にか、パンツァービュクセ 39を構えていた圭一郎がそう言い放つ。

 

「つーワケで、ココからは俺達のターンだ………狙い撃つぜっ!!」

 

圭一郎は更にそう言い放つと、次々に無人野戦砲の砲口を狙って銃弾を撃ち込んで行く。

 

「良し、今だぁ! 突撃ぃーっ!!」

 

「「「「「「「「「「うおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーっ!!」」」」」」」」」」

 

無人野戦砲が減った事で砲撃が和らぎ、鋼賀の叫びで、マンボウさん分隊は一斉に仮想敵陣地目掛けて突撃する。

 

「うおわぁ!? 何のぉっ!!」

 

途中、鋼賀が爆風で吹き飛ばされかかったが、アクロバティックな動きを披露して再突撃して見せる。

 

「私達も攻撃開始よ、パゾ美!」

 

「了解、ソド子!」

 

更にルノーB1bisuも、車体の75mm主砲と、砲塔の47mm副砲での砲撃を開始。

 

マンボウさん分隊の突撃を支援するのだった。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

更に、演習場の別の一角では………

 

サンショウウオさんチーム&タコさん分隊………

 

「敵、仮想敵戦車接近!」

 

分隊長であるエースが、進軍していたサンショウウオさんチーム&タコさん分隊の正面から向かって来る戦車に見立てた移動標的を発見して、そう報告を挙げる。

 

『了解! 唯ちゃん! 背後に回り込んでっ!!』

 

『おうよっ!』

 

それを聞いた聖子は、すぐに操縦手の唯にそう指示を出す。

 

クロムウェル巡航戦車は、移動標的の背後へ回り込もうとする。

 

しかし、移動標的はクロムウェル巡航戦車を正面に捉える様にし、背後へ回らせようとしない。

 

更に、後方に控えていた無人野戦砲隊からの砲撃も開始される。

 

移動標的の背後に回り込もうとしているクロムウェル巡航戦車の周りに次々にと砲弾が降り注ぐ。

 

「サンショウウオさんチームを援護しろぉっ!!」

 

そこでエースがそう指示を出し、タコさん分隊の面々は無人野戦砲隊への攻撃を開始する。

 

「HAHAHAHAHA! 一捻りネッ!!」

 

「そこか………」

 

軽機関銃と重機関銃の弾丸を無人野戦砲隊の中へとばら撒くジャクソンとシャッコー。

 

それによって2人の存在に気付いた無人野戦砲隊は、ジャクソンとシャッコーへと狙いを定める。

 

「そこだっ!!」

 

そこで、別の方向からPIATを持っていた弁慶が、その弾体を無人野戦砲隊の中へと撃ち込む!

 

撃ち込まれた弾体は、爆発したかと思うと煙幕を撒き散らした。

 

無人野戦砲隊は視界がゼロになり、砲撃を中断する。

 

『チキショーッ! 中々隙を見せやがらねえっ!!』

 

その間にも、クロムウェル巡航戦車は移動標的の背後に回り込もうとしていたが、速度で大きく劣る移動標的は、細目に向きを変え、クロムウェル巡航戦車に対し背面を見せない様にする。

 

『優ちゃん! 履帯を狙えない!?』

 

『無茶言わないで下さい! 只でさえ行進間射撃の命中率は悪いんですよ!!』

 

聖子が、牽制に砲撃を行えないかと砲手の優に尋ねるが、優は照準器を覗き込んだままそう返す。

 

『クウッ! 足さえ止められればっ!!………』

 

「俺に任せろっ!!」

 

と聖子がそう呟いた瞬間に、そう言う声が響き渡る。

 

それは、ガモン手榴弾を右手に握ったエースの声だった。

 

「俺の血潮が! 沸騰するぜっ!!」

 

目に炎が燃えている様なイメージが見えそうな様子で、エースがそう叫んでガモン手榴弾を握り締めたかと思うと、野球の投球フォームを執る!

 

「うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーっ!!」

 

そして、雄叫びと共に、オーバースローでガモン手榴弾を、移動標的目掛けて投げつけた!

 

ガモン手榴弾が、まるで野球ボールの様に飛んで行き、移動標的の側面にぶつかったかと思うと爆発!

 

撃破判定は下されなかったが、駆動系に異常が出たのか、動きが鈍くなる移動標的。

 

『! 今だよ! 唯ちゃん!!』

 

『おうよっ!!』

 

その瞬間を見逃さず、クロムウェル巡航戦車が突っ込み、移動標的の背後を取った!

 

『貰いました!』

 

レティクルの中に移動標的が重なった瞬間、即座に発砲する優。

 

放たれたオードナンス QF 6ポンド砲の57mm弾が、移動標的の後部に吸い込まれる様に命中!

 

と、その瞬間!

 

衝撃で暴発したのか、移動標的の砲塔の砲から、砲弾が放たれる!

 

「!? うわぁっ!?」

 

そして運悪く、暴発した砲弾が拳龍を直撃した!

 

『!? 杷木先輩!?』

 

「先輩っ!?」

 

聖子が声を挙げ、近くに居たタコさん分隊のメンバーも慌てて近寄る。

 

しかし………

 

「………平気だよ」

 

拳龍はそう言ったかと思うと、まるで何事も無かったかの様に起き上がる。

 

「えええっ!?」

 

「ちょっ!? 先輩! ホントに大丈夫なんですか!?」

 

「暴発したのとは言え、砲弾が直撃したんですよ!?」

 

平然としている様子の拳龍に、タコさん分隊のメンバーが心配そうにそう言う。

 

「うん、大丈夫………」

 

だが、拳龍はケロッとしており、本当に何でもない様子である。

 

「信じられねえなぁ………」

 

「どんな耐久力してるんだよ………」

 

タコさん分隊のメンバーは、並外れた拳龍の頑丈さに半ば呆れる様にそう呟くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうこうしている内に、その日の演習は終了。

 

大洗女子学園の戦車格納庫前に集合した大洗機甲部隊の一同は、空教官達を前にして整列している。

 

「OKOK! 今日も良い具合だったわよ! 新米達も良い動きしてたじゃない! 十分合格点よ!!」

 

「ありがとうございます」

 

「やったーっ!!」

 

「当然であーるっ!」

 

「うむ」

 

空が新規メンバーであるカモさんチームとサンショウウオさんチーム、そしてマンボウさん分隊とタコさん分隊の事を褒めると、みどり子、聖子、月人、エースがそう多種多様な言葉を返す。

 

「けど! 毎回言ってる様に、油断は禁物よ!! 次の対戦相手の『地走学園』の地走機甲部隊との戦いに向けて! 最高のコンディションを作っておくのよ!!」

 

そう釘を刺す事を忘れない空。

 

「ゆかりん、『地走学園』の機甲部隊って、どんな部隊なの?」

 

とそこで、沙織が次の対戦相手である『地走学園』の機甲部隊について、優花里に尋ねる。

 

「あ、ハイ。地走学園の機甲部隊は自走砲を中心とした編制が組まれていて、車高の低さを利用した待ち伏せ戦を得意としています」

 

「自走砲………って、カバさんチームのⅢ突みたいな奴の事だよね」

 

優花里からそう説明を受けた沙織が、整備の為に整備員達によって格納庫の中へと運ばれていくカバさんチームのⅢ突を見ながらそう言う。

 

「ハイ。本来自走砲と戦車は違う物なんですが、まあ境界は大分曖昧になっています」

 

「他には地走学園について、何か特徴はあるのか?」

 

優花里が続けてそう言っていると、今度は麻子がそう尋ねる。

 

「他にですか? う~~ん………」

 

すると優花里は考え込む様な様子を見せる。

 

「? 如何かしましたか?」

 

「いや、それが………地走の特徴と言われても………自走砲中心の待ち伏せ戦術が得意と言う以外は、コレと言った特徴が………」

 

華が尋ねると、優花里が考え込みながらそう答える。

 

「西住殿は何かご存じですか?」

 

そこで優花里は、助け舟を求める様にみほにそう尋ねた。

 

「…………」

 

しかし、みほはみほで、何やら考え込んでいる様な様子を見せて沈黙している。

 

「? みぽりん?」

 

「!? あ、ゴ、ゴメン! 何?」

 

再度沙織が声を掛けると、そこでみほは漸く気付いた様子を見せ、沙織に問い直す。

 

「みぽりん、如何したの? 最近ボーっとしてること多いけど?」

 

「ううん、何でも無いよ。大丈夫だから」

 

心配そうにそう言う沙織だが、みほは笑みを浮かべてそう返す。

 

しかし、その笑顔には何処となく陰りが見えた………

 

(………西住くん)

 

それを見た弘樹は、表情にこそ出していないが、内心でみほの事を心配する。

 

「そこっ! 静かにしろっ!! 教官が放している最中だぞ!!」

 

とそこで、会話が聞こえたのか、桃がみほ達の方を見ながらそう注意を飛ばす。

 

「「「す、スミマセンッ!!」」」

 

「あ~、良いわよ良いわよ。もう終わりだから」

 

みほ、沙織、優花里はすぐに謝るが、空はヒラヒラと手を振って気にするなと言う。

 

「じゃあ、今日はコレまでね! 解散っ!!」

 

「「「「「「「「「「ありがとうございましたーっ!!」」」」」」」」」」

 

そして空は訓練の終わりを宣言し、大洗機甲部隊の一同は空に向かって礼をする。

 

空は10式・改に乗り込み、フルトンシステムで撤収する。

 

「みぽり~ん、帰りにアイス食べて行かない?」

 

大洗機甲部隊の皆が、友達やメンバーの間で会話を交わしながら撤収し始めると、沙織がみほにそう声を掛ける。

 

「あ、ゴメン………今日は地走機甲部隊戦に向かっての作戦プランを練ろうと思うの………だから………」

 

「あ、ああ、良いよ別に! またの機会にすれば良いんだから! ね!」

 

本当に申し訳無さそうな顔をするみほを見て、沙織の方が申し訳無くなり、慌てて取り繕う様にそう言う。

 

「ゴメンね、沙織さん、皆。じゃあ、お先に………」

 

「待て、西住くん。送って行こう。近頃、愚連隊を気取ったチンピラが街で幅を利かせているらしいからな」

 

と、先に帰路に着こうとしたみほに、弘樹がそう言って歩み寄る。

 

「だ、大丈夫だよ」

 

「いや、油断は禁物だ。君は大洗機甲部隊の総隊長だ。君の身にもしもの事があれば我々に明日は無い」

 

「う、うん………ありがとう」

 

少々戸惑いながら、みほは弘樹に送られながら、改めて帰路に就いたのだった。

 

「………リア充、爆発しろ!」

 

「了平………だから貴方はモテないんですよ」

 

そんな2人の内、弘樹の背中を見ながら、恨みがましくそう言う了平に、楓のツッコミが飛ぶ。

 

「みぽりん、疲れてるのかなぁ?」

 

「総隊長ですからね………色々と最終的な決定は西住さんに任せるしかありませんし、僕達には分からない気苦労も多いんだと思います」

 

沙織がまた心配そうにそう呟くと、飛彗がそう言う。

 

「みほさん、そう言う事は自分の中に貯め込むタイプですし………」

 

華も頬に手を当てて心配そうな様子を見せる。

 

「そういう奴はある日突然潰れたりするからな………」

 

「麻子! 怖いこと言わないでよ!!」

 

「ああ~~っ! 西住殿が思い悩んでいると言うのに力になれないなんて~~っ!! 私は何て無力なのでありますか~~~~っ!!」

 

麻子の呟くに、沙織がそうツッコミを入れていると、優花里が両手で頭を押さえて悲鳴にも似た声を挙げる。

 

「………こうなったら、いよいよ『あの作戦』を実行に移す時が来たみたいね」

 

すると沙織が真剣な表情となってそう呟いた。

 

「? 『あの作戦』?」

 

「沙織、何だ『あの作戦』って?」

 

沙織が言う『あの作戦』と言う単語に華が首を傾げ、地市がそう問い質す。

 

「『らぶらぶ作戦』よ!」

 

すると沙織は、グッと拳を握って力説する様にそう言い放つ。

 

「ら、『らぶらぶ作戦』?」

 

「総隊長の命名センスと良い勝負だな………」

 

直球な作戦名に、飛彗が戸惑いを見せ、白狼が呆れた様に呟く。

 

「古今東西! 女の子が元気になる時と言えば! 好きな人とデートしている時!! 舩坂くんとみぽりんをデートさせるよ!!」

 

しかし、沙織はそれを一切気にせずに更にそう言い放つ。

 

「!? えええっ!? 舩坂殿と西住殿をですかぁっ!?」

 

「何でお前がそんなに驚くんだよ………」

 

仰天の声を挙げる優花里と、そんな優花里にツッコミを入れる白狼。

 

「で? デートさせると言っても如何するんだ?」

 

「それはコレから皆で考える!」

 

「つまり、何も考えてないんですね………」

 

麻子がそう尋ねると、沙織はそう返し、華が呆れた様にそう呟く。

 

「と言うより、皆って………」

 

「僕達もですか?」

 

沙織が皆と言ったのを聞いて、地市と楓がそう呟く。

 

「オイオイッ! 何で俺達が弘樹の奴のデートをお膳立てしなきゃなんないんだよ!!」

 

了平が露骨に不満そうにそう言うが………

 

「あ、綿貫くんは手伝わなくて良いから」

 

「ですね………」

 

「うん………」

 

「すみません、綿貫殿………出来ればご遠慮願いたいのですが………」

 

即座に沙織、華、麻子、優花里からそんな返事が返って来たのだった。

 

「ちょっ!? それはそれで酷くないっ!?」

 

「自業自得ですよ、了平」

 

涙目になる了平に、楓の鋭いツッコミが飛ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃………

 

帰路に就いて居たみほと、それを送っている弘樹は………

 

丁度、途中にある商店街の中を歩いていた。

 

「………西住くん。無理をしていないか?」

 

するとそこで、弘樹はみほにそう尋ねる。

 

「えっ? ど、如何して?」

 

突如そんな事を聞いて来た弘樹に、みほは若干戸惑う。

 

「いや、只の勘だ………君は総隊長だ。総隊長にしか分からない気苦労も多いだろう。そしてそう言う事は中々他人には相談出来ないものだ」

 

「…………」

 

余りにも的確な部分を突いて来た弘樹に、みほは黙り込む。

 

「言いたくないならそれで良い。だが、生徒会長も言って居たが、余り1人で抱え込む様な事はするな。小官達は皆戦友だ」

 

「………ありがとう、舩坂くん」

 

しかし、弘樹が続けてそう言うと、僅かながらも笑みを浮かべて礼を言うのだった。

 

と、その時………

 

「あ! お兄様! 西住さん!」

 

そう呼ぶ声が聞こえたかと思うと、買い物袋を携えた湯江が、2人の元へと歩み寄って来る。

 

「あ、湯江ちゃん」

 

「湯江か。買い物中だったのか?」

 

「ハイ。御2人の姿が見えたので、お声を掛けさせて頂きました」

 

みほと弘樹がそう言うと、湯江はそう返す。

 

「1人でお買い物って大丈夫なの? 最近、愚連隊って名乗ってる人達が居るって舩坂くんが言ってたけど………」

 

そこでみほが、先程弘樹から聞かされていた話を思い出してそう言うが………

 

「大丈夫ですよ。実は私、こう見えても薙刀の免許皆伝の腕前なんですよ」

 

「!? ええ~っ!?」

 

湯江からそんな言葉が帰って来て、みほは驚きの声を挙げる。

 

「本当だ。護身用に習わせていたんだが、才能があったらしくてな」

 

「そ、そうなんだ………」

 

弘樹がそう言うのを聞きながら、みほは脳裏で湯江が薙刀でバッタバッタとチンピラを薙ぎ倒す様子を想像し、冷や汗を掻く。

 

「あ、そうだ、お兄様、西住さん。コレ、よろしければ受け取ってもらえませんか?」

 

するとそこで、湯江は買い物袋の中から、何やらチケットの様な物を取り出した。

 

「? それは?」

 

「本土の大洗水族館のペアチケットです。商店街で福引をやっていて、その景品だったのを当てたんです。でも私、以前小学校の行事で1度行った事がありますから………」

 

弘樹が尋ねると、湯江はそう答える。

 

「大洗水族館のペアチケット………」

 

「もし御2人が要らないのであれば、ご友人の方にでも差し上げて下さい」

 

みほが何かを考えながら呟いていると、更にそう言う湯江。

 

「分かった。明日、学校で聞いてみよう」

 

とそこで、弘樹が湯江からチケットを受け取ってそう言う。

 

「あ………」

 

「? 如何かしたか?」

 

「う、ううん! 何でも無いよ!」

 

思わず声を挙げてしまったみほは、慌てて誤魔化す様にそう言うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させていただきました。

新戦車隊と歩兵分隊を結成し、次なる試合………
『地走学園』との3回戦に向け、訓練を続ける大洗。

しかし、そんな中………
みほは総隊長の重圧による疲れを見せていた。
このままではいけないと思った沙織達は、何と弘樹とみほをデートさせる作戦を立案する。
果たして、上手く行くのだろうか?

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

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