ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース   作:宇宙刑事ブルーノア

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第52話『ウォーター・ウォーです(後編)!』

『ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース』

 

第52話『ウォーター・ウォーです(後編)!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鉱関機甲部隊を破ったパシフィック機甲部隊との試合会場は、南の島となった。

 

それを聞いた大洗戦車チームの一同は、折角だからビーチで泳ごうと言う計画を立てる。

 

しかし、みほが水着を持っていないと言う。

 

そこで、大洗戦車チームの一同は、全員で水着を買いに、アウトレットモールへと向かった。

 

空によって無理矢理荷物持ちにされ、歩兵部隊の面々も巻き込まれた中………

 

アウトレットモールに在った水着専門店の品揃えの前に………

 

徐々に大洗機甲部隊の一同は、混沌(カオス)と化して行ったのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大洗町・アウトレットモールの水着専門店………

 

「赤ふん! 赤ふん! 歴史は赤ふん! やはり、六文銭の赤ふんで!」

 

胸に晒を巻き、六文銭の印が入った赤い褌を締めている左衛門佐が、右足を椅子に掛けながらそう言い放つ。

 

「いやいや、ここはアフリカ軍団仕様のヤシの木柄で」

 

続いて、Vネックラインで黄色の生地に白いヤシの木のマークが入った水着を着ているエルヴィンが、ビーチチェアに横になっている状態でそう言う。

 

「ローマ軍団は甲冑! そして赤マント!」

 

更に続いて、水着アーマーなる、水着に鎧を装着し、いつもの赤マフラーを巻いているカエサルがそう言う。

 

「海援隊の紅白模様で………」

 

おりょうも、小さな椅子に座り、紅白の縞模様の水着姿でそう言って来る。

 

「真田紐も捨て難い………」

 

と、今度は真田紐で身体を隠すと言う、特殊なプレイでもしているかの様な恰好となった左衛門がそう声を挙げる。

 

「ここはドイツが開発した水に溶ける水着を」

 

するとエルヴィンが、まるでイケナイビデオにでも出て来そうな特性を持つ水着姿となってそう言う。

 

「この家紋入り、腹掛け風水着ぜよ」

 

「「「それだぁっ!!」」」

 

そこでおりょうが、言葉通りに家紋が入った腹掛け風の水着をアピールしながらそう言うと、他の3人はそれに同意する。

 

「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」

 

彼女達、カバさんチームの荷物持ち担当である磐渡を始めとしたワニさん分隊の面々は、最初こそ何名かが女子の水着姿が見られると燥いでいたが、今ですっかりカバさんチームの面々から距離を取り、他人のふりをしている。

 

「最近の日本の女子の趣味は理解し難いな………」

 

「あの子達が特殊なだけだと思うよ」

 

ゾルダートが間違ったカルチャーショックを受けていると、付き添っていたみゆきがそう言う。

 

「んな水着は月刊戦車道のグラビア撮影で着ろ~っ!!」

 

と、その光景を目撃した空も、カバさんチームの面々にそうツッコミを入れる。

 

「な、何か凄い事になってる………」

 

同じく、その光景を目撃していたみほも、そう呟くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、別の場所でも………

 

「ふっ! ふっ!」

 

「うふふ」

 

「ふふふん」

 

「へへへ」

 

大き目なビーチバレー用のバレーボールを胸に抱える様に持っている忍、水着の上にビーチバレー用のネットを絡ませているあけび、水着姿でバレーボール様のボールカゴに入っている妙子。

 

そして、バレーボールのマスコットキャラクターの着ぐるみを来て、顔だけを出している典子が、満足げな表情で笑い合っている。

 

「ねえねえ、武志。如何かな? この水着?」

 

着ぐるみ姿で武志にそう尋ねる典子。

 

しかし、その姿は最早『それは水着なのか?』と言う疑問さえ生じさせる。

 

「あ、ああ………典子ちゃんらしくて、良いんじゃないかな?」

 

武志は額にギャグ汗を掻きながら、苦笑いしつつそう答える。

 

「そ、そう? 良かった………武志にそう言って貰えて………」

 

すると典子は照れた様子を見せてそう呟く。

 

良い雰囲気なのだが、典子の恰好で全て台無しになっている。

 

「忍、? お前、何やっとんや?」

 

とそこで、所用で離れていた大河が戻って来て、バレーボールを胸に当てている忍を見てそう言う。

 

「あっ!? た、大河!? コレはその………」

 

しどろもどろになって口籠る忍。

 

「………はは~ん」

 

すると大河は、一瞬あけびと妙子の方を見た後、再び忍の方を見て何やら合点が行った様な表情となる。

 

「な、何よ………」

 

「さてはお前さん………それを胸に………」

 

「!?!?」

 

その台詞を聞いた瞬間!

 

忍は、持っていたバレーボールを、思いっきりアタックして、大河の顔面に叩き込んだ!

 

「ブッ!? 何すんねんっ!!」

 

「馬鹿! デリカシーゼロ! 筋肉! 時代遅れっ!!」

 

いきなり何をすると言う大河に向かって、忍は顔を真っ赤にして悪口を並べ立てる!

 

「何やとぉっ! お前に言われんでも、ワシが馬鹿な事は皆承知の事やぁっ!!」

 

微妙にズレた怒り方をしながら、大河は忍と口論に発展する。

 

しかし、その光景は痴話喧嘩の様にも見える。

 

「な、何か良く分からない事になってる………」

 

またもその光景を目撃したみほが、そんな事を呟くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

更に、別の一角では………

 

「えへへ」

 

骨が見えている人の足を吼えているサメ型の浮き輪を持っている水着姿のあや。

 

「う~ん」

 

同じく水着姿で、ガスマスクの様なゴーグルを装着している優季。

 

「バタバタバタバタ」

 

その傍で床にうつ伏せに寝転び、チェーンソーを模したビート板を握っている水着姿の桂利奈。

 

「…………」

 

更にその傍では、水着姿の紗希が、頭にイカの被り物を被っている。

 

「うふふ」

 

そして、あやの傍で、機雷を模したビーチボールを構えている水着姿のあゆみ。

 

「え~と………」

 

そんなメンバー達を見て、只茫然とするばかりの梓であった。

 

「何か怖い事になってる」

 

またまたその光景を見たみほは、そんな言葉を呟く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、また別の一角でも………

 

「ねえねえ! 次のライブは水着で歌うってのは如何かな!?」

 

セーラーワンピース水着なるモノを手にした聖子が、メンバー達に向かってそう言い放つ。

 

「なっ!? み、水着で歌って踊るなんて、そんな破廉恥なっ!!」

 

生真面目な優が真っ先に反対意見を挙げる。

 

「わ、私もちょっと恥ずかしいです………」

 

引っ込み思案な気が有る静香も、顔を赤くしながらそう言う。

 

「ええ~~、私は面白いと思うけどな~?」

 

意外とノリが良い伊代は賛成の意見を示す。

 

「私も別に良いよ~、水着ぐらい」

 

「た、確かに………新しい事には挑戦して行かないと」

 

満里奈と明菜も賛成する。

 

「唯ちゃんは如何思う?」

 

「えっ!? い、いや、アタシは別に………まだデビューも出来てないし………」

 

聖子にそう問われ、後半若干落ち込みながらそう答える唯。

 

そう………

 

実は彼女………

 

サンショウウオさんチームには入ったが、まだスクールアイドルとしてはデビューしていないのである。

 

理由は、彼女の実力に有る………

 

何せ笑顔を作るのが苦手で、ステップの動きも全然ダメ。

 

その上、歌唱力はどこぞのガキ大将のリサイタルの様に、ガラスを割り、猫や犬すらも悶えて倒れる程の音痴だったのである。

 

コレではデビューどころの話ではない。

 

戦車の操縦テクニックは1流な彼女だったが、それとは真逆に、スクールアイドルとしての才能は皆無に近かった。

 

「大丈夫だよ! 次のライブまでには必ずデビュー出来る様に成ってるって!!」

 

しかし、聖子は根拠の無い自信を持ってそう言い放つ。

 

「また根拠の無い自信を………」

 

「でも、聖子ちゃんが言うとそうなりそうな気がするよね」

 

優が呆れ、伊代が笑いながらそう言う。

 

「よ~し! そうと決まれば次のライブの為の水着衣装を探さなくっちゃあっ!!」

 

「って、水着でライブやるのは決定事項なの!?」

 

既に水着でライブを行う積りの聖子に、優はそうツッコミを入れるのだった。

 

「コッチは何か大変な事になってる」

 

その光景を目撃したみほは、そんな事を呟く。

 

「ねえねえねえねえ! コッチとコッチ! どっちが可愛いかな?」

 

とそこで、沙織がみほに、両手に持った2つの水着を見せながらそう尋ねる。

 

「それより、コレとコレのどちらが似合うでしょうか?」

 

すると華も、同じ様に尋ねて来る。

 

「SEALs仕様と英国SBSとフランス海軍コマンドとスペツナズ! どれが良いでしょう!?」

 

「金と銀、どっちが良い?」

 

更に、優花里と麻子もそう尋ねて来る。

 

「え、ええと………」

 

「「「「ねえ、ど~れ?」」」」

 

「あうわ~」

 

一斉に尋ねられて、みほが困惑していると、沙織達が催促する様にそう言って来て、みほは軽く混乱してしまうのだった。

 

「どいつもこいつも弛んでる! 恥を知れ! 恥をっ!!」

 

「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

 

とそこで、桃の怒声が聞こえて来て、一同はその声が聞こえて来た方向を見やる。

 

「桃ちゃん、説得力無さ過ぎ」

 

しかし、以前も披露した水着姿の柚子の言葉通り、現在桃は水着姿で浮き輪をしている為、説得力は皆無であった。

 

「そうそう、こんな時ぐらい楽しまないとね」

 

「杏は何時も楽しんでる様に見えるけど………」

 

水着姿でビーチチェアに腰掛けて何時も通り干し芋を齧っていた杏がそう言うと、水着姿の蛍がそうツッコミを入れる。

 

「河嶋さんの説得力が皆無なのは置いといて、確かに貴方達浮かれ過ぎよ! 私達は飽く迄授業の一環として行くのよ! 大洗女子学園の恥を晒す様な事はしないで!!」

 

すると今度は、生真面目な上に石頭なみどり子も、戦車チームに向かってそう言う。

 

「園ちゃ~ん、後ろ後ろ」

 

「えっ?」

 

そんなみどり子に空がそう言い、その言葉に釣られる様にみどり子が後ろを向くと………

 

「コレなんて如何かな?」

 

「ちょっと地味じゃないかな? もう少し派手でも良いと思うよ」

 

水着選びに夢中になっているモヨ子と希美の姿が在った。

 

「! 貴方達~っ!!」

 

「ふわっ!?」

 

「そ、そど子………」

 

「何たる様なの! 校則を守る使命を帯びた風紀委員がそんなキャピキャピと!!………」

 

怒声を挙げて、2人に向かって説教を始めるみどり子だったが………

 

「そんな事より、ホラホラ! 園ちゃんの水着も選んであげるわよ」

 

その瞬間に空がみどり子の腕を掴み、試着室の方へと強引に連れて行く。

 

「えっ!? ちょっ!? わ、私は学校指定の水着で………」

 

「何冷泉ちゃんと同じ様な事を言ってるの! 盗撮魔の話。聞いてなかった!? 年頃の女の子がそんなんじゃ駄目よ!」

 

「!? が~んっ!? れ、冷泉さんと………同じ考えで居たなんて………」

 

「失礼な奴だな………」

 

麻子と同じ事を考えていたと言われてショックを受けるみどり子と、そんなみどり子にツッコミを入れる麻子。

 

「みゆき! キリノ! ミカ! 手伝ってっ!」

 

「あ、うん」

 

「あいよ~」

 

「了解しました」

 

そのままみどり子は、空が呼び寄せたみゆき、キリノ、ミカに囲まれ、着せ替え人形状態にされてしまうのだった。

 

「皆~! 楽しんでる~!?」

 

「「「「「「「「「「おお~~~~~~っ!!」」」」」」」」」」

 

とそこで、杏が戦車チームの皆に向かってそう呼び掛けると、一同はノリの良い返事を返す。

 

「もう一丁~っ!!」

 

「「「「「「「「「「おお~~~~~~っ!!」」」」」」」」」」

 

「もう一丁~っ!!」

 

「「「「「「「「「「おお~~~~~~っ!!」」」」」」」」」」

 

「………凄い騒ぎだな」

 

と、今まで成り行きを見守っていた弘樹が、ノリノリな戦車チームの面々を見てそんな言葉を呟く。

 

「でも、ちょっと楽しいかも」

 

「………そうか」

 

そこでみほがそう言うと、弘樹は学帽を被り直す。

 

「さ~て! 時間も良い頃だし、皆でお昼にしましょう! 今日は私が奢るわっ!!」

 

その次の瞬間、ぐったりとしているみどり子をみゆき達に預けた空が、大洗機甲部隊の面々に向かってそう言い放つ。

 

「「「「「「「「「「やった~~~~~っ!!」」」」」」」」」」

 

「「「「「「「「「「うおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ~~~~~~~~~~っ!!」」」」」」」」」」

 

その言葉に戦車チームは元より、荷物持ちにされてテンションが低かった歩兵部隊の面々も歓声を挙げる。

 

「よ~し! 行くわよっ!!」

 

「「「「「「「「「「おおおおお~~~~~~っ!!」」」」」」」」」」

 

そして空に導かれる様に、一同はフードコートの方へと移動を始めるのだった。

 

「小官達も行くか」

 

「あ、うん」

 

その一団に少し遅れて、弘樹とみほも移動を始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アウトレットのフードコートへと向かう大洗機甲部隊の面々………

 

と、その途中………

 

「やっぱり湯江にはコッチの方が似合うって」

 

「いや、コッチの方が良いんじゃないかな?」

 

「あの、その………」

 

通り掛かったキッズ水着コーナーから、そんな声が聞こえて来る。

 

「ん?」

 

「この声は………」

 

その声に聞き覚えを感じ、キッズ水着コーナーへと目をやる弘樹とみほ。

 

「絶対コッチだって」

 

「コッチの方が良いよ」

 

「あの、2人共………」

 

そこに居たのは、遥、レナ、湯江の仲良し3人組だった。

 

「あ! レナ!」

 

「遥? 何や、お前来とったんか?」

 

「湯江、如何して此処に居る」

 

清十郎、大河、弘樹の3人が、其々妹達に声を掛ける。

 

「あ、お兄ちゃん」

 

「兄貴」

 

「お兄様。実は、私達………」

 

「ああ、アタシが呼んだんだよ」

 

レナ、遥、湯江が弘樹達の姿を認めると、杏が弘樹達に向かってそう言う。

 

「角谷会長が?」

 

「折角の南の島なんだからさぁ、やっぱり大人数で行った方が楽しいじゃん」

 

あっけらかんとそう言い放つ杏。

 

「ねえねえ舩坂さん。湯江ちゃんにはこの水着が似合うよね?」

 

そこで遥が、フリルが沢山着いた水着を弘樹に見せながらそう尋ねる。

 

「いや、コッチの方が良いと思うんですけど」

 

すると今度はレナが、子供用ビキニを見せながらそう言う。

 

「あ、あの、2人共………」

 

「どっちも却下だ」

 

と、湯江がそんな2人に何か言おうとしたところ、それを遮る様に弘樹がそう言い放つ。

 

「ええ~~っ!?」

 

「如何してですか?」

 

「そんな人目を引く様な水着を着て行って、変な連中に目を着けられたら如何する?」

 

何故だと言う2人に、弘樹はそう説明する。

 

「そんな~! 心配し過ぎだよ~!」

 

「そうですよ。今時これぐらいは普通ですよ」

 

「駄目なものは駄目だ」

 

説得を試みる2人だが、弘樹は頑として受け入れそうにない。

 

「あちゃ~、弘樹の奴。頑固が悪い方向に働いてるぜ」

 

「ちょっと私行って来る」

 

その光景を見た地市がそう呟き、沙織が説得しに行こうとする。

 

「いや、待ちたまえ。ココは我等が総隊長殿にお任せしようではないか」

 

しかし、迫信がそう言って沙織を止めた。

 

「舩坂くん。それは流石に酷いんじゃないかな?」

 

その言葉を裏付けるかの様に、みほが弘樹へそう言い放つ。

 

「西住くん? いや、しかし………」

 

「湯江ちゃんだってもう子供じゃないんだよ。オシャレだってしたいだろうし、もっと湯江ちゃんの気持ちを考えてあげないと」

 

「それは………」

 

みほにそう言われ、弘樹は言葉に詰まる。

 

「あの、西住さん。でしたら、私の水着………西住さんが選んでくれませんか?」

 

するとそこで、他ならぬ湯江がそんな事を言って来た。

 

「えっ? 私が?」

 

「ハイ、それならお兄様も納得すると思いますので」

 

「「…………」」

 

湯江がそう言って弘樹を見ると、遥とレナも弘樹を見やる。

 

「………西住くん。お願い出来るか?」

 

それを受けて、やがて弘樹は折れたかの様にみほにそう言う。

 

「あ、うん………じゃあ湯江ちゃん。ちょっと来てもらって良いかな?」

 

「ハイ」

 

みほは弘樹に返事を返すと、湯江達を連れてキッズ水着コーナーの奥の方へと向かうのだった。

 

「…………」

 

残された弘樹は、所在無げに学帽を深く被り直す。

 

「流石西住総隊長ですね」

 

「みほさん、凄いです」

 

そんな様子を見ていた飛彗と華が、そう感想を呟く。

 

その後、みほは湯江に桜色のワンピース水着を選び、弘樹もそれに納得。

 

湯江達も含めて改めて昼食へと向かったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして時は流れ、夕方………

 

「楽しかったね~」

 

「あんなに色々水着ってあるんですね」

 

「偶には、戦車以外も良いですね~」

 

「学校指定ので良いのに………」

 

「まったまた~。結構際どいの買ってたじゃない」

 

各自解散となり、あんこうチームととらさん分隊のメンバー+湯江が帰路に着いている中、沙織、華、優花里、麻子が今日の事を振り返ってそんな会話を交わしている。

 

「! ああっ!?」

 

「? 如何した、西住くん?」

 

「西住さん?」

 

とそこで、みほが何かを思い出した様に声を挙げ、近くに居た弘樹と湯江がそう尋ねる。

 

「「「「「「「「「「??」」」」」」」」」」

 

他の面子もみほの方を振り返る。

 

「………私、買うの忘れた」

 

何と!!

 

肝心要のみほの水着を買うのを忘れてしまっていた。

 

「あ~、うっかりしてました」

 

「オイオイ! 西住ちゃんの水着が見れないんじゃ、何の為に海行くんだよっ!!」

 

「試合の為でしょうが………」

 

飛彗が思い出した様にそう言い、了平が叫ぶ様にそう言うと、楓がツッコミを入れる。

 

「御心配には及びません、西住殿! そうだと思って、西住殿の分も買って置きましたぁ!!」

 

するとそこで、優花里が自分の紙袋の中からみほの為に買った水着を取り出した。

 

「何時の間に………」

 

「でも、サイズは?」

 

呆れる様に突っ込む白狼と、サイズの心配をする沙織。

 

「見ただけで分かりますから」

 

「えっ?」

 

優花里の言葉に、みほが困惑していると………

 

「バスト82!」

 

「!? ふあっ!?」

 

「ウエスト56!」

 

「ちょっ!?」

 

「ヒップ84!」

 

「いやぁっ!!」

 

そのまま優花里はみほの3サイズを暴露し、みほは恥かしさに悶える様に座り込む。

 

「ヒッヒッヒッヒッ」

 

「ええ~っ!」

 

「凄いです」

 

「身体測定だな………」

 

得意げに笑う優花里に、沙織、華、麻子がそう言い放つ。

 

「YES! ナイスバデェ!………!? ぐえっ!?」

 

「すみません。余りに見苦しかったもので………」

 

「「寧ろ良くやってくれた(ました)!」」

 

それを聞いていた了平が興奮していると、その姿が余りにも見苦しかった飛彗が思わず絞め技を掛け、地市と楓がサムズアップする。

 

「………聞いちゃった?」

 

とそこで、みほはしゃがみ込んだまま傍に居た弘樹にそう尋ねる。

 

「申し訳無いが………」

 

弘樹は小声でそう答え、気恥ずかしげに学帽を目深に被り直して目を隠す。

 

「!!~~~~~~っ!!」

 

途端にみほの顔が茹蛸の様に真っ赤になる。

 

「さあ、西住殿。どう………」

 

「優花里さんの馬鹿~~~~~っ!!」

 

それに気づかぬ優花里が、みほに水着を渡そうとしたところ、みほはそう叫んでその場から走り去って行った。

 

「に、西住殿!?」

 

「みぽりん!?」

 

「みほさん!?」

 

「まあ、逃げたくもなるな………」

 

優花里、沙織、華が驚きの声を挙げ、麻子が1人冷静にツッコミを入れる。

 

「お兄様………その、私何と言えば良いか………」

 

「…………」

 

湯江が困惑する中、弘樹は只立ち尽くす。

 

と、そんな弘樹が腰に下げていた刀に手を掛ける者が居た。

 

優花里である。

 

「!? 秋山くん!?」

 

「西住殿~っ!! 私死んでお詫びします~っ!!」

 

弘樹が驚くと、優花里が弘樹から奪った刀を両手で逆手に持ち、自らの腹を突こうとする。

 

「落ち着けっ!!」

 

「いけません!!」

 

「ゆかりん! 駄目ぇっ!!」

 

「冷静に! 冷静に!!」

 

「西住殿の事を思っての厚意が逆に西住殿を傷つけてしまうなんて! この秋山 優花里一生の不覚! 帝国軍人の情けで死なせて下さい~っ!!」

 

「いつから帝国軍人になったんだ!!」

 

自殺を図る優花里を必死に止める弘樹達。

 

結局その後………

 

優花里を止めるのに30分………

 

恥かしさに部屋に引き籠ったみほを説得するのに1時間を要したのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させていただきました。

ウォーター・ウォーの続きで、前回よりカオス度が増しています(笑)
ドタバタながらも如何にか水着を調達したメンバー。
次回は試合前の南の島でのバカンスの様子をお送りしたいと思います。

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

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