ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース   作:宇宙刑事ブルーノア

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第57話『潜入作戦パート2です(後編)!』

『ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース』

 

第57話『潜入作戦パート2です(後編)!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

みほに優花里………

 

そしてウサギさんチームとハムスターさん分隊の面々は、パシフィック機甲部隊の情報を入手する為に………

 

彼等の学園艦へ潜入を試みた。

 

しかし、学園艦へはアッサリと入れたものの………

 

甲板都市に広がるリゾートを目にした瞬間………

 

ウサギさんチームとハムスターさん分隊の面々の大半が、任務を忘れて遊び呆けてしまう………

 

仕方なく、残っていたみほと優花里がパシフィック女子校。

 

竜真、ジェームズ、正義がパシフィック男子校へと潜入する。

 

だが、竜真達はアッサリと発見され、みほ達も戦車格納庫を覗く事には成功したものの、ブリーフィングに参加しようとして正体が割れてしまう。

 

逃げ惑うみほと優花里は、両校が共同で使っている巨大室内プールへと迷い込む。

 

そこで再びホージローと出会うみほと優花里。

 

捕まるとオドオドしていた2人に向かって、ホージローは自分達の勝ちは決まっていると言い放つのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パシフィック校・共同使用の巨大室内プール………

 

「! それは如何言う事ですかっ!?」

 

優花里がホージローの言葉に噛み付く。

 

「如何って、言葉通りの意味さ。スパイをしたって結果は見え見え………大洗の歩兵達は俺達の圧倒的な身長差の前には手も足も出ないだろうぜ」

 

ホージローはそう豪語する。

 

しかし悪意は感じられないので、如何やら思っている事を考え無しにすぐに口に出してしまうタイプの様だ。

 

「…………」

 

それでも、みほは結構なショックを受けた様で、黙り込んでしまう。

 

だが、そのみほ以上にショックを受けている者が居た………

 

「…………」

 

隠れて様子を見ていた紗希である。

 

「!!………」

 

遂には耐え切れなくなった様にその場から逃げ出そうとする。

 

「キャッ!?」

 

「!!」

 

その際に、プールへと入って来た人物とぶつかってしまい、尻餅を着く。

 

「アラ? 貴方は確か、大洗の?………」

 

入って来たのはローレライだった。

 

「!!」

 

そんなローレライの姿を見上げながら、自分との身長・体格差に愕然とする紗希。

 

「!!………」

 

紗希は全速力で逃げ出すかの様に走り出した。

 

「あっ! ちょっと!………行っちゃった。何だったんだろう?」

 

走り去って行った紗希の姿に、ローレライは怪訝な表情を浮かべる。

 

「そんな事はありませんっ!!」

 

「うん?」

 

そこでそう言う声が聞こえて来て、ローレライがプールの方を見やると、ホージローと言い合っている様子の優花里と、その傍に居るみほの姿を認める。

 

「貴方の言葉には何の根拠も有りません!」

 

「へえ………」

 

そう言い返して来た優花里を見て、ホージローは不敵な笑みを浮かべる。

 

「曲り形にも私達は、この全国大会を3回戦まで勝ち抜きました! それだけの実力は有ると自負しています! それに私達には西住殿と………舩坂殿が居ますっ!!」

 

「ゆ、優花里さん………」

 

毅然とした態度でそう言い放つ優花里に、みほはオドオドとする。

 

しかし………

 

「それこそ根拠の無い話だな………」

 

そう言う台詞が響いたかと思うと、ローレライと共に、竜真、ジェームズ、正義を片手で襟首を掴まえて捕らえているカジキが姿を見せた。

 

「!? 疾河くん!? モンローくん!? 桑原くん!?」

 

「す、すみません、総隊長………」

 

「捕まってしまいマシタ………」

 

「申し訳無いっす………」

 

驚きの声を挙げるみほに向かって、捕まったまま謝罪をする竜真、ジェームズ、正義。

 

「スパイも碌に出来ない奴が歩兵をやっているとはな………」

 

カジキはそう言うと、3人を突き飛ばす様に解放する。

 

「うう………」

 

そんな3人の姿に、優花里も言葉が詰まる。

 

「大体3回戦まで勝ち抜いたと言って、お前達が戦ったのはリッチなだけで十分な戦術もなってないサンダース。戦車道に誇りを持っても戦略が甘過ぎるアンツィオ。そして隠れながら攻撃するしか能の無い地走………皆勝って当然の相手だ」

 

カジキはそう豪語する様に言い放つ。

 

「!? そんな言い方っ!」

 

「止めなさい、カジキ。流石に他校の事まで馬鹿にするのはやり過ぎよ」

 

みほが思わず声を挙げ、ローレライも窘める様にそう言う。

 

「ふん………」

 

しかし、カジキは鼻を鳴らすだけだった。

 

「まっ、兎に角。試合になったら勝ちは貰うぜ………あ、そうだ! 確かアンタ達の戦車チームにM3リーを使ってる連中が居たな」

 

とそこでホージローが思い出したかの様にそう言う。

 

「! ウサギさんチームの事ですか」

 

「アイツ等は駄目だな………出場チームから外した方が良いぜ」

 

優花里が反射的にそう答えると、ホージローはそんな事を言って来た。

 

「!?」

 

「グロリアーナ&ブリティッシュ機甲部隊との練習試合をネットの動画で見たけどよ………アイツ等、戦車放り出して逃げ出したろ?」

 

みほが再び驚愕の表情を浮かべると、ホージローはそう言葉を続ける。

 

「逃げ出す様な連中をチームに入れてても足手纏いなだけだぜ。別に外さなくても良いけど、そん時は真っ先に潰させてもらうぜ。歩兵の連中も頼りないチビな奴ばっかりみたいだしな」

 

「「…………」」

 

ホージローの言葉に、みほと優花里は何も反論出来ない。

 

だが………

 

「そんな事ありませんっ!!」

 

「「!?」」

 

当のハムスターさん分隊の隊員である竜真が、ホージローに向かってそう言い返した!

 

「歩兵道で付けられたケチは歩兵道で返す………それが歩兵の流儀でしたね」

 

竜真はホージローに向かってそう言葉を続ける。

 

「「…………」」

 

ジェームズと正義も、ホージローの事を見据えている。

 

「試合当日に勝って証明しますよ………チビでも最強になれるって!!」

 

と、竜真はそう言い放った瞬間、ジェームズ、正義と共にみほと優花里の手を取り、物凄いスピードで室内プールを後にした!

 

「おお、速いじゃん」

 

「面白くなりそうね………」

 

「…………」

 

その姿を見送ったホージローとローレライがそう言うが、カジキは不機嫌な表情を浮かべる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後………

 

みほと優花里、竜真、ジェームズ、正義は、甲板都市に居たウサギさんチームとハムスターさん分隊の面々と合流。

 

大洗女子学園へと撤収した。

 

その帰路にて、みほ達と竜真達は、カジキ達の言葉をウサギさんチームとハムスターさん分隊の面々へと告げる。

 

流石のウサギさんチームとハムスターさん分隊の面々も、コレには頭に来たらしく、全員一致団結して、パシフィック機甲部隊の打倒を誓い合った。

 

そして、その日の内に、大洗機甲部隊は入手出来た僅かな情報を元に、対パシフィック機甲部隊に向けた訓練を開始。

 

気合の入ったウサギさんチームとハムスターさん分隊の面々に、他のメンバーも触発され、訓練は日が暮れた後も行われた。

 

日付が変わろうとしていた頃に漸く訓練は終了し、大洗機甲部隊のメンバーは其々に自宅や寮へと戻る。

 

しかし、程無くして、思わぬ事態が発生する。

 

何と!

 

ウサギさんチームの丸山 紗希が姿を消したのである!!

 

寮が同じだった梓達からの報告で、大洗機甲部隊のメンバーは大洗女子学園の戦車格納庫へと再集結する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大洗女子学園・戦車格納庫………

 

「丸山くんが居なくなったと言うのは本当か?」

 

全員が集まったのを確認すると、弘樹が梓にそう尋ねる。

 

「ハイ………明日の訓練の事で伝え忘れた事があって、部屋に行ったら見当たらなくて………他の皆の所にも居ないって」

 

「紗希ちゃん、何処行ったんだろう?」

 

「何かパシフィックの学園艦から帰ってから様子がおかしかったよねぇ?」

 

梓がそう答えていると、あやと優季もそう口を挟んで来る。

 

「まさか、パシフィックとの試合に怖気づいて逃げ出したのか?」

 

「紗希ちゃんは逃げたりなんかしないよぉっ!!」

 

そんな事を口走る白狼に、桂利奈が反論する。

 

「しかし、練習試合じゃお前等全員逃げ出したじゃないか」

 

「そ、それは………」

 

そう言われてあゆみが気まずそうな表情を見せ、他のウサギさんチームのメンバーも俯く。

 

「止めろ、神狩。今はそんな事を言っている時ではない。丸山くんを探す事が先決だ」

 

しかしそこで弘樹がそう言って、白狼を諌める。

 

「警察に連絡した方が良いんじゃないですか?」

 

「そりゃあマズイぜ。大会中のこの時期に警察沙汰になんてなったら、下手をすりゃ出場停止だ」

 

華がそう意見を挙げるが、俊がそう言い返す。

 

「それだけは絶対に駄目だ! 何としても丸山を見つけ出せ! 首に縄を付けてでも引っ張って来いっ!!」

 

出場停止と言う言葉に反応した様に、桃がそう大声を挙げる。

 

と、その首に縄が掛けられたかと思うと、思いっきり引っ張られる。

 

「!? ぐえええっ!?」

 

「こんな風にか?………」

 

その縄を掛けた人物、熾龍がそう桃へと言い放つ。

 

「ば、馬鹿者ぉっ! 私ではない!………ぐええっ!?」

 

「スマンが良く聞こえなかった………もう1度言ってもらえるか?」

 

縄で桃の首を締め上げながらそう言う熾龍。

 

「何だか段々と栗林先輩の河嶋さんへの扱いが酷くなってる様な………」

 

「すみません、桃ちゃんが………」

 

逞巳がそんな光景を見て冷や汗を掻き、柚子は何故か謝罪をする。

 

「兎に角、手分けして捜索を開始しよう。時間も時間だ。必ず2人以上で行動してくれたまえ。特に女子は必ず数人でか、男子と一緒に行動する様に」

 

捜索を開始しようと指示する迫信は、時間が深夜の為、安全の為に複数人で行動する様にと注意する。

 

「良し! 捜索開始だっ!!」

 

「「「「「「「「「「了解っ!!」」」」」」」」」」

 

そこで続ける様に弘樹がそう言い放つと、大洗機甲部隊の面々は、数名でのチームを作って、紗希の捜索を開始するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小一時間後………

 

大洗機甲部隊のメンバーは甲板都市の彼方此方に散らばり、紗希が行きそうな場所を中心に捜索を続けている。

 

しかし、一向に紗希は見つからず、手掛かりすらも掴めなかった………

 

そうこうしている内に天候が変わり、雨が降り始める。

 

コレ以上捜索を続けると隊員達の体調に良くないと判断した迫信とみほは、遺憾ながらも捜索を一旦打ち切る事を決断した。

 

 

 

 

 

捜索チーム・竜真&ジェームズ………

 

「ハイ、分かりました………では、また明日、戦車格納庫に集合ですね。了解しました」

 

そう言って携帯を切る竜真。

 

「捜索中止デスか?」

 

「うん、雨が降り出して来てるし………コレ以上は無理だって、総隊長達が」

 

ジェームズがそう尋ねて来ると、竜真は携帯をポケットに仕舞いながらそう返す。

 

「そうデスか………仕方ありませんネ………」

 

と、ジェームズがそう言った瞬間、雨足が強くなり始める。

 

「うわぁっ!? 急に雨足が!!………」

 

「Oh! イッツゲリラ豪雨ッ!!」

 

一瞬でビショビショになった2人が悲鳴の様な声を挙げる。

 

すると………

 

そんな2人の傍に、高級そうなリムジンが停まる。

 

「!?」

 

「アッ!?………」

 

驚く竜真とは対照的に、ジェームズは何かを知っている様な顔になる。

 

とそこで、リムジンの運転席の窓が開いたかと思うと………

 

「坊ちゃま。御迎えに上がりました」

 

執事服に身を包んで髭を蓄えた、如何にもロマンスグレーと言う雰囲気が漂う執事らしき老年の男性が、ジェームズを見ながらそう言って来た。

 

「えっ? 坊ちゃま? ジェームズ、この人は?」

 

老執事が言った坊ちゃまと言う単語に驚きながら、ジェームズにそう尋ねる竜真。

 

「え、ええと、この人は、ソノ………」

 

ジェームズは露骨に動揺した様子を見せながら、しどろもどろと言い訳をしようとする。

 

「さあさあ! びしょ濡れじゃないですか! 早く家へ戻りましょう! お友達もどうぞです~!」

 

しかしそこで、リムジンの助手席からそう言う台詞と共に、メイド服に身を包み、サングラスを掛けた女性が現れ、ジェームズと竜真を半ば無理矢理後部座席へと押し込む。

 

「うわっ!?」

 

「チョッ!? 『レイチェル』さん!」

 

ジェームズがレイチェルと呼んだ女性に、有無を言わせず乗せられ、リムジンはそのまま発進するのだった。

 

 

 

 

 

リムジン内………

 

「自己紹介が遅れました。私、ジェームズ坊ちゃまの執事をしております、『セバスチャン・セコムズ』と申します」

 

「同じく、メイドの『レイチェル・サンダーソン』です~」

 

車中にて、老執事………『セバスチャン・セコムズ』とメイド………『レイチェル・サンダーソン』が、竜真にそう自己紹介をする。

 

「は、はあ………ジェームズ。君って実は良い所の御曹司さんとかなのかい?」

 

竜真は戸惑いながら、隣に座るジェームズにそう尋ねる。

 

「あ、イエ、その………」

 

「御曹司も何も、ジェームズ様は現合衆国大統領の御子息様です~」

 

ジェームズが答えあぐねていると、代わる様にレイチェルがそう言い放つ。

 

「だ、大統領の御子息!?」

 

「レイチェルさんっ!!」

 

竜真は驚きの声を挙げ、ジェームズはレイチェルに向かって叫ぶ。

 

「坊ちゃま………いつまでも隠せるものではありませんです~」

 

しかし、レイチェルは語尾こそ特徴的なものの、真剣な様子でそう返す。

 

「! そ、ソレは………」

 

そう言われてジェームズは黙り込む。

 

「ジェームズ………君、大統領の息子だったの?」

 

「………驚きましたカ?」

 

竜真にそう問われて、ジェームズは若干小声でそう聞き返す。

 

大統領の息子だが、彼にとってそれはコンプレックスであり、更に本国に居た頃、その事で同年代の子達から弄られ続けたのである。

 

その為、大洗男子校ではその身分を隠して生活していたのだ。

 

知られてしまえばまた弄られるかも知れないと思って………

 

「ハア~、そうなんだ………」

 

だが、竜真のリアクションは思っていたよりも薄かった。

 

「! エッ!? それだけですか!?」

 

余りに薄いリアクションに、ジェームズは思わずそう言う。

 

「いや、だってウチの学校、世界的なコーポレーションの御曹司だとか、時代錯誤の番長とか、第二次世界大戦の英雄の子孫とか、濃い人がいっぱいだからさ………今更、大統領の息子とかじゃ驚かないよ」

 

そんなジェームズに向かって、竜真はあっけらかんとそう言い放つ。

 

「…………」

 

竜真の言葉にジェームズは唖然となる。

 

「………悩んでたのがバカみたいデス」

 

やがてそう言うと、ガックリと項垂れたのだった。

 

「間も無く御屋敷ですよ~」

 

とそこで、レイチェルがそう告げ、リムジンの行く手に屋敷と呼ぶに相応しい家屋が見えて来る。

 

「むうっ?………」

 

するとそこで、セバスチャンが何かに気付いた様に声を挙げる。

 

「如何したの、セバスチャン」

 

「あのお方は………」

 

ジェームズが尋ねると、セバスチャンは屋敷の門の傍を見ながらそう呟く。

 

「?………!? アレはっ!?」

 

その方向にジェームズが視線をやった瞬間に見えたのは………

 

「…………」

 

降り頻る雨の中、傘も差さずにびしょ濡れとなって佇んでいる紗希の姿だった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させていただきました。

大洗など敵では無いと豪語するホージロー。
黙り込むみほに代わる様に反論する優花里だったが、竜真達を掴まえたカジキとローレライの出現でそれも無に終わる。
だが、竜真達はホージロー達を打倒する事を宣言する。

学園艦に戻った一同だったが、その夜に紗希が姿を消した。
発見されたのはジェームズ宅の前だった。
果たして、彼女の心境は如何に。

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

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