ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース   作:宇宙刑事ブルーノア

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第63話『軍艦島の戦いです!(後編)』

『ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース』

 

第63話『軍艦島の戦いです!(後編)』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大洗機甲部隊VSパシフィック機甲部隊の試合………

 

初手で遅れを取った大洗機甲部隊は、軍艦島へと強行上陸し、廃墟を利用しての地上戦に持ち込む。

 

大洗歩兵部隊が廃墟の内部を利用し、パシフィック歩兵部隊の持ち味である高身長を封じて、パシフィック戦車部隊と分断したところに、大洗戦車チームが仕掛ける。

 

戦いは歩兵VS歩兵、戦車VS戦車の状況へと持ち込まれる。

 

そんな中で………

 

竜真、ジェームズ、正義、光照が………

 

ホージローと対峙するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

軍艦島の廃墟内・窓が並ぶとある通路………

 

「うわぁっ!?」

 

通路の向こう側に居たパシフィック歩兵の頭を、弘樹の九九式短小銃から放たれた7.7mm弾が撃ち抜く。

 

頭を撃ち抜かれたパシフィック歩兵は、他の戦死判定を受けて倒れ伏しているパシフィック歩兵達の上に折り重なる様に倒れ、戦死と判定される。

 

「…………」

 

その様子を見ながら、九九式短小銃に新たな弾薬を込める弘樹。

 

(初手で損害を被り過ぎた………今回は戦車チームを援護する余裕が無い………敵の歩兵部隊と戦車部隊を分断し、敵フラッグ車の撃破は戦車チームに任せるしかない………)

 

弾薬を込めながら、弘樹はそう思考を巡らせる。

 

(情けないが………西住くん達を信じる他ない………だが、隙さえあれば………)

 

歯痒い思いを感じながら、装填を完了する。

 

………と、その瞬間!!

 

発砲音がしたかと思うと、弘樹が立っていた場所の傍に在った窓ガラスが割れ、弾丸が弘樹の目の前を掠めて壁を抉った!

 

「!!」

 

すぐに弾丸が飛んで来た方向を見やる弘樹。

 

「しまった! 外したっ!!」

 

「何やってるんだ、この馬鹿!」

 

その方向………向かいの廃墟の屋上には、M1903A4を構えていたシイラと、その隣でL-39を構えているツナの姿が在った。

 

「!!」

 

弘樹はそれを確認するや否や、その場から駆け出す!

 

「逃がすかっ!!」

 

「お前を生かしておくと厄介だからなっ!!」

 

そんな弘樹に向かって、次々と弾丸を放つツナとシイラ。

 

M1903A4の弾が窓ガラスを破り、L-39の弾はコンクリートの壁を貫通して弘樹へと襲い掛かる。

 

狙撃銃と対戦車ライフルの両方に狙われ、弘樹は隠れ場所が無い。

 

「! クウッ!………」

 

と、そこで通路の窓側の反対方向に部屋への入り口が有るのを発見し、転がり込む様にして飛び込む!

 

「………上手く行ったな」

 

「後はカジキ歩兵隊長に任せましょう………」

 

すると途端に、シイラとツナはそう言い合い、狙撃を中止したのだった。

 

 

 

 

 

一方、部屋の中へと飛び込んだ弘樹は、崩れた天井の瓦礫と放置されていた家財具を遮蔽物に隠れている。

 

(? 狙撃が止んだ?)

 

しかし、既にあれ程に撃って来ていた狙撃がピタリと止んでおり、弘樹は訝しげな様子を見せる。

 

とそこで、部屋の内部から物音がする。

 

「!………」

 

弘樹は注意しながら、ゆっくりと顔を上げて、物音がした方向を見やる。

 

「………成程。上手く誘い込まれたワケか」

 

「…………」

 

そして物音の正体………M1941ジョンソン小銃を握ったカジキの姿を確認し、弘樹はそう言い放つ。

 

「舩坂 弘樹………貴様だけは俺の手で倒す」

 

「いい加減にして欲しいものだな………」

 

殺気の様な闘志を燃やすカジキとは対照的に、弘樹はウンザリしている様な冷やかな様子を見せる。

 

「だが、お前に借りが有るのも事実だ………」

 

しかし、すぐに表情を引き締めると、握っていた九九式短小銃をカジキへと向ける。

 

「…………」

 

それに呼応するかの様に、カジキも弘樹へM1941ジョンソン小銃を向けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方………

 

パシフィック戦車部隊の水陸両用戦車を食い止めているカモさんチームとサンショウウオさんチーム、そして大洗砲兵部隊は………

 

「右! 2時の方向に砲撃!」

 

「りょ、了解!」

 

今日子の指示で、静香がその方向へ砲撃を行う。

 

放たれた砲弾がT-38に命中し、白旗を上げさせる。

 

その近くには、既に撃破されているT-40が1両と、特二式内火艇が2両、擱座している。

 

「クウッ! このぉっ!! 調子に乗るなぁっ!!」

 

と、生き残っていた特二式内火艇の1両が、ルノーB1bisに向かって37mm砲を放つ。

 

しかし、37mm砲の砲弾は、ルノーB1bisの正面装甲に弾かれ、明後日の方向へ飛んで行く。

 

「キャアッ!?」

 

「ゴモヨ! 慌てないで! ルノーの装甲には37mm弾は通用しないわっ!! 食らいなさいっ!!」

 

被弾の衝撃が車内に走り、モヨ子が悲鳴を挙げるが、みどり子は冷静なままそう言い、反撃とばかりに副砲の47mm砲を放つ。

 

放たれた砲弾は、砲撃して来た特二式内火艇に命中し、白旗を上げさせる。

 

「やった!」

 

「コレで残りは6両です」

 

その光景を見た大洗歩兵隊員が歓声を挙げると、誠也がオチキス 47mm対戦車砲の照準を修正しながらそう言う。

 

と、その時!!

 

風切り音が聞こえて来たかと思うと、ルノーB1bisとクロムウェルの傍に砲弾が着弾!

 

特二式内火艇の37mm砲弾では無い大きな爆発と振動が、ルノーB1bisとクロムウェルを揺さぶる!!

 

「「「「「キャアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!?」」」」」

 

「「うわああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!?」」

 

「な、何よ一体!?」

 

サンショウウオさんチームとモヨ子と希美の悲鳴が挙がる中、みどり子が状況を確認する。

 

「大丈夫!? 皆!!」

 

「騎兵隊の到着よっ!!」

 

するとそこで、パシフィック戦車部隊の傍に、遅れていた5両のLVT(A)-4が現れる。

 

「! LVT(A)-4!?」

 

「追い付いて来たの!?」

 

「マズイです! LVT(A)-4は75mm砲を装備しています!!」

 

クロムウェルの今日子、満里奈、明菜からそう声が挙がる。

 

「大洗! もうお前達の好き勝手も終わりだ!!」

 

と、LVT(A)-4の乗員の1人がそう声を挙げると、5両のLVT(A)-4は一斉に75mm砲での砲撃を開始する。

 

機関銃弾や37mm砲弾とは明らかに違う威力の砲撃の前に、カモさんチームとサンショウウオさんチーム、そして大洗砲兵部隊の瓦礫や地面が次々に爆ぜて行く。

 

「「「「「うわああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!?」」」」」

 

と、運悪く対戦車砲1門が直撃を食らい、砲は全損し、付いて居た砲兵隊員達が吹き飛ばされて、戦死判定を受けた。

 

「マズイな………」

 

「マズイどころじゃねえよ! 大ピンチだぜ!!」

 

明夫がそう呟くと、鷺澪がツッコミの様にそう言い放つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

丁度その頃………

 

パシフィック戦車部隊の主力メンバーと交戦を開始したあんこうチーム、カバさんチーム、そしてウサギさんチームは………

 

「撃てっ!」

 

「ハイッ!!」

 

みほの号令で、華がフラッグ車兼隊長車のM24軽戦車に砲撃を見舞う。

 

「車体を右25度に!!」

 

「ハイッ!!」

 

しかし、セイレーンがそう指示を出すと、M24軽戦車は車体を右へと傾ける。

 

Ⅳ号の砲弾はM24軽戦車の表面で火花を散らし、滑る様に外れた。

 

「くうっ! 弾かれましたっ!!」

 

「M24は避弾経始が優れているとは言え、あれほど的確に弾ける角度に車体を動かさせるなんて………流石はパシフィック戦車部隊の隊長車です」

 

照準器越しにその光景を見ていた華がそう声を挙げ、優花里が次弾を装填しながらそう言う。

 

「反撃よ! 撃てぇっ!!」

 

とそこで、セイレーンがそう号令を掛けると、彼女の乗るM24軽戦車が発砲する。

 

「! 全速後退しながら左の瓦礫の陰へ!」

 

「ん!」

 

それを見たみほがすかさず指示を出し、麻子が指示通りにⅣ号を動かす。

 

セイレーンが乗るM24軽戦車から放たれた砲弾は、Ⅳ号が隠れた瓦礫を吹き飛ばす。

 

「もうっ! 良く狙いなさいっ!!」

 

「す、すみません!」

 

砲手に叱咤を飛ばしながらも、砲撃を続けさせるセイレーン。

 

Ⅳ号は後退しながらジグザグに動いて砲撃をかわして行く。

 

「西住総隊長を援護するぞ!」

 

そこでⅢ突のエルヴィンがそう言い、Ⅲ突が車体をセイレーンが乗るM24軽戦車に向ける。

 

だがそこで、すぐ傍の地面が爆ぜる。

 

「お前の相手は私だ!」

 

そして、もう1両のM24軽戦車が、Ⅲ突に向かって突撃して来る。

 

「クッ! 先にアイツを片付けろっ!!」

 

「おうっ!!」

 

エルヴィンがそう声を挙げると、左衛門佐が突撃して来るM24軽戦車に発砲する。

 

しかし、放たれた砲弾はM24軽戦車の傍の地面を爆ぜさせただけだった。

 

M24軽戦車は速力を活かし、Ⅲ突の側面に回り込もうとする。

 

「側面を取られるな!」

 

「分かってるぜよ!」

 

次弾を装填しながらカエサルがそう言うと、おりょうがⅢ突を信地旋回させる。

 

「クウッ! 自走砲ならではの弱点だ!」

 

旋回式の砲塔を持たぬ自走砲では機動戦は不利であり、軍帽を被り直しながらエルヴィンが苦い表情でそう呟くのだった。

 

 

 

 

 

そして、ローレライとメロウの乗るM2中戦車に狙われたウサギさんチームは………

 

「撃てっ!!」

 

「おうっ!」

 

梓の号令で、あゆみが主砲の75mm砲を撃つ。

 

しかし、砲弾はM3リーに側面を向けて走行しているM2中戦車の上を飛び越して廃墟に命中する。

 

「あや! 修正下2度!!」

 

「OK!!」

 

梓は続けてあやに命じ、副砲の37mm砲を放つ。

 

「甘いっ!!」

 

しかし、ローレライがそう言ったかと思うと、側面を向けていたM2中戦車が一瞬で正面を向き、M3リーの37mm砲弾はすぐ横を掠める。

 

「撃てっ!!」

 

そしてローレライの号令で、M2中戦車が主砲の37mmを発砲。

 

砲弾はM3リーの正面装甲に命中したが、距離が遠かったので貫通判定は受けず、装甲が少しへこんだだけだった。

 

「キャアッ!」

 

「大丈夫! 装甲で弾いたから! 桂利奈ちゃん! ジグザグに後退!」

 

「あい~~~っ!!」

 

優季が悲鳴を挙げるが、梓がそう言うと、桂利奈がM3リーをジグザグ走行させながら後退させる。

 

「仕留められなかったあ………」

 

「コッチは37mm砲ですからね。決め手に欠けます」

 

その様子を見ていたローレライがそう呟くと、メロウが次弾を装填しながらそう言う。

 

「ま、それは向こうも一緒ね」

 

しかし、ローレライは続いてそう言い放つ。

 

M3リーの主砲である75mm砲は車体に固定されている為、機動戦には不向きである。

 

対して、旋回砲塔式である副砲はM2中戦車と同じ37mm砲。

 

ローレライの言う通り、勝負はお互いに決め手を欠けており、長期戦へと縺れ込んでいた。

 

恐らく最後に勝負を決めるのは、勝利への執念であろう………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

再び大洗歩兵部隊とパシフィック歩兵部隊の戦いが繰り広げられている廃墟内………

 

「オラオラオラァッ! 如何した如何したぁっ!!」

 

右手にチャールトン自動小銃、左手にコルトM1900を握ったホージローが次々に弾丸を放つ。

 

「うわっ!?」

 

「ひいっ!」

 

瓦礫に身を隠している光照、竜真、ジェームズ、正義の中で、光照とジェームズから悲鳴の様な声が漏れる。

 

「クソォーッ! バカスカ撃ってぇっ!!」

 

「コレでも喰らえっす!!」

 

と、竜真がそんな声を挙げた瞬間、一瞬弾幕が途切れた瞬間を狙い、正義が手榴弾を投擲した。

 

しかし………

 

「シュートッ!!」

 

何と!!

 

ホージローは飛んで来た手榴弾を、まるでサッカーボールの様に蹴り返す!

 

「なっ!?」

 

「ふ、伏せろぉっ!!」

 

「「!?」」

 

正義が驚きの声を挙げ、竜真がそう叫ぶと、光照とジェームズが頭を庇いながらその場に伏せる。

 

直後に手榴弾が空中で爆発!

 

天井の一部が崩れて、粉煙と爆煙で部屋が覆われる。

 

「如何したんだ、おチビちゃん達。仕掛けて来ないのか?」

 

その煙の中で、ホージローは挑発するかの様に声を挙げる。

 

「やっぱり身長差にビビって手が出せないってか?」

 

思っている事をすぐに口にするホージロー。

 

しかし、竜真達からは反応が返って来ない………

 

「何だぁ? 本当にビビって逃げ出した………」

 

のかとホージローが言おうとした瞬間!!

 

「うおおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!!」

 

突如爆煙の中から竜真が飛び出して来て、ホージローに体当たりを見舞った!

 

「うおっ!? この野郎っ!!」

 

「!!」

 

何とか堪えたホージローはチャールトン自動小銃を棍棒の様に振るうが、竜真は素早く離脱し、再び爆煙の中に紛れる。

 

「クソッ! 何処行ったっ!!」

 

爆煙の中へ、次々と弾丸を撃ち込むホージロー。

 

「ええいっ!!」

 

すると今度は、後ろから光照が腰に抱き付く様に飛び付いて来た!

 

「おわっ!? コイツゥッ!!」

 

すぐに振り解こうとしたホージローだったが………

 

「うわああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」

 

何と光照は、そのままホージローを持ち上げた!!

 

「な、何ぃっ!? 何処にそんな力が!?」

 

ホージローは自分よりも背の低い光照が自分の事を持ち上げた事が信じられない様子を見せる。

 

「でえええええええいっ!!」

 

光照はそんなホージローを思いっきり投げ飛ばす!!

 

「ゴハッ!?」

 

部屋内に在ったコンクリートの柱に叩き付けられ、ホージローは床に倒れる。

 

「イツツツツ………チキショー、やってくれたなぁ」

 

と、ホージローが後頭部を抑えながら起き上がると、爆煙が晴れて来て………

 

「貰いマシタ!」

 

すぐ傍に、ウィンチェスターM1897を構えたジェームズの姿が在った。

 

「!!」

 

(この距離でショットガン………外しませんヨ!)

 

驚く様なリアクションを見せるホージローを見ながら、ジェームズは引き金を引く。

 

だが!!

 

「舐めるなぁっ! ザッバーンッ!!」

 

ホージローは独特の掛け声を挙げたか思うと、しゃがみ込んでいた状態から一気に天井近くまで跳躍した!!

 

「!? WHAT!?」

 

命中するものと信じて疑わなかった散弾が外れ、ジェームズは動揺しながら、慌ててウィンチェスターM1897を上へと向けたが………

 

「おせぇっ!!」

 

ホージローがそう言い放ってジェームズに飛び掛かりながら右手を振るい、ウィンチェスターM1897を弾き飛ばした!!

 

「アッ!?」

 

「おらぁっ!!」

 

そのままジェームズを、左手で頭から叩き潰す様に押さえ付けるホージロー。

 

「アウチッ!?」

 

床に叩き付けられたジェームズが悲鳴を挙げる。

 

「よくもやってくれたなっ! 先ずはお前からだ!!」

 

ホージローはそう言うと、右手にコルトM1900を握って、左手で押さえつけているジェームズへ向ける。

 

「!?」

 

「ジェームズッ!」

 

「今助けるっすっ!!」

 

と、竜真が声を挙げると、正義が二式小銃に着剣して、ホージローに向かって突撃する。

 

「邪魔すんなっ!!」

 

しかし、ホージローはすぐにコルトM1900を正義へと向けたかと思うと、3発発砲する。

 

「!? うわあぁっ!!」

 

2発は避けたものの、最後の3発目を右足大腿部に食らってしまう正義。

 

右足大腿部に痛みが走って上手く動かなくなり、正義は床の上に転がる。

 

「! 正義くんっ! クソォッ!!」

 

それを見た物陰に居た光照が、十四年式拳銃を発砲する。

 

しかし、弾は全然当たらない。

 

「だから、当たらないっての。さあ、覚悟しろ」

 

ホージローはそう言い放ちながら、改めてコルトM1900を抑え付けているジェームズの向ける。

 

「クウッ!………」

 

最早これまでかと思ったジェームズだったが、その瞬間!!

 

「死なば諸共ーっ!!」

 

そんな叫びを挙げると、竜真が両手に九九式手榴弾を握ってホージロー目掛けて突っ込む。

 

「なっ!? 神風かっ!?」

 

それが特攻行為だと思ったホージローが、慌ててジェームズを解放して逃げる。

 

「! 今だぁっ!!」

 

その瞬間に、竜真はジェームズから離れたホージロー目掛けて両手に持っていた九九式手榴弾を投擲した。

 

「!? うおわああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!?」

 

ホージローの悲鳴の様な声が挙がると、手榴弾が爆発し、そのまま廃墟の部屋の一部が崩れ、天井が崩落。

 

崩落した天井の瓦礫が、ホージローが居た位置へと降り注ぐ!

 

「やったぁっ!!」

 

「今度こそお陀仏っす!!」

 

その光景を見ていた光照と正義からそう歓声が挙がる。

 

「ジェームズ、しっかり!」

 

「ああ、サンキュー、竜真」

 

その間に、竜真はジェームズを助け起こす。

 

すると………

 

ホージローが居た位置に崩れ落ちた天井の瓦礫が積もった場所から、ガタッ!と言う音が聞こえて来る

 

「「「!?」」」

 

「そんな!? まさかっ!?」

 

竜真、ジェームズ、正義が驚愕を露わにし、光照がそう声を挙げた瞬間………

 

「まだまだぁ~~………」

 

瓦礫を押し退けながら、そう言う台詞と共にホージローが姿を見せる。

 

まだ戦死判定は下されていない。

 

「う、嘘だろ………」

 

ホージローのタフさに、流石の竜真達も狼狽する。

 

「お蔭でライフル無くしちまったぜ。まあ、コッチはまだ有るけど、な!」

 

とそこで、ホージローはそう言い放ってコルトM1900を連射!!

 

「!? うわぁっ!」

 

「アウチッ!!」

 

「おうわっ!?」

 

「わああっ!?」

 

竜真が右足、ジェームズが左肩、正義が左脇腹、光照が左足に命中弾を食らい倒れる。

 

戦死判定は受けなかったが、命中箇所には痛みが走り、被弾判定によって戦闘服が動きを制限する。

 

「チッ! 全部ハズレかよ………まあ良い。どうせもう真面に動けないだろう。トドメを刺してやるぜ」

 

ホージローは1人も戦死判定させられなかった事にガッカリしながらも、新たなマガジンをコルトM1900に装填しながら倒れている竜真達に近づく。

 

「あ、足が………」

 

「痛いっす~」

 

「OH、ジーザス………」

 

「やっぱり………敵わないのか………」

 

倒れたまま動けない竜真達に諦めの色が浮かぶ。

 

「………皆、聞いて。最後の賭けに出るよ」

 

しかしそこで、竜真が小声で呟いた。

 

「!? 竜真!?」

 

「!?」

 

「?!」

 

ジェームズ、正義、光照の視線が竜真に集まる。

 

「今はホージローさんは僕達にトドメを刺そうとしてる………確実に仕留められると思って油断してる筈だ。その隙を衝く」

 

「で、でも、身体が………」

 

小声のまま竜真はそう言葉を続けるが、光照は先程のダメージで身体が真面に動かない事を指摘する。

 

「最後の最後まで諦めない………それが大洗機甲部隊の信条だよ」

 

だが、竜真はそれを打ち消す様にそう呟く。

 

「「「!!………」」」

 

それを聞いたジェームズ、正義、光照の顔が覚悟を決めた表情となる。

 

「何ゴチャゴチャ言ってやがるんだ」

 

とそこで、遂に竜真達の傍に立ったホージローが、倒れている竜真達を見下ろしながらそう言い放つ。

 

「手子摺らせやがって………まあ、チビにしちゃよく健闘したよ。褒めてやるぜ」

 

そう言うと、ホージローはコルト1900を竜真達に向ける。

 

「けど、コレで終わりだ………やっぱり最後は、俺の勝ちだ」

 

そして遂に、その引き金が引かれようとする。

 

「! 今だぁっ!!」

 

「うわあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!!」

 

竜真の掛け声で、光照が腕の力だけを使ってホージローの足に飛び付く。

 

「!? おうわっ!? 諦めの悪い奴だな!!」

 

すぐに足を振って蹴っ飛ばそうとしたホージローだったが………

 

「うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーっ!!」

 

光照はホージローの足を抱いたまま、ドラゴン・スクリューを繰り出す!

 

「!? おうわぁっ!?」

 

思わずコルトM1900を手放してしまい、後頭部を床に強打するホージロー。

 

「イデェッ!! プロレス技かよぉっ!!」

 

まさかのプロレス技にホージローは驚愕しながらも、片足を光照に抱き付かれたまま上半身を起こす。

 

「テヤアアァッ!!」

 

とそこで、もう片足に正義が飛び付く!

 

「おわっ!? コイツッ!!」

 

ホージローはコンバットナイフを抜き、正義と光照を斬り付けようとしたが………

 

「タアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーっ!!」

 

そこへ、銃剣を握ったジェームズが圧し掛かって斬り掛かる!!

 

「!?」

 

そのジェームズに押し倒される様な形となったホージローだが、それでもジェームズの銃剣をコンバットナイフで受け止めている。

 

「ぐううううう………」

 

体重を掛けて、銃剣をホージローの身体に突き刺そうとするジェームズだったが………

 

「その体格差で………押さえられると思ったかぁっ!!」

 

ホージローがそう叫んだかと思うと勢い良く起き上がり、ジェームズ達を一気に引き剥がした。

 

「「「うわああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!?」」」

 

「クッソーッ! チビのくせに!………ん? 後の1人は?………!?」

 

とそこで、ホージローは竜真の姿が見当たらない事に気付くと、その竜真が自分が落としたコルトM1900を拾いに行って居る様を目撃する。

 

「コノヤロウ! させるかってんだっ!!」

 

すぐさまコルトM1900に向かってダッシュするホージロー。

 

「!!」

 

竜真はその姿を一瞬見やりながらも、重い右足を引き摺る様にしながらも、コルトM1900の元へ急ぐ。

 

「おらああああぁぁぁぁぁーーーーーーっ!!」

 

とそこで、ホージローが水泳の飛び込みの様にヘッドスライディングを繰り出す。

 

それで竜真を弾き飛ばし、コルトM1900を確保する積りの様だ。

 

(今度こそ貰ったぁっ!!)

 

ホージローは何度目とも知れぬ勝利の確信をする。

 

しかし、それこそが慢心であった。

 

「「「わあああっ!!」」」

 

何と!

 

ジェームズ達が最後の力を振り絞り、ヘッドスライディングを繰り出していたホージローの足に組みついたのである!

 

「!? ん何ーっ!?」

 

急に重量が増えた事で、ホージローの身体は急激に床に叩き付けられる。

 

「!?!?! このぉっ! 離せぇっ!!」

 

顔面を強打し、一瞬悶えながらも、足を振ってジェームズ達を振り払うホージロー。

 

「「「うわああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!?」」」

 

「クウッ!!」

 

そしてすぐに、コルトM1900を拾おうと振り返ったが………

 

「…………」

 

見えたのは、倒れている自分の頭にコルトM1900の銃口を突き付けている竜真の姿だった。

 

「………ハハハ………マジで?」

 

ホージローが乾いた笑いを漏らした後、そう呟いた瞬間………

 

竜真はコルトM1900の引き金を引いた。

 

排莢された薬莢が床に落ちて乾いた音を立て、ホージローが仰向けに倒れる。

 

そしてそのまま、戦死と判定されたのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させていただきました。

遂に対峙する弘樹とカジキ。
果たして勝敗の行方は?

戦車チームも激戦が続く中、竜真達はホージローと対峙。
苦戦の末に、チームワークと根性で身長差を覆し、勝利を掴むのだった。

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

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