ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース   作:宇宙刑事ブルーノア

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第65話『4回戦、決着です!(後編)』

『ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース』

 

第65話『4回戦、決着です!(後編)』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ホージローと竜真達………

 

カジキと弘樹の激しい戦いが終わりを告げていた頃………

 

両校の戦車チームの戦いにも………

 

決着が着こうとしていた………

 

 

 

 

 

第4回戦会場・島々の点在する海域の1つ、廃墟の島………

 

戦車チームが激突している場所では………

 

「撃てっ!!」

 

「ハイッ!」

 

みほの号令で、華がセイレーンのM24軽戦車目掛けて発砲するが、砲弾は外れて瓦礫を爆散させる。

 

「西住殿! そろそろ砲弾の残弾が心許無くなってきました!!」

 

と、新たな砲弾を装填しながら、優花里がみほへそう報告する。

 

『こちらカモさんチーム! 敵の攻撃苛烈! もう持ち堪えれらないわ!!』

 

『サンショウウオさんチーム、同じく!』

 

「みぽりん! カモさんチームとサンショウウオさんチームも限界だよ!!」

 

更にそこで、敵の戦車部隊を足止めしているカモさんチームとサンショウウオさんから限界だと言う報告が入り、沙織がそう叫ぶ。

 

「コレ以上時間は掛けられない………」

 

ペリシコープ越しにセイレーンのM24軽戦車を見据えながらそう呟くみほ。

 

と、その直後!!

 

近くから、ドゴーンッ!!と言う爆発音が聞こえて来た。

 

「!?」

 

思わずみほは、キューポラから飛び出す様に姿を晒し、音の正体を確認する。

 

音が聞こえて来た方向では、パシフィック戦車部隊のもう1両のM24軽戦車と、カバさんチームのⅢ突が煙と白旗を上げていた。

 

「! Ⅲ突が!!」

 

『すまない! やられた!! だが、何とか相打ちに持って行った! 後は頼むっ!!』

 

みほが驚きの声を挙げると、Ⅲ突のエルヴィンからそう通信が入る。

 

『申し訳ありません! やられました!!』

 

「クッ! 何て事ですの!!」

 

セイレーンの方にも、M24軽戦車の車長からの通信が入る。

 

「ローレライさん! 随伴のM24が!!」

 

「そろそろケリつけないとマズイわね………セイレーン! 海が見える場所まで逃げなさい! その間に私がM3リーを撃破するわ!!」

 

と、同じ様にその光景を見ていたメロウがそう言い、ローレライがセイレーンにそう通信を送る。

 

「ですから! 総隊長は私ですわ!!」

 

そう言いながらも、セイレーンは海の方に向かって撤退を開始する!

 

「! 西住殿! 敵のフラッグ車が!!」

 

「クウッ!………」

 

フラッグ車を追いたいみほだったが、まだローレライ達のM2中戦車と交戦しているウサギさんチームのM3リーを見て逡巡する。

 

『西住総隊長! 行って下さいっ!!』

 

「!? 梓ちゃん!?」

 

すると、他ならぬウサギさんチームのリーダーである梓からそう通信が入る。

 

『コッチは何とか持ち堪えて見せます!!』

 

『西住総隊長は敵のフラッグ車を!!』

 

『やってみます!!』

 

『総隊長! 行ってっ!!』

 

『倒すのは無理かもだけど、何とか生き延びて見せます』

 

梓、あや、桂利奈、あゆみ、優季から次々にそう声が挙がる。

 

『…………』

 

『紗希も行ってって言ってます!』

 

更に無言だった紗希の言葉を、あゆみが代弁する。

 

「………麻子さん! 敵のフラッグ車を追跡して下さい!」

 

「良いのか?」

 

指示を受けた麻子が確認する様にそう言う。

 

「ウサギさんチームを信じます! 私達は敵フラッグ車の撃破を!!」

 

「ん………」

 

みほがそう言うのを聞いて、麻子はⅣ号にセイレーンが乗るM24軽戦車を追わせるのだった。

 

「敵隊長車、セイレーンさんのM24を追って行きます」

 

「コッチは逃げないか………良い度胸ね」

 

メロウの報告を聞きながら、未だに前方に居座るM3リーをペリスコープ越しに見てそう呟くローレライ。

 

「皆! 西住総隊長達が敵のフラッグ車を撃破するまで、何とか頑張るよっ!!」

 

「「「「おおおおおお~~~~~~~っ!!」」」」

 

「…………」

 

梓の声に、あや、桂利奈、あゆみ、優季が勇ましい返事を返し、紗希も表情を引き締めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、逃げたパシフィックのフラッグ車であるM24軽戦車と、それを追うあんこうチームのⅣ号は………

 

「そこ! 左ですわっ!!」

 

「ハイッ!!」

 

セイレーンの指示で、通路を左へと曲がるM24軽戦車。

 

そこは、防波堤に囲まれたかなり巨大な港だった。

 

如何やら元軍港だったらしく、大型のクレーンや倉庫だったと思われる廃墟が立ち並んでいる。

 

「良し! 此処でしたら………」

 

と、セイレーンがそう言った瞬間!

 

至近距離に砲弾が着弾し、M24軽戦車に車体が揺さぶられる。

 

「「「「キャアアアアアアアアァァァァァァァァァーーーーーーーーーーッ!!」」」」

 

「クウッ! 追い付いてきましたわね!!」

 

悲鳴を挙げる乗員達を尻目に、セイレーンはペリスコープで追い掛けてきたⅣ号の姿を確認する。

 

「港に入ったよ!」

 

「チャンスです、西住殿! 逃げ場はありません!! 此処で決着を着けましょう!!」

 

沙織がそう声を挙げると、優花里がM24軽戦車を追い詰めたと興奮気味にみほへそう進言する。

 

「…………」

 

しかし、みほは険しい表情を浮かべていた。

 

「? 西住殿?」

 

「如何しました、みほさん?」

 

「何か………嫌な予感がするの………」

 

怪訝に思った優花里と華がそう声を掛けると、みほはそう呟き返す。

 

その頬を、冷たい汗が流れ、床へと落ちる。

 

………と、その瞬間!!

 

突如として湾内の海面の一部が盛り上がり始めた!!

 

「「「「「!?」」」」」

 

その盛り上がり始めた海面に、あんこうチームの視線が一斉に集まる。

 

やがて海面は弾け………

 

そこからガトー級潜水艦・ガトーが現れる。

 

「! 潜水艦っ!!」

 

「そんな!? まさか湾内にまでっ!?」

 

みほがそう声を挙げると、優花里が狭い湾内にまで侵入して来た潜水艦に驚愕する。

 

1歩間違えれば座礁してしまう可能性も有ると言うのに。

 

「ハハハハハッ! 我々の操船技術を甘く見たな! 撃ちー方よーいっ!!」

 

ガトーの艦内で、スクイッドが得意そうな笑い声を挙げ、そう命令を下す。

 

ガトーの甲板前部に備え付けられていた4インチ砲と、甲板後部に備え付けられていた40ミリ機関砲と20ミリ機銃に乗員が着く。

 

「撃ーち方始めーっ!!」

 

そしてスクイッドの号令で、Ⅳ号目掛けて攻撃を開始した!

 

「! 麻子さん! 後退!!」

 

「!」

 

みほの指示に、麻子はやや焦った様にⅣ号を後退させる。

 

4インチ砲の砲弾と、機関砲弾と機関銃弾が先程までⅣ号が居た場所の地面を抉る。

 

「さあ! 反撃開始ですわっ!!」

 

更にそこで、セイレーンの乗るM24軽戦車も、Ⅳ号に向かって砲撃を開始する。

 

「クウッ!………」

 

そんな中、一瞬の間を見極め、華が湾内に陣取っているガトーに向かって砲撃する。

 

しかし、放たれた砲弾はガトーに届かず、遥か手前の海中へと没する。

 

「駄目です! コチラの攻撃が届きませんっ!!」

 

「潜水艦よりもフラッグ車に攻撃を!」

 

「でもこの状況じゃあ!!………」

 

華にそう指示するみほだったが、潜水艦からの攻撃は凄まじく、とてもではないがフラッグ車を狙える隙が無い。

 

(このままじゃ………舩坂くん………)

 

焦るみほの心中に、弘樹の姿が過るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場面は再び、ウサギさんチームのM3リーVSローレライ&メロウのM2中戦車の戦いへ………

 

「撃てっ!!」

 

梓の号令で、M3リーの主砲と副砲が同時に火を噴く。

 

「右へ回避した後、急速後退!」

 

「ハイッ!!」

 

しかし、M2中戦車のローレライは弾道を読み、操縦手への的確な方向指示で回避する。

 

「反撃よ!」

 

「了解っ!!」

 

そして、M3リーに向かって反撃とばかりに37mm砲を見舞う。

 

M2中戦車から放たれた砲弾は、M3リーの正面装甲に命中したが、角度が浅かった為、弾かれて明後日の方向へ飛んで行く。

 

「キャアッ!?」

 

「大丈夫! 跳ね返したよ!!」

 

「でも、このままじゃマズイんじゃないの!?」

 

あやが悲鳴を挙げると、梓がそう言って落ち着かせるが、主砲の次弾を装填していたあゆみがそう声を挙げる。

 

彼女の言う通り、既にM3リーのボディの彼方此方には多数の砲弾が命中した後があり、装甲が変形している様子が見て取れる。

 

今は大丈夫でも、このまま命中弾を食らい続ければ、何時かは装甲貫通判定を受ける事になる。

 

対するローレライ達のM2中戦車は粗無傷な状態である。

 

「このままじゃ持たないよ~!」

 

「如何すれば良いの~!?」

 

「クウッ!………」

 

桂利奈と優季から悲鳴の様な声が挙がる中、梓は必死に考えを巡らせる。

 

とそこで、M2中戦車の砲が、再びM3リーへと向けられる。

 

「!? 狙われてる! 全速後退っ!!」

 

「アイーッ!!」

 

それに気づいた梓は、即座に後退指示を出し、桂利奈がM3リーをバックさせる。

 

しかし、M3リーが干上がった大きな排水路の傍まで後退した瞬間!

 

突如足元のコンクリートが崩れ、M3リーはそのまま瓦礫と共に排水路の中へと落下する!!

 

「「「「「!? キャアアアアアアアアァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーッ!?」」」」」

 

ウサギさんチームの悲鳴が響く中、M3リーは排水路の底へと叩き付けられる様に着地する。

 

更にその周囲を、一緒に崩落していたコンクリートの瓦礫が埋め尽くす………

 

「~~~~っ!………皆、大丈夫!?」

 

「何とか………」

 

「死ぬかと思った~」

 

「アイ~~~………」

 

「イテテテ………肘打っちゃった………」

 

梓が尋ねると、あや、優季、桂利奈、あゆみから何とか無事だと言う返事が返って来る。

 

「…………」

 

「うん、紗希も大丈夫だね。M3も大丈夫みたいだし、良かった~」

 

更に紗希の無事も確認し、M3リーから白旗が上がってない事にも、梓は安堵する。

 

「!? そうだ! M2は!?」

 

しかしすぐにペリスコープでローレライ達のM2中戦車の所在を確認する。

 

M2中戦車は排水路の崩れた縁に陣取り、M3リーに主砲を向けていた。

 

この距離、しかも最も装甲が薄い上面部を狙われている為、命中すれば撃破は免れない。

 

「! 桂利奈ちゃん! 急いで移動してっ!!」

 

「駄目! 全然動かないよ!!」

 

すぐにM3リーを発進させる様に桂利奈に指示する梓だったが、M3リーは半分瓦礫に埋もれた状態であり、桂利奈が幾らアクセルを踏み込んでも動く気配が無かった。

 

「クッ! あや! 副砲で狙って!!」

 

「りょ、了解!」

 

それならば先に撃破すると副砲手であるあやにそう指示する。

 

M3リーの副砲が旋回し、排水路の上に居るM2中戦車に向けられようとしたが………

 

「! 駄目! 仰角が足りないよ!!」

 

僅かに仰角が足らず、M2中戦車を狙えない。

 

動けず攻撃する事も出来ない………

 

文字通り手も足も出ず、絶体絶命の状況だった………

 

「終わりね………まあ、良く頑張ったわ」

 

そんなM3リーの状況が分かっているからか、M2中戦車のローレライはM3リーの事をペリスコープ越しに見ながらそう言う。

 

「装填完了」

 

「何時でも撃てます」

 

そこで、メロウと砲手の子からそう報告が挙がる。

 

「相手は動けないわ。落ち着いて良く狙いなさい」

 

「ハイ!」

 

M3リーが動けないのを良い事に、M2中戦車はじっくりと狙いを定める。

 

「! 狙われてる!!」

 

「如何するの!?」

 

「如何にもならないよー!」

 

「やられちゃうの!?」

 

「私達がやられたら、大洗の負けだよ!」

 

梓、あや、桂利奈、優季、あゆみの悲鳴にも似た声が挙がる。

 

けれども打つ手は無い………

 

大洗機甲部隊の命運も此処に尽きたか………

 

と、その時!

 

「…………」

 

紗希があやを押し退ける様にして、副砲の照準器を覗き込み、引き金に手を掛けた。

 

「!? 紗希!?」

 

「紗希ちゃん!? 何する気!?」

 

突然の紗希の行動に驚く梓とあや。

 

「撃てっ!」

 

その瞬間に、ローレライの号令で、M2中戦車の主砲が火を噴いた!

 

「!!」

 

それより一瞬遅れて、紗希は引き金を引き、M3リーの副砲を放った!

 

撃ち下ろされたM2中戦車の主砲弾と、撃ち上げたM3リーの副砲弾が、互いに接近する。

 

そして激突するかと思われたその瞬間!

 

撃ち降ろしていたM2中戦車の砲弾が、撃ち上げていたM3リーの副砲弾の下側に潜り込む様に接触!

 

その際の衝撃で、M2中戦車の主砲弾は下側へと弾かれ、M3リーの僅かな手前に着弾!

 

M3リーの周囲に在った瓦礫の一部を爆ぜさせる。

 

一方、上へと弾かれたM3リーの副砲弾は、そのままM2中戦車へと向かった!

 

「えっ!?………」

 

ローレライが呆けた声を挙げた瞬間に、M3リーの副砲弾はM2中戦車の砲塔基部に命中!

 

爆発の後、M2中戦車から黒煙が上がり、一瞬間が有って、砲塔上部から撃破された事を示す白旗が上がった。

 

「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」

 

両者は互いに何が起こったのか分かっておらず呆然としている。

 

「………助かった、の?」

 

「そうみたい~………」

 

やがて、梓が絞り出す様にそう呟くと、優季がやや場違い気味に間延びした口調でそう返事をする。

 

「! やったーっ!!」

 

と、逸早くその事を認識した桂利奈が歓声を挙げる。

 

それを聞いたウサギさんチームの面々も遂に事態を把握し、M3リーの車内をまるで蜂の巣を突いたかの様な大騒ぎとなる!

 

「紗希! やったね!!」

 

「紗希ちゃん凄い!!」

 

感極まったらしいあゆみとあやが、紗希へと抱き付く。

 

「…………」

 

相変わらず喋らない紗希だったが、その顔には確かな笑みが浮かんでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして………

 

港湾施設付近で戦っているあんこうチームのⅣ号も………

 

「喰らえっ!!」

 

「! スピードを上げて下さい!」

 

「ん………」

 

ガトーの4インチ砲が火を噴いたのを確認したみほが、麻子にそう指示を出す。

 

Ⅳ号がスピードを上げると、先程までⅣ号が居た場所に、4インチ砲の砲弾が着弾する。

 

「そこですわ!」

 

しかし間髪入れずに、セイレーンのM24軽戦車が砲撃して来る。

 

「! 車体を右35度の角度に!」

 

「くうっ………」

 

みほがすかさずそう指示を出し、麻子は言われた通りに車体を傾ける。

 

M24軽戦車の砲弾はⅣ号の砲塔に命中したが、角度が浅かった為、明後日の方向へ弾かれる。

 

「キャアッ!?」

 

「西住殿! マズイですよっ!!」

 

「このままでは戦車が持ちません!」

 

車内に走った振動に沙織が悲鳴を挙げる中、優花里と華がそう報告を挙げる。

 

既にⅣ号の彼方此方には被弾の跡が有り、このままでは撃破されるのは時間の問題である。

 

「やっぱり、あの潜水艦を如何にかしないと………」

 

「でも、此方の攻撃は相手に届きませんよ」

 

沙織がそう呟くと、優花里がそう言う。

 

「………みほさん。試してみたい事があります」

 

するとそこで、真剣な表情をした華が、みほへそう言って来た。

 

「? 華さん?」

 

「やらせていただけませんか?」

 

その表情のまま、みほへそう問い掛ける華。

 

「…………」

 

みほは少しの間、そんな華の表情を見やっていたかと思うと………

 

「分かりました。華さんを信じます」

 

表情を引き締め、そう言った。

 

「ありがとうございます………麻子さん! 出来るだけ砲と水面を水平に出来る場所へ移動して下さい!」

 

「なら、あそこだな………」

 

華がそう言うと、麻子が湾内へ船を下ろす為のスロープを見つけ、そこへと向かう。

 

「何をする気か知りませんけど、させませんわよ!」

 

セイレーンはそれを阻止しようとM24軽戦車を前進させるが………

 

「そこです!」

 

そこで華が、作業用の大型クレーンの根元に向かって榴弾を発射!

 

作業用クレーンの根元部分が破壊され、M24軽戦車の進路を塞ぐ様に倒れる!!

 

「!? コレでは通れませんわ!!」

 

セイレーンがそんな事を言う中、Ⅳ号はスロープを下って行き、ギリギリまで車体を水没させ、砲と水面を出来る限り水平にする。

 

「? 何だ?」

 

「アイツ等何をする気だ?」

 

その様子を見ていたガトーの乗員達が怪訝な顔をする。

 

「…………」

 

そんなガトーに砲を向けている華は、集中した様子で照準器越しにガトーによって多少波立っている湾内の海面を見やっている。

 

只ジッと海面を見据えている華。

 

その頬を、緊張から出た冷や汗が伝う。

 

と、やがて波が一瞬穏やかになった瞬間!

 

「! そこです!!」

 

まるでそのタイミングを見計らっていたと言う様に、華は砲弾を発射した!!

 

「敵戦車発砲!」

 

「慌てるな! この距離じゃ届かないさ!!」

 

報告を挙げる乗員に、スクイッドは届かないと言い放つ。

 

その言葉通り、Ⅳ号から放たれた砲弾は徐々に高度を下げ、そのまま海中に没する………

 

………かと思われた瞬間!!

 

何と砲弾が海面でバウンド!!

 

更にそのままバウンドを繰り返し、まるで水切りの石の様にガトーへと向かって行く。

 

「な、何っ!?」

 

「まさか!? 戦車砲弾で反跳爆撃だと!?」

 

まさかの戦車砲での反跳爆撃に驚愕するガトーの乗員達。

 

「きゅ、急速潜航ぉっ!!」

 

「駄目です! 間に合いませんっ!!」

 

慌てて急速潜航の指示を出すスクイッドだったが時既に遅し!

 

Ⅳ号から放たれた砲弾は、ガトーの艦首部分………魚雷発射管の部分へと命中!

 

1度派手な爆発が挙がったかと思うと、更に連続で大爆発が起こる!!

 

「おうわっ!?」

 

「艦首に被弾っ! 魚雷に誘爆っ!!」

 

「浸水発生! 排水ポンプ、作動しませんっ!!」

 

悲鳴を挙げるスクイッドの耳に、乗員からの報告が次々と飛び込んで来る。

 

「電気系統がショートしています!」

 

「浸水状況レッドゾーン! このままでは沈没しますっ!!」

 

「そ、総員! 退艦ーっ!!」

 

最早コレまでだと悟ったスクイッドは潔く退艦命令を下す。

 

ガトーから次々と乗員が海へと飛び込んで行く。

 

やがて、最後まで残っていたスクイッドが飛び込むと………

 

ガトーの艦首が再び大爆発して吹き飛び、そこから一気に浸水。

 

艦首部分が水没し、艦尾が持ち上がって水面に出たかと思うと、艦首部分が湾内の海底に接触。

 

まるで水に突き刺さったかの様な状態となり、艦橋部分の頂部から白旗が上がった。

 

「やりました!」

 

「華、スゴ~イッ!!」

 

「まさか戦車砲で反跳爆撃をするなんて、信じられません!」

 

華が歓声を挙げると、興奮している様子の沙織と優花里がそう言って来る。

 

「前に歩兵の皆さんが川原で遊んでいるのを見て思いついたんです」

 

「急速後退! 次はフラッグ車を叩きます!!」

 

そう華が言っていると、みほがまだフラッグ車が残っていると言い放つ。

 

「うん………」

 

麻子はすぐに半分水没していたⅣ号を後退させる。

 

だが、スロープを登り切った瞬間!!

 

Ⅳ号の左側の履帯後部が爆発!

 

履帯が千切れ、転輪が弾け飛んだ!!

 

「「「「!? きゃあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!?」」」」

 

「!?」

 

みほ、優花里、華、沙織が悲鳴を挙げ、麻子も驚愕の表情を浮かべる。

 

「何をやっていますの! 今エンジンを狙えたでしょう!!」

 

「す、すみません!」

 

砲口から煙を上げているM24軽戦車の中で、セイレーンが砲手を叱りつける。

 

「まあ、良いですわ。どの道もう動けないでしょう。次でトドメですわ」

 

セイレーンがそう言う中、装填手が次弾を装填に掛かる。

 

「クッ! もう抜け出して来たの!?」

 

「駄目だ! 全く動かんぞ!」

 

みほがもう倒れたクレーンを突破して来たM24軽戦車に計算外だと言い、麻子は操縦桿とペダルを動かすが、Ⅳ号は動かない。

 

撃破判定は下っていないが、コレでは只の的である。

 

「クウッ!」

 

華がすぐに砲塔を旋回させ始めるが………

 

「装填完了っ!」

 

「終わりですわ、大洗………」

 

M24軽戦車の装填は、既に終わっていた。

 

「!!」

 

丸く見える相手の砲門で、直撃コースだと言う事を悟るみほ。

 

最早絶体絶命だった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、その瞬間!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

風切り音が聞こえたかと思うと、M24軽戦車のエンジン部にロケット弾が命中!

 

大爆発が起こって一瞬の間の後………

 

M24軽戦車の砲塔上部から、白旗が上がった。

 

「「「「!?」」」」

 

「今のは!?」

 

「な、何が起こったんですの!?」

 

沙織、華、優花里、麻子が驚き、みほとセイレーンがキューポラから車外へと姿を晒す。

 

と、辺りに爆煙が蔓延している中、足音が聞こえて来る。

 

そして、爆煙が晴れたかと思うと、そこには………

 

「…………」

 

右肩に鹵獲したバズーカを掛けている、戦闘服がボロボロになり、全身埃塗れになっている弘樹の姿が在った。

 

「! 舩坂くん!」

 

「そんなっ!? カジキ達は如何したのです!?………!? まさか!?」

 

みほが声を挙げ、セイレーンはカジキが倒された事を悟る。

 

「…………」

 

そんな中、弘樹は無言でみほの方へと歩を進める。

 

「そ、そんな………」

 

セイレーンは崩れ落ちる様にキューポラへと寄り掛かる。

 

「舩坂くん………」

 

みほはまだ呆然とした様子で、Ⅳ号の傍に来た弘樹を見つめる。

 

「…………」

 

と、そこで弘樹は撃ち終えたバズーカを捨て、みほに向かってお馴染みのヤマト式敬礼をする。

 

「!………」

 

一瞬驚いたみほだったが、やがて弘樹に向かって返礼した。

 

『試合終了! 大洗機甲部隊の勝利っ!!』

 

『やった! やりました!! 戦車道・歩兵道全国大会第4回戦! 勝者は………大洗機甲部隊ですっ!!』

 

『いや~、序盤で大損害を受けた時は如何なるかと思いましたけど、今回も見事な逆転劇、見せて頂きました!』

 

そしてそこで、主審の香音が試合終了のアナウスを流し、実況席のヒートマン佐々木とDJ田中が観客席とテレビに、熱い実況を流すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させていただきました。

遂にパシフィック機甲部隊との試合、公式戦第4回戦も決着。

動けなくなりあわやという所で、敵戦車の撃破に成功して難を逃れたウサギさんチーム。
正に追い詰められたウサギはジャッカルよりも凶暴です(それキツネ!)

そして、隊長車でありフラッグ車であるセイレーンのM24軽戦車と戦うみほ達。
如何にか潜水艦を排除したかに思えたが反撃を受け絶体絶命に落ちいる。
しかし、その危機を救ったのはこの男………
やはり無事だった舩坂 弘樹である。

こうして………
大洗は第5回戦へと駒を進めるのだった。

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