ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース   作:宇宙刑事ブルーノア

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第68話『幻の日本戦車です!』

『ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース』

 

第68話『幻の日本戦車です!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プラウダ&ツァーリ機甲部隊との試合を前に………

 

『三式中戦車』と、それに乗り込む『ねこにゃー』、『ももがー』、『ぴよたん』からなる『アリクイさんチーム』を仲間に加えた大洗機甲部隊。

 

しかし、ゲームでしか戦車を動かした事がない彼女達の腕は散々なものだった………

 

そこでみほ達は、荒療治ながら実戦を経験させてスキルアップを図るべく、予てより大洗機甲部隊に対し練習試合を申し込んでいた………

 

『知波単学園』の『知波単機甲部隊』との練習試合を決める。

 

その練習試合当日………

 

九七式中戦車を中心に、様々な日本戦車を率いて現れた知波単機甲部隊。

 

その総隊長、『西 絹代』は何と!!

 

弘樹が中学時代に所属していた機甲部隊の総隊長を務めていた人物だった!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

練習試合会場・大洗町の外れ………

 

岩肌が露出している丘陵地帯………

 

「弘樹の事だから、歩兵道は続けてるって思ってたけど、まさか大洗に居たとはねえ。驚いたわ」

 

「西総隊長の方こそ、知波単学園に居られたとは………まあ、お似合いではありますが」

 

集合している大洗機甲部隊と知波単機甲部隊の面々の中で、親しげに会話を交わしている絹代と弘樹。

 

「九七式中戦車が主体と聞いていましたが、他にもかなりの車両が在ったのですね」

 

「黒森峰にこっ酷くやられてから、ウチの連中も流石に考えを改める様になってね。予算的にちょっと厳しかったけど、色んな所から掻き集めて来たの」

 

「それでも総隊長はチハなのですな」

 

「当たり前よ。私が身体を預けるのはウラヌス以外はこのチハだけよ」

 

「…………」

 

尚も親しげに会話を続ける絹代と弘樹をジッと見やるみほ。

 

その胸には、原因不明の痛みがズキズキと襲い掛かっている。

 

「みほさん? 顔色が悪い様に見えますけど、大丈夫ですか?」

 

そんなみほの様子に気付いた華が心配そうに声を掛ける。

 

「う、うん……胸がちょっと痛くて」

 

「みぽりん、ひょっとして………ジェラシー?」

 

と、みほがそう返すと、その原因が嫉妬である事を感づいた沙織がそう指摘する。

 

「! そ、そんな事!!………」

 

無いと返そうとしたみほだったが、そこで黙り込んでしまう。

 

「? みぽりん?」

 

「………沙織さんの言う通りかも」

 

沙織が首を傾げると、みほは先程までとは変わってそう返す。

 

「舩坂くんと西さんが楽しそうに話してるのを見てると、凄く嫌な気分になるの………私って嫌な子だなぁ」

 

自嘲する様な笑みを浮かべてみほはそう言う。

 

如何やら、嫉妬している自分を自己嫌悪してる様だ。

 

「…………」

 

と、沙織がそんなみほの背後に立ったかと思うと、みほの両肩に自分の両手を乗せ、身体を寄り添わせる。

 

「ふえっ!? 沙織さん?」

 

「みぽりん。それは女の子だったら当然の気持ちだよ。別に気にする事じゃないよ」

 

戸惑うみほに、沙織は優しく諭す様な口調でそう言う。

 

「私だって同じ状況になったらきっとそういう気持ちになるよ。大切なのはちゃんとその気持ちと向かう合う事と………舩坂くんを信じる事だよ」

 

「信じる………事………」

 

沙織にそう言われ、みほは心が軽くなった様に感じる。

 

「………ありがとう、沙織さん。少し楽になったかも」

 

「如何いたしまして………ねえ、いっその事、舩坂くんに告っちゃうってのも有りじゃない?」

 

「ふえええっ!? そ、それはまだちょっと!………」

 

「まだ、って事はする気は有るんだね」

 

「あ、あうう………」

 

「もう~! みぽりんってば可愛過ぎぃっ!!」

 

真っ赤になって縮こまるみほを抱き締める沙織。

 

「話が変わってるぞ………」

 

そんな沙織の姿を見て、麻子がそうツッコミを入れる。

 

「あの、そちらの戦車は25両と聞きましたが、残りの4両は?」

 

とそこで、逞巳が知波単機甲部隊の戦車が21両なのに気づいて、絹代にそう問い質す。

 

「ああ、ちょっと遅れてるの。何せ今回初めて実戦投入する車両ばかりなものでね。まだ乗員達も慣れてないもんだから。ゴメンナサイね」

 

「総隊長ー! 来ましたーっ!!」

 

絹代がそう言っていると、知波単機甲部隊の歩兵隊員の1人が、後方を見ながらそう報告を挙げる。

 

「おっ! 来たわね!」

 

絹代がそう言って振り返ると、大洗機甲部隊の面々も、此方に向かって来る4両の車両を確認する。

 

「!! おおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーっ!? アレはまさかぁっ!?」

 

と、その車両の姿を見た優花里が、興奮した様子で叫び声を挙げる。

 

「ゆ、ゆかりん?………」

 

「優花里さん、また?………」

 

沙織がそんな優花里の姿に戸惑い、みほも思わず苦笑いを漏らす。

 

遅れてやって来た戦車は、どれもが小型と言うイメージが付き纏う日本戦車とは一線を画する物だった。

 

「あ、アレ………三式中戦車じゃない?」

 

「あ、ホントだ!」

 

「三式だっちゃ」

 

アリクイさんチームが、遅れてやって来た4両の戦車の内1両が自分達の戦車と同じ三式中戦車である事に気付いてそう声を挙げる。

 

「でも………向こうの方が砲身がかなり長いナリ」

 

しかし、ももがーが言う通り、知波単機甲部隊の三式中戦車は、砲身がかなり長い物となっている。

 

「『三式中戦車改』です! 主砲を五式七糎半戦車砲を換装して攻撃力をアップさせたタイプです!! 溶接を多用する事で車体強度も上がっています!!」

 

そこで優花里が長砲身の三式中戦車………俗に『三式中戦車改』と呼ばれる物を見て燥ぐ。

 

「あの、秋山先輩。残りの戦車は何て言う戦車なんですか?」

 

とそこで、あやが優花里にそう尋ねる。

 

「あ、うん! 左から順に、『三式砲戦車 ホニⅢ』! 『四式中戦車 チト』! 『五式中戦車 チリ』です!」

 

優花里は興奮した様子のまま、残りの3両………『三式砲戦車 ホニⅢ』、『四式中戦車 チト』、『五式中戦車 チリ』の名を挙げる。

 

「凄いですよ! 皆本土決戦の為に温存されていたか、試作車両が完成していただけの幻の日本戦車です! ああ~、それをこの目で見られるなんて~!!」

 

キラキラとした目で三式中戦車改、三式砲戦車、四式中戦車、五式中戦車を見つめる優花里。

 

「………アレ?」

 

するとそこで、優花里が五式中戦車を見て何かに気付く。

 

「如何した、グデーリアン?」

 

「あの五式中戦車の主砲………ひょっとして、88ミリ砲じゃ?」

 

エルヴィンが尋ねると、優花里は五式中戦車を指差しながらそう言う。

 

「何?………」

 

それを聞いたエルヴィンが、改めて五式中戦車を見やる。

 

確かに、知波単機甲部隊の五式中戦車に取り付けられている主砲は、試製七糎半戦車砲(長)よりも更に口径が大きく、砲身が長い砲だった。

 

「おっ! 良く気づいたわね」

 

とそこで、絹代が優花里にそう言い放つ。

 

「西総隊長………五式中戦車が88ミリ砲を搭載していたと言うのは伝説だったのでは?」

 

「目の前に在るのが真実よ」

 

弘樹がそう指摘するが、絹代は不敵に笑ってそう言い返す。

 

「おおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーっ! まさか幻の幻! 88ミリ砲搭載の五式中戦車が見られるなんて~っ!! 秋山 優花里! 人生に一片の悔いもありません!!」

 

最早興奮の絶頂状態となっていた優花里が、感動の余り涙まで流しながらそう言い放つ。

 

「何興奮してんだ。俺達はコレからそれと戦うんだぞ」

 

そこで、そんな優花里に、白狼がそうツッコミを入れる。

 

「ハッ!? す、すみません………」

 

漸く我に返った優花里は、その場に正座して縮こまる。

 

「あの………そろそろ試合を始めますよ」

 

と、一連の遣り取りを見ていた主審のレミが、両機甲部隊メンバーにそう声を掛ける。

 

「あ、すみません!………弘樹、積もる話は後にしましょう。先ずは試合よ。腕は鈍ってないだろうけど………確かめてあげるわ」

 

「望むところです………」

 

絹代と弘樹は、そう言い合って互いに不敵な笑みを浮かべるのだった。

 

「それではコレより! 大洗機甲部隊VS知波単機甲部隊のフラッグ戦による練習試合を始めます!!」

 

レミがそう宣言すると、両機甲部隊のメンバーが整列して向かい合う。

 

「一同! 礼っ!!」

 

「「「「「「「「「「よろしくお願いしまーすっ!!」」」」」」」」」」

 

そしてお互いに礼をして挨拶を交わすのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大洗機甲部隊のスタート地点………

 

「アリクイさんチーム、準備は良いですか?」

 

「お、OKです………」

 

「遂に実戦ナリ………」

 

「ふ、震えてきたっちゃ………」

 

キューポラから上半身を出していたみほが、三式中戦車にそう通信を送ると、同じ様にキューポラから上半身を出していたねこにゃーと、車内のももがー、ぴよたんから緊張している様子の声が返って来る。

 

「大丈夫、緊張しないで下さい。皆さんがフォローしてくれますから」

 

「ハ、ハイ………」

 

みほはそんなアリクイさんチームの緊張を解す様に優しくそう言い、それによってアリクイさんチームは幾分か落ち着く。

 

「………『おおかみさん分隊』の皆さん。アリクイさんチームの護衛、よろしくお願いします」

 

「おう! 任された!!」

 

「大船に乗った積りで居てや!」

 

「…………」

 

続いてみほは、三式中戦車の周りに居た随伴歩兵分隊にそう言い、海音と豹詑がそう返事を返し、陣が無言でビッとサムズアップする。

 

「しっかし、何で俺が分隊長なんて、面倒臭い事を………」

 

「白狼、今更言ってもしょうがないですよ」

 

バイクに跨り、若干不満そうな様子を見せている白狼に、飛彗がそう言う。

 

 

 

 

 

………今回、アリクイさんチームの随伴歩兵分隊として、『おおかみさん分隊』が新設されている。

 

しかし、アリクイさんチームが急な参戦であった為、新たなメンバー増員が間に合わず、既存の分隊から人数を割いて、新たな分隊を編制する形で結成された。

 

その主要メンバーは、宮藤 飛彗、江戸鮫 海音、日暮 豹詑、浅間 陣であり、分隊長には神狩 白狼が就いて居る。

 

 

 

 

 

「………お前を分隊長に推薦したのは小官だ」

 

するとそんな白狼に、弘樹がそう声を掛けた。

 

「あ? お前が?………」

 

「歩兵道のソレとは違うが、お前には人を率いる才能が有る。故に推薦した………見事に務めて見せろ」

 

「勝手なこと言ってくれるぜ」

 

弘樹に睨む様な視線を向ける白狼。

 

「………ま、良いぜ。幸いにもメンバーはダチが中心だからな。やってやるよ」

 

しかし、すぐに諦めた様な雰囲気でそう言い放つ。

 

「メンバーの推薦も小官が行った………」

 

そう言い残すと、弘樹は自分の分隊の元へ帰って行く。

 

「………何から何までアイツの思惑通りってワケか」

 

白狼は肩を竦めてそう呟くのだった。

 

「舩坂くん。西さんは如何来ると思う?」

 

とらさん分隊の元へと戻った弘樹に、みほがそう尋ねる。

 

絹代の事を知る弘樹に、絹代の戦術パターンを確認している様だ。

 

「西総隊長なら、いきなり全車で万歳突撃して来ると言う事はないでしょう。五式中戦車達を除いて、戦車の性能はコチラと粗同等、或いは1ランク下です。数の利を利用して的確に攻めて来ると思います」

 

「やっぱり、そうだよね………」

 

「が、西総隊長は慎重かつ大胆な攻めを得意としています。定石通りとは行かないでしょう」

 

「分かった。コッチも慎重に行動しないとね」

 

と、そこまで言い合うと………

 

『試合開始っ!』

 

主審のレミによる、試合開始のアナウンスが響いた。

 

「行きますっ! パンツァー・フォー!!」

 

「アールハンドゥガンパレード!」

 

みほと弘樹がそう掛け声を掛け、大洗機甲部隊の面々は一斉に進軍を開始する。

 

「全部隊、防御陣形を取って下さい!」

 

進軍を開始してすぐに、みほがそう指示を出す。

 

直後に、各戦車チームと随伴歩兵分隊が動き始め、戦車チームが今回のフラッグ車であるサンショウウオさんチームのクロムウェルを中心にして円を描く様な陣形………

 

まるで艦隊陣形の輪形陣の様な陣形を取る。

 

各歩兵分隊は同じ様に、随伴している戦車チームの守りに付いて居る。

 

「サンショウウオさんチーム。今回はフラッグ車なので、あまり無理はしない様にお願いします」

 

「分かってます、西住総隊長。無理はしないで頑張ります!」

 

「ホントに分かってるんですか?………」

 

みほがクロムウェルにそう通信を送ると、聖子がそう返し、優がツッコむ様にそう言う。

 

尚、今回のサンショウウオさんチームの編成は、地走の時と同様で、聖子が戦車長、伊代が通信手、優が砲撃手、唯が操縦士、明菜が装填手となっている。

 

「! 前方に敵影確認っ!!」

 

とそこで、先頭を行っていたあんこうチームととらさん分隊の中で、双眼鏡を覗き込んで前方の警戒をしていた楓がそう声を挙げる。

 

「!!」

 

すぐにみほも双眼鏡を構えて自軍の前方を見やる。

 

そこには、此方に向かって進軍して来る5両の九五式軽戦車・ハ号と、その随伴歩兵分隊達の姿が在った。

 

「来ました! 九五式軽戦車・ハ号が5両とその随伴歩兵分隊です!」

 

「「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」

 

みほが全軍にそう通信を送ると、大洗機甲部隊の面々に緊張が走る。

 

「軽戦車で正面から仕掛けて来るなんて、如何言う積りでしょうか?」

 

「威力偵察でしょうか?」

 

向かって来る九五式軽戦車・ハ号5両とその随伴歩兵分隊を見て、優花里と華がそんな事を呟く。

 

「或いは何らかの囮………」

 

「如何するの、みぽりん?」

 

更にみほがそう推測を立てていると、沙織がそう尋ねて来る。

 

「………全車停止。相手が有効射程内に入り次第、各個に攻撃を開始して下さい。但し、周囲への警戒は怠らないで下さい」

 

「「「「「「「「「「了解っ!!」」」」」」」」」」

 

と、みほのそう言う指示が飛ぶと、大洗機甲部隊の面々は進軍を停止。

 

戦車チームの戦車の主砲・副砲が向かって来る九五式軽戦車・ハ号5両に向けられる。

 

歩兵部隊の中に居た砲兵部隊も、対戦車砲を装備していた者達が次々に設置を終えて照準を付ける。

 

「突撃ーっ!!」

 

「「「「「「「「「「うわああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」」」」」」」」」」

 

すると、気づかれた事を悟ったのか、知波単歩兵の1人がそう声を挙げたかと思うと、別の知波単歩兵が突撃ラッパを吹き鳴らし、知波単歩兵部隊は一斉に大洗機甲部隊に突撃を開始する!

 

「来ましたっ!」

 

「撃てっ!!」

 

「発砲開始ーっ!!」

 

優花里がそう声を挙げると、みほが砲撃命令を出し、砲兵部隊の中に居た明夫もそう声を挙げる。

 

戦車チームが一斉に砲撃を始め、砲兵部隊も榴弾砲や対戦車砲、野砲やカノン砲での攻撃を開始する。

 

「大洗の戦車や砲兵如きでは! 我々の戦意は止められない!!」

 

「我々は知波単学園の機甲部隊だ!」

 

「我等の勇気は奴等の比ではない!」

 

「必ず勝つ!」

 

「バンザーイッ!!」

 

「「「「「「「「「「バンザアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーイッ!!」」」」」」」」」」

 

しかし、九五式軽戦車に先駆けて進軍していた知波単歩兵部隊は、周囲に次々と砲弾や榴弾が降り注ぐのにも関わらず、万歳と叫びながら突撃を続行する。

 

「うおっ!? マジかよ!? 全然止まんねえぞっ!?」

 

「やれやれ、まるで舩坂 弘樹の大軍が襲って来てるみたいだな………」

 

「何ソレ? 怖い」

 

鷺澪がそう声を挙げると、圭一郎がまるで他人事の様にそう呟き、それを聞いていた了平が思わずそう声に出す。

 

「…………」

 

当の弘樹の耳にもその会話は聞こえて来ており、仏頂面に心外そうな様子が浮かんでいた。

 

「戦車の方を優先して攻撃して下さい!」

 

「了解した!」

 

と、そこでみほのそう言う指示が飛ぶと、エルヴィンが返事を返し、Ⅲ突が九五式軽戦車の1両に向かって発砲。

 

しかし、撃たれた九五式軽戦車は攻撃を読んでいたかの様に急に右へと転進。

 

Ⅲ突が放った砲弾は、先程まで九五式軽戦車が居た地面を抉る。

 

「クッ! 外れだと!!」

 

「なら、今度は私が!………」

 

エルヴィンが舌打ちをすると、優がそう声を挙げ、今度はクロムウェルが別の九五式軽戦車に向かって発砲する。

 

しかし、またも九五式軽戦車は攻撃を読んでいたかの様に急停止。

 

クロムウェルから放たれた砲弾は、本来ならば九五式軽戦車が居たであろう地点に命中し、土片を舞い上げた。

 

「!? かわされたっ!?」

 

「凄いっ!!」

 

「知波単機甲部隊は武装が貧弱でも、隊員達の練度はトップクラスだって話は本当だったんですね」

 

優が声を挙げると、沙織が思わずそう声を挙げ、優花里が次弾を装填しながらそんな事を言う。

 

とそこで、九五式軽戦車達が砲撃を開始。

 

37ミリ砲弾が次々と飛来し、大洗戦車チームとその周辺に展開していた大洗歩兵部隊に襲い掛かる。

 

「うおわっ!?」

 

「あぶねぇっ!?」

 

周囲で次々に起こる爆発に、大洗歩兵部隊は慌てる。

 

一方、大洗戦車チームの方に多数の砲弾が被弾するが、まだ距離が遠い為、37ミリ砲弾では深刻なダメージを与えるには至らない。

 

「キャアッ!」

 

「大丈夫! この距離なら装甲で問題無く防げます!」

 

「そもそも、旧日本軍の戦車は対戦車戦を想定していない車両が多いですからねえ」

 

車内に走る被弾の衝撃に沙織が悲鳴を挙げるが、みほが安心させる様にそう言い、優花里もそんな言葉を口にする。

 

だが、そこで………

 

輪形陣の後部に陣取っていたアヒルさんチームの八九式と随伴分隊のペンギンさん分隊の周辺に、背後から飛んで来た砲弾が着弾する。

 

「!?」

 

「何やっ!?」

 

ハッチから飛び出す様に姿を見せた典子と、八九式の近くに居た大河が慌てて後方を確認する。

 

「「「「「「「「「「うおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーっ!!」」」」」」」」」」

 

そこには、雄叫びを挙げて、着剣した小銃を手に突っ込んで来る知波単歩兵部隊と、その背後から迫って来る一式中戦車2両と一式砲戦車2両、二式砲戦車1両の姿が在った。

 

「! 背後よりも敵! 一式中戦車2両! 一式砲戦車2両! 二式砲戦車1両! 歩兵部隊多数!!」

 

「!!」

 

そう報告を受けて、みほもキューポラから姿を晒すと背後を振り返り、後方から迫って来る知波単機甲部隊を確認する。

 

「挟み撃ちにされました!」

 

「みほさん! 如何しますか!?」

 

優花里がそう叫ぶと、華がみほに指示を仰ぐ。

 

「! 正面の敵を突破します! 全車、パンツァーカイルの陣形を取って下さい! 但し! サンショウウオさんチームの位置は変えないで!!」

 

「「「「「「「了解っ!!」」」」」」」

 

みほは即座にそう指示を出し、大洗戦車チームはサンショウウオさんチームのクロムウェルを中心にしたまま、1番装甲が厚いカモさんチームのルノーB1bisを先頭にし、その両脇の右側にⅣ号、左側にⅢ突を据える。

 

更にⅢ突の左隣には38t。

 

Ⅳ号の右隣にM3リーで、更にそのM3リーの右隣に八九式を据えると言う、変則パンツァーカイルの陣形を取る。

 

「突撃するぞっ! 全軍着剣及び抜刀っ!!」

 

「!………」

 

歩兵総隊長の迫信もそう指示を出し、弘樹はくろがね四起の後部に備え付けられた機銃架に着く。

 

他の者達も着剣するか、軍刀を抜刀する。

 

「突撃ーっ!!」

 

「「「「「「「「「「うおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーっ!!」」」」」」」」」」

 

みほがそう指示すると、大洗機甲部隊は一斉に正面の5両の九五式軽戦車・ハ号とその随伴歩兵分隊達の知波単機甲部隊に突撃する。

 

「敵が来たぞーっ!!」

 

「俺は攻撃を行う!! 付いて来いっ!!」

 

「俺は防衛を行う!! この位置を保てーっ!!」

 

「お前等なんざ、恐るるに足らないぜぇっ!!」

 

「知波単学園、ココにありだーっ!!」

 

「勝利は我々のものだっ!!」

 

「敵の潜水艦を発見っ!!」

 

「「「「「「「「「「駄目だぁっ!!」」」」」」」」」」

 

それを迎え撃つ5両の九五式軽戦車・ハ号とその随伴歩兵分隊達の知波単機甲部隊。

 

九五式軽戦車の37ミリ砲と、随伴部隊の中に居た砲兵隊の九四式三十七粍砲の砲弾が次々と放たれる。

 

しかし、その殆どが先頭を行って居たルノーB1bisに命中するものの、60mmの正面装甲の前に弾かれる。

 

「キツツキで薙ぎ倒せぇーっ!!」

 

とそこで続いて、歩兵部隊が据え置いた九二式重機関銃での掃射を始める。

 

くろがね四起や一式装甲兵車に乗り込んでいた大洗歩兵部隊に、7.7ミリ弾が襲い掛かる!!

 

「うわっ!?」

 

「構うなっ! 突っ込めっ!!」

 

くろがね四起のフロントガラスを銃弾が貫通し、運転を担当していた地市が思わず声を挙げるが、機銃架に着いて居た弘樹がそう言い放ち、機銃を掃射する!

 

「「「「「うわあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーっ!!」」」」」」

 

知波単歩兵部隊員数名が薙ぎ払われる様に戦死判定を受ける!

 

他の大洗歩兵部隊員達も次々に機関銃での射撃、並びに手榴弾や火炎瓶の投擲を開始する!

 

「逃げろーっ!」

 

「隠れろーっ!」

 

コレは堪らないと思った知波単歩兵部隊は、大洗機甲部隊の進路を開ける様に逃げ出す。

 

「突破しますっ!!」

 

そこでみほの指示が飛び、大洗機甲部隊は一気にスピードアップ!

 

砲撃を続行する九五式軽戦車達を無視する様に突破した!

 

突破された5両の九五式軽戦車・ハ号とその随伴歩兵分隊達は追撃は行わず、そのまま式一中戦車2両、一式砲戦車2両、二式砲戦車1両とその随伴歩兵部隊と合流する。

 

「九五式1号より西総隊長へ。大洗は我等の部隊を突破し、西へ向かって移動中です」

 

『了解………流石ね。挟み撃ちにされても冷静さを失わずに戦力が薄い方に突破を掛けるとはね』

 

とそこで、九五式軽戦車1両の車長が、絹代にそう通信を送る。

 

『本当に良い指揮官だわ………けど、それが大洗の最大の弱点よ。それじゃあ、手筈通りにお願いね』

 

「ハッ! 了解しました!!」

 

絹代との通信を終えると、知波単機甲部隊の面々は、移動を開始するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させていただきました。

知波単機甲部隊の切り札………
三式中戦車改、三式砲戦車、四式中戦車、五式中戦車が登場です。
更に五式は幻の88ミリ砲搭載型!

そして開始された練習試合。
知波単機甲部隊の初手を凌ぐ大洗機甲部隊。
しかし、絹代は大洗機甲部隊の弱点を衝く作戦に出るのだった。

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。
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