ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース   作:宇宙刑事ブルーノア

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第74話『第5回戦、始まります!』

『ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース』

 

第74話『第5回戦、始まります!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

謎の計画を進めるプラウダ&ツァーリ機甲部隊………

 

みほを黒森峰、西住流に引き戻すか、勘当すると宣告する西住 しほ………

 

ギクシャクする優花里と白狼………

 

サンショウウウオさんチームを目の仇にする近藤 里歌………

 

突如姿を消した弘樹………

 

様々な出来事が巻き起こる中………

 

遂に………

 

試合の日が訪れた………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦車道・歩兵道全国大会、第5回戦………

 

大洗機甲部隊VSプラウダ&ツァーリ機甲部隊の試合会場………

 

北緯50度を超えた、雪の降り頻る夜の雪原………

 

大洗機甲部隊のスタート地点にて………

 

「さぶっ! マジ寒いんだけど~!」

 

「北緯50度を超えてますからね………」

 

「こんな中で戦うのかよ………」

 

余りの寒さに沙織がそう零すと、楓と地市がそう言い合う。

 

「各戦車の履帯は冬季用履帯に換装してるのだね」

 

「ラジエーターにも不凍液を入れてあります。雪中戦でも問題無い筈です」

 

履帯が冬季用履帯に換装されている各戦車を見ながら迫信がそう言い、清十郎が補足する様にそう報告する。

 

皆、試合開始時間が来るまで思い思いに待機しており、ウサギさんチームとハムスターさん分隊の面々は雪合戦に興じている。

 

また、カバさんチームはまるで雪祭りに出展できそうな程の精巧な雪像の武将を作っている。

 

しかし、その大洗機甲部隊の中に、舩坂 弘樹の姿は無い………

 

「…………」

 

弘樹の居ない大洗機甲部隊の様子を、不安げな表情で見ているみほ。

 

「みほさん………」

 

「大丈夫、華さん………舩坂くんは来る………きっと来てくれる」

 

華が心配そうに声を掛けるが、みほは気丈そうにそう返す。

 

(ああ、西住殿が大変だと言う時に………舩坂殿は一体何をやっているのでありますか!)

 

そんなみほに代わる様に、内心でやきもきしている、みほの件を知っている優花里。

 

と、その時………

 

大洗機甲部隊の元へ、2台の車両が近づいて来る。

 

1台は、ソ連が開発した自走式多連装ロケット砲『カチューシャ』

 

もう1台は、同じくソ連製の軍用輸送車両『GAZ-AA』である。

 

2台は共に大洗機甲部隊が待機している場所の手前の方で停止したかと思うと、カチューシャからは2人のプラウダ女子、GAZ-AAからは3人のツァーリ男子が出て来た。

 

「あ!」

 

「誰?」

 

その5人組の姿を確認した優花里と沙織が声を挙げる。

 

「! アレは………プラウダ&ツァーリ機甲部隊の総隊長と副総隊長。それに歩兵部隊の………」

 

「『地吹雪のカチューシャ』と『ブリザードのノンナ』ですね」

 

「聞いただけ寒くなりそうな渾名だな………」

 

みほがそう言い、優花里が2人の渾名を言うと、地市がそんな事を言う。

 

「歩兵の3人は………『カイザーハウンド』ピョートル………『ブラックハウンド』マーティン………そして『フレイムハウンド』デミトリか………」

 

「全員猟犬って渾名かよ………俺達は獲物か?」

 

十河が歩兵3人の名を挙げると、俊がそうツッコミを入れる。

 

5人は大洗機甲部隊から少し離れた位置で立ち止まり、大洗機甲部隊を見回す。

 

「………フ、フフフ………アハハハハハハッ! このカチューシャを笑わせる為にこんな部隊編成にしたのね! ねえ!」

 

そこで、突如としてカチューシャが笑い声を挙げてそう言い放つ。

 

「アハハハッ! 全くだぜ!!」

 

「大洗だけに、大笑いってか!? ハハハハハッ!!」

 

更にピョートルとマーティンも、露骨に馬鹿にした様子で笑い始める。

 

「! 何やとぉっ!!」

 

「まあ、実際僕達の部隊規模は、他校と比べてかなり小規模な上、弱小ですからね………」

 

大河が怒りの声を挙げるが、飛彗は最もな指摘であると言う。

 

「やあやあ、カチューシャ。よろしく。大洗女子学園生徒会長の角谷だ」

 

「同じく、大洗国際男子校の生徒会長、神大 迫信だ。以後、お見知りおきを」

 

とそこで、杏と迫信がカチューシャの前に出てそう言う。

 

その後ろには、桃と熾龍が控えている。

 

「今日はお手柔らかにね」

 

そう言って杏は少し屈みこんでカチューシャに握手を求める。

 

「………ノンナ!」

 

すると、カチューシャがノンナの事を呼んだかと思うと、ノンナはカチューシャを肩車した。

 

「えっ?」

 

「おやおや………」

 

唖然とする杏と、愉快そうな表情を広げた扇子で隠す迫信。

 

「貴方達はね! 全てがカチューシャより下なの! 戦車も技術も身長もね!」

 

杏と迫信、引いては大洗機甲部隊の面々を見下しながらカチューシャはそう言い放つ。

 

「………肩車してるじゃないか」

 

「ガキのする事だな………」

 

その光景を見て、桃がそうツッコミを入れ、熾龍が毒舌を吐く。

 

「! 聞こえたわよ! よくもカチューシャを侮辱したわね! 粛清してやる!!」

 

と、それが聞こえたカチューシャは、大洗機甲部隊の面々を指差し、そう宣言する。

 

「それは俺達の業界じゃご褒美だぜ!」

 

「了平………幾ら友達でも、警察に通報しますよ」

 

その言葉を聞いてそんな事を言う了平と、そんな了平に容赦無いツッコミを入れる楓。

 

「な、何かピョートルみたいに変なのが居るわね………」

 

「失礼だな、姉ちゃん。俺はロリに興味は無い」

 

「何を言っている、貴様は」

 

そんな了平を見たカチューシャがそう呟き、ピョートルがそう返すと、デミトリが呆れた様子でツッコミを入れる。

 

「って言うか、あの人、カチューシャさんの弟さんだったんだ………」

 

「身長的には逆に見えるがな………」

 

清十郎がそう呟くと、それを聞いていた麻子もそう呟く。

 

とそこで、カチューシャは視界に、みほの姿を捉える。

 

「アラ? 西住流の………」

 

「あ………」

 

「去年はありがとう。貴方のお蔭で私達、優勝出来たわ。今年もよろしくね、家元さん」

 

「!………」

 

カチューシャの言葉に、みほの身体が一瞬震える。

 

何時もならば弘樹が睨み付けるが、生憎と今回は不在………

 

今はみほを守るモノはなかった………

 

「………そこまでにしておけ」

 

と、そこでそう言う台詞と共に、シャッコーがカチューシャとノンナの前に立ちはだかった。

 

「ふえっ!? な、何よ、アンタッ!?」

 

シャッコーの姿を見て仰天するカチューシャ。

 

身長2メートル30センチを誇るシャッコーは、長身のノンナに肩車されたカチューシャよりも更に大きく、カチューシャは思わず軽く仰け反る。

 

と………

 

「!?」

 

シャッコーの姿を見たノンナが驚きを露わにし、思わずカチューシャの足を抑えていた手が緩まる。

 

「!? キャアッ!?」

 

「同志っ!!」

 

仰け反っていたカチューシャは落下しそうになったが、間一髪デミトリが支える。

 

「あ、ありがとう………ちょっと、ノンナ! 如何したのよ!!」

 

デミトリにお礼を言いつつ、ノンナを叱りつけるカチューシャ。

 

「………ル・シャッコ」

 

しかし、ノンナはカチューシャの言葉が届いていないのか、シャッコーを見ながらそう呟く。

 

「人違いだ。俺はルダ・シャッコーだ」

 

「イズヴィニーチェ………貴方の様な方にも会えると………感激です」

 

シャッコーがそう返すと、ノンナは流暢なロシア語で謝罪しながらそんな事を言う。

 

「ところで………舩坂 弘樹は何処ですか?」

 

「えっ!?………」

 

「ちょっと、ノンナ。またなの?」

 

そこでノンナが弘樹は何処だと尋ねると、みほが驚きの声を挙げ、カチューシャが不満そうにノンナに肩車し直す。

 

「生憎、今はちょっと外していてね………」

 

「そうですか………是非1度お会いしたかったのですが………」

 

「ノンナ。そんなに気になるワケ? 英霊の子孫とかいう奴が」

 

不在を知られない様に迫信がそう言うと、ノンナは残念そうな顔をし、カチューシャがまたも不満そうにそう言う。

 

「ええ………だって、素敵じゃないですか、あの方」

 

「!?」

 

「何ですって!」

 

「オイ、ノンナ。本気か?」

 

ノンナがサラッとそう言い放つと、みほが驚愕し、カチューシャが怒りの声を挙げ、デミトリもまさかと言う表情をする。

 

「素敵って………舩坂くん、みぽりんとノンナさんでまさかの三角関係!?」

 

「まあっ!?」

 

「そんな!? まさか!?」

 

沙織、華、優花里も驚きを露わにしており、大洗機甲部隊の面々もざわめき立つ。

 

「ええ、本気ですよ………だって、『キリコ・キュービィー』にソックリですから」

 

とそこで、ノンナは更にそう言い放った。

 

「ハッ?………」

 

「キリコ?………」

 

「キュービィー?………」

 

「誰っ?」

 

その言葉にカチューシャ、みほ、デミトリが首を傾げ、沙織がそう呟く。

 

「キリコ・キュービィーですよ! 知らないんですか!? あの『装甲騎兵ボトムズ』の!!」

 

するとノンナは、それまで余り喋っていなかった為、渾名も相まってクールそうに見えていたのをかなぐり捨て、熱弁する様にそう言い出す。

 

「装甲騎兵ボトムズ?」

 

「あ! 知ってる! 確かロボットアニメの!」

 

「リアルロボットアニメの頂点って言われている作品だな………熱心なファンは多いが、結構マニアックな作品だぜ」

 

華が首を傾げると、アニメ好きの桂利奈と、実は隠れロボットアニメファンの圭一郎がそう言う。

 

「ロボットアニメって………普通、ガンダムだろ」

 

半ば呆れた様子でマーティンがそう言う。

 

「ガンダム?………ああ、アムロとシャアが戦うやつですか」

 

「いや、ざっくりし過ぎ」

 

メジャーな作品なのに、ざっくりとした感じしか知らない様子のノンナに、ピョートルがそうツッコミを入れる。

 

「じゃあ、エヴァは?」

 

「綾波が可愛い」

 

「………マクロス」

 

「何か歌うやつですよね?」

 

「………ギアス」

 

「何です、ソレ?」

 

次々に有名どころなロボットアニメを上げるマーティンだが、ノンナからは興味無さ気な認識が返って来る。

 

「じゃあ………ボトムズ」

 

「アストラギウス銀河を二分するギルガメスとバララントの陣営は互いに軍を形成し、最早開戦の理由など誰も分からなくなった銀河規模の戦争を100年間継続していた。その『百年戦争』の末期、ギルガメス軍の一兵士だった主人公『キリコ・キュービィー』は、味方の基地を強襲するという不可解な作戦に参加させられる。作戦中、キリコは『素体』と呼ばれるギルガメス軍最高機密を目にした為、軍から追われる身となり、町から町へ、星から星へと幾多の『戦場』を放浪する。その逃走と戦いの中で、陰謀の闇を突きとめ、やがては自身の出生に関わる更なる謎の核心に迫っていく」

 

と、ボトムズの名が出た途端に、ノンナは表情を引き締め、詳しく正確なストーリーをスラスラと言い上げた。

 

「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」

 

その場が一瞬の沈黙に包まれたかと思うと………

 

「「「「「「「「「「ゲホッ! ゴホッ!」」」」」」」」」」

 

ノンナと一部のメンバーを除いた全員が………

 

むせる

 

「あ、アンタ………相当な最低野郎だな」

 

「バリショーェ スパシーバ」

 

圭一郎が米神に冷や汗を浮かべてそう言うと、ノンナは良い笑顔と流暢なロシア語でお礼を言う。

 

「も、もう良いわ! 行くわよ!!」

 

と、もう付いて行けなくなったのか、カチューシャがそう言い放ち、強引にその場を去ろうとする。

 

「あ! 姉ちゃん、待てよ!」

 

「失礼します………」

 

「邪魔したな………」

 

「じゃあね! ピロシキ~」

 

「ダ スヴィダーニィヤ」

 

ピョートル、マーティン、デミトリがそう言って背を向けると、ノンナに肩車されたままだったカチューシャもそう言い、ノンナが流暢なロシア語で別れを告げて踵を返した。

 

「………さっきの言葉には驚かされたぞ」

 

と、車へと戻る途中、デミトリがノンナにそう言う。

 

「妬いてるんですか?」

 

「少しな………」

 

ノンナがそう返すと、デミトリはそう答える。

 

「心配しないで。キリコ・キュービィーは飽く迄憧れの存在よ。私のリュビームィ パリンは………貴方だけよ」

 

「ノンナ………」

 

見つめ合うノンナとデミトリ。

 

如何やらこの2人………特別な関係の様である。

 

「ちょっと、ノンナ! デミトリ! 私が居るのを忘れてイチャつくのは止めなさい!」

 

と、肩車されたままだったカチューシャがそう抗議する。

 

「と、申し訳ありません、同志カチューシャ」

 

「イズヴィニーチェ」

 

「あ~、何かムカつくわね! この怒り! 全部アイツ等にぶつけてやるわ!!」

 

2人が謝罪すると、カチューシャは怒りの矛先を大洗機甲部隊へと向けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

観客席近くの小高い丘の上………

 

『さあ、間も無く試合開始の時刻となります! 本日の対戦カードは、今大会1のダークホース・大洗機甲部隊と、昨年黒森峰を破って日本1に輝いたプラウダ&ツァーリ機甲部隊です!!』

 

『プラウダ&ツァーリ機甲部隊にとって雪中は最も得意とするバトルフィールド。今回も大洗機甲部隊側が不利ですが、それで終わらないのが大洗の長所。またどんな試合を見せてくれるのか、楽しみです』

 

「この寒さ………プラウダより圧倒的に劣る車両………ツァーリよりも遥かに少ない歩兵部隊………コレで如何やって勝つ積りでしょう?」

 

丘の上に陣取って試合の様子を見ているグロリアーナ&ブリティッシュ機甲部隊の面々の中で、オレンジペコがそう言う。

 

「確かに、大洗機甲部隊にとって有利な要素は何1つとしてない………だが、それを覆すのが大洗機甲部隊の戦いだ」

 

そんなオレンジペコに向かって、アールグレイがそう言う。

 

「その通り………追い詰められてからの爆発力………それが大洗機甲部隊の恐ろしいところよ」

 

ダージリンも雪が降りしきる中、優雅に紅茶を飲みながらそう言う。

 

「でも、今回は流石に………」

 

「ヘイ、ペコ。試合の結果なんてやってみなければ分からんさ。それに、戦力の差なんて、案外簡単に覆せるものだよ」

 

と、尚も不安そうな声を挙げたペコに、聖ブリティッシュ男子校の制服姿で、腰にクレイモアを帯剣している男子生徒がそう言う。

 

「ジャスパーさん………」

 

オレンジペコが、その男子生徒をジャスパーと呼んだかと思うと………

 

「失礼。御一緒させて貰っても宜しいかな?」

 

とそこで、グロリアーナ&ブリティッシュ機甲部隊の面々にそう声が掛けられたかと思うと、堅固を先頭に、琥珀、瑪瑙、瑠璃の鉱関機甲部隊の面々が現れる。

 

「! 金剛崎 堅固………」

 

「まあ、瑪瑙さん」

 

鉱関機甲部隊の面々の登場に軽く驚きを現すアールグレイとダージリン。

 

「ああ、3回戦でパシフィックに逆転負けした鉱関機甲部隊の連中か」

 

すると、ジャスパーが堅固達に向かってバッサリとそう言い放つ。

 

「「「「…………」」」」

 

途端の堅固達は落ち込んだ様子を見せる。

 

「ジャスパーさん!」

 

「? 何だい?」

 

オレンジペコがジャスパーを叱りつけるが、ジャスパーは叱られている理由が分かってない様子である。

 

「戦友が失礼をした………」

 

「ゴメンなさいね」

 

「いや、良い………」

 

「負けたのは事実だからね………」

 

アールグレイとダージリンが代わって謝罪すると、堅固と瑪瑙はまだ若干引き摺っている様な様子を見せながらもそう返す。

 

 

 

 

 

その後、堅固達の分の席と紅茶が用意され、ダージリン達と共に試合の観戦を始める。

 

「それにしても、大洗機甲部隊も人気が出て来ましたね」

 

大洗側の応援席に、人が溢れているのを見て、琥珀がそう呟く。

 

「サンショウウオさんチームの知名度も上がってるしね」

 

その大洗側の応援席に、如何にもサンショウウオさんチームのファンと思わしき観客が居るのを見て、瑠璃もそう言う。

 

「曲りなりにもココまで勝ち抜いて来たからな………」

 

「さっき向こうの方で、天竺とジョロキア、サンダースとカーネル、アンチィオとピッツァ、パシフィックの連中達が居るのを見たぜ。地走の連中が野次ってるのもな」

 

アールグレイがそう言うと、堅固が此処に来るまでに大洗が今まで戦って来た機甲部隊の面々が居た事を告げる。

 

「そうそう。黒森峰の人達も居たわ」

 

「黒森峰の?」

 

瑪瑙がそう言うと、オレンジペコが反応する。

 

「ええ、総隊長の西住 まほと歩兵総隊長の梶 都草………あと、何か矢鱈と張り切って応援してるカエルみたいな子も居たわね」

 

最後に挙げた誰かがピンポイントで思い当たる………

 

「それと、西住 しほ師範の姿も在ったわ」

 

「西住師範が………」

 

それをダージリンが何やら思い悩む様な顔をする。

 

「如何した? ダージリン?」

 

「ちょっと………嫌な感じがしましてね………」

 

アールグレイが尋ねると、ダージリンは意味有り気な顔でそう返す。

 

「~~♪~~~♪」

 

そしてそんな中、1人マイペースでバグパイプの練習をしているジャスパーだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いよいよ、弘樹が不在のまま試合開始の時刻となる中………

 

みほは大洗機甲部隊の一同を集めて、最後の作戦を伝え始める。

 

「兎に角、相手の部隊規模に呑まれない様に、冷静に行動して下さい。フラッグ車を守りつつ、ゆっくりと前進して、先ず相手の出方を見ましょう」

 

「ゆっくりも良いが………ココは一気に攻めたら如何だろう?」

 

すると、カエサルからそんな意見が挙がる。

 

「えっ?」

 

「うむ」

 

「妙案だ」

 

「先手必勝ぜよ」

 

みほが戸惑っていると、左衛門佐、エルヴィン、おりょうからも同意の声が挙がる。

 

「気持ちは分かりますが、リスクが………」

 

「大丈夫ですよ!」

 

「私もそう思います!」

 

「勢いは大事です!」

 

「是非、クイックアタックで!」

 

リスクが高いと言おうとしたみほだったが、アヒルさんチームからもそう声が挙がる。

 

「俺達だって曲りなりにもココまで勝ち抜いて来たんだ!」

 

「そうそう!」

 

「負けるワケないっての!」

 

「それに相手は俺達の事を舐めてますぜ!」

 

「おう! ギャフンと言わせたろやないけ!!」

 

磐渡、重音、鷺澪、海音、豹詑からもそう声が挙がる。

 

「よし、それで決まりだな」

 

「勢いも大切ですもんね」

 

「今回のフィールドは敵にとって有利だ。長引かせては不利になるだけだ」

 

桃、柚子、十河がそう言い、その場を纏めようとする。

 

「…………」

 

皆のその様子に悩む様な様子を見せるみほ。

 

「待ちたまえ、諸君。確かに、我々は今好調ではあるが………」

 

と、迫信が何かを言うとしたその瞬間………

 

「………分かりました。一気に攻めます!」

 

みほが決断した様子でそう言った。

 

「! 西住くん」

 

「良いんですか?」

 

それを聞いた迫信が珍しく驚きを露わにし、優花里もそう声を挙げる。

 

「慎重に行く作戦だったんじゃ………」

 

「神居さんの言う通り、長引けば雪上での戦いに慣れている向こうの方が有利にかも知れないですし………それに、皆が勢いに乗ってるんだったら」

 

華が心配そうにそう言うと、みほはそう返す。

 

「孫子も言っているしな。『兵は拙速になるを聞くも、未だ巧の久しきを観ず』。ダラダラ戦うのは国家国民の為に良くは無い。戦いはチャチャっと集中してやる方が良いーんだよ。ねっ、西住ちゃん」

 

「ハイ! 相手は強敵ですが、頑張りましょう!」

 

「「「「「「「「「「オオーッ!!」」」」」」」」」」

 

「「「「「「「「「「バンザーイッ!!」」」」」」」」」」

 

みほがそう呼び掛けると、大洗戦車部隊の面々は拳を突き上げ、歩兵部隊の皆は万歳を行う。

 

「…………」

 

そんな中で、迫信だけが一抹の不安を感じていた。

 

もし、この場に弘樹が居れば、こう叱咤していただろう………

 

『それは勢いではない! 只の慢心だ!!』

 

と………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させていただきました。

遂に始まった第5回戦。
しかし、弘樹は不在のまま………
更に、ココまでの試合をなまじ勝ち抜いて来た為に、メンバーの中に慢心が生まれていた。
果たして、試合は如何なるのか?

今回も最低野郎っぷりを見せたノンナさんですが………
これ、ノンナやない!
只のすみぺや!!(笑い)

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