ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース   作:宇宙刑事ブルーノア

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第84話『急降下爆撃です!』

『ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース』

 

第84話『急降下爆撃です!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大洗機甲部隊とプラウダ&ツァーリ機甲部隊は、互いに相手のフラッグ車に肉薄………

 

試合は、どちらが先にフラッグ車を撃破するかの勝負となった。

 

大洗歩兵部隊がツァーリ歩兵部隊を食い止めるが、みほ達は雪上を得意フィールドとするプラウダのフラッグ車を攻めあぐねる………

 

その間に、大洗のフラッグ車の護衛部隊は全滅………

 

フラッグ車も追い詰められる………

 

今度こそ絶体絶命かと思われたその時………

 

弘樹が支援要請を叫んだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第5回戦・試合会場………

 

北緯50度を超えた、雪の降り頻る雪原地帯………

 

雪原を逃げる大洗機甲部隊のフラッグ車、アヒルさんチームの八九式の側面至近距離に砲弾が着弾!

 

「「「「うわああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!?」」」」

 

衝撃で、八九式が傾く。

 

「重心移動ーっ!!」

 

「「「ハイッ!!」」」

 

しかし、典子達が車内で重心移動を行い、何とか持ち直す。

 

「次で仕留めます………」

 

とそこで、追撃して来ているプラウダ戦車部隊の中で、IS-2に乗って居るノンナが、照準器に八九式を捉えた状態でそう呟く。

 

「全く手古摺らせてくれてぇ! でも、もう御終いよ………やっぱり勝つのはカチューシャ達だったみたいね! ハッハッハッハッハッ!!」

 

勝利を確信し、ハッチから姿を晒していたカチューシャが高笑いを挙げる。

 

と、その時………

 

突如、上空から甲高い音が鳴り響いて来た!

 

「………えっ?」

 

一瞬何が起こったのか分からず、呆然となるカチューシャ。

 

音はドンドンと大きくなり、近づいて来る。

 

「コ、コレって………まさかっ!?」

 

そこでカチューシャの脳裏に嫌な推測が過り、真っ青な表情でバッと空を見上げる。

 

その視線の先には………

 

先程から聞こえて来ていた甲高い音と共に編隊を組んで急降下して来る複数の黒い影………

 

旧ドイツ空軍で運用されていた『ユンカース Ju87 シュトゥーカ』………

 

日本では『スツーカ』と呼ばれている、戦車の天敵………

 

『急降下爆撃機』の姿が在った!!

 

「!? 敵機来襲ーっ!!」

 

「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

 

カチューシャは反射的にそう叫び声を挙げ、ノンナを含めたプラウダ戦車部隊のメンバー全員が驚愕を露わにする!

 

その瞬間には、スツーカの編隊は次々に1トン爆弾を投下!

 

プラウダ戦車部隊の周辺で、次々に火柱が立ち上った!!

 

「「「「「「「「「「キャアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーッ!?」」」」」」」」」」

 

1トン爆弾が雨の様に降って来て爆発すると言う事態に、プラウダ戦車部隊の隊員達からは悲鳴が挙がる。

 

と、1発の1トン爆弾が、IS-3の砲塔天板を直撃!!

 

IS-3から派手に火柱が立ち上ったかと思うと、一瞬の間が有って、砲塔上部から白旗が上がった。

 

「!? IS-3が!?」

 

と、カチューシャがそう叫ぶと、今度はSU-76とSU-85を直撃弾が襲い、撃破を示す白旗が上がる。

 

更に、ISU-122が至近弾を受けて横転し、動けなくなったところで空を向いていた側面に1トン爆弾が直撃!

 

履帯と転輪が全て弾け飛び、雪上迷彩の白い塗装が焼け焦げて真っ黒となった状態で白旗を上げる。

 

「クウッ! 支援要請! 航空部隊、直ちに出撃! 上空の敵機を撃墜しなさいっ!!」

 

そこで我に返ったカチューシャは、慌てて車内へ引っ込むと、通信機に向かって怒鳴る様にそう叫んだ。

 

航空部隊に戦闘機を出撃させ、制空権を確保させる積りの様である。

 

しかし………

 

『こちら航空部隊! 出撃には1時間は掛かりますっ!!』

 

通信先の相手………プラウダ&ツァーリの航空部隊からはそう言う返事が返って来る。

 

「ハアッ!? 何言ってるのっ!? コッチが全滅しそうなのよ!!」

 

『カ、カチューシャ総隊長が………今回の試合で航空部隊を使う事はないから、無駄な燃料は全て機体から抜いて、隊員達にも暇を出しておけと仰られたので………』

 

カチューシャが再度怒鳴ると、航空部隊の隊員からはそう返す。

 

如何やら、またもプラウダ&ツァーリの慢心が支障を出した様である。

 

「何よ! 私のせいだって言うの!? 何だって良いから、兎に角すぐに航空部隊を!!………」

 

と、カチューシャがそう言い掛けた瞬間!!

 

ドゴーンッ!!と言う砲撃音が聞こえて来たかと思うと、続いて爆発音が聞こえて来た!

 

「!?」

 

慌ててカチューシャは通信機を放り、再びハッチから出て状況を確認する。

 

そこには、エンジン部から炎を上げて撃破されているSU-76の姿が在った。

 

良く見れば、炎を上げているエンジン部の装甲を、何かが貫いた後が有る。

 

そこで、すぐ頭上を風切り音が通り過ぎて行く。

 

「!?」

 

カチューシャが上を見上げると、そこには………

 

信じられないくらいの低空を飛びながら、両翼の下に取り付けてある37ミリ機関砲で次々にプラウダ戦車部隊の戦車を屠っているスツーカ………

 

『Ju87 G-1』………

 

『大砲鳥(カノーネンフォーゲル)』と呼ばれた機体の姿が在った!

 

「ハハハハハハッ! 実に痛快だな! やはりイワン共の戦車が壊れる様は実に素晴らしい!!」

 

その操縦席に座る男が、眼下にて黒煙と白旗を上げているプラウダ戦車部隊の戦車の姿を見て、『心底愉快そうな良い笑顔』でそう言い放つ。

 

「隊長。相手はイワンじゃなくてプラウダですよ」

 

と、後部座席である機銃座に座っていた男が、パイロットの男にそうツッコミを入れる様に言うが………

 

「イワンの戦車を使う奴は皆イワンだ!」

 

パイロットの男はドヤ顔でそう言い返した。

 

「ハアア~~、全く………」

 

機銃座の男は呆れる様に溜息を吐く。

 

「むっ! あんな所にもイワンが居たか! ココで在ったが百年目!! ご先祖様の時と同じ様に、今日をスターリンにとって最悪の日にしてくれる!!」

 

「スターリンはとっくに亡くなってま………!? うおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーっ!?」

 

またも機銃座の男がツッコミを入れようとしたが、それよりも先にパイロットの男が急旋回をした為、Gで悶えるのだった。

 

「た、退避ーっ!!」

 

カチューシャの号令が飛び、残っていたプラウダ戦車部隊の戦車達は方々に逃げ回る。

 

最早、大洗のフラッグ車を追跡するどころではなかった。

 

「た、助かったの?」

 

「あの飛行機………一体何処から?」

 

その様子を、八九式の砲塔にあるハッチ越しに見ていたあけびと典子がそう言い合うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

廃村地帯の森の中………

 

「うがあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!!」

 

「!? ゴボアッ!?」

 

ニキータのタックルを真面に受けてしまい、ブッ飛ばされる大河。

 

「ゴハッ!?」

 

「うおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーっ!!」

 

大河は雪の上に倒れたかと思うと、ニキータは追撃とばかりに足で大河の胸を踏みつける!

 

「ガッ!?………」

 

「うがあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!!」

 

そのまま足に体重を掛けつつ、グリグリと左右に動かすニキータ。

 

「ゴ………ア………ガ………」

 

まるで象にでも踏まれているかの様な感覚が襲い掛かり、大河の意識が徐々に遠くなって行く。

 

「ガ………ハ………」

 

しかし、そんな中でも、大河は手を伸ばすと、手の中に雪を握る。

 

「うおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーっ!!」

 

ニキータはトドメとばかり足を振り上げ、大河目掛けて振り下ろそうとする。

 

「調子に………乗んなやぁっ!!」

 

とそこで、大河は手に握っていた雪を、ニキータの顔目掛けて投げつけた!

 

「!? うがあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!?」

 

雪が諸に目に入り、視界を失うニキータ!

 

「うおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーっ!!」

 

それでも大河を近寄らせまいと、ブンブンと腕を振り回す。

 

しかし、一向に手応えが無いどころか、近くに居る筈の大河の気配が感じ取れなくなる。

 

「!??!」

 

ニキータはワケが分からず、軽く混乱した様子を見せる。

 

やがて、漸く目が見えて来て、改めて周りを見る。

 

すると、大河の姿は何処にも無かった………

 

「うがっ?………」

 

消えた大河を探す様に、ニキータは周りをキョロキョロとし出す。

 

が、やはり大河の姿は何処にも見えない………

 

「がうう………」

 

逃げたのかと思い、ニキータの身体から一瞬力が抜ける。

 

と、その瞬間!!

 

『何か』が上から落ちて来て、ニキータに肩車する様に乗っかった!!

 

「!?」

 

「貰ったでぇっ!!」

 

驚くニキータに『何か』………大河はそのまま、リバースフランケンシュタイナーを掛ける!!

 

「!? うがあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!!」

 

脳天を地面に思いっきり叩き付けられるニキータ!

 

「どうやっ!?」

 

技を掛けた後、一旦距離を取った大河がそう言い放つ。

 

すると………

 

「うおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーっ!!」

 

ニキータは雪を撒き散らしながら立ち上がる!

 

「! アカン! 何ちゅータフさや!?」

 

脳天から地面に叩き付けられたと言うのに、意にも介さず起き上がったニキータの姿を見て、大河は思わずそう言う。

 

「うがあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!!」

 

ニキータは咆哮を挙げ、大河に向かって突撃して来る!

 

「!?」

 

身構える大河。

 

しかし………

 

「!? うがっ!?」

 

突如ニキータの足がフラつき、進路がズレて大河から逸れると、脇に在った大木の幹に頭から突っ込む!

 

「!?」

 

大河は驚きながらニキータの方を振り返る。

 

「うおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーっ!!」

 

ぶつけた際に切ったのか、頭から流血しながら咆哮を挙げて、大河に向き直るニキータ。

 

「うが………」

 

だが、またも足元がフラ付く………

 

「! 効いとる!!」

 

如何やら、先程のリバースフランケンシュタイナーは効いていた様である。

 

脳震盪を起こしかけているニキータは、足元が覚束ない。

 

「なら、もう1撃加えたらぁっ!!」

 

大河はそう叫ぶと、ニキータに突撃し、正面から腰の辺りに組み付く!

 

「! うがあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!!」

 

ニキータは当然、大河を振り解こうとその背に肘打ちを打ち込む。

 

「グググググググ………」

 

しかし、大河は歯を食いしばってそれに耐えつつ、ニキータを持ち上げようとする。

 

だが、その巨体に見合った体重を誇るニキータは中々持ち上がらない………

 

「うおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーっ!!」

 

その間にも、ニキータは大河の背に次々と肘打ちを喰らわせる。

 

「ぐうううううう………」

 

それでも大河は離れず、全ての力を振り絞る。

 

「うがあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!!」

 

と、そこでニキータは、両手を組んでのハンマーパンチを、大河の背に見舞った!!

 

「!?………」

 

ハンマーパンチを受けた大河が、膝から崩れる………

 

「ふふ~ん………」

 

それを見て得意げな顔になるニキータ。

 

が、そこで!!

 

「まだやぁっ!!」

 

大河はグッと立ち上がり、再び力を籠め始める。

 

「!?」

 

ニキータが驚いた瞬間………

 

その巨体が、ゆっくりと持ち上がる。

 

「!? うおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーっ!!」

 

手足をバタバタとさせて暴れるニキータ。

 

「逃がさへんでぇ………」

 

しかし、大河はガッチリとホールドして離さない。

 

「受けてみぃっ! コレがワシの渾身の! バックドロップじゃあっ!!」

 

そしてそのまま、正面から抱えて落とす変形バックドロップを繰り出す!!

 

「!? うがあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!?」

 

ニキータは再度、地面に激しく頭を打ち付けられる!

 

「ハア………ハア………今度こそ終いやろ………」

 

肩で息をしながら、倒れているニキータから離れた大河がそう言い放つ。

 

………が!

 

「うおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーっ!!」

 

咆哮と共に、ニキータが起き上がる!

 

「!? んなアホなっ!?」

 

「うがあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!!」

 

驚愕する大河に向かって歩み寄るニキータ。

 

しかし………

 

「う………が………」

 

あと数歩と言う所で、ニキータはガクリと脱力し、そのまま雪の上に倒れ、戦死と判定された。

 

「ハア~………肝が冷えたでぇ………」

 

大河は冷や汗を拭いながらそう呟く。

 

そして、戦死判定を受けて気絶しているニキータから、逃げる様に去って行ったのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

廃村地帯の一角………

 

「おりゃあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!!」

 

「…………」

 

叫び声を挙げて、右手の手斧を振り下ろして来たピョートルに対し、熾龍は半身になってそれをかわす。

 

「もう1本有るぞ!!」

 

するとピョートルは、素早く左手の手斧を横薙ぎに振るう。

 

「…………」

 

だが熾龍は、それも鞘に入れたままの愛刀・戦獄で受け止める。

 

そして手斧を弾くと、そのまま鞘に入れたままの戦獄でピョートルの足を払う!

 

「うおっ!?」

 

足払いと言うには威力の有り過ぎる払い攻撃に、ピョートルの身体が一瞬浮き上がって逆さまになる!

 

「…………」

 

その瞬間に熾龍は抜刀し、逆さまになったピョートルを真っ二つにせんとばかりに横薙ぎを見舞う。

 

「!? コナクソォッ!!」

 

だが、そこは腐ってもツァーリ歩兵部隊のエース。

 

迫って来た戦獄の刃を手斧の刃で受け止め、その勢いを利用して態とブッ飛ばされる。

 

「グッ!………おりゃあっ!!」

 

そして、着地と同時に手斧の片方を、熾龍目掛けて投げつける。

 

「…………」

 

回転しながら飛んで来た手斧を、熾龍は戦獄で、難なく弾き飛ばす。

 

が、しかし!!

 

弾かれた筈の手斧が、まるでブーメランの様に軌道を変えて、再び熾龍へと向かった!

 

「………!」

 

一瞬驚きを示しながらも、宙返りをしてかわす熾龍。

 

「フッ! おりゃああっ!!」

 

と、そのまま手元に戻って来た手斧をキャッチすると、今度は2本同時に投擲するピョートル。

 

2本の手斧が、またもブーメランの様な軌道で、熾龍に向かって来る。

 

「奇妙な技だ………」

 

そう言いながら、身を反らして飛んで来た手斧をかわす熾龍。

 

「ハハハ! 無駄だ! そいつは当たるまで止まらんぞ!!」

 

だが、ピョートルの言った通り、外れた手斧は反転し、再び熾龍へと向かう。

 

「…………」

 

するとそこで、熾龍は戦獄を鞘に納めた。

 

「んん? 観念したのか? だったら、そのままやられちまえっ!!」

 

ピョートルがそう叫ぶ中、2本の手斧が回転しながら熾龍へと向かう。

 

「…………」

 

それに対し、熾龍は全く身じろぎせず、ただ堂々と仁王立ちをしている。

 

そして遂に、手斧が熾龍に命中する!

 

………かと思われた瞬間!!

 

「………!!」

 

熾龍の両手がバッと動いたかと思うと、手斧がキャッチされた!

 

「!? ん何ぃーっ!?」

 

驚愕の叫びを挙げるピョートル。

 

「んな馬鹿な!? 3年も掛けて編み出した妙技が!?」

 

「こんな下らん技に3年も掛けるとはな………」

 

信じられないと言う様なピョートルに向かって、熾龍はキャッチした手斧を投げつける!

 

手斧は回転しながら、元の主へと襲い掛かる!!

 

「!? うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーっ!!」

 

ピョートルは、ゲッダンの様な超人的な動きをして、飛んで来た手斧をかわす。

 

手斧はそのまま、ピョートルの背後に在った木の幹に突き刺さる。

 

「ハア………ハア………コノヤロウ!………!?」

 

息を切らしながら熾龍の方を見やったピョートルが見たものは………

 

「…………」

 

何時の間にか自分の眼前まで迫って来ていて、今まさに戦獄を居合いで抜かんとしている熾龍だった。

 

(落ち着け! 居合いは一撃必殺の技……逆に言えば、かわす事さえ出来れば相手は無防備になる! 何としてもかわすんだ!!)

 

そうピョートルが思考を巡らせた瞬間に、熾龍は戦獄を鞘から抜き放ち、そのままピョートルへと斬り掛かる。

 

(コイツをかわせば!!………)

 

ピョートルはボクシングのスウェーの様に、上半身を仰け反らせて、熾龍の居合いをかわそうとする。

 

迫って来る刃が、スローモーションの様に見える中、限界まで上半身を仰け反らせるピョートル。

 

(うおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーっ! かわせえええええええぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーっ!!)

 

心の中で叫びが挙がると、戦獄の刃は、ほぼ水平となっていたピョートルの鼻先1センチの辺りを掠めて外れる。

 

「かわした! 俺の勝ちだぁっ!!」

 

そう言う叫びと共に、ピョートルは上半身を起こしながら、ホルスターから抜き放ったトカレフTT-33を熾龍に向ける。

 

だが、その瞬間!!

 

「!? ぐえええっ!?」

 

ピョートルの脇腹に『何か』が当たり、衝撃で身体がくの字になりながら、悲鳴を挙げてトカレフTT-33を手放してしまう。

 

「さ、鞘?………」

 

その当たった『何か』を確認し、ピョートルがそう呟く。

 

そう………

 

脇腹に命中していたのは、戦獄を納めていた鞘だった。

 

刀と鞘を使った二段居合いである。

 

「テメェ………何処の飛天御剣流だ………」

 

「…………」

 

そんな事を言いながら倒れたピョートルに、熾龍は容赦無くトドメの1撃を見舞う!

 

「ガハッ!?………」

 

短く悲鳴を挙げ、ピョートルが気絶すると、戦死判定が下る。

 

「…………」

 

熾龍は汚れを払う様に1度戦獄を振ると、日本刀独特の音を立てて鞘へと納め、興味を亡くした様にピョートルに背を向けて去って行ったのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させていただきました。

お待たせしました!
空の魔王、満を持して登場です!
今回は活躍だけでしたので、正式な自己紹介は試合後になります。
楽しみにしていて下さい。

そして、大洗歩兵部隊も、大河が苦戦の末にニキータを………
熾龍は余裕でピョートルを破ります。

次回はサンショウウオさんチームとアリクイさんチームVSIS-1。
そして、飛彗VSデミトリの様子をお届けする予定です。

これからも、よろしくお願いします。

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