ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース   作:宇宙刑事ブルーノア

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第95話『スクールカーニバル・ウォーです!(女子学園サイド・パート5)』

『ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース』

 

第95話『スクールカーニバル・ウォーです!(女子学園サイド・パート5)』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

道に迷ってしまい、チンピラに絡まれてしまっていた346プロのニュージェネレーションズとプロデューサーを救出した弘樹とみほ。

 

プロデューサーが元歩兵道者と言う事も判明しながら、ニュージェネレーションズはサンショウウオさんチームと会合。

 

入念なリハーサルが行われる中、大洗歩兵部隊のメンバーは大洗男子校風紀委員達の応援も得ながら、会場の警備を固める。

 

そして遂に、ライブが開始される。

 

順調に進み、いよいよゲストであるニュージェネレーションズの紹介となろうとした瞬間!!

 

ライブ会場の外から、爆発音が響いて来たのだった!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大洗女子学園・戦車格納庫前の広場に設置された特設ライブ会場にて………

 

「何っ!? 今の音っ!?」

 

「爆発みたいだったぞっ!?」

 

「爆発っ!?」

 

「嫌っ! 怖いぃっ!!」

 

突然響いて来た爆発音に、観客達の間に動揺が走る。

 

「いけません! このままではパニックになります!」

 

「皆ーっ! 落ち着いてーっ!!」

 

優がそう言い、伊代が皆を落ち着かせようとするが、その声は届かない。

 

「な、何っ!? 何っ!?」

 

「何なのっ!?」

 

「あわわわわわっ!?」

 

「皆さん! 落ち着いて下さいっ!!」

 

混乱は舞台袖で控えていたニュージェネレーションズにも走っており、プロデューサーが落ち着かせようとしている。

 

「何があった! 状況報告っ!!」

 

そんな中で弘樹は、通信機を取るとすぐに警備に当たっている大洗歩兵部隊の面々に状況の報告を求めた。

 

『こここ、こちらワニさん分隊の水谷! しゅ、しゅしゅしゅ! 襲撃ですっ!!』

 

すると、ワニさん分隊の灰史よりそう報告が挙がる。

 

「襲撃だとっ!? 相手は何処の誰だっ!? 規模はっ!?」

 

『チ、チンピラと暴走族の様な連中です! 規模は少なくとも100人以上は居るかと!!』

 

(チンピラ? まさか報復に来たのか?)

 

続けての灰史の報告に、弘樹はニュージェネレーションズとプロデューサーを助けた際に追い払ったチンピラ達の事を思い出す。

 

「さっきの爆発もそいつ等の仕業か?」

 

『そ、そうです! 敵は! 敵は!!』

 

動揺しているのか言葉が吃る灰史。

 

「落ち着け! 正確に報告しろっ!!」

 

『て、敵は装甲車を保持っ!!』

 

「!? 何だとっ?………」

 

弘樹は目を軽く見開いたのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ライブ会場の外側………

 

「「「「「「「「「「ヒャッハーッ!!」」」」」」」」」」

 

改造バイクに跨り、鉄パイプやバールの様な物、釘バットや鎖等で武装した暴走族とチンピラ達が、世紀末的な雄叫びと共に土煙を挙げて突っ込んで来る。

 

「撃て撃てぇーっ!!」

 

それに対し、大洗歩兵部隊は機関銃を装備した歩兵達を前面に展開し、弾幕を張って迎え撃つ。

 

「ぎゃあっ!?」

 

「あべしっ!?」

 

「ひでぶっ!?」

 

銃弾が命中した暴走族とチンピラ達が、次々と改造バイクから落ちて地面に倒れて行く。

 

「チイッ! 吹っ飛ばしてやれっ!!」

 

とそこで、暴走族の1人がそう叫んだかと思うと………

 

後方から3台の車輌………

 

ナチスドイツの『Sd Kfz 234/4』が姿を現す。

 

「! 退避ーっ!!」

 

それを見た大洗歩兵部隊の面々が撤退を始めたところ、Sd Kfz 234/4の1台が、装備されていた『7.5cm PaK40』から榴弾を発射する。

 

「「「「「!? うわあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!?」」」」」

 

通常より大きな爆発が起こり、退避が遅れた大洗歩兵部隊の隊員数名が吹き飛ばされた!

 

「クソッ! 何で暴走族やチンピラが火砲付きの装甲車なんて持ってんだっ!?」

 

「大方、横流しされた物を不正入手したんだろ。オマケに色々と改造している様だな」

 

工兵達が急いで掘った簡易塹壕の中で頭を押さえながら地市がそう叫ぶと、Sd Kfz 234/4の様子を窺っていた大詔がそう推察する。

 

大詔の言葉通り、本来ならばオープントップ式で旋回しない筈のd Kfz 234/4の砲塔が、装甲で完全に覆われ、360度旋回する様になっていた。

 

「クウッ! こんな事なら、対戦車火器を用意しておくべきだったね!」

 

「今更言っても仕方が無いっす!」

 

同じく簡易塹壕に籠っていた武志がそう言うと、近くに居た正義がそう言い返す。

 

普段ならば、3輌の装甲車ぐらい何て事は無いが、今回はライブ会場の警備を担当していた為、余り観客に威圧感を与えてはならないと言う配慮から、武装の使用が小銃までと制限されていた。

 

その為、装甲目標であるSd Kfz 234/4に対し、有効な攻撃手段が無いのである。

 

「戦車チームの人達に連絡して、戦車を動かしてもらっては!?」

 

「駄目だ! 彼女達もライブ会場に居るんだぞ! それに戦車は今全部展示中で周りは来客だらけだ! すぐには動かせん!!」

 

勇武がそう声を挙げると、俊が即座にそう返す。

 

「ヒャッハーッ!!」

 

とそこで、Sd Kfz 234/4の1台からまたも世紀末的な声が響いて来たかと思うと、7.5cm PaK40が火を噴く。

 

「「「「「うわああああぁぁぁぁぁーーーーーーっ!?」」」」」

 

またも数名の大洗歩兵部隊の隊員が纏めて爆発で吹き飛ばされる。

 

「このぉっ!!」

 

竜真が塹壕から身を乗り出し、MG34でSd Kfz 234/4の1台を銃撃する。

 

しかし、銃弾はSd Kfz 234/4の装甲の前に全て弾かれる。

 

お返しとばかりに、Sd Kfz 234/4は7.5cm PaK40を発砲する!

 

「!? うわぁっ!?」

 

幸い直撃はしなかったが、衝撃で塹壕の中へ落ち込む竜真。

 

「竜真! 大丈夫デスか!?」

 

「だ、大丈夫………」

 

「やっぱり、対戦車火器がないと、太刀打ち出来ないよ………」

 

ジェームズが竜真を助け起こす中、光照が弱音を吐く様に呟く。

 

「良いぞーっ! このまま学園祭を滅茶苦茶にしてやれーっ!!」

 

「「「「「「「「「「ヒャッハーッ!!」」」」」」」」」」

 

チンピラの1人がそう声を挙げると、他のチンピラ達と暴走族達は三度、世紀末的な叫びを挙げるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ライブ会場・特設ステージの舞台袖………

 

「まさか装甲車を持っているとは………何たる事だ」

 

報告を聞いた弘樹は、苦々しげな表情を浮かべる。

 

「ど、如何なるんですかっ!?」

 

「まさか、ライブ中止っ!?」

 

「そんなっ!?………」

 

傍で聞いていた卯月、未央、凛にも動揺が走る。

 

「皆さん! 兎も角、一旦避難を………」

 

と、プロデューサーが一旦ニュージェネレーションズを避難させようとしたところ………

 

「皆あああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!! 話を聞いてええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーっ!!」

 

ステージ上に居た聖子が、声の限りにそう叫んだ!!

 

「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

 

「「「「「!!」」」」」

 

爆発音も掻き消さんばかりの余りの声の大きさに、観客達はおろか、舞台袖に居たニュージェネレーションズとプロデューサー、弘樹も聖子に注目する。

 

「ゼエ………ゼエ………ゼエ………ゼエ………」

 

相当無理をしたのか、息を切らせている聖子。

 

「聖子………」

 

「聖子ちゃん………」

 

「先輩………」

 

サンショウウオさんチームの面々も、聖子に視線を集めている。

 

「………!!」

 

やがて呼吸を整えた聖子は、顔を上げて観客席を見やる。

 

「ゴメンねー! 近くで歩兵部隊の人達が公開演習を初めたみたーい! ちょっと煩くなるかも知れないけど、私達のライブは爆発音如きに負けないよ~っ!!」

 

「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

 

それを聞いたサンショウウオさんチームとニュージェネレーションズ、プロデューサー、そして弘樹は驚きを露わにする。

 

「な~んだ、歩兵部隊の演習だったのか」

 

「ああ~、ビックリした………」

 

「けど、まあ、歩兵道や戦車道が有る学校の学園祭らしいよな」

 

歩兵部隊の演習と聞き、観客達は落ち着きを取り戻し、次々に席へと着き直して行く。

 

(ちょっと、聖子! 何を言ってるんです!?)

 

とそこで、優が聖子に耳打ちする。

 

(そんな予定なんかなかったよ。きっと何か有ったんだよ)

 

反対側からは、伊代もそう耳打ちする。

 

(大丈夫!)

 

だが、聖子は確信に満ち溢れた顔でそう言い放つ。

 

(きっと歩兵部隊の皆が何とかしてくれるよ!!)

 

(何とかって………)

 

(私はそう信じてる………だって、皆仲間だから!!)

 

何の根拠も無い只信じていると言うだけの気持ち………

 

しかし………

 

「………各部隊に通達。コチラ舩坂 弘樹」

 

その様子を見ていた弘樹は、再び通信機を取り、全歩兵隊員に通信を送る。

 

「ライブは続行。大洗歩兵部隊の全隊員は、襲撃者を全力を持って排除せよ。彼女達は我々を信じ、ライブの続行を宣言した。その期待を裏切るのは歩兵道者………いや、日本男児に在らず!」

 

『『『『『『『『『『!!』』』』』』』』』』

 

弘樹からのその通信を聞いた大洗歩兵部隊の隊員達に電流が走る。

 

「大洗の興廃、この一戦に在り! 各員一層奮励努力せよ!! 大洗万歳っ!!」

 

『『『『『『『『『『バンザーイッ!!』』』』』』』』』』

 

最後にはお馴染みの万歳コールが巻き起こる。

 

「………襲撃者は必ず排除します。貴方方はライブを続行して下さい」

 

そして弘樹は、ニュージェネレーションズの方を見てそう言う。

 

「「「…………」」」

 

一瞬何を言って良いか分からなくなるニュージェネレーションズだったが………

 

「………分かりました!!」

 

いの一番に、卯月がそう言う。

 

「! 卯月!?」

 

「しまむー!?」

 

「島村さん!?」

 

凛、未央、プロデューサーが驚きを示す。

 

「サンショウウオさんチームの皆さんは歩兵の皆さんを信じてます! だったら! 私達も信じます!」

 

しかし、卯月は一切迷いの無い瞳で笑みを浮かべ、そう言い放った。

 

「「…………」」

 

そんな卯月の姿を見て、凛と未央は顔を見合わせる。

 

「卯月がそう言うんなら………私も信じようかな」

 

「私も信じるよ! しまむー!」

 

やがて、共に笑顔を浮かべてそう言い放った。

 

「良いよね、プロデューサー?」

 

「それは………」

 

「プロデューサーさん!」

 

「プロデューサー!」

 

躊躇う様な様子を見せるプロデューサーに、卯月、凛、未央はその決意を固めて瞳を向ける。

 

「…………」

 

その瞳を見たプロデューサーは、右手を首の後ろへと当てる。

 

「………分かりました。皆さんの思う様にやって下さい」

 

そして、微笑を浮かべると、卯月達に向かってそう言った。

 

「! ありがとうございます!」

 

「うん………」

 

「よ~し! やるぞーっ!!」

 

「お願いします………では、失礼」

 

それを受けて、3人が喜んでいると、弘樹は襲撃者の迎撃へと向かう。

 

「さあ~! 改めてスペシャルゲストの紹介だよーっ!!」

 

そこで、ステージ上の聖子がそう観客に呼び掛け、観客達は歓声を挙げる。

 

「では! ニュージェネレーションズの皆さん! どうぞっ!!」

 

「………行くよ」

 

「ハイ!」

 

「おおうっ!!」

 

聖子がそう言った瞬間、凛、卯月、未央は互いの手を取り………

 

「「「フライ! ド! チキンっ!!」」」

 

3人揃って、ステージ上へ飛び出す様に登場するのだった。

 

「…………」

 

そんなニュージェネレーションズの3人の背中を見送るプロデューサー。

 

ニュージェネレーションズは、観客席から巻き起こる歓声に、笑顔で手を振って応えている。

 

「…………」

 

その様子を見て、プロデューサーは再び笑みを浮かべたかと思うと、何かを決意した様な表情となり、舞台袖から移動を始めたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ライブ会場の外側………

 

「大洗バンザーイッ!!」

 

「お寝んねしなーっ!」

 

「ハイ、サイナラーッ!!」

 

「俺は攻撃を行うっ!!」

 

「敵軍、前進中っ!!」

 

「敵軍部隊を発見っ!!」

 

「撃て撃てーっ! 撃ちまくれーっ!!」

 

「敵の潜水艦を発見!」

 

「「「「「「「「「「駄目だっ!!」」」」」」」」」」

 

弘樹から、サンショウウオさんチームがライブを続行したと報告を受けた大洗歩兵部隊の覚悟は決まり、全員の士気が急上昇!

 

押され気味だった戦線が、一気に逆転を始める。

 

「な、何だアイツ等!?」

 

「急に元気になりやがって!………!? ぎゃあっ!?」

 

そう声を挙げたチンピラの1人が、頭に銃弾を受けて倒れる。

 

「チキショーッ! 装甲車だ! 装甲車を前に出せぇっ!!」

 

と、暴走族の1人がそう言った瞬間、3台のSd Kfz 234/4が前に出て来る。

 

「! 装甲車が来るぞーっ!!」

 

「頑張れっ! 今対戦車兵達と砲兵達が対戦車火器と火砲を取り行っている! 戻って来るまで踏ん張るんだっ!!」

 

大洗歩兵部隊の中からそう声が挙がるが、その瞬間!!

 

「ヒャッハーッ!!」

 

世紀末的な叫びと共に、1台のSd Kfz 234/4が発砲!

 

「「「「「うおわああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!?」」」」」

 

またも数名の大洗歩兵隊員達が、纏めて吹っ飛ばされる!

 

「チイッ! やっぱキツイわ、コイツは!」

 

「弱音を吐くな!」

 

と、大河が思わずそう漏らした瞬間、そう言う台詞と共に、一〇〇式機関短銃を持った弘樹が、塹壕内に飛び込んで来た。

 

「! 弘樹!」

 

「状況は如何なっている?」

 

「チンピラや暴走族相手には押しとるが、あの装甲車が厄介や。今対戦車火器や火砲を取りに行っとるが………」

 

「分かった………援護しろ」

 

「!? 何やて!?」

 

状況を報告した途端にそう言って来た弘樹に大河が驚きの声を挙げた瞬間!

 

「…………」

 

弘樹は塹壕から飛び出し、3台のSd Kfz 234/4に突撃して行った!

 

「弘樹! ええい、あの命知らずっ! 援護やぁっ! 弘樹を援護せいっ!!」

 

大河がそう声を挙げると、大洗歩兵部隊は弘樹を援護する。

 

「何だぁ? 1人突っ込んで来るぞ?」

 

「命知らずの馬鹿野郎か! 構わねぇ、吹っ飛ばせっ!!」

 

3台のSd Kfz 234/4の内の1台に乗って居たチンピラ達が弘樹に気づき、7.5cm PaK40を向ける。

 

「…………」

 

しかし弘樹は、狙いを定められても構わずに突撃を続ける。

 

「死ねぇっ!!」

 

そして遂に!

 

7.5cm PaK40から砲弾が放たれる!!

 

「!!」

 

その瞬間に、弘樹は頭を伏せる!

 

砲弾は伏せた弘樹の頭上すぐ上を通り過ぎ、背後に着弾!

 

爆風で弘樹は吹き飛ばされ、前のめりに倒れる!

 

「………!!」

 

が、すぐに起き上がって、発砲して来たSd Kfz 234/4に更に突撃する!

 

「な、何だアイツは!?」

 

「化け物かっ!?」

 

撃たれても平然と立ち上がり、突撃を続行して来た弘樹の姿に、発砲したSd Kfz 234/4に乗って居たチンピラは恐れ戦く。

 

「………!」

 

直後、弘樹はそのSd Kfz 234/4に肉薄!

 

その車体の上に飛び乗ると、更に砲塔の上へと攀じ登り、銃剣を使ってハッチを抉じ開けようとする!

 

「うおおっ!?」

 

「取り付きやがったっ!?」

 

「コ、コイツだ! コイツが舩坂 弘樹だっ!!」

 

「何ぃっ!? あの『蘇った英霊』かよ!?」

 

ハッチを抉じ開けられそうになっているSd Kfz 234/4に乗って居るチンピラ達はパニックに陥る。

 

「コノヤロウッ!」

 

とそこで、別のSd Kfz 234/4が、ハッチを抉じ開けようとしている弘樹に7.5cm PaK40を向ける。

 

「!? 馬鹿! 止せっ!!」

 

「喰らえぇっ!!」

 

同じ車輌に搭乗していたチンピラが止めようとしたが、間に合わずに砲手のチンピラは発砲!

 

「!………」

 

直後に弘樹はSd Kfz 234/4から飛び降りる!

 

放たれた砲弾は、そのままSd Kfz 234/4を直撃した!!

 

「「「「ギャアアアアアッ!?」」」」

 

砲塔が吹き飛び、車体が宙に舞った後に横倒しとなったSd Kfz 234/4から、乗員のチンピラ達が投げ出される!

 

「!? し、しまった!?」

 

「馬鹿野郎! 同士討ちして如何するっ!!」

 

「今度はコッチに来るぞっ!!」

 

「!?」

 

同士討ちをしてしまったSd Kfz 234/4の乗員のチンピラ達が騒いでいると、弘樹は続いてそのSd Kfz 234/4に突撃して行く。

 

「う、うわあぁっ!?」

 

チンピラの1人が恐怖に顔を歪ませる。

 

だが、その瞬間!!

 

弘樹の足に、鎖が巻き付いた!

 

「!?」

 

「ヒャッハーッ!!」

 

その巻き付けた相手………改造バイクに乗った暴走族が、改造バイクを発進させる。

 

「! おわっ!?」

 

そのまま西部劇よろしく引き回しにされる弘樹。

 

「! 弘樹!!」

 

「クッソッ! ああ動かれたんじゃ、狙いが………」

 

慌てる大洗歩兵部隊の面々だったが、改造バイクは高速で走り回っており、狙いが定められず、かと言って塹壕から飛び出せばSd Kfz 234/4の7.5cm PaK40で逆に狙い撃ちにされてしまう。

 

「ぐうっ!」

 

足に巻き付いた鎖を掴む弘樹だが、それ以上は如何しようもなかった。

 

「ヒャッハーッ! 不死身の男もコレまでだなぁっ!!」

 

引き回している弘樹の方を振り返ってそう言い放つ暴走族。

 

しかし彼は気づかなかった………

 

前方に立つ人影の存在に………

 

「? ん?………」

 

漸く気付いた様に前を向いた瞬間に………

 

前方に立っていた人物は、腕を横に伸ばした。

 

「!? ぐぎゃあっ!?」

 

その腕に顔面から突っ込む暴走族。

 

ラリアットを自分から喰らいに行った形だ。

 

暴走族はゴム鞠の様に跳ね飛び、主を失った改造バイクは、横倒しとなってスピンした後、爆発・炎上する!

 

「グッ!………」

 

「大丈夫ですか?」

 

漸く引き回しから解放された弘樹が起き上がると、人影………

 

両手にMG34を携帯し、弾帯を身体にコレでもかと言うくらいに巻き付けたプロデューサーの姿があった。

 

「! プロデューサーさん!」

 

「「「「「「「「「「ヒャッハーッ!!」」」」」」」」」」

 

弘樹が驚きの声を挙げた瞬間に、暴走族とチンピラ達が襲い掛かって来る。

 

「援護します………」

 

するとプロデューサーは、両手のMG34を構え、向かって来た暴走族とチンピラたち目掛けて発砲した!

 

「「「「「「「「「「ぎゃああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!?」」」」」」」」」」

 

爆音と共に発射されている弾丸が、暴走族とチンピラ達を次々と撃ち抜く。

 

「今の内に………装甲車を!」

 

空薬莢を撒き散らし、レシートの如くベルトリンクを伸ばしながら、プロデューサーがそう言う。

 

「! 感謝します!」

 

弘樹はそれを聞くと、手近に居たSd Kfz 234/4に向かって突撃する。

 

「く、来るぞっ!」

 

「う、撃て、撃てぇっ!!」

 

突撃して来る弘樹を見て、Sd Kfz 234/4に乗るチンピラ達が悲鳴の様に叫ぶ。

 

「!………」

 

と、その瞬間!

 

弘樹は銃剣を7.5cm PaK40目掛けて投げつけた!

 

投げつけられた銃剣は、7.5cm PaK40の砲口の中へと飛び込み、砲弾が暴発!

 

「!? うおわあっ!?」

 

砲塔が吹き飛ぶ事はなかったが、車内には爆煙が充満する。

 

「ゲホッ! ゴホッ! コリャ堪らんっ!!」

 

それに堪らなくなったチンピラの1人が、ハッチを開けて車外に姿を晒す。

 

「!………」

 

「がっ!?………」

 

途端に、既にSd Kfz 234/4の車体に攀じ登っていた弘樹によって締め落される。

 

締め落したチンピラを放る様に投げ捨てると、ハッチに一〇〇式機関短銃を差し入れる。

 

「…………」

 

そのまま無言で引き金を引く弘樹。

 

「「「!? うわあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!?」」」

 

一〇〇式機関短銃から放たれた弾丸は、そのまま車内で跳弾となって暴れまくり、残りのチンピラ全員を気絶させた。

 

コレが本物の弾丸だったなら、車内はミンチより酷い事になっていただろう。

 

「クソォッ!」

 

と、残り1台のSd Kfz 234/4が、弘樹に7.5cm PaK40を向ける。

 

「…………」

 

しかし、弘樹はそれに気づいて居ながらも動かない。

 

「くたばれっ!!」

 

そしてSd Kfz 234/4から7.5cm PaK40が放たれ様とした瞬間!

 

白煙の尾を引いて飛んで来たロケット弾が、Sd Kfz 234/4に命中!

 

Sd Kfz 234/4の側面に大穴が空いた!

 

「「「「ハラホロヒレハレ~~………」」」」

 

その空いた穴から、古典的なギャグの様に、全身真っ黒でアフロヘアとなったチンピラ達が出て来て、そのまま倒れて気絶する。

 

「弘樹ーっ! 大丈夫か~!」

 

「…………」

 

ロケット弾を撃った主………対戦車火器を持って戻って来た対戦車兵と火砲を持って戻って来た砲兵部隊の中に居た地市がそう声を挙げると、弘樹は無言で手を上げたのだった。

 

「そ、装甲車が全滅だとっ!?」

 

「ど、如何すんだよ!?」

 

最大戦力の装甲車が全滅した事で、チンピラと暴走族達に動揺が走る。

 

「如何やら、ココまでの様だね………」

 

と、そんなチンピラ達の前に、紫朗を筆頭に風紀委員達が姿を見せる。

 

「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

 

「折角の学園祭を台無しにしようとした罪は重い………そう! 万死に値する!!」

 

紫朗がそう言ってメガネを光らせた瞬間!

 

風紀委員達による野戦砲の一斉砲撃が開始された!!

 

「「「「「「「「「「ぎゃあああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!?」」」」」」」」」」

 

無慈悲な砲撃の前に、チンピラと暴走族達の断末魔が響き渡るのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから10数分後………

 

装甲車を失い、対戦車火器と火砲を投入した大洗歩兵部隊の前に、チンピラ・暴走族連合は壊滅。

 

全員が両学園の風紀委員に拘束された後、警察へと引き渡された。

 

奇跡的にその様子は、最後までライブ会場の観客に気付かれる事はなく、サンショウウオさんチームとニュージェネレーションズのライブは、大盛況の内に終了したのだった………

 

 

 

 

 

特設ステージの控室にて………

 

「「「「「「「「「「ありがとうございました!」」」」」」」」」」

 

ニュージェネレーションズの3人に向かって、全員で感謝を述べると共に頭を下げるサンショウウオさんチーム。

 

「こちらこそ、ありがとうございました」

 

「良いステージだったね………」

 

「ホントホント! 何て言うか………皆の気持ちが1つになったって言うか」

 

卯月、凛、未央は、まだ興奮冷めやらぬと言った様子で、そう返す。

 

とそこへ………

 

「皆さん、お疲れ様です………」

 

「無事に終了出来たみたいですね」

 

そう言う台詞と共に、プロデューサーと弘樹が控室に姿を見せた。

 

両者とも、スーツと戦闘服が埃と煤塗れになっている。

 

「あ! プロデューサーさん!」

 

「如何したの? そんなに汚れて?」

 

卯月がそう言うと、汚れているプロデューサーの姿を見て、凛がそう尋ねる。

 

「あ! まさかプロデューサーも歩兵部隊の皆と協力して!?」

 

そこで未央が、そう推察する。

 

「………皆さんのステージを守るのが、プロデューサーである私の仕事です」

 

プロデューサーはそう言い、軽く笑う。

 

「プロデューサーさん………」

 

とそこで、弘樹がプロデューサーに声を掛け、握手を求める様に右手を差し出す。

 

「改めて、御助力感謝します」

 

「いえ、こちらこそ………彼女達のステージを守ってくれて、感謝します」

 

プロデューサーはそう返し、握手に応じる。

 

「「…………」」

 

そのまま無言となる2人。

 

「な、何か………独特の空気が有るって言うか………」

 

「私達にはちょっと理解出来ない世界だね………」

 

そんな様子のプロデューサーの姿を見て、未央と凛は苦笑いを零す。

 

「プロデューサーさん………何だか、カッコイイです」

 

しかし、卯月だけはそんな反応をするのだった。

 

「ああ、そうでした………サンショウウオさんチームの皆さん」

 

とそこで、プロデューサーは聖子の前に立つと、自分の名刺を取り出し、差し出した。

 

「? プロデューサーさん?」

 

「もし、皆さんが学校を卒業してもアイドルを続けたいと思ったなら………私に連絡を下さい。346プロダクションは………貴方達を待っています」

 

戸惑う聖子に、プロデューサーはそう言う。

 

事実上のスカウトである。

 

「! ハイッ!!」

 

それを受けて、聖子は満面の笑みを浮かべて名刺を受け取った。

 

「マジかよ! 本物の芸能プロのプロデューサーからスカウトだぜ!」

 

「ゆ、夢みたいです!」

 

「ううん! 夢じゃ無いよ! 現実だよ!!」

 

サンショウウオさんチームのメンバーも大興奮の様子を見せる。

 

「聖子ちゃん達が346プロに………」

 

「もしそうなったら………後輩だね」

 

「よ~し! その時には美嘉姉の時みたいに、私達のライブに呼んであげようね」

 

その様子を卯月、凛、未央はそんな事を言い合うのだった。

 

「…………」

 

そして弘樹は、無言のままコッソリと控室を後にする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして………

 

大洗学園艦の学園祭………

 

1日目・大洗女子学園の部は………

 

終了したのだった。

 

そして翌日………

 

遂に大洗機甲部隊メンバーによる劇が披露される………

 

大洗男子校の部が開幕する………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させていただきました。

報復に学園祭を滅茶苦茶にしようとやってきたチンピラ達。
厄介な事に不正ルートで装甲車を手に入れていた。
警備用の装備で火力が不足していた大洗歩兵部隊は苦戦を強いられるが………
聖子のライブ続行宣言を聞き、士気を上げて立ち向かう。
そして弘樹の奮戦と、プロデューサーの助力もあり………
ライブは無事に成功しのだった。

さて、次回から男子校サイドのパート。
いよいよ大洗機甲部隊の劇が開幕です。
お楽しみに。

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

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