スリーとスースラムが、補欠でも地区の代表に選ばれたので4人の顔は明るかった。
途中の川でスースラムと別れた後は、ナオミ達は我が家へと帰っていった。
お母さんは会議があるから遅くなると言っていた。
例の殺人の件だ。
あの後、色々な噂があったけれど、どれも信用できそうになかった。
お母さんが帰ってから、詳しく話を聞いた方がよさそうだった。
そりゃそうだよね、お母さんからの情報が1番確かだし。
家に帰ってみると、ナオミの荷物がすでに届いていた。
3人でナオミの部屋に運んだ。
「フーー。やっと終わったね」
「疲れたよー!」
「ありがとう。スリーにニンフル。
これは2人にお土産。
はいどうぞ」
「これはなーに?」
「これはけん玉と言って、こうやって遊ぶの」
お、これは面白そうだよね。でも、ファンタジーの小説でけん玉って、合わなくね?
ナオミは、ぶら下がっていた木の玉を、器用に小さな窪みに載せた。
それを、違うサイズの窪みに巧みに移動させて、最後には玉の穴に差し込んだ。
「うあー、すごいね。
これ僕にくれるの?」
「うん、そうだよ。
お父さんが作ってくれたんだ。
精神を集中させるにはいいと言っていた」
「それならスリーにピッタリね!」
「どうせ、そうですよ。
でも、ありがとうナオミ」
スリーはさっそくやったけれども上手くいかない。
大きな窪みにさえ、玉が乗らなかった。
「ナオミは上手くやっていたけれど、上手くいかないや。
これどうやったらいいのか教えてよナオミ」
「分かったわ。
まずはね、玉が動かなくなるまで待つの。
ほらね、動かないでしょう。
動かなくなったら真上に玉を引っ張る。
そして、玉が1番高い所にくるのを見て、窪みを玉の真下に持って行って、玉の動きに合わせて窪みも移動させればいいわ」
ふむふむ、これはメモしとかないと。
ニンフルは慎重にけん玉を動かしている。
ゆっくりとした動きだったけれども。
「やったわ。見て、大きな窪みに入っている」
「なんでニンフルにできて、僕にはできないんだ?
おかし〜な〜?」
ナオミがそれを見て、スリーの悪い所を言ってあげた。
「スリーは動かすのが早すぎるわ。
もう少し、落ちついた方がいいよ」
「ん〜〜。早く成功させたいからかな?
よーし、今度はゆっくりとやるよ」
ナオミの助言をしっかりと頭に入れてスリーはもう一度やってみた。
今度は焦らず、ゆっくりと。
すると、さっきまで見えていなかった玉の動きが読めて。
「やった〜〜〜!
大きな窪みに入ったよ。
これ面白いね。気に入ったよ」
「喜んでもらって嬉しいわ。
もっと難しい技があるんだけれど、私にはできないんだ」
「穴に入れるのより難しいのがあるの?
教えてよ。それを目標にするからさ」
「十字になっている、この角に玉を載せるの。
何度やっても私にはできないんだ。
でも、お父さんはできるんだよ」
「えーー、ここに玉を載せるの。
ナオミのお父さんってすごいね」
「お父さんは技師で、手先がとっても器用なんだ」
「ぎしって何?」
「あ、そうか。知らないんだよね。
機械を扱う人だよ」
「その、機械もよく分からないや。
ニンフルは知ってる?」
「んーとね。確か金属で、できている物?」
「あ、そうだ。
2つだけ、森の中に持って行っていいよって言われたのがあるから見せるね」
これだけは百間は一見に如かずだよね。
ナオミが見せたのはデジタル式の写真立てと、今付けているブレスレットだった。
「これは写真が表示されるんだ。
見てて」
ナオミは写真立てを2人の方に向けて、言葉を言った。
「写真、スイッチオン」
写真立てに、ナオミの写真が現れた。
「凄〜い。すごくきれい。
どんな魔法を使ったの?」
「スリー、違うわ。
これが機械なのよ」
「えーーーー。本当に。
すごいや」
「この中には2000枚ぐらいの写真と300本の動画が入っているのよ。
写真、次」
次の写真が現れた。
今度はお父さんとお母さんが写っている。
「本当に、この中にいるみたいね。
この人は誰なのナオミ?」
「私のお母さんとお父さんなんだ。
動画も見せるね。
動画再生、23」
今度は動画が再生された。
海岸に行った時の動画で、犬のコロとナオミが遊んでいた。
「こんなの見たことないや。絵が動いているなんて。
機械ってすごいね」
「この動物はセナカトゲトゲオオカミに似ているけど、大丈夫なの?」
「うん。大丈夫だよ。
昔はどう猛な地球のオオカミを、人間が飼い慣らしておとなしくさせたんだって。
でも、言葉は話さないんだ」
「え、こんなに仲良くしているのに?」
「猫も買っているけど、どれも話さないよ。
ここの動物達が話すので、逆に私はビックリしたんだ。
それとこのブレスレット。
学園内では緊急以外は使わない約束なんだ」
スリーが不思議がった。
それはそうだよな。見た目は木のブレスレットだし。
「これって木から作られているのと同じ様なものだよ。
少しだけ表面が滑らかだけどさ」
「これはコンピューターで、動かしてみるね」
ナオミはブレスレットのコンピューターを起動させた。
すると、ブレスレットの上に画面が現れた。
スリーとニンフルが驚いて、その画面を見ていた。
これは驚くよね。突然空間にコンピュータの画面が現れたのだから。
「今写っているのが基本の画面で、2人の写真を撮るね」
そう言うと、ナオミは驚いている2人の顔を撮った。
すぐに画面に表示して見せた。
「えー、これって僕達?
すごい魔法だね」
「スリー、違うわ。これが機械なのよ。
ナオミ、他にもこの、コンピュー、コンピューター。
少し言いにくいけど、何か出来るの?」
「うん、いろんなことができるよ。例えば」
ナオミが説明している途中で、外では何か大きな羽ばたく音が聞こえて来た。
お母さんが乗っているドラゴンの、セイドウオソレシラズが帰って来た音だった。
お母さんやっと帰って来たね。