エルフの惑星カーン   作:坂本ヒツジ

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アリンス女王

 今日の最初の授業で、アリの巣を見学に行く。

 昆虫学のワームムーワ教授は引退直前の年を取った男の教授だ。

 杖を使って、ゆっくりとしか歩けなかった。

 

「みんな、準備はいいですかな?」

「はーい」

「それでは行きますかな」

 

 ワームムーワ教授はゆっくりと歩き出した。

 その後に、生徒たちがゾロゾロとついて行っている。

 地下2階にきた。ここがアリの巣の入り口だ。

 ここの穴は、大人がやっと入れるだけの高さしかなく、中は真っ暗だった。

 

「さてと、ここで昨日習った光を呼ぶ呪文、ホホホタルコイヒカリヲを唱えなさい」

 

 生徒が口々に呪文を唱え出した。

 昨日に引き続いて、スースラムの蛍の精霊は大きく、お尻から出る光は強く光輝いていた。

 ワームムーワ教授はその蛍を見て驚いていた。

 

「ほう、これは素晴らしい。

 大人顔負けの光を出している。

 スースラムのお父さんに似て、強い魔力を持っているようじゃな」

 

 スースラムはまたしても皆んなの前で褒められたので嬉しくてたまらなかった。

 しかし、スリーは今朝の出来事があったので、友達が褒められても素直にスースラムに声をかけられない自分に腹が立っていた。

 なんて言うか、スリーの気持ちも分からなくはないけどね。

 

 こうしてアリの巣見学が始まった。

 穴に入ると、アリが沢山行き来している。

 

「縦穴がここにあるからな、気をつけるように。

 シロッシロアリは光が無くても、先についている触覚で歩けるようになっておる」

 

 少し大きな空間に出た。

 白い大きなアリが、向こうの穴から出てきて、こちらを見ている。

 デカ!!エルフと同じ位の大きさだよ。

 

「ここは女王アリがいる場所だ。

 おお、ちょうど女王アリが来たな。

 お久しぶりじゃ、アリンス女王」

「久しぶりでアリンス、教授」

「ん、少し大きくなられたかな?」

「ええ、少しだけでアリンスけど。

 そこの大きな蛍は決して欲しいアリンス。

 眩しいので」

 

 スースラムにいきなり言ったので、彼はびっくりして足元の石に躓いてしまった。

 後ろから眠そうについて来たスリーも一緒になって重なるようにして転んでしまった。

 

 皆んなが笑った。

 今日もついてないやとスリーは思いながらアリの女王を見たら、体の下が真っ黒っだので、教授から聞かされていた事とは少し違うなと思った。

 お、お、スリーは観察力が鋭いね。

 

「まあ、沢山の生徒さんがいるでアリンス。

 ゆっくりとしていっておくれでアリンス」

 

 そう言うと女王アリは奥の方に行きかけた。

 教授が呼び止めるように言った。

 

「今回はアリの巣の説明はしてくれないのかな?」

「調子を悪くしまして、それではこれで失礼アリンス」

「ん〜、仕方ないな。

 光を嫌いなのも気になるが、体調が悪いのでは仕方がない」

 

 スリーがさっき見た事を、教授に聞いてみた。

 

「教授、さっき転んだ時に女王アリの身体の下が真っ黒だったんですが。

 何かの病気ですか?」

「なんと、それは奇妙じゃな?

 文献を見て、何の病気か確かめないとな。

 それでは先に行こうかな。

 スースラム、蛍を呼び出していいぞ。

 こう暗くてはよく見えないんでな」

 

 スースラムは喜んで大きな蛍の精霊を呼び出していた。

 ナオミは、初めてのアリの巣見学に興奮している。

 ナオミよりも大きな女王アリの大きさに、1番驚ていた。

 

 突然、ブレスレットが震えた。

 色によって警告が分かるようにセッティングをしていて、宝石がここにあると小さな点が点滅していた。

 網膜にコンピュータの画面を映し出して見た。

 すると、真下の石ころがどうやらその宝石らしかった。

 見た目は薄汚れた、ただの石にしか見えない。ただ、少しだけ部分的に光を反射していた。

 お、早くもお父さんのコンピュータが役にたっていますね。

 握り拳ぐらいの大きさで、ナオミはそれに興味が湧いてそれを拾った。

 ニンフルが聞いてきた。

 

「ナオミ、その石がどうかしたの?」

「うん、少しね。チョットだけ中から光が反射したから。

 持って帰って、洗って見ようと思ったの」

「鉱石に興味があるんだね」

「うん。おばあちゃんの影響かな。

 おばあちゃんの趣味が、鉱物を集めることだからね」

「そうなんだ。

 それで、その石の種類は分かるの?」

「ん〜〜。多分宝石っぽい」

「え〜〜〜。本当に?」

 

 ニンフルが言った途端に、またブレスレットが震えた。

 少し先の石が宝石だと反応していた。

 ナオミはそれも拾って、ニンフルに渡した。

 

「多分それも宝石かな?」

「え、私にくれるの?」

「まだ宝石とは決まってないわ。

 綺麗にしたら、ただの石ころかもね」

「なーんだ。少しだけびっくりした。

 でも、可能性はあるんだね」

「うん。可能性だけはね」

 

 2人してクスクスと笑った。

 合計4つのそれらしい石が見つかり、スリーとスースラムにもあげた。

 2人は疑わしそうにナオミを見たけれども、とりあえずは持ち帰る事にした。

 あのね、お父さんが作ったコンピュータだからね、間違いないよ。

 多分ね。可能性だけはあるよ??

 

 

 

 

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