罰時間が終わったスリーは、1時間目の授業である植物学の枝に向かった。
罰があったから仕方ないね。スリー君。
学園の各枝の先には各学科のクラスルームになっている。
罰時間があって、遅れていたので急いで向かった。
そこではすでに生徒が座っていて、スリーが最後だった。
あーあ、やっぱりね。
空いている席は最前列しかない。
仕方なくその席に座ったら、ちょと太ってメガネを掛けたスーピラ教授がちょうど入って来た。
「おや、珍しいな。スリーが目の前に座っている」
入って来てすぐに言った言葉がこれだった。
でも、これは逆にチャンスだぞ。やる気を出せスリー。
クラス中がクスクスと笑っている。
スリナリルは今日は、ついてない日だと思った。
あちゃー、そう思ったのかスリーよ。
「え〜、それでは教科書の64ページを開いて。
今日は自走する菌類を勉強する。
スリー、今日はやる気があるみたいだから4行目まで読んでくれ」
クラス中がまた笑った。
スリナリルは、今日は笑われる日だとあきらめるしかなかった。
んんにゃ、これは逆転の第一歩だ〜〜〜。頑張れよ!
「はい、スーピラ教授。
勝手に動き回る菌類は珍しく、現在までに3種類しか見つかっていない。
1つ目はゲジゲジ・シイタケで、各家庭の地下で栽培されている。
2つ目はトマッテイルヨ・ツキデタは野生で、月夜が当たると動き出す。
3つ目はツカマリニクイ・ゲキヤクは、この3種類の中でも特に見つかりにくい。
以上です教授」
「そこまででよろしい。
読んでもらったついでに、これらを捕まえる魔法は何かな?」
「トマッテクレナイデモトマレ、ですスーピラ教授」
一部の生徒から賞賛の声が聞こえた。
この頃の年の子は、地下が暗くて行かないのが普通で、捕まえる魔法も知らなかった。
さすがグランの子ども、と言った声まで聞こえて来た。
スリーは少しだけ気持ちが良くなった。
スリーはやればできるじゃん。この調子でやれよ。
「すごいな今日のスリーは。その調子で頑張れよ。
え〜〜、それでは。
この菌類の特徴について言うと、足が生えていると思うかもしれないが、実は足ではなく口である。その訳は・・・」
こうして植物学の授業が過ぎて行った。
よしよし、さい先がいいではないんかいな。
2時間目の授業は弓矢だ。
スリーは弓矢もダメだった。
弓矢が大の苦手で、クラスでも後ろから数えた方が早い。
運動神経がいいんでしょう。きっと努力が足らないんだよ。
クラス全員が一列に並び、遠くの動き回る標的を狙う。
「全員、始め!」
そう言ったのは、バラグンダダ教授だ。
筋肉質で背が高く、エルフの中でもイケメンの部類に入るので、一部の女子生徒の憧れだ。
お父さんの親友で、最後の戦いの時には怪我をしていて参加できなかった。
お母さんに再婚を去年申し込んで断られたその後は、スリーに対してジメジメしたイジメをしている。
あ、これもよくあるね。逆恨みでさ。嫌な教授だよね。
「これでどうだ」
やっぱり当たらない。
バラグンダダ教授が近くに来て嫌味ったらしく言った。
「英雄グランの子が、全く当たってないではないか。
グランがスリーを見たら嘆くぞ」
この教授を蹴ったろか、って思うよね。
近くにいた生徒が笑っている。
悔しいけれど今のスリナリルは言い返せなかった。
隣では太っているスースラムが狙いを定めて矢を射った。
まるで見当違いの所に矢が刺ささり、誰かがそれを見て言った。
「下手くそ」
「太っているから当たらない」
声のする方を見ると、スームリと腰巾着のバルシだ。
いつも彼らが率先してスースラムの悪口を言う。
スームリは名門エルフ家の息子で、エルフの女王の甥っ子にあたる。
また彼の従兄弟で、1学年下の王女の直系である孫娘のエールモーリアとよく一緒にいるのを学園内で見かける。
そのため、生徒達から一目置かれていた。
いるんだよね、家系を自慢する奴。
「スリーも当たらないね。
どうやったら当たるんだろう?」
「教授が言っていた、心の目を使うんだよ。
と言っていたけど、意味わかんないよね」
スースラムのお父さんも、スリーのお父さんと同じ戦場で戦死していた。
そんな彼とスリナリルは友達で、家族で付き合っている。
スリーは、今度は標的の気持ちになって射った。
今度は近くに刺さった。
そうだ、心の目で射るんだ。
もう一回やろうとしたら、バラグンダダ教授が授業が終わった事を告げた。
やっと嫌な弓矢の授業が終わった。
待ちに待ったお昼で、サーシャリーでの最大の楽しみだ。
スースラムと一緒に、木の根元近くにある1番大きな枝の先にあるホールへ向かった。
ここは全校生徒が入るくらいに大きく、多目的に使われている。
さ、お昼ご飯だね。何が出るんだろう?