気の向くまま、風の向くままに 作:かりびとさま
館がある。それだけならば不思議ではないのだが、その館は、青い空に月が浮かんでいて、真っ赤な花畑の中心にあった。
そこに、一人の美しい女性が、上機嫌な足取りで歩いてゆく。そして、上機嫌な女性が扉を開けた先にはーーー
「ああ、お帰りなさい。大丈夫かい?怪我はしてないかい?病気にかかったりとかは?嫌なことはされていなーーー」
大きい館の玄関にて、ひ弱そうな美青年が立って、話しかけている。いささか心配し過ぎている気もするが。
「もう。過保護なんだから。私は無事よ。そちらこそ、何かあった?」
「うーん、特に無い気がするけど…あ、そうだ!またありすが新しい魔法を覚えたんだよ!」
「あらあら!本当!それはとてもいい事だわ!」
二人が仲良く、もとい親バカな会話をしていると、奥から一人の人形のような女性がやってきた。いや、"ような"ではない。よく見てみると、本当に人形なのである。その人形は二人の側に近づき、何かを喋った。
「狩人様、幽香様」
「何かしら、マリア?」
「もう少しでご昼食の時間です」
「あら、もうそんな時間!早くいきましょう、マーリン!」
どうやら、ひ弱そうな美青年はマーリン、美しい緑髪の女性は幽香、人形はマリアと呼ばれている様である。
「あっ!幽香、待ってくれよー!」
マーリンが急ぎ、走ろうとした。しかし、マリアに廊下を走るなと注意されたので、少ししょんぼりとした足取りで歩いてゆく。
マーリンと幽香が2階にあるバルコニーに向かうと、そこにはナイフを手で弄んでいる少女と、本を読んでいる少女が白いガーデンテーブルを挟んで座っていた。
「ありす、ジャック。元気にしてた?」
どうやらナイフを弄んでいた方はジャック、本を読んでいた方はありすと呼ばれているようである。すると、ジャックがいち早く反応し、返事をした。
「あ、おかーさん!うん、元気だったよ!ほらありす、おかーさんが帰ってきたよ!」
すると本を読むのに集中していた少女が顔を上げた。
「あ、お母様!お帰りなさい!」
「ええ、ただいま。マリア、今日のお昼ごはんは何かしら?」
幽香とマーリンが座ってから話しかけると、マリアがバスケットを持ち、歩いてきていた。
「今日はサンドイッチです。お飲み物は何にしますか?」
「僕は牛乳で」
「私は紅茶でお願いするわ」
「わたしも紅茶で!ありすは?」
「私も紅茶がいいわ!」
するとマーリンが少し考える素振りをした。
「む、皆紅茶にするのかい?じゃあ僕もやっぱり紅茶にするよ!」
「うふふ、みんな一緒ね。マリアは、何を飲むのかしら?」
「では、私も紅茶にします」
そういうと、マリアはティーカップを取りに戻った。その後、マリアも一緒に昼食を食べ、家族で楽しく昼を過ごしたーーー
「うーん、こんな感じの使い方でいいのかな?」
「ええ、それでいいと思うわ。」
「それにしても君のいう河童とは、不思議な妖怪なんだね。こんな物を作れるなんて」
「ええ。そうでしょう?それはかめらというからくりらしいわよ。それで何かを保存して後で見るのも楽しそうじゃないかしら?」
「ああ、それは楽しそうだね!今度引っ越す幻想郷という所はとても楽しみだよ」
「とてもいい所よ。あの子達にも良さそうなところだわ」
「ああ、とっても楽しみだよ!久しぶりに幽香と一緒に過ごせるしね。」
「うふふ、私も楽しみよ。ああ、皆に挨拶をしなければいけないわね」
「最初は、誰の所に行けばいいかな?」
「そうねぇ…妖怪の賢者の所なんてどうかしら?彼女はあなたの創った世界に憧れて幻想郷を創ったと言っていたぐらいだし、とても喜んでくれると思うわよ」
「ああ、じゃあ明日、一緒に行かないかい?」
「いいわね!それじゃあ、早速あの子達に伝えてくるわ!」
ああ、明日がとても楽しみだなぁ。久しぶりの外の世界だし、それに僕の創った世界に憧れていたと言っていたから、頑張らないとね。これからどんな日々が待っているんだろうか。新しい出会い、新しい生活。楽しい日々だといいなーーー