気の向くまま、風の向くままに   作:かりびとさま

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すいません、遅れてしまいました。


賢者達の日常

妖怪の賢者、彼女が住むところは彼女の関係者、更にその極一部以外誰も知らないという。

 

 

 

そこに挨拶にいこう、という少し変わった夫婦がいた。通常は見つけることすら難しいはずなのだが、その夫婦には関係無かった。なぜなら、夫がとても高名な魔術師だからである。

 

 

しかし、そんな彼でも解決できない問題があった。それはーーー

 

 

 

「挨拶、どうしよう…」

 

 

 

別に人付き合いが苦手な訳ではない。ただ、自分に憧れる者には初めて会うだけである。とはいうものの、彼が気づいていないだけで、実際はもっといるのだが。

 

 

「うーむ…」

 

 

残り時間はあと僅か。そのうちに考えなければいけないのだが、如何せん上手くまとまらない。挨拶といえば、ご近所の人はどんな人になるんだろう?いい人だといいなぁ、と考えが脱線してきた所で、幽香がマーリンを呼んだ。

 

 

 

「マーリン?行かないのー?」

 

 

 

「今行くよー!」

 

 

(まぁ、何とかなるだろう。最悪の場合魔法もあるしね。いやでも、うーん…)

 

 

マーリンが再び思考の渦に囚われかけているころ、もう一人の賢者はというと…

 

 

「藍?藍ー?どこに居るのー?」

 

 

「今参ります、紫様」

 

 

「異常は無かった?」

 

 

「ええ、異常はありませんでした。ですが、少し気になった事があるのです」

 

 

「?」

 

 

「いえ、本当にどうでもいい事なのですが…。実は最近、どこにもフラワーマスターが居ないのです。一日だけならともかく、一週間となると…」

 

 

「あら、それは珍しいわね?何かあったのかしら」

 

 

「よくわかりませんが、フラワーマスターの事ですから、大丈夫だと思うのですが…」

 

 

「ええ、彼女なら大丈夫でしょう。そんなことより、今日のお夕飯は何かしら?」

 

 

「もう、紫様は仕方ないですね…今日は肉じゃがを作ろうかと思ってます」

 

 

「まあ!それはいいわね!」

 

 

こんな平和な会話をしながら二人は家へと向かった。

 

 

コンコン。返事はない。留守なんだろうか。さて、どうしようか。夜に行くのもいけないし…

 

 

「うーむ、留守みたいだね。どうしようか?」

 

 

「やっぱり夜に行くのはだめだし、一旦出直しましょうか?」

 

 

「うん、そうしよう」

 

 

と、二人が会話していると、いつの間にかドアが開いていて、そこにちょこん、と小さい猫耳の少女がいた。

 

 

「あの…藍様か紫様に何か用事がありますか?」

 

 

「ええ、挨拶をしにきたのだけれど、紫はいるかしら?」

 

 

「えっと、今はいません。あの、中でお待ちになりますか?」

 

 

「うん、お言葉に甘えさせてもらうよ」

 

 

猫耳の少女が案内をしてくれている間に、自分たちの事をなんて呼べばいいのか戸惑っていたため、軽く自己紹介をすることにした。

 

 

「ああ、名前を言っていなかったね。僕はマーリン。こっちの女の人が、風見幽香。君の名前を教えてくれるかい?」

 

 

「えっと、橙です!よろしくお願いします!マーリンさん、風見さん!」

 

 

少し話していると和風な広い応接間についた。少女がお茶の準備をしてくれている中、少し質問をした。

 

 

「紫はいつ帰ってくるのかしら?」

 

 

「えっと…そろそろ帰ってくると思います」

 

 

橙が喋り終わると同時に、玄関から音が聞こえた。すると橙が勢いよく玄関目掛けて走っていった。といってもそんなに速くはなく、途中で転び涙目になっていたりはしたが。

 

 

「うーん、やっぱり初めての挨拶は緊張するねぇ…」

 

 

「ええ、でも大丈夫よ。だって私達は家族ですもの。家族がいれば、なんだってできるわ」

 

 

「ああ、そうだね。大分リラックスしてきたよ。ありがとう。うん、いける気がしてきたよ!」

 

 

よし、初めての挨拶だ。最初に何を言うかはまだ決まってないけど、頑張ろう!

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