第一話 新学期の朝
ピピッ
ある春の日の六時半、目覚ましの音がなった。
その音を聴いて、大田 浩樹(おおた ひろき)は目を覚まし、起き上がった。
トイレに行き、洗面所で顔を洗い、黒に白の線が入ったジャージを着、毎日の日課の朝のランニングに出掛けていった。
外はまだ寒く、霧がかかっていた。
走る距離は約15キロ。
いつものように、走る速さを一定に保ちながら走った。
浩樹はこの行事を、小学四年生の頃から毎日やっている。
今では、もう走った後でも息があがらないくらいになっていた。
浩樹がランニングを終えて家に帰ってきた時には、時刻は七時になっていた。
玄関でタオルで汗を拭きながらランシューを脱ぎ、浩樹は部屋に戻った。
汗を流すために風呂に入った後、制服に着替えるためにまた部屋に戻ろうとした時、大田 薫(おおた かおる)が起きていないのに気づいた。
ため息をつきながら、浩樹は薫の部屋に向かった。
薫は浩樹の一つ下の妹であり、その容姿は兄の浩樹が思うほどカワイイ。
浩樹の身長は170cmであり、薫はそれよりも15cmほど低く、胸は普通盛り。
人付き合いが良く、学校の女子はほとんど友達だった。
男子からは熱い視線を向けられ、告白されたこともある。
が........薫は告白を受け入れたことが一度もない。
その理由は........
薫『ごめん。私、お兄さんがいるから........』
そう、ブラコンなのである。
学校では、薫がブラコンだと知らない奴はいないほどもう皆に知れ渡っている。
コンコン
部屋に着き扉をノックしたが、中からは何の反応もない。
浩樹「(また起きてないのか........)」
本日二回目のため息をつきながら、浩樹は薫の部屋の中に入った。
薫は案の定、まだベッドでスヤスヤと寝ていた。
薫「えへへ........お兄ちゃあん........そんな変なとこお........触っちゃダメえ........」
しかも、緩みきった顔でとんでもない寝言を言っている。
薫は浩樹と二人っきりの時だけ、浩樹の事を「お兄ちゃん」と呼んでいる。
浩樹「おーい、薫ー。朝だぞー。起きろー。」
薫「ん........むにゃむにゃ........んー?」
薫は起き上がると浩樹の顔を見て、顔を赤くした。
薫「あれ?........お兄ちゃん?.......どうしてここに?」
浩樹「(完璧に寝ぼけているな。一体どんな夢見てたんだ?)お前さっき、どんな夢見てた?」
薫「え?........夢?........」
薫はしばらく黙った後、顔をさらに赤くした。
薫「キャー!!お兄ちゃんのエッチ!!」
浩樹「ええええっっ!!俺何もしてねえよ!!」
訳が分からないまま、薫に部屋の外に追い出されてしまった。
浩樹「(しょうがない。さっさと着替えて、朝飯作るか。)」
大田一家の両親は昔、ある事件によってすでに他界していた。
そのため、大田家の家事は、浩樹と薫が共同で行っているのだ。
しかし薫は朝に弱いため、朝の家事はいつも浩樹がやっていた。
浩樹「(よしっ、今日は薫の入学式だから、朝から頑張るぞ!)」
今日から浩樹は中学二年生、薫は中学一年生になる。
影でシスコンと噂されている浩樹は、朝から薫の大好きなハンバーグをつくることにした。
side 薫
私は今、お兄ちゃんと海で遊んでいる。
砂場での追いかけっこで、お兄ちゃんから逃げている。
もちろんお兄ちゃんは本気では走っていないんでしょうけど........
薫「(それでもかなり速いんだけど........)」
そんなことを考えていたら、いつの間にか先が行き止まりのところに来てしまった。
薫「(あれ?こんなところあったっけ?)」
気が付けば、浩樹はもう目の前に立っていた。
薫「(あ、死んだなこれ........)」
ドンッ
すると急に浩樹が薫に壁ドンをしてきた。
薫「(ええええっっ!!)」
予想外の展開に、薫は混乱した。
顔が真っ赤になっていくのが、自分でも分かる。
その上に、浩樹が顔を近づけてきた。
薫「(きゃ~、死ぬ~❤)」
浩樹「........好きだ........」
薫「え?」
薫は、浩樹が何を言ったのかが分からなかった。
浩樹「俺は、お前が好きだ!!」
薫「お兄ちゃん........私も好き❤」
浩樹「俺も、大好きだ!!」
チュッ
一瞬、唇に何かが触れた。
それが何だったかを理解するには時間がかかった。
薫「(ええええっっ、私、今お兄ちゃんとキスした?私のファーストキス、お兄ちゃんに奪われちゃった?)」
あたふたしていると、股間にも感触があった。
見ると、浩樹の手が股間に届いていた。
薫「んっ、お兄ちゃん、そんな変なとこ、触っちゃダメえ❤」
浩樹「おーい、薫ー。朝だぞー。起きろー。」
薫「(........え?........)」 薫は聞こえてきた浩樹の声に、違和感を覚えた。
薫「(何だろう?今、どこか違うところでお兄ちゃんの声が聞こえた気がする。)」
気が付けば、目の前にいた浩樹は姿を消していた。
薫「あれ?お兄ちゃん、どこに........」
その直後、どこか別次元へと引き込まれていく感覚がした。
目を開けると、そこには見慣れた風景と、浩樹の顔があった。
薫「あれ?........お兄ちゃん?........どうしてここに?」
浩樹「お前さっき、どんな夢見てた?」
薫「え?........夢?........」
だんだんと意識がハッキリとしてきたので、薫は今までの事を振り返ってみた。
が........
薫「(きゃー!!私、告白された上にキスまでされたんだったー!!それに、もしあのまま続けていたら........)キャー!!お兄ちゃんのエッチ!!」
顔を見るのが恥ずかしくて、薫は浩樹を部屋の外に追い出した。
浩樹「ええええっっ!!俺何もしてねえよ!!」
薫「(あんなことしておいて、何もしてないって........あれ?)」
薫は、もう一度振り返ってみた。
そして、ようやく全てを飲み込んだ。
薫「(なんだ、夢かあ。)」
一気に気が抜け、薫はベッドに倒れ込んだ。
薫「(今からよく考えてみたら、お兄ちゃんがあんなことするはずがない。そしてあんなに軽くない!!実物のお兄ちゃんの方がカッコよくてステキ❤)」
どこまでもブラコンな薫であった。
side 薫 end
予想に反して、とてつもなく大した事を書いてしまいましたwww
次回は、この途中から入学式を書きたいと思います!!
多分、次回はもっと本作のあらすじに沿った事を書けると思います!!
読んで下さった方は、是非感想をお願いします!!