薫「おはよ~........」
浩樹「おう、おはよう。」
浩樹がハンバーグをつくっていると、二階から薫が降りてきた。
浩樹「もうすぐできるから、先に顔洗ってこい。」
薫「うん........」
浩樹「........薫?」
........ギュッ
薫は浩樹に抱きついた。
何となく、浩樹に抱きつきたかったのだ。
浩樹「こらこら、そんなことしたら料理できないだろ?」
そう言いながらも、浩樹の顔はニヤけるのを必死で我慢している。
薫「........お兄ちゃんだって嬉しいくせに........」
浩樹「........なぜ分かった?」
薫「お兄ちゃんのことは何でもお見通しだもん。」
浩樹が本当に嬉しいと思ってくれていたということに、薫は顔を赤くした。
薫「じゃ、顔洗ってくる。」
浩樹「おう。」
薫は名残惜しいのを我慢して、ゆっくりと浩樹の身体から手を離した。
................
薫「えっ⁉ハンバーグ⁉」
浩樹「おう、今日は薫の入学式だからな。」
薫は顔を輝かせた。
薫「え、でも大変じゃなかった?朝から....」
浩樹「薫のためと思ったら、こんなの全然平気さ。」
薫「ホント⁉」
浩樹「ああ、だからお前はそんなこと気にせず食え。」
薫「ありがとうお兄ちゃん!それじゃ、いっただっきまーす!!」
浩樹「いただきます。」
薫「モグモグ........美味しい!!」
浩樹「よかった........」
................
浩樹「おーい、まだかー?」
薫「もうちょっとー!」
浩樹「いい加減に遅刻するぞー。」
薫「まだ時間あるでしょー!」
浩樹「早めに行った方がいいんだよ。」
浩樹は、薫が制服に着替えるのを玄関で楽しみに待っていた。
薫「........オッケー!お待たせ、お兄ちゃん。」
浩樹「おう、遅い........!!」
浩樹は薫の制服姿を見て絶句した。
小学校のときのセーラー服から一変して、ブレザーを着た薫は子供っぽいところが抜け、大人びた印象を受ける。
浩樹「........」
薫「ん?どうしたの、お兄ちゃん?」
浩樹「いや........お前ももう中学生か........と思って寂しくなった。」
薫「オヤジみたいだよ、お兄ちゃん....」
浩樹「あと、見惚れて、他の奴には見せたくないと思った。」
薫「!!も、もうお兄ちゃんたら!!変なこと言ってないでさっさと行くよ!!///」
浩樹「あっ!ちょっと待った!」
浩樹はスマホを取り出した。
浩樹「折角だから、二人でツーショットを撮ろう。」
薫「........お兄ちゃん........」
浩樹「初登校の記念だ。」
薫「ありがとう、お兄ちゃん!」
こうして二人はツーショットを撮った後、並んで高校に向かっていった。
――――
「Isolated Eden(隔離された楽園)」―通称、IE島。
世界中の人の大半が知っているであろう、超能力者達が住む都市。
伊豆諸島からやや離れた所にある、超巨大海底接続式海洋人工島である。
海底接続式とは、島と海底をコンクリートで繋げる方式である。
この島は日本の領土内であるため、基本的な法律は本土と同じであるが、「ギャンブル⚫OK」「喫煙、飲酒⚫中学生からOK」等の細かい部分に多少の違いがある。
隔離されている理由は、悪意を持った超能力者が一般人に超能力を使って危害を加えたりするのを阻止するためである。
共通言語は、世界中の超能力者がこの島に集まって来るので、同国人と話すとき以外は基本的に英語である。
小学校、中学校、高校では主に超能力に関する事を勉強する。
ちなみに、中学、高校は四年制で、高校は義務教育である。
そのため、この島での成人は二十歳からである。
島内の学校数は、地区別に小学校が四校、中学校が二校、高校が一校ある。
地区は、北地区、東地区、南地区、西地区とある。
つまり、島全体では小学校十六校、中学校八校、高校四校である。
中学校、高校では専門科が設けられ、能力上昇系科、能力変換系科、攻撃系科、防御系科、回復系科、サポート系科に分かれる。
ちなみに、どんな超能力にするかを選ぶことはできない。
この島がつくられたきっかけは、今から十年前のある事件が発端である。
その時はまだ、超能力者も一般人も一緒に暮らしていた。
ある時、尾崎 茂(おざき しげる)という科学者が数十人の部下を連れて、数億人もの超能力者を化学兵器用に改造し、世界を乗っ取ろうとした。
世界中の兵器や超能力者が懸命に応戦し、やっとのことで改造超能力者達の息の根を止めることができた。
しかし国際連合側の被害は大きく、世界大戦並みの損害を受けた。
この事件によって、尾崎他約十名は絞首刑となり、国連側は超能力者の隔離を決定した。
大田兄妹の両親は、この事件で戦死した。
大田兄妹の両親、父の幸浩と母の薫子は二人合わせて人類史上最強夫婦とまで呼ばれていた。
両親を亡くした大田兄妹は、今は生活保護を受けながら生活している。
凄い説明口調になってしまいましたね........。
次回はやっとで入学式です。
読んで下さった方は、是非感想をお願いします!!