カミテン~遊戯王TFへ転生してハーレム目指す――でも~   作:ニョニュム

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エクシーズの登場です。


精霊狩り

 カミューラとの激闘から既に数週間が経った。カミューラの魂がセキヒトによってカードへ捕らえられた事により人形へ魂を封じられていた丸藤亮とクロノス・デ・メディチの二人は人形から解放された。

 

 二人のように戻ってきた戦力もあれば、未だに戻らない戦力もある。それが天上院吹雪、天上院明日香といった決闘者である。身体的な異常が見当たらないものの全く目を覚ます気配を見せない二人。他に一般生徒も巻き込んだセブンスターズと思われる犯人の襲撃を警戒しながらアカデミアで生活を送る十代達の前に次々と明日香達を下したセブンスターズとは違うセブンスターズが現れていた。

 

 つい先日も十代と翔がタッグデュエルをする切欠となった事件、廃寮侵入事件で十代と決闘を行い、闇へ消えていった決闘者タイタンが再び十代達の前にセブンスターズとして立ち塞がったばかりである。

 

 セキヒトが持つ原作知識と十代達が話している会話を盗み聞きしてある程度、原作の進行状況を理解するセキヒト。だからといって、特に何も行動を起こす訳では無いのだが。

 

 なによりセキヒトは今、色々と準備に追われて忙しいのだ。

 

 

「まったく、コスプレ決闘大会ってなんだよ。学園祭なんだから企画するなら企画するでしっかりと計画してやれよ……」

 

 

 両手でダンボール箱を抱えたセキヒトはダンボールの中に入っている衣装を見ながらぽつりと呟く。

 

 デュエルアカデミアは世界最高峰の決闘者を育てる機関であるのと同時に学校という面も持っている。勿論、普通の学校がそうであるようにデュエルアカデミアでも体育祭や学園祭といった学生が盛り上がるイベントが存在する。デュエルアカデミアという事でデュエルモンスターズに関係する出し物が多いこと以外は普通の学園祭と似たようなモノだ。

 

 セキヒトの所属するオシリスレッド寮では色々と出し物で揉めた結果、決闘者自身がモンスターの格好をして決闘するコスプレ決闘大会を行なう事になった。企画が決まったのはいいが、大前提としてモンスターのコスプレ衣装を持っているような生徒は存在しない。

 

 そうなると貸し衣装で決闘を行なう訳であるが貸し衣装自体に問題がある。何故か不明であるが、オシリスレッド寮の倉庫にある程度コスプレ衣装が眠っていた。貸し衣装の件はこれで解決と思いきや大きな問題が発生した。

 

 衣装の細部がボロボロだったり、虫に食われていたりで貸し出せる状況では無かった。仕方ないので大徳寺先生の提案によりトメさんの伝手でコスプレ衣装の修繕を依頼して、学園祭が始まるギリギリの今日になって修繕されたコスプレ衣装が帰って来た。

 

 セキヒトはトメさんの所まで受け取りに行くジャンケンで負けてしまった為、ダンボール箱を抱えた状態で校舎からオシリスレッド寮までの道を歩いていた。コスプレ衣装の中には歳相応らしく下心丸出しの女性用衣装も何着か混ざっているがこちらから頼まないかぎり、身に着けてくれるような猛者はいないだろう。

 

 馬鹿丸出しの仲間達に対して苦笑を噛み締めるセキヒト。そんな時、何処からともなく声が聞こえた気がして周囲を見渡す。少なくともセキヒトが見渡した限り、“普通の人間”はいなかった。

 

 

『ふん、ふん、ふ~ん!』

 

 

 風に乗って耳へ届いた鼻歌に導かれて顔をそちらへ向けたセキヒトはそこで“彼女”を目撃する。

 

 

「まさか…………ね」

 

 

 今のは何かの間違いだ、そう自分に言い聞かせるセキヒトは両手に持ったダンボールを一旦地面に置く。目頭を押さえると疲労が溜まっている瞳をマッサージする。そして再び“彼女”の方へ視線を向けた。

 

 

 風に靡く美しい金色の髪、宝石のサファイアを彷彿させる翠色の大きな瞳、愛くるしい顔立ちはテレビに出てくるようなアイドルを思わせる。なにより目を引くのは右手に持った魔法の杖でも、幽霊のように空中をふわふわと浮いている事でもない。勿論、それはそれで注目するべき所なのだが、セキヒトの視線は彼女の“衣装”に集約されている。

 

 一昔前の魔法使いを思い出させる大きな青い帽子と青い靴。水色とピンク色で彩られたレオタード姿はある意味で見た人間へ眩暈を起こさせるほど強烈な印象を刻み付けてしまう。

 

 

「どうして俺に……」

 

 

 精霊が見えるんだ。そう言いたかったセキヒトは途中である事を気付いて口を塞ぐ。ダークネスの欠片――――魂を身体へ取り入れてから既にかなりの月日が経った。闇のゲームを行なう回数は減ったものの、時間が闇の力を身体へ馴染ませた。そして闇の力とは人智を超える力である。同じ人智を超える存在であるカードの精霊が見えるようになった所で不思議では無い。

 

 彼女ことブラック・マジシャン・ガールは自分がセキヒトに“視えている”事に気付いておらず、学園祭の準備に忙しくしている学生達や準備している看板などを興味深そうに覗き込んでは天真爛漫な笑顔を浮かべている。

 

 ドクン、と胸の内側に潜む何かが躍動した。楽しそうなブラック・マジシャン・ガールの笑顔を見たセキヒトは心の奥に隠れていた黒い感情が少しずつ漏れ出している事に自分で気付いた。同時に静まっていた闇の力がセキヒトの身体へ渦巻いていく。

 

 

「――――ッ!」

 

 

 これ以上この場所に居たら他の生徒を巻き込んでしまう。そう判断したセキヒトは急ぎ足で校舎からオシリスレッド寮までの道中にある人気の無い林まで移動すると道を外れて人が来ない場所まで移動する。

 

 

「これは……きついな」

 

 

 胸を撫で下ろし、溜息を吐くセキヒト。決闘に勝つ為、自分から手に入れた闇の力。闇の力を手に入れた当初はその力に酔い痴れて闇のゲームを連発していた。だが、時間が過ぎ、闇の力を身体へ馴染ませたセキヒトは学園生活に溶け込む程度の理性を取り戻していた。

 

 しかし、その理性もちょっとした切欠で簡単に吹き飛んでしまう。それでは駄目なのだ。セキヒトの究極的な目標はハーレムを築く事。その為には闇のゲームで女性決闘者を乱獲すればいい。だが、その場合は被害者が続出してしまう。ハーレムを築く上で障害となる十代達に自分の事が露見してしまう可能性もある。

 

 泥棒がお宝を手に入れる為、罠を排除するように、ハーレムを築く上で邪魔となる十代達を排除しなければセキヒトは安心して女性決闘者を乱獲出来ない。なにより、自分へ数多の敗北を刻んだカイザー亮だけは絶対に倒さなければいけない相手だ。

 

 

『あれ~、この辺りまでは気配を追えたんだけど……。あの悪い気配の正体を確かめなくちゃいけないのに』

 

 

 そんな事を考えていたセキヒトの耳に声が届いた。

 

 セキヒトが闇の力でカードの精霊が見えるようになったなら、カードの精霊にしても闇の力を感知出来ても何も不思議ではない。

 

 どす黒い闇の気配を感じたブラック・マジシャン・ガールはその気配を追ってきた。そしてその事を理解したセキヒトの中でスイッチが入れ替わった。

 

小さく溜息を吐き出し、デュエルディスクを構える。急速に溢れ出す闇の力はセキヒトとブラック・マジシャン・ガール以外の存在を排除するように漆黒の炎で周囲を囲む。

 

 

『――ッ! やっぱりこの力は!』

 

 

 逃げ場を塞がれた事に気付いて警戒するブラック・マジシャン・ガールの前にゆらりと姿を現すセキヒト。その背後に渦巻く闇の力にブラック・マジシャン・ガールは小さく息を呑んだ。

 

 

「まさか、カードの精霊と決闘する機会があるとは思わなかったが、この状況について説明は必要か? マナ……いや、ブラック・マジシャン・ガールだったな」

 

『この闇の気配は確かマスターが邪神を相手にした時の――! わかりました、貴方の闇は私が祓います!』

 

 

 ブラック・マジシャン・ガールは信頼する主の下、何度も修羅場を潜り抜けてきた。今、自分が置かれている状況を素早く把握する。

 

 

「『決闘!』」

 

 

 闇の力を行使するセキヒトと最強の決闘者と共に歩んだカードの精霊がお互いの存在をかけて激突した。

 

 

 

 

 

 

 

 

『私のターン、ドロー!』

 

 

 お互いの存在をかけた決闘の中、始まりの一手に選ばれたのはブラック・マジシャン・ガール。ブラック・マジシャン・ガールはデッキに手を添えると躊躇わずカードを手札へ加える。手札を確認したブラック・マジシャン・ガールは小さく微笑み、動き出す。

 

 

『私は手札から闇の誘惑を発動します。効果によってデッキからカードを2枚ドロー。そして手札からお師――――じゃなかった、ブラック・マジシャンをゲームから除外します』

 

 

 ブラック・マジシャン・ガールの行動にピクリと眉を動かすセキヒト。ブラック・マジシャン・ガールにとって、ブラック・マジシャンは掛け替えの無い大事な人だ。いくら手札を増やす為とはいえ、この状況でブラック・マジシャンを手放した意図がわからない。

 

 

『そして私は裏側守備表示でカードをセット、カードを3枚伏せてターンエンド』

 

 

 伏せモンスターと3枚の伏せカード。堅牢な守りを作るブラック・マジシャン・ガール。

 

 

「……今は学園祭準備の最中だ。速攻で片付けさせてもらうぞ。俺のターン、ドロー」

 

 

 堅牢な守りを前にしたセキヒトが小さく呟き、カードを手札に加える。手札の内容を確認して歪な笑みを浮かべるセキヒト。

 

 

「俺は手札から強欲な壺を発動。カードの効果で2枚ドロー。そして天使の施しを発動。カードを3枚ドローして2枚捨てる。さあ、準備は整った。まず俺は二重召喚を発動する。効果により俺は二回モンスターを召喚出来る。まずは一人目だ。現れろ、クィーンズ・ナイト」

 

 

 クィーンズ・ナイト☆4光 ATK/1500DEF/1600

 

 

 セキヒトのフィールドに現れる真紅の鎧を纏った女性剣士。腰まで届く金髪は戦人でありながら美しい女王として彼女を際立たせる。

 

 

『まさか――――ッ!』

 

「……たったこれだけで予想が出来るとは大したも――――いや、共に戦ってきたお前なら簡単な事か。その通り、正解だ。俺は手札からキングス・ナイトを召喚! そして効果を発動する! デッキからジャックス・ナイトを召喚!」

 

 

 キングス・ナイト☆4光 ATK/1600DEF/1400

 効果・自分フィールド上に“クィーンズ・ナイト”が存在する場合にこのカードが召喚に成功した時、デッキから“ジャックス・ナイト”1体を特殊召喚する事ができる。

 

 

 ジャックス・ナイト☆5光 ATK/1900DEF/1000

 

 

 初手にして立ち並ぶ三人の剣士。セキヒトのフィールドに立ち並ぶその光景は奇しくもブラック・マジシャン・ガールがマスターと呼び、信頼する決闘者と同様の物。だからこそ、次に起こる事も予測出来る。

 

 

「俺は手札から融合を発動、絵札の三銃士を融合して現れろ、最強の戦士! アルカナナイトジョーカー!」

 

 

 アルカナナイトジョーカー☆9光 ATK/3800DEF/2500

 効果・フィールド上に表側表示で存在するこのカードが魔法カードの対象になった場合は魔法カードを、罠カードの対象になった場合は罠カードを、効果モンスターの効果の対象になった場合はモンスターカードを、手札から1枚捨てる事でその効果を無効にする。この効果は1ターンに1度しか使用できない。

 

 立ち並んだ絵札の三銃士が消えるのと同時に颯爽とフィールドへ現れる最強の剣士。金色に輝く鎧を纏い、数多の敵を屠ってきた剣がキラリと輝く。

 

 

「守りを万全にしたつもりだろうがその守りすら打ち砕く! 行け、アルカナナイトジョーカー!」

 

 

 セキヒトの命令に従い、最強の剣士が動き出す。数多の敵を屠ってきた剣を構えると地面を蹴り上げ、空へ跳躍する。速さと力強さ、二つを兼ね備えた必殺の一撃が伏せモンスターへ届くその瞬間、アルカナナイトジョーカーの前にハデな装飾を凝らした筒が出現する。

 

 

『この瞬間、私はトラップを発動します。魔法の筒(マジック・シリンダー)! このカードは相手モンスターの攻撃宣言時に発動できる。攻撃モンスター1体の攻撃を無効にし、そのモンスターの攻撃力分のダメージを相手ライフに与えます!』

 

 

 このカードが発動すればセキヒトは3800のダメージを一気に受ける事となる。しかし、元々、そんな事は承知している。

 

 

「この瞬間、アルカナナイトジョーカーの効果発動! 手札から罠カードを捨てる事で魔法の筒の効果を無効にする! そして攻撃は続行だ!」

 

 

 慌てた様子も見せず、神速の刃で魔法の筒を切り裂いたアルカナナイトジョーカーは返す刃で伏せモンスターを切り捨てる。そしてアルカナナイトジョーカーが切り捨てた相手が姿を現す。

 

 

『ファイヤーソーサラーのリバース効果発動!』

 

 

 ファイヤーソーサラー☆4炎 ATK/1000DEF/1500

 効果・リバース:自分の手札を2枚ランダムに選択しゲームから除外する。相手ライフに800ポイントダメージを与える。

 

 

『私の手札は2枚。2枚の手札を除外してファイヤーソーサラーの攻撃、ファイヤーブラスト!』

 

 

 黒い帽子に黒い服、アルカナナイトジョーカーによって致命傷を受けたファイヤーソーサラーは最後の命を燃やし、両手に炎弾を作り上げるとアルカナナイトジョーカーを飛び越えてセキヒトへ炎弾を直撃させる。そして、最後の力を振り絞ったファイヤーソーサラーはそのまま破壊されてしまう。

 

 

 ダークネスセキヒトLP4000→3200

 

 

「ッ! 俺はカードを1枚伏せてターンエンド」

 

 

 身を焦がす炎に焼かれたセキヒトはその痛みに小さく笑い、ターンを終了する。

 

 ブラック・マジシャン・ガールのフィールドはがら空きで手札も無い。なによりセキヒトのフィールドにはどんなカードも無力化する最強の剣士が控えている。状況でいえば圧倒的不利。

 

 だが、ブラック・マジシャン・ガールの顔に悲観の色は無い。そう、彼女は知っているからだ。誰もが諦め、挫折する絶望的な状況でも最後まで足掻く事の意味を。絶望の中に光を見出し、その光を手繰り寄せる本当の強さ。だからこそ、彼女は少しも躊躇わない。

 

 

『私のターン、ドロー!』

 

 

 勢いよくドローしたブラック・マジシャン・ガールは横目で引いたカードを確認するとそのままデュエルディスクへ叩き付ける。

 

 

『私は手札から次元融合を発動! このカードは2000ライフポイントを払う事でお互いに除外されたモンスターをそれぞれのフィールド上に可能な限り特殊召喚します! 私はゲームから除外されている3体のモンスターを特殊召喚!』

 

 

 最強の決闘者を思わせる流れるようなタクティクス。闇の誘惑とファイヤーソーサラーの除外はこの時の為に集約されている。

 

 

 ブラック・マジシャン・ガールLP4000→2000

 

 

 ブラック・マジシャン☆7闇 ATK/2500DEF/2100

 

 

 ブラック・マジシャン・ガール☆6闇 ATK/2000DEF/1700

 効果・お互いの墓地に存在する“ブラック・マジシャン”“マジシャン・オブ・ブラックカオス”1体につき、このカードの攻撃力は300ポイントアップする。

 

 

 マジシャンズ・ヴァルキリア☆4光 ATK/1600DEF/1800

 効果・このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、相手は他の魔法使い族モンスターを攻撃対象に選択できない。

 

 

 ブラック・マジシャン・ガールのフィールドに現れた三人の魔法使い。最強の師弟とどんな時でも魔法使いを守護する者。個々の力はアルカナナイトジョーカーに敵わずともなんとかしてくれる。そんな印象を抱く布陣である。そして、この布陣はブラック・マジシャン・ガールによって組まれた布陣だ。

 

 

『私は伏せていたマジックカードを発動、黒・魔・導・連・弾(ブラックツインバースト)! このカードは自分フィールド上に表側表示で存在する“ブラック・マジシャン”1体と“ブラック・マジシャン・ガール”1体を選択して発動する。このターンのエンドフェイズまで、選択した“ブラック・マジシャン”の攻撃力は選択した“ブラック・マジシャン・ガール”の攻撃力の数値分アップする! ブラック・マジシャンでアルカナナイトジョーカーを攻撃、黒・魔・導!』

 

 

 ブラック・マジシャンATK/2500→4500

 

 

 背中を合わせ、杖を重ねた師弟の力が解放される。巨大な魔力を秘めた攻撃に対して、迎撃体勢を見せたアルカナナイトジョーカーは最強の斬撃をもって対抗する。剣と魔法、相反する二つの激突。軍配が上がったのは師弟の絆を持つ魔法だった。魔法の波動によって破壊されたアルカナナイトジョーカー。波動の勢いは止まらず、セキヒトを巻き込んで吹き飛ばす。

 

 

 ダークネスセキヒトLP3200→2500

 

 

『追撃です! ブラック・マジシャン・ガールでダイレクトアタック! 黒・魔・導・爆・裂・破!』

 

「~ッ! それは通さない! トラップ発動、ガードブロック! このカードは相手ターンの戦闘ダメージ計算時に発動する事ができる。その戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージは0になり、自分のデッキからカードを1枚ドローする!」

 

 

 再び迫り来る魔力の波動に対して、トラップを発動するセキヒト。ブラック・マジシャン・ガールの攻撃はセキヒトのデッキから飛び出したカードが全てを受け止めて、無力化する。

 

 

『ッ、耐えましたか。でも、この攻撃はかわせませんよ、マジシャンズ・ヴァルキリアでダイレクトアタック、マジック・イリュージョン!』

 

 

 ダークネスセキヒトLP2500→900

 

 

 三度襲う魔法の力に吹き飛ばされるセキヒト。油断したつもりは無い。しかし、最強の決闘者と共に歩んだカードの精霊が持つ力は想像以上のモノだ。

 

 

『私はこれでターンエンド』

 

 

 ブラック・マジシャンATK/4500→2500

 

 

「俺のターン、ドロー!」

 

 

 たった1ターンで状況が引っくり返された。今はセキヒトが圧倒的不利な状況である。だが、セキヒトの表情に焦りは無い。何故なら闇は追い詰めれば追い詰めるほど底知れぬ力を見せるからだ。そして相手を深淵の闇へ引き込む仕掛けは既に出来ている。

 

 

「俺は手札から死者蘇生を発動、墓地に眠るガガガマジシャンを特殊召喚! 効果を発動してレベルを6へ変更」

 

 

 ガガガマジシャン☆4→6闇 ATK/1500DEF/1000

 効果・1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に1から8までの任意のレベルを宣言して発動できる。エンドフェイズ時まで、このカードのレベルは宣言したレベルになる。“ガガガマジシャン”は自分フィールド上に1体しか表側表示で存在できない。このカードはシンクロ素材にできない。

 

 

 墓地から現れる一人の魔法使い。お互いににらみ合う魔法使い同士であるが彼の真骨頂は戦いでは無い。

 

 

『そのカードはもしかして!』

 

「そうだ、最初に行なった天使の施し、その内の1枚だ。そして見せてやろう、これが新時代のタクティクスだ! 俺は手札からガガガガールを攻撃表示で召喚! 効果によりレベルを6へ変更する!」

 

 

 ガガガガール☆3→6闇 ATK/1000DEF/800

 効果・自分フィールド上の“ガガガマジシャン”1体を選択して発動できる。このカードは選択したモンスターと同じレベルになる。また、このカードを含む“ガガガ”と名のついたモンスターのみを素材としたエクシーズモンスターは以下の効果を得る。

 ●このエクシーズ召喚に成功した時、相手フィールド上の特殊召喚されたモンスター1体を選択して発動できる。選択したモンスターの攻撃力を0にする。

 

 

 互いに並んだ二組の師弟。ブラック・マジシャンとブラック・マジシャン・ガールが古き時代を象徴する魔法使い師弟なら、ガガガマジシャンとガガガガールは新しき時代を象徴する魔法使い師弟である。

 

 

 「俺は魔法使い族レベル6のガガガマジシャンとガガガガールでオーバーレイ! 2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築! エクシーズ召喚! 現れろ、全てを魅了し、相手を操る魅惑の美☆魔☆嬢! マジマジ☆マジシャンギャル!」

 

 

 マジマジ☆マジシャンギャル☆6闇 ATK/2400DEF/2000

 効果・1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除き、手札を1枚ゲームから除外して以下の効果から1つを選択して発動できる。

 ●相手フィールド上のモンスター1体を選択し、このターンのエンドフェイズ時までコントロールを得る。

 ●相手の墓地のモンスター1体を選択し、自分フィールド上に特殊召喚する。

 

 

 新しい時代を司る二人の魔法使いはその姿を黒き光へ変えると暗き穴へ飛び込んでいく。そして光の爆発と共に現れた一人の魔法使い。ブラック・マジシャン・ガールに似た風貌でありながら、その身に纏う雰囲気は女性的な魅力に溢れている。

 

 

『ッ! エクシーズモンスター! 新たな時代のモンスターですか』

 

 

 エクシーズモンスター。その登場にブラック・マジシャン・ガールは息を呑む。その存在は知っていた。だが、知識として知ってはいても、エクシーズモンスターを使いこなす決闘者は中々居ない。セキヒトは中々居ない決闘者の一人である。

 

 

「そしてこの瞬間、ガガガガールのもう一つの効果発動! 選択したモンスターの攻撃力を0にする。勿論、俺はブラック・マジシャンを選択。やれ、ガガガガール! ゼロゼロコール!」

 

 

 ブラック・マジシャンATK/2500→0

 

 

『ああ! お師――――じゃなかった、ブラック・マジシャンが!』

 

 

 ガガガガールの力によって戦う力を失ったブラック・マジシャンの姿に悲鳴を上げるブラック・マジシャン・ガール。しかし、セキヒトの猛攻は終わらない。

 

 

「俺はマジマジ☆マジシャンギャルの効果を発動! オーバーレイユニットを1つ取り除き、手札を1枚ゲームから除外。ブラック・マジシャン・ガールのコントロールを得る」

 

『えっ、そんな!』

 

 

 ブラック・マジシャン・ガールが驚愕の表情を浮かべるがもう遅い。同性すら魅了するマジマジ☆マジシャンギャルによって、自身の分身でもあるブラック・マジシャン・ガールがセキヒトの手に落ちる。

 

 

「ふん、これで後は露払いを済ませるだけだ。俺は墓地からトラップ発動、ブレイクスルー・スキル! このカードは相手フィールド上の効果モンスター1体を選択して発動できる。選択した相手モンスターの効果をターン終了時まで無効にする。また、墓地のこのカードをゲームから除外する事で、相手フィールド上の効果モンスター1体を選択し、その効果をターン終了時まで無効にする。この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できず、自分のターンにのみ発動できる! 効果を無効にするモンスターは勿論、マジシャンズ・ヴァルキリア!」

 

『ッ! そんなカードいつの間に!』

 

「忘れたか、アルカナナイトジョーカーが魔法の筒を無効にした時に捨てたカードの事を!」

 

『まさか、その時に!』

 

 

 息の呑むブラック・マジシャン・ガールの前でその力を失うマジシャンズ・ヴァルキリア。

 

 

「さあ、自らの師匠を倒し、自身で敗北を刻め! 俺はブラック・マジシャン・ガールでブラック・マジシャンを攻撃! くらえ、黒・魔・導・爆・裂・破!」

 

『いやー!』

 

 

 戦う力を失った尊敬する師匠へ攻撃を行なうブラック・マジシャン・ガール。嘆きの悲鳴を上げるブラック・マジシャン・ガールだが、セキヒトの手に落ちたブラック・マジシャン・ガールは攻撃を止めない。魔導の波動がブラック・マジシャンを破壊する。そして師匠殺しを成したその波動は自らへ返ってくる。そのダメージは自身のLPと同じ2000。

 

 

 ブラック・マジシャン・ガールLP2000→0

 

 

『ご、ごめんなさい。お師匠様……』

 

 

 悲しみの涙を流しながら、決闘に敗北したブラック・マジシャン・ガールはセキヒトの掲げたカードへその身を封印される。

 

 

「さてと学園祭の準備に戻るとするか……」

 

 

 ブラック・マジシャン・ガールの魂が封印されたカードをデッキホルダーへしまったセキヒトはそばに置いたダンボール箱を持ち上げて、何事も無かったかのようにその場から移動する。

 

 

「……ブラック・マジシャン・ガール?」

 

 

 ――――ただ、誰もいないと思っていたからこそ、その人影に気付く事は無かった。

 




BBAじゃないよ、美魔女だよ(震え声)
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